岡三オンライン証券の吸収合併(2022年・岡三証券グループの決断)

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岡三証券グループ:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
別法人で育てたネット専業16年の本体への取り込み2021年3月に岡三証券と岡三オンライン証券の経営統合を決め、同年7月29日の取締役会で吸収合併を決議、2022年1月1日に岡三証券を存続会社として合併した経営判断。2006年1月にネット専業として別法人で設立した岡三オンライン証券を16年後に本体へ取り込み、社内に岡三オンライン証券カンパニーを置いた。掲げた目的は、グループ全体における経営資源の有効活用及び効率化・合理化による経営基盤の強化である。1999年10月の株式委託手数料の完全自由化から、対面とオンラインを別の法人で持つ体制を20年余り続けた末の統合であった。

何をなぜ決めたか:別法人で育てたネット専業16年の本体への取り込み

概要

2021年3月に岡三証券と岡三オンライン証券の経営統合を決め、同年7月29日の取締役会で吸収合併を決議、2022年1月1日に岡三証券を存続会社として合併した経営判断。2006年1月にネット専業として別法人で設立した岡三オンライン証券を16年後に本体へ取り込み、社内に岡三オンライン証券カンパニーを置いた。掲げた目的は、グループ全体における経営資源の有効活用及び効率化・合理化による経営基盤の強化である。1999年10月の株式委託手数料の完全自由化から、対面とオンラインを別の法人で持つ体制を20年余り続けた末の統合であった。

背景

岡三証券グループは2003年10月の会社分割で持株会社へ移り、対面の岡三証券とネット専業の岡三オンライン証券を並べて持つ体制を整えた。2020年4月に始めた中期経営計画は、2023年3月末にROE10%・口座数100万口座・預り資産10兆円を掲げている。2021年3月末の実績は92.1万口座・6兆2,001億円で、口座は目標に迫る一方、預り資産は6割強にとどまった。岡三オンライン証券は2020年11月に日本株の委託手数料を改定し、1日の約定代金合計200万円までを無料として稼働口座数は過去最高を記録したが、無料化は手数料収入を直接押し下げる。

内容

岡三証券を吸収合併存続会社、岡三オンライン証券を吸収合併消滅会社とする吸収合併で、企業結合日は2022年1月1日。当初は2021年10月をめどとしていたが、3か月後ろへずれた。両社とも岡三証券グループが議決権の100%を持つ連結子会社であり、共通支配下の取引として処理している。消滅会社は同日付で連結の範囲から外れ、2022年3月期末の連結子会社は13社となった。取引ルール・手数料水準・部店番号・口座番号・IDはいずれも据え置き、オンライン部門は岡三オンライン証券カンパニーとして続いた。

含意

統合した顧客基盤は2023年3月末に104万口座へ達し、対面63.1万口座・オンライン40.9万口座の内訳となった。中期経営計画が掲げた100万口座は越えたが、預り資産は6.8兆円で10兆円には届かなかった。10.1兆円・110万口座となったのは3年後の2026年3月末である。その2026年、岡三証券は岡三オンライン証券事業の一部をSBI証券へ譲渡すると決め、自ら立てたネット専業の主要部分を切り離した。証券機能をグループ外へ供給する証券プラットフォーム事業が、統合で得た基盤の受け入れ先となっている。

いつ何が起きたか9件
筆者考察
考察

考察:二重に持つことの重さ

16年をかけた往復であった。2006年に別法人でネット専業を立てたのは、対面の人員と店舗を抱えたまま手数料の下限を競うことができなかったからだろう。2022年に本体へ戻したのは、その前提が消えたからではなく、別に持つ理由のほうが先に尽きたからであろう。統合の目的に挙げたのは経営資源の有効活用と効率化・合理化であって、新しい収益源ではない。システムと管理部門を二重に持つ費用だけが、そのまま残っていた。

もっとも、1社へ集約したことが答えになったとは言い切れない。統合から4年で岡三証券は岡三オンライン証券事業の一部をSBI証券へ渡し、自前で始めたオンラインの主要部分を切り離した。残ったのは対面のコンサルティングと、証券機能を他社へ供給する証券プラットフォーム事業である。預り資産10兆円という目標に達したのは2026年3月末で、期限に置いた2023年3月末から3年遅れた。オンラインを自前で持つという選択は、20年をかけて解消されたとみられる。

Yutaka Sugiura, 2026年8月

数字で見る

岡三証券グループ:グループ預り資産と総口座数の推移

岡三証券グループ:グループ預り資産と総口座数の推移

グループ預り資産(兆円)グループ総口座数(万口座)
岡三証券グループ:グループ預り資産と総口座数の推移
(兆円)グループ預り資産グループ総口座数備考
2016年3月期4.568期末の預り資産は4兆5,176億円
2017年3月期4.969.3期末の預り資産は4兆8,507億円
2018年3月期5.373.7期末の預り資産は5兆3,159億円
2019年3月期5.178期末の預り資産は5兆1,402億円
2020年3月期4.780.6期末の預り資産は4兆7,660億円
2021年3月期6.292.1期末の預り資産は6兆2,001億円。3月に岡三証券との経営統合を決定
2022年3月期6.593.11月1日に合併し、岡三オンライン証券カンパニーを設置
2023年3月期6.8104内訳は対面63.1万口座・オンライン40.9万口座
2024年3月期8.4104
2026年3月期10.1110証券ビジネスの拠点数は117
出所:岡三証券グループ 決算・経営戦略説明会資料(2021年5月14日・2022年5月13日・2023年5月12日・2024年5月10日・2026年5月15日)
出所:岡三証券グループ 決算・経営戦略説明会資料(2021年5月14日・2022年5月13日・2023年5月12日・2024年5月10日・2026年5月15日)
岡三証券グループ:連結営業収益と販売費・一般管理費の推移

岡三証券グループ:連結営業収益と販売費・一般管理費の推移

営業収益(百万円)営業利益率(%)
岡三証券グループ:連結営業収益と販売費・一般管理費の推移
(百万円)営業収益販売費・一般管理費営業利益備考
2016年3月期82,92767,45914,158
2017年3月期80,64065,30614,155
2018年3月期81,92169,03711,720
2019年3月期67,87564,9631,840
2020年3月期65,03861,9792,072
2021年3月期67,25961,0025,1063月に岡三証券と岡三オンライン証券の経営統合を決定
2022年3月期73,94967,6215,1481月1日に合併。消滅会社は同日付で連結の範囲から外れた
2023年3月期66,55165,936△1,03411月に岡三アセットマネジメントを持分法適用関連会社へ異動
2024年3月期84,50966,44216,111報告セグメントを投資・金融サービス業の単一区分へ変更
2025年3月期81,93667,01012,838
2026年3月期95,59573,10518,730
出所:岡三証券グループ 有価証券報告書 第78〜88期(連結損益計算書)
出所:岡三証券グループ 有価証券報告書 第78〜88期(連結損益計算書)
合併の条件

合併の条件

合併の条件
科目概要備考
吸収合併存続会社岡三証券株式会社金融商品取引業。資本金5,000百万円、岡三証券グループの議決権所有割合100%
吸収合併消滅会社岡三オンライン証券株式会社金融商品取引業。資本金2,500百万円、岡三証券グループの議決権所有割合100%
企業結合の法的形式吸収合併岡三証券を吸収合併存続会社、岡三オンライン証券を吸収合併消滅会社とする
取締役会決議日2021年7月29日岡三証券グループの取締役会が連結子会社間の吸収合併を決議
企業結合日2022年1月1日2021年3月期の時点では、同年10月をめどに統合するとしていた
企業結合を行った主な目的経営基盤の強化グループ全体における経営資源の有効活用及び効率化・合理化を図ること
結合後企業の名称岡三証券株式会社オンライン部門は岡三オンライン証券カンパニーとして設置
実施した会計処理共通支配下の取引として処理企業結合会計基準第21号及び同適用指針第10号に基づく
連結の範囲の変更消滅会社を連結の範囲から除外2022年1月1日付。2022年3月期末の連結子会社は13社
出所:岡三証券グループ 有価証券報告書 第84期(2022年3月期)【企業結合等関係】、第83期(2021年3月期)【関係会社の状況】
出所:岡三証券グループ 有価証券報告書 第84期(2022年3月期)【企業結合等関係】、第83期(2021年3月期)【関係会社の状況】
当時の取締役8名

取締役8名(2022年6月株主総会決議)

区分役員名役職
取締役業務執行担当領域
業務執行兼務新芝宏之金融取締役:代表取締役業務執行:社長担当:
池田嘉宏金融取締役:代表取締役業務執行:担当:
田中充金融取締役:取締役業務執行:担当:
早川政博金融取締役:取締役業務執行:担当:
相澤淳一金融取締役:取締役業務執行:担当:
独立役員永井幹人金融取締役:監査等委員業務執行:担当:
比護正史法曹取締役:監査等委員業務執行:担当:
宇治原潔金融取締役:監査等委員業務執行:担当:
この一覧は2022年6月の定時株主総会の直後に提出された有価証券報告書の【役員の状況】による。
参考文献

参考文献

参考

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