184億円の経常赤字と3期続いた減収減益は、人を減らす理由としては十分に揃っていた。岡三証券が延ばしたのは、逆に新入社員71人を現場から外す時間であった。押し切れた条件も相場の低迷にある。日経平均が1万円台半ばに沈み、支店が人員の補充を求めなかったからこそ、難航した役員間の調整はまとまった。加藤哲夫専務の"量で質を変える"(日経ビジネス 1993/8/9)という言い方は、個々の営業社員を叱るのではなく、入り口の教育量で分布を動かす発想だったと思われる。
教育の効果を業績の反転として示す数字は、残っていない。1999年10月の手数料完全自由化とオンライン専業の参入は、営業社員の質とは別の次元で収益の前提を崩し、2000年には準大手以下が挟撃される構図に置かれた。教育で作り替えられるのは営業の作法までであり、委託手数料に依存する収益の形そのものではなかったのだろう。