LINE:ZHDとの経営統合とAHDへの商号変更
広告の利益を決済へ注ぐ二本立てから経営統合へ
2017年〜コアで収益を上げ戦略へ注ぐ二本立ての評価軸
上場の翌年、LINEはメッセンジャーを生活の入口へ育てるスマートポータル戦略を掲げた。2017年7月にはLINE Payの登録アカウント数が世界で3,800万を超え、決済取引高の総額は1,000億円を上回った。同年10月には、クラウドAI「Clova」を載せたスマートスピーカー「Clova WAVE」の正式販売を始めている。2017年度の営業利益は250億円で前年度比26.0%増えたが、そこにはカメラ事業の再編に伴う事業譲渡益104億円が含まれていた。費用の側では、LINEモバイルとClovaのテレビCMによるマーケティング費用と、LINEモバイルの回線費用が膨らんだ。広告で得た利益を、決済・通信・AIという複数の新領域へ同時に振り向けた一年であった。
- LINE株式会社 第18期有価証券報告書(2017年12月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
- [1]「LINE」をモバイル上のユーザーニーズを解決するツールへ進化させるスマートポータル戦略を推進
- LINE株式会社 2017年12月期 第2四半期決算説明会資料(2017年7月26日)
- [2]LINE Pay登録アカウント数はグローバル3,800万人を突破し、決済取引高の総額が1,000億円を超えた
- LINE株式会社 2017年12月期 第3四半期決算説明会資料(2017年10月25日)
- [3]AI領域でスマートスピーカー「Clova WAVE」の正式販売を開始
- LINE株式会社 2017年12月期 決算短信(2018年1月31日)
- [4]2017年度の営業利益は25,078百万円(2016年度比26.0%増)。その他の営業収益にカメラアプリケーション事業の組織再編に伴う事業譲渡益10,444百万円を計上
- [5]LINEモバイル、クラウドAIプラットフォーム「Clova」等の積極的なTVCM等によるマーケティング費用の増加、利用者数増加に伴うLINEモバイルの回線費用の増加
2018年1月、LINEは広告・Fintech・AIを重点戦略領域に定め、広告を継続成長、FintechとAIを戦略投資に割り振った。同じ月には、金融事業を担う会社としてLINE Financial株式会社を設立している。2018年度からは予算をコア事業と戦略事業に分けて組み、取締役会が業績を評価する単位もこの2つへ改めた。コア事業は売上収益と損益の伸びで評価し、戦略事業はユーザー基盤の拡大など損益以外の指標も重く見る仕組みである。コアで稼いだ資源を戦略へ再配分するという方針が、セグメントの切り方そのものに書き込まれた。赤字を出す事業を赤字だけでは裁かない評価軸を、投資に先立って用意したことになる。
- LINE株式会社 2017年12月期 第4四半期決算説明会資料(2018年1月31日)
- [6]広告・Fintech・AIを重点戦略領域と設定し、広告を継続成長、FintechとAIを戦略投資に位置づけ。2018年度第1四半期以降は2セグメント別に損益開示を行う予定
- LINE株式会社 第19期有価証券報告書(2018年12月期)【沿革】
- [7]2018年1月、金融事業領域のさらなる拡大強化を目的としてLINE Financial株式会社を設立
- LINE株式会社 2018年12月期 決算短信(2019年1月31日)セグメント情報
- [8]2018年度の予算をコア事業と戦略事業に分けて策定したことを契機に、取締役会が業績を評価する単位をコア事業と戦略事業に変更
- [9]売上収益及び損益の成長を評価するコア事業と、ユーザーベースの拡大など損益以外のKPIも重要な指標として評価する戦略事業に分けて業績を評価
- [10]取締役会は、コア事業で稼得した資源を戦略事業に再配分するという戦略のもとで業績を評価
2018年4月、LINEモバイルはソフトバンクを割当先とする第三者割当増資を行い、LINEの持分49%の持分法適用関連会社となった。2018年度の売上収益は2,072億円へ伸びたが、営業利益は161億円で前年度から35.8%減った。コア事業のセグメント利益は266億円で22.5%減り、戦略事業のセグメント損失は177億円から349億円へ広がった。損失を広げたのは、Clovaの開発費用とFintechの開発・マーケティング費用である。一方、その他の営業収益には、LINEモバイルとLINE Gamesを持分法適用関連会社へ移したことによる支配喪失益248億円が入っていた。この利益を除けば営業損益は赤字であり、子会社の持分を手放した利益で戦略投資の損失を埋めた格好とみられる。
- LINE株式会社 第19期有価証券報告書(2018年12月期)【事業の内容】
- [11]2018年4月、LINEモバイル株式会社がソフトバンク株式会社を割当先とする第三者割当増資を実施し、所有割合は49%となって持分法適用関連会社となった
- LINE株式会社 2018年12月期 決算短信(2019年1月31日)
- [12]2018年度の売上収益は207,182百万円、営業利益は16,110百万円(2017年度比35.8%減)
- [13]コア事業のセグメント利益は26,559百万円(前年度比22.5%減)。戦略事業のセグメント損失は34,931百万円(前年度は17,674百万円の損失)
- [14]戦略事業の営業損失の主な増加要因は、Clova AIの開発費用やFintechに関連する開発やマーケティング費用の増大
- LINE株式会社 2019年12月期 決算短信(2020年1月29日)
- [15]前期(2018年度)はLINEモバイル株式会社及びLINE Games Corporationが持分法適用関連会社へ変更したことに伴う支配喪失による利益24,794百万円があった
参考文献[1]-[15]
- LINE株式会社 第18期有価証券報告書(2017年12月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
- [1]「LINE」をモバイル上のユーザーニーズを解決するツールへ進化させるスマートポータル戦略を推進
- LINE株式会社 2017年12月期 第2四半期決算説明会資料(2017年7月26日)
- [2]LINE Pay登録アカウント数はグローバル3,800万人を突破し、決済取引高の総額が1,000億円を超えた
- LINE株式会社 2017年12月期 第3四半期決算説明会資料(2017年10月25日)
- [3]AI領域でスマートスピーカー「Clova WAVE」の正式販売を開始
- LINE株式会社 2017年12月期 決算短信(2018年1月31日)
- [4]2017年度の営業利益は25,078百万円(2016年度比26.0%増)。その他の営業収益にカメラアプリケーション事業の組織再編に伴う事業譲渡益10,444百万円を計上
- [5]LINEモバイル、クラウドAIプラットフォーム「Clova」等の積極的なTVCM等によるマーケティング費用の増加、利用者数増加に伴うLINEモバイルの回線費用の増加
- LINE株式会社 2017年12月期 第4四半期決算説明会資料(2018年1月31日)
- [6]広告・Fintech・AIを重点戦略領域と設定し、広告を継続成長、FintechとAIを戦略投資に位置づけ。2018年度第1四半期以降は2セグメント別に損益開示を行う予定
- LINE株式会社 第19期有価証券報告書(2018年12月期)【沿革】
- [7]2018年1月、金融事業領域のさらなる拡大強化を目的としてLINE Financial株式会社を設立
- LINE株式会社 2018年12月期 決算短信(2019年1月31日)セグメント情報
- [8]2018年度の予算をコア事業と戦略事業に分けて策定したことを契機に、取締役会が業績を評価する単位をコア事業と戦略事業に変更
- [9]売上収益及び損益の成長を評価するコア事業と、ユーザーベースの拡大など損益以外のKPIも重要な指標として評価する戦略事業に分けて業績を評価
- [10]取締役会は、コア事業で稼得した資源を戦略事業に再配分するという戦略のもとで業績を評価
- LINE株式会社 第19期有価証券報告書(2018年12月期)【事業の内容】
- [11]2018年4月、LINEモバイル株式会社がソフトバンク株式会社を割当先とする第三者割当増資を実施し、所有割合は49%となって持分法適用関連会社となった
- LINE株式会社 2018年12月期 決算短信(2019年1月31日)
- [12]2018年度の売上収益は207,182百万円、営業利益は16,110百万円(2017年度比35.8%減)
- [13]コア事業のセグメント利益は26,559百万円(前年度比22.5%減)。戦略事業のセグメント損失は34,931百万円(前年度は17,674百万円の損失)
- [14]戦略事業の営業損失の主な増加要因は、Clova AIの開発費用やFintechに関連する開発やマーケティング費用の増大
- LINE株式会社 2019年12月期 決算短信(2020年1月29日)
- [15]前期(2018年度)はLINEモバイル株式会社及びLINE Games Corporationが持分法適用関連会社へ変更したことに伴う支配喪失による利益24,794百万円があった
2018年〜金融の合弁と還元策による決済の消耗戦
2018年5月25日、LINEとLINE Financialは、非対面の証券仲介などを手がける合弁の契約を野村ホールディングスと結んだ。合弁会社は資本金100億円でLINE Financialが51.0%を持ち、2019年6月にLINE証券株式会社へ商号を改めた。2018年にはLINEスマート投資とLINE保険を始め、銀行準備会社の設立も発表した。資金の面では2018年9月に2本の転換社債型新株予約権付社債を発行し、社債の発行による収入は1,500億円に上った。同年度の研究開発費は191億円で、FintechとAIに向けられた。免許と信用は既存の金融機関から借り、LINEは利用者基盤と画面を差し出す分業で金融へ入ったとみられる。
- LINE株式会社 第20期有価証券報告書(2019年12月期)【経営上の重要な契約等】
- [16]2018年5月25日、当社とLINE Financial株式会社は、LINEプラットフォームで非対面証券ブローカレッジ・コンサルティング等を提供する合弁契約を野村ホールディングス株式会社と締結
- [17]合弁会社の資本金は100億円、出資比率はLINE Financial 51.0%・野村ホールディングス49.0%。2019年6月24日付でLINE証券株式会社に商号変更
- LINE株式会社 2018年12月期 第4四半期決算説明会資料(2019年1月31日)
- [18]2018年はLINEスマート投資、LINE保険をリリースし、銀行準備会社の設立を発表
- LINE株式会社 2018年12月期 決算短信(2019年1月31日)
- [19]2018年9月20日に2023年満期・2025年満期のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の払込が完了。2018年度の社債の発行による収入は149,978百万円
- LINE株式会社 第19期有価証券報告書(2018年12月期)【研究開発活動】
- [20]Fintech、AIなどの研究及び開発をしており、2018年度の研究開発費は19,096百万円
2018年のLINE Payのグローバル年間決済高は1兆687億円で前年比126%増え、国内の決済箇所は133万箇所に達した。2019年1月の決算説明会資料は、その年の方針を『コア事業の収益を向上させつつ、戦略事業に大胆に投資し、中長期的に大きな成長を実現する』と掲げた。そのうえで、2019年はとくに広告とLINE Payに力を集めるとした。LINE Payでは利用者向けマーケティングを本格化させ、キャンペーンやクーポンによる還元策を施策に挙げている。消費税増税の対策としてのポイント還元も、利用を広げる機会に数えた。決算短信は、2019年度の営業費用が決済サービスへの積極的な投資などで増えると見込んだ。加盟店の開拓を終えた段階で、次の資金を利用者の獲得そのものへ振り向ける判断であった。
- LINE株式会社 2018年12月期 第4四半期決算説明会資料(2019年1月31日)
- [21]グローバルLINE Pay年間決済高1兆687億円(前年比126%増)、LINE Pay国内決済箇所133万箇所
- [22]2019年度事業戦略として、コア事業の収益を向上させつつ戦略事業に大胆に投資し、中長期的に大きな成長を実現する
- [23]ユーザ基盤とデータを掛け合わせて、2019年は特に広告とLINE Payに注力する
- [24]LINE Payの2019年の施策としてユーザー向けマーケティングの本格化、キャンペーンやクーポンなどを活用した還元策の展開を掲げた
- [25]国内環境として、2019年に消費税増税対策としてのポイント還元などの施策の可能性を挙げた
- LINE株式会社 2018年12月期 決算短信(2019年1月31日)今後の見通し
- [26]2019年12月期の営業費用は、広告や金融サービス部門における人員拡充や決済サービスへの積極的な投資により増加する見込み
2019年第2四半期には「300億円」キャンペーンなどで、LINE Payの国内月間利用者が490万人へ増えた。同じ四半期の戦略事業のセグメント損失は235億円で、前四半期の150億円から膨らんだ。第3四半期には利用者向けの還元を含むマーケティング費用を大幅に削減し、一時的な利用者の掘り起こしより投資効率を重んじる方針へ改めた。2019年度の戦略事業の損失は666億円と前年度の349億円から倍近くに広がり、全社でも390億円の営業損失に転じた。第4四半期の国内月間利用者は370万人で、キャンペーン期の490万人を下回った。還元で集めた利用者の一部しか残らず、損失だけが先に積み上がった一年であった。
- LINE株式会社 2019年12月期 第2四半期決算説明会資料(2019年7月24日)
- [27]「300億円」キャンペーン等を通じ、2019年第2四半期のLINE Pay国内MAUは490万人。低コストで新規に約3百万(KYC済み)ユーザーのアクティブ化に成功
- [28]戦略事業のセグメント損失は1〜3月期14,987百万円、4〜6月期23,496百万円(2019年)
- LINE株式会社 2019年12月期 第3四半期決算説明会資料(2019年10月30日)
- [29]LINE Payはユーザー向け還元を含むマーケティング費用を大幅に削減し、投資効率を重視。ばらまきではなく効果的な投資効率を重視
- LINE株式会社 2019年12月期 決算短信(2020年1月29日)
- [30]2019年度の戦略事業のセグメント営業損失は66,557百万円(2018年度は34,931百万円の損失)。全社の営業損失は38,997百万円(2018年度は16,110百万円の利益)
- LINE株式会社 2019年第4四半期決算発表(2020年1月29日)
- [31]2019年第4四半期のLINE Pay国内MAUは370万人(前四半期286万人)
参考文献[16]-[31]
- LINE株式会社 第20期有価証券報告書(2019年12月期)【経営上の重要な契約等】
- [16]2018年5月25日、当社とLINE Financial株式会社は、LINEプラットフォームで非対面証券ブローカレッジ・コンサルティング等を提供する合弁契約を野村ホールディングス株式会社と締結
- [17]合弁会社の資本金は100億円、出資比率はLINE Financial 51.0%・野村ホールディングス49.0%。2019年6月24日付でLINE証券株式会社に商号変更
- LINE株式会社 2018年12月期 第4四半期決算説明会資料(2019年1月31日)
- [18]2018年はLINEスマート投資、LINE保険をリリースし、銀行準備会社の設立を発表
- [21]グローバルLINE Pay年間決済高1兆687億円(前年比126%増)、LINE Pay国内決済箇所133万箇所
- [22]2019年度事業戦略として、コア事業の収益を向上させつつ戦略事業に大胆に投資し、中長期的に大きな成長を実現する
- [23]ユーザ基盤とデータを掛け合わせて、2019年は特に広告とLINE Payに注力する
- [24]LINE Payの2019年の施策としてユーザー向けマーケティングの本格化、キャンペーンやクーポンなどを活用した還元策の展開を掲げた
- [25]国内環境として、2019年に消費税増税対策としてのポイント還元などの施策の可能性を挙げた
- LINE株式会社 2018年12月期 決算短信(2019年1月31日)
- [19]2018年9月20日に2023年満期・2025年満期のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の払込が完了。2018年度の社債の発行による収入は149,978百万円
- LINE株式会社 第19期有価証券報告書(2018年12月期)【研究開発活動】
- [20]Fintech、AIなどの研究及び開発をしており、2018年度の研究開発費は19,096百万円
- LINE株式会社 2018年12月期 決算短信(2019年1月31日)今後の見通し
- [26]2019年12月期の営業費用は、広告や金融サービス部門における人員拡充や決済サービスへの積極的な投資により増加する見込み
- LINE株式会社 2019年12月期 第2四半期決算説明会資料(2019年7月24日)
- [27]「300億円」キャンペーン等を通じ、2019年第2四半期のLINE Pay国内MAUは490万人。低コストで新規に約3百万(KYC済み)ユーザーのアクティブ化に成功
- [28]戦略事業のセグメント損失は1〜3月期14,987百万円、4〜6月期23,496百万円(2019年)
- LINE株式会社 2019年12月期 第3四半期決算説明会資料(2019年10月30日)
- [29]LINE Payはユーザー向け還元を含むマーケティング費用を大幅に削減し、投資効率を重視。ばらまきではなく効果的な投資効率を重視
- LINE株式会社 2019年12月期 決算短信(2020年1月29日)
- [30]2019年度の戦略事業のセグメント営業損失は66,557百万円(2018年度は34,931百万円の損失)。全社の営業損失は38,997百万円(2018年度は16,110百万円の利益)
- LINE株式会社 2019年第4四半期決算発表(2020年1月29日)
- [31]2019年第4四半期のLINE Pay国内MAUは370万人(前四半期286万人)
2019年〜Zホールディングスとの統合合意と公開買付け
2019年12月23日、LINEはZホールディングス、両社の親会社であるNAVER、ソフトバンクとの4社で経営統合の最終契約を結んだ。統合の目的は両グループの経営資源を集め、AI・コマース・フィンテック・広告とO2Oなどの領域へ事業投資を続けることに置かれた。Zホールディングスは、同年10月にヤフーから商号を改めて持株会社体制へ移っていた。この年のLINEの戦略事業は666億円の損失を出し、コア事業のセグメント利益316億円の2倍を超えていた。コアの利益で戦略の赤字を養う設計が単独では成り立たなくなり、同じ領域で競う相手との経営統合に踏み切ったとみられる。
- LINE株式会社 第20期有価証券報告書(2019年12月期)【経営上の重要な契約等】
- [32]2019年12月23日、ZHD及びそれぞれの親会社であるNAVER・ソフトバンクを含む4社間で本経営統合契約を締結
- [33]両グループの経営資源を集約し、AI、コマース、フィンテック、広告・O2O、その他の新規事業領域で事業投資を実行することを目的に、対等の精神に則って経営統合を行う
- LINEヤフー 有価証券報告書 第30期(2025年3月期)【沿革】
- [34]2019年10月、ヤフーから商号をZホールディングスへ変更
- LINE株式会社 2019年12月期 決算短信(2020年1月29日)
- [35]2019年度のコア事業のセグメント営業利益は31,584百万円、戦略事業のセグメント営業損失は66,557百万円
統合を待つ間も戦略事業の損失は縮まらず、2020年第1四半期に152億円、第3四半期に154億円を計上した。第1四半期のコア事業の営業利益率23.1%は、計画した投資を実行しなかった結果と説明された。3月には出前館の増資約300億円のうち約150億円を引き受け、持分を約22%から約34%へ高めている。第3四半期には、LINEマンガとLINE Manの運営会社の持分を組み替え、公正価値の再評価益276億円を計上した。この利益を除けば、同じ四半期の営業損益は64億円の赤字であった。抱えていた事業を外部資本との共同保有へ移し、その評価益で損失を相殺した局面とみられる。
- LINE株式会社 2020年第1四半期決算発表(2020年4月28日)
- [36]2020年第1四半期の戦略事業の営業損失は152億円
- [38]コア事業の営業利益率は23.1%。計画していた投資を実行しなかった結果、想定を上回る利益率となった
- [39]3月27日、出前館の約300億円の増資のうち約150億円を引き受け、4月24日の払込完了で持分は約22%から約34%となった
- LINE株式会社 2020年第3四半期決算発表(2020年10月28日)
- [37]2020年第3四半期の戦略事業の営業損失は154億円
- [40]LINEマンガを運営するLINE Digital Frontier株式をWebtoon Entertainmentに譲渡した対価のWebtoon株式の公正価値再評価利益95億円、第三者割当増資を実施したLINE Man Corporationの残余持分の公正価値再評価利益181億円を計上
- [41]2020年第3四半期の営業利益は211億円。その他の営業収益を除くと64億円の営業損失
2020年8月3日、LINEの取締役会は、ソフトバンクとNAVER側による日米での共同公開買付けに賛同し、応募を勧めると決議した。決議は、一連の手続きで株主をソフトバンクとNAVER側だけにし、LINE株式が上場廃止となることを前提としていた。最終契約は続けて、LINEがソフトバンクの子会社の持つZホールディングス株式を公開買付けで取得し、その子会社を吸収合併する手順を定めていた。Zホールディングスとの株式交換の比率は1対11.75で、Zホールディングスが支配を得たのは2021年3月1日である。第3四半期には、公開買付けの実施に伴って株式給付信託の費用が増えた。同時上場から4年余りで、LINEは公開市場を退き、ヤフーを抱える持株会社の傘下へ入る道筋を固めた。
- LINE株式会社 2020年12月期 第2四半期決算短信 注記(2020年8月6日)
- [42]2020年8月3日の取締役会で、ソフトバンク及びNAVERまたはその完全子会社による日本・米国での公開買付けに賛同を表明し、株主と米国預託証券の保有者に応募を推奨すると決議
- [43]取締役会決議は、公開買付け及びその後の手続きで株主をソフトバンク及びNAVERらのみとし、当社株式が上場廃止になる予定であることを前提とした
- LINE株式会社 第20期有価証券報告書(2019年12月期)【経営上の重要な契約等】
- [44]当社が汐留Zホールディングス(ソフトバンクの連結子会社)の保有するZHD株式を公開買付けで取得し、その後に汐留Zホールディングスを吸収合併する
- Zホールディングス 有価証券報告書 第26期(2021年3月期)【企業結合】
- [45]株式交換比率はZホールディングス1に対しLINE分割準備11.75。支配獲得日は2021年3月1日
- LINE株式会社 2020年第3四半期決算発表(2020年10月28日)
- [46]公開買付けの実施に伴いESOP(株式給付信託)の費用が増加
参考文献[32]-[46]
- LINE株式会社 第20期有価証券報告書(2019年12月期)【経営上の重要な契約等】
- [32]2019年12月23日、ZHD及びそれぞれの親会社であるNAVER・ソフトバンクを含む4社間で本経営統合契約を締結
- [33]両グループの経営資源を集約し、AI、コマース、フィンテック、広告・O2O、その他の新規事業領域で事業投資を実行することを目的に、対等の精神に則って経営統合を行う
- [44]当社が汐留Zホールディングス(ソフトバンクの連結子会社)の保有するZHD株式を公開買付けで取得し、その後に汐留Zホールディングスを吸収合併する
- LINEヤフー 有価証券報告書 第30期(2025年3月期)【沿革】
- [34]2019年10月、ヤフーから商号をZホールディングスへ変更
- LINE株式会社 2019年12月期 決算短信(2020年1月29日)
- [35]2019年度のコア事業のセグメント営業利益は31,584百万円、戦略事業のセグメント営業損失は66,557百万円
- LINE株式会社 2020年第1四半期決算発表(2020年4月28日)
- [36]2020年第1四半期の戦略事業の営業損失は152億円
- [38]コア事業の営業利益率は23.1%。計画していた投資を実行しなかった結果、想定を上回る利益率となった
- [39]3月27日、出前館の約300億円の増資のうち約150億円を引き受け、4月24日の払込完了で持分は約22%から約34%となった
- LINE株式会社 2020年第3四半期決算発表(2020年10月28日)
- [37]2020年第3四半期の戦略事業の営業損失は154億円
- [40]LINEマンガを運営するLINE Digital Frontier株式をWebtoon Entertainmentに譲渡した対価のWebtoon株式の公正価値再評価利益95億円、第三者割当増資を実施したLINE Man Corporationの残余持分の公正価値再評価利益181億円を計上
- [41]2020年第3四半期の営業利益は211億円。その他の営業収益を除くと64億円の営業損失
- [46]公開買付けの実施に伴いESOP(株式給付信託)の費用が増加
- LINE株式会社 2020年12月期 第2四半期決算短信 注記(2020年8月6日)
- [42]2020年8月3日の取締役会で、ソフトバンク及びNAVERまたはその完全子会社による日本・米国での公開買付けに賛同を表明し、株主と米国預託証券の保有者に応募を推奨すると決議
- [43]取締役会決議は、公開買付け及びその後の手続きで株主をソフトバンク及びNAVERらのみとし、当社株式が上場廃止になる予定であることを前提とした
- Zホールディングス 有価証券報告書 第26期(2021年3月期)【企業結合】
- [45]株式交換比率はZホールディングス1に対しLINE分割準備11.75。支配獲得日は2021年3月1日
筆者考察
2017年から2020年までのLINEは、広告で得た利益を決済と金融へ注ぎ込み、その赤字を単独では養いきれなくなった会社である。2018年度から予算をコア事業と戦略事業に分けて組み、コアで稼いだ資源を戦略へ再配分する方針をセグメントの切り方に書き込んだ。戦略事業の損失は2017年度の177億円から2018年度に349億円、2019年度に666億円へ広がり、2019年度は全社で390億円の営業損失となった。
損失を最も押し上げたのはLINE Payの還元策であった。2019年の「300億円」キャンペーンで国内の月間利用者は490万人に増えたが、年末には370万人にとどまった。同じ2019年の12月、LINEはZホールディングス、NAVER、ソフトバンクとの4社で経営統合の最終契約を結ぶ。2020年8月にはソフトバンクとNAVER側による公開買付けに賛同し、東証とニューヨークへの同時上場から4年余りで公開市場を退く段取りを固めた。
- 出所はLINE株式会社 2018年12月期・2019年12月期 決算短信のセグメント情報。2017年12月期は2018年12月期決算短信の比較値。
2017年〜2020年の業績
| 決算期 | 区分 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | 主な投資 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 億円 | YoY | 億円 | 利益率 | 億円 | |||
| 2017年12月期 | 連結 | 1,671 | n/a | 251 | 15.0% | 81 | n/a |
| 2018年12月期 | 連結 | 2,072 | +24.0% | 161 | 7.8% | ▲37 | LINE Financialを設立(2018/01)LINE Financial Asiaを設立(2018/09)タイのカシコン銀行と「KASIKORN LINE」を設立(2018) |
| 2019年12月期 | 連結 | 2,275 | +9.8% | ▲390 | ▲17.1% | ▲469 | n/a |
| 2020年12月期 | 連結 | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a | n/a |
出所:有価証券報告書
出典・参考
22件
- LINE株式会社 第18期有価証券報告書(2017年12月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
- LINE株式会社 2017年12月期 第2四半期決算説明会資料(2017年7月26日)
- LINE株式会社 2017年12月期 第3四半期決算説明会資料(2017年10月25日)
- LINE株式会社 2017年12月期 決算短信(2018年1月31日)
- LINE株式会社 2017年12月期 第4四半期決算説明会資料(2018年1月31日)
- LINE株式会社 第19期有価証券報告書(2018年12月期)【沿革】
- LINE株式会社 2018年12月期 決算短信(2019年1月31日)セグメント情報
- LINE株式会社 第19期有価証券報告書(2018年12月期)【事業の内容】
- LINE株式会社 2018年12月期 決算短信(2019年1月31日)
- LINE株式会社 2018年12月期 第4四半期決算説明会資料(2019年1月31日)
- LINE株式会社 第19期有価証券報告書(2018年12月期)【研究開発活動】
- LINE株式会社 2018年12月期 決算短信(2019年1月31日)今後の見通し
- LINE株式会社 2019年12月期 決算短信(2020年1月29日)
- LINE株式会社 第20期有価証券報告書(2019年12月期)【経営上の重要な契約等】
- LINE株式会社 2019年12月期 第2四半期決算説明会資料(2019年7月24日)
- LINE株式会社 2019年12月期 第3四半期決算説明会資料(2019年10月30日)
- LINE株式会社 2020年12月期 第2四半期決算短信 注記(2020年8月6日)
- Zホールディングス 有価証券報告書 第26期(2021年3月期)【企業結合】
- LINEヤフー 有価証券報告書 第30期(2025年3月期)【沿革】
- LINE株式会社 2019年第4四半期決算発表(2020年1月29日)
- LINE株式会社 2020年第1四半期決算発表(2020年4月28日)
- LINE株式会社 2020年第3四半期決算発表(2020年10月28日)