国内が飽和したから外へ出た、という説明では、この進出の性格を捉えきれない。踏み切った時点のあきんどスシローは上場を廃してファンドの傘下にあり、国内では321店舗を運営していた。それでも豊崎賢一社長が資本金30億ウォンの現地法人を先に置き、7年で80店舗という遠い目標を掲げたのは、1皿100円均一という日本で組み上げた業態が国外でも成立するのかを、自社の店を出して確かめる以外に知る手立てがなかったからだとみられる。
もっとも、掲げた数字がそのまま実現したわけではない。7年で80店舗という目標に対し、韓国を含む海外全体が200店舗を超えたのは2025年2月であった。日本とほぼ同じメニューで立ち上げる方針も、えびの握りにトマトを載せる品が並ぶ形へ早い段階で書き換えられている。最初に描いた計画の精度より、現地の店に判断を委ねられたことのほうが、その後の東アジア展開を支えたといえる。