会社更生法下の事業別スポンサー譲渡(2002年・新潟鐵工所の決断)

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論点事業を一括で託すか分けて託すか
新潟鐵工所:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)
一括の支援企業ではなく事業ごとの引受け先への分割と、本体の清算新潟鐵工所は2001年11月27日、東京地方裁判所に会社更生手続の開始を申し立てた。2002年1月25日に開始決定を受けると、管財人団は野村企業情報を財務顧問に据え、再建を支える引受け先(スポンサー)の選定に入った。3月5日には事業家管財人として戸田邦司氏が選任された。

何をなぜ決めたか:一括の支援企業ではなく事業ごとの引受け先への分割と、本体の清算

概要

新潟鐵工所は2001年11月27日、東京地方裁判所に会社更生手続の開始を申し立てた。2002年1月25日に開始決定を受けると、管財人団は野村企業情報を財務顧問に据え、再建を支える引受け先(スポンサー)の選定に入った。3月5日には事業家管財人として戸田邦司氏が選任された。

管財人団は、会社をまるごと1社に託さなかった。2002年3月25日に環境関連事業を日立造船へ、3月29日に工作機械・成形機の子会社3社を新日本工機へ、4月5日に原動機事業と医薬・産業プラント事業を石川島播磨重工業へ託す基本合意を、それぞれ別に結んだ。

背景

申立ての1年8か月前、新潟鐵工所は自力の再建を選んでいた。2000年3月に経営再建計画「S-21計画」を策定し、事業部制を廃して原動機・エンジニアリング・構機システム・機械・造船の5カンパニー制へ移った。2001年3月期は連結の経常利益29億円、当期純利益9億円と黒字に回復した。

ただし財務は持ちこたえていなかった。2001年3月期末の連結株主資本は34億円のマイナスで、短期借入金は1,465億円残っていた。2000年4月時点の売上はエンジニアリング34.2%、原動機29.2%、機械17.4%、構機システム12.7%、造船6.5%に分かれ、事業ごとに買い手になりうる同業が違った。

内容

基本合意はその後も事業ごとに続いた。2002年4月19日に建設機のうちアスファルトフィニッシャーを住友建機と、アスファルトプラントを日工と、4月25日に動力伝達装置のニコ関連事業を日立インダストリイズと結んだ。6月24日には交通システム・車両・除雪を石川島播磨重工業と、7月31日には造船を三井造船と合意している。

2002年11月5日、管財人は更生計画案を裁判所へ出した。原動機は新潟原動機、車両・除雪と交通システムは新潟トランシスという新会社2社へ移し、造船・ニコ・環境・医薬産業などは個別に営業を譲渡する。残りの財産は計画の認可確定から3年を目処に売り切り、本体は100%減資のうえ解散する。

含意

債権者の取り分は小さかった。一般更生債権の弁済率は、100万円以下の部分が100%、100万円超500万円以下が3%、500万円超1億円以下が1%、1億円超は0.1%で、残りは免除となる。従業員の退職金は改定前の会社都合退職の20%を基準とし、残余財産から加算金を上乗せすると定めた。

一方で事業は残った。2003年2月、新潟原動機と新潟トランシスが営業を開始し、石川島播磨重工業はいずれも議決権の70.0%を持つ子会社とした。2006年3月期には、新潟原動機の原動機製造設備に1,227百万円を投じる計画を置いている。

いつ何が起きたか12件
考察:一括の買い手がいない会社の分け方
考察

考察:一括の買い手がいない会社の分け方

なぜ事業を分けて託したのか。新潟鐵工所の売上は、エンジニアリングと原動機で6割強、残りを工作機械・車両・造船が分けていた。ディーゼル機関と船と工作機械を同時に欲しがる会社は、国内に見当たらなかったと思われる。1社への一括の譲渡にこだわれば、その間に受注と人が流れ出す。事業ごとに最も関心の強い相手を選べば、合意までの時間を縮められる。管財人団が最初の合意から4か月で主な事業の行き先を固めたのは、この速さを優先した結果だろう。

もっとも、分ける選択は本体を残さない選択でもあった。事業をすべて外へ出せば、新潟鐵工所という会社に残るのは売却待ちの財産と清算の手続だけになる。更生計画案は本体の株式を全部消却し、3年を目処の解散まで書き込んだ。一般更生債権のうち1億円を超える部分の弁済率は0.1%にとどまる。事業の存続と引き換えに、株主と大口の債権者はほぼ全額を失った。退職金も改定前の会社都合退職の2割を基準とされ、従業員も負担を分けた。

事業の存続という点で、この分け方は成功だったと言ってよい。2003年2月に新潟原動機と新潟トランシスが営業を開始し、石川島播磨重工業は両社の議決権の70.0%を持った。2006年3月期にも新潟原動機の製造設備へ1,227百万円の投資を計画しており、引受け先は承継した事業に投資を続けた。会社の名は消えたが、ディーゼル機関と車両の事業は別の親会社の下で続いた。分けて託したからこそ、事業ごとに最も関心の強い相手を得られたのである。

Yutaka Sugiura, 2026年10月
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図と表

新潟鐵工所:連結業績と借入金の推移

売上高(百万円)借入金・社債(百万円)
  • エンジニアリング(環境は日立造船、医薬・交通は石川島播磨重工業へ)34%
  • 原動機(石川島播磨重工業へ)29%
  • 機械(新日本工機へ)17%
  • 構機システム(車両・除雪は石川島播磨重工業へ)13%
  • 造船(三井造船グループへ)6%

借入金・社債は2001年3月期に1,672億円まで減少したが、半年後に申立てへ

新潟鐵工所:連結業績と借入金の推移
(百万円)売上高経常利益借入金・社債備考
2000年3月期189,526△2,684211,501当期純損失38,227百万円。この期の3月にS-21計画を策定
2001年3月期164,1732,912167,181社債10,000百万円を償還し、長期借入金も圧縮
出所:新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【連結経営成績】【連結貸借対照表】(借入金・社債は短期借入金・1年内償還社債・長期借入金の合計)
出所:新潟鐵工所 平成13年3月期 決算短信(連結)(2001年6月15日)【連結経営成績】【連結貸借対照表】(借入金・社債は短期借入金・1年内償還社債・長期借入金の合計)
参考文献

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