二社が対等合併したという言葉だけでは、この統合の性格は掴みきれない。合わさったのは、天然ガスを原料とするC1化学と、石油化学系の基礎化学品という、原料も技術も異なる二つの系譜であった。三菱グループの中で別々に化学を営んできた日本瓦斯化学工業と三菱江戸川化学を一社に統合した狙いは、単なる規模の拡大よりも、重ならない技術を一つ屋根の下に集めることにあったとみられる。
もっとも、異質な二系統を抱えることが、そのまま強みになったわけではない。汎用化学品はその後も市況の変動にさらされ、二つの基盤を一つの事業構成へ噛み合わせるには時間を要した。それでも、メタノールと過酸化水素という別々の源流を併せ持った構造が、1989年の香料分社や後年の機能化学品への傾斜という選択肢を用意したことは残る。異なる技術を統合した出発点の意味は、その後の多角化の幅にこそ表れているといえる。