厚生労働省老健局が8事業所の指定取消処分相当を都道府県へ通知した時点で、コムスンを抱えたまま介護を続ける手段は連座制によって閉じていた。裁量が残ったのは条件のほうで、折口会長はUIゼンセン同盟の求める一括譲渡を受け、ファンドへの売却を"100%ありません"と排した。譲渡先を介護業界の会社に限り、価格を最後に置くという条件は、買い手の候補をあらかじめ狭めた。
居住系はニチイ学館に集まり、在宅系や関連会社は会社ごとに複数の相手へ分かれた。渡邉美樹社長が危ぶんだ1社集中と、地域ごとの分割が同時に起きた。価格を二の次に置けたのは、折口会長自身が認めたように介護がグループの利益を稼いでいなかったからでもある。自己資本比率が2.6%まで低下した会社にとって、10年間一度も利益を上げなかった事業の売却は、資本を立て直す手段でもあった。