経営再建計画「S-21計画」の策定(2000年・新潟鐵工所の決断)

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論点事業を絞って自力で再建できるか
新潟鐵工所:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)
事業部制からカンパニー制への移行と、原動機・エンジニアリングへの集中2000年3月、新潟鐵工所は経営再建計画「S-21計画」を策定した。安定して利益を出せる事業構造をつくることを基本方針とし、「事業構造の変革」と「財務体質の改善」の2つを課題に掲げた。率いたのは代表取締役社長の村松綏啓氏である。

何をなぜ決めたか:事業部制からカンパニー制への移行と、原動機・エンジニアリングへの集中

概要

2000年3月、新潟鐵工所は経営再建計画「S-21計画」を策定した。安定して利益を出せる事業構造をつくることを基本方針とし、「事業構造の変革」と「財務体質の改善」の2つを課題に掲げた。率いたのは代表取締役社長の村松綏啓氏である。

事業構造の面では、原動機とエンジニアリングを2つの中核事業に定め、成長分野へ経営資源を配分した。すべての事業を収益とキャッシュフローで測るカンパニー制で運営し、不採算の機種を絞り込み、受注も採算で選ぶ方針をとった。

背景

計画を策定した2000年3月期、連結の売上高は1,895億円と前期から10.8%減少した。経常損益は27億円の赤字、当期純損失は382億円にのぼり、期末の株主資本は100億円のマイナスに転じた。

事業ごとの差も大きかった。同じ期の営業利益は原動機事業が19億円、エンジニアリング事業が19億円を確保した一方、工作機械事業は売上高79億円に対して12億円の営業損失だった。2000年4月時点の売上はエンジニアリング34.2%、原動機29.2%が上位を占めた。

内容

組織は2000年4月に組み替えた。事業部制を廃し、原動機・エンジニアリング・構機システム・機械・造船の5カンパニーとチクサン・ウェルセンターに分けた。カンパニーの収益に連動する賃金と賞与の成果主義を入れ、取締役の数を減らして執行役員制も導入した。

事業の出し入れも進めた。2000年4月にニイガタ・メーソンネーランの株式を米国ドレッサー・インダストリー社へ、10月にニイガタシステックの株式を日本電話施設へ売却した。2001年3月には新潟コンバーターを吸収合併し、4月に工作機械と射出成形機を全額出資の新会社2社へ分社している。

含意

1年目の数字は計画に沿った。2001年3月期の売上高は1,641億円と13.4%減少したが、営業利益は84億円、経常利益は29億円に回復し、当期純利益9億円を確保した。初年度の成果はほぼ計画どおりで、売上が伸びなくても経常利益を出せる体質への転換が進んだ。

財務の改善は道半ばだった。借入金と社債の合計は2,115億円から1,672億円に減少したが、期末の株主資本はなお34億円のマイナスだった。次の期に経常利益31億円を見込んだものの、2001年11月27日に会社更生手続の開始を申し立てた。

いつ何が起きたか12件
考察:黒字化と資金繰りの時間差
考察

考察:黒字化と資金繰りの時間差

なぜ事業の売却ではなくカンパニー制だったのか。2000年3月期でも、原動機とエンジニアリングはそれぞれ19億円の営業利益を出していた。赤字の芯は工作機械など一部の事業にあり、会社全体を売るほどではないと経営陣はみたのだろう。カンパニーごとに収益とキャッシュフローを測れば、どこを残しどこを切るかを数字で決められる。工作機械を分社し、子会社株と工場用地を売る手順は、その考えに沿っていた。

もっとも、計画は時間を前提にしていた。2001年3月期末でも借入金・社債は1,672億円残り、株主資本は34億円のマイナスだった。経常利益29億円の黒字は、借入金を返し切るには桁が足りない。計画は3年で、残り2年の間に金融機関の支援が続くことを当てにしていたと思われる。資産の売却で借入金・社債を443億円圧縮しても、債務超過を解消する道筋は数字の上では見えていなかった。

自力の再建は失敗に終わった。1年目の決算で経常黒字を報告してから5か月後の2001年11月27日、会社更生手続の開始を申し立てた。ただし、計画が残したものもある。カンパニーごとに収支を分けていたことで、管財人団は2002年3月から事業ごとに別の引受け先と合意を重ねられた。S-21計画は会社を救えなかったが、事業を分けて引き継がせる下地にはなった。計画の成否を分けたのは事業の選び方ではなく、借入金の重さだったとみられる。

Yutaka Sugiura, 2026年10月
数字で見る2表

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図と表

新潟鐵工所:連結の売上高と利益の推移

売上高(百万円)営業利益率(%)

売上高が13.4%減少しても、営業利益は32億円から84億円へ増加

新潟鐵工所:連結の売上高と利益の推移
(百万円)売上高営業利益経常利益備考
2000年3月期189,5263,213△2,6843月にS-21計画を策定。当期純損失38,227百万円
2001年3月期164,1738,4132,912計画の1年目。当期純利益930百万円
出所:新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【連結経営成績】【経営成績】
出所:新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【連結経営成績】【経営成績】

新潟鐵工所:借入金・社債と株主資本の推移

借入金・社債(百万円)株主資本率(%)

借入金・社債は1年で443億円減少したが、株主資本はマイナスのまま

新潟鐵工所:借入金・社債と株主資本の推移
(百万円)借入金・社債株主資本総資産備考
2000年3月期211,501△10,045281,632借入金・社債は短期借入金・1年内償還社債・長期借入金の合計
2001年3月期167,181△3,432242,871社債10,000を償還し長期借入金を18,603圧縮
出所:新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【連結貸借対照表】【連結財政状態】
出所:新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【連結貸借対照表】【連結財政状態】
参考文献

参考文献

参考
  • 新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【経営方針】中長期的な会社の経営戦略
  • 新潟鐵工所 公式サイト「会社概要」(2000年4月1日現在)
  • 新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【連結経営成績】【連結財政状態】
  • 新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【セグメント情報】
  • 新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【経営方針】会社の経営管理組織の整備等に関する施策
  • 新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項】
  • 新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【経営方針】
  • 新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【連結経営成績】
  • 新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【経営成績】次期の見通し
  • 新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【連結貸借対照表】【連結財政状態】
  • 新潟鉄工所100年史(新潟鉄工所、1996年)年表
  • 新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【経営成績】
  • 新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【連結経営成績】【経営成績】
  • 新潟鐵工所 決算短信「平成13年3月期 決算短信(連結)」
  • 新潟鐵工所 お知らせ「事業家管財人選任のお知らせ」
  • 新潟鐵工所 公式サイト「会社概要(2000年4月1日現在)」

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