FOOD&LIFECOMPANIES韓国子会社SUSHIRO KOREAの設立とソウル1号店の開業

国内321店舗で出店余地が細るなか、非公開下の豊崎賢一社長はなぜ最初の一歩に韓国を選んだか

時期 2011年4月
意思決定者(推定) 豊崎賢一 社長
論点 国内市場の成熟を前にした最初の海外拠点
概要
2011年4月、あきんどスシローはソウル市に現地法人SUSHIRO KOREA, Inc.を設立し、同年12月5日に海外1号店「スシローコリア 001チョンノ店」をプレオープンした。創業から27年を経ての初の海外拠点で、資本金は30億ウォン、代表にはチェ・セチョル氏が就いた。
背景
国内店舗は2011年10月31日時点で321店舗に達し、1996年に始めた1皿100円均一の郊外型店舗網は主要エリアをほぼ覆っていた。2008年にユニゾン・キャピタルの傘下へ入り2009年4月に東証第二部の上場を廃止しており、非公開の資本のもとで次の成長先を探していた。
内容
進出先に韓国を選んだ理由には、生魚を食べる習慣が根づいていることと市場規模が挙げられた。メニューは日本とほぼ同じ内容で立ち上げ、2012年内に3店舗、7年間で80店舗という出店目標を掲げた。
含意
日本と同じ品揃えという方針は現地の好みに合わせて早期に修正され、2017年の台湾以降、シンガポール・香港・タイ・中国へ拠点が広がった。2025年2月のマレーシア初出店で海外は200店舗を超え、中期経営計画は2026年度に海外売上比率35%を掲げている。
筆者の見解

筆者見解

国内が飽和したから外へ出た、という説明では、この進出の性格を捉えきれない。踏み切った時点のあきんどスシローは上場を廃してファンドの傘下にあり、国内では321店舗を運営していた。それでも豊崎賢一社長が資本金30億ウォンの現地法人を先に置き、7年で80店舗という遠い目標を掲げたのは、1皿100円均一という日本で組み上げた業態が国外でも成立するのかを、自社の店を出して確かめる以外に知る手立てがなかったからだとみられる。

もっとも、掲げた数字がそのまま実現したわけではない。7年で80店舗という目標に対し、韓国を含む海外全体が200店舗を超えたのは2025年2月であった。日本とほぼ同じメニューで立ち上げる方針も、えびの握りにトマトを載せる品が並ぶ形へ早い段階で書き換えられている。最初に描いた計画の精度より、現地の店に判断を委ねられたことのほうが、その後の東アジア展開を支えたといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

背景

321店舗まで広げた国内網と、細り始めた出店余地

2011年10月31日時点で、あきんどスシローの国内店舗は321店舗に達していた。1996年に兵庫県宝塚市の高司店で1皿100円均一を始めてから15年で、郊外ロードサイド型の店舗網は主要エリアをほぼ覆っている。日本経済新聞は2011年8月、同社が年内に韓国へ1号店を開くと報じ、国内市場の成熟を見越して海外での成長機会を追う動きだと伝えた。国内で積める店舗数の細りが、外へ向かう理由になっていた[1][2][3]

このとき同社は上場企業ではなかった。2008年に投資ファンドのユニゾン・キャピタルの傘下へ入り、2009年4月に東京証券取引所市場第二部の上場を廃止している。2009年6月に3代目社長へ就いた豊崎賢一氏は、非公開の資本のもとで再生と成長の双方を担う立場にあった。四半期ごとに株価へ説明を求められない体制が、回収まで時間のかかる海外投資へ踏み出す余地を残していたとみられる[4][5]

決断

ソウルへの現地法人設置と「日本と同じ寿司」での立ち上げ

2011年4月、あきんどスシローはソウル市にSUSHIRO KOREA, Inc.を設立した。資本金は30億ウォンで、代表にはチェ・セチョル氏を迎えている。進出先に韓国を選んだ理由には、生魚を食べる習慣が根づいていることと市場規模の大きさが挙げられた。創業から27年を経てはじめて置いた海外拠点であり、国内で積み上げた店舗運営をそのまま国外へ持ち出す形をとった[6][7][8]

1号店「スシローコリア 001チョンノ店」は、ソウル市チョンノ区に2011年12月5日にプレオープンした。会社は2012年内に3店舗、その後7年間で80店舗という出店目標を掲げている。リリースでは「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯」という企業理念を韓国の客にも届けたいと述べた。メニューは日本とほぼ同じ内容で立ち上げる方針であり、業態を組み替えずに市場の反応を見る構えであった[9][10][11]

結果

現地に委ねた品揃えと、東アジアへ広がった店舗網

日本と同じ品揃えで通すという当初の方針は、営業を重ねるなかで書き換えられていった。2013年12月、日本経済新聞は韓国法人の代表を取り上げ、えびの握りにトマトを載せた品が商品審査会に並んで日本側の出席者を驚かせたと伝えている。健康志向の強い現地の好みに合わせる裁量が現地の経営者に置かれており、日韓関係が冷え込んだ時期にも店の営業は続いた[12]

韓国の1店から始まった海外事業は、2017年8月の台湾、2018年10月のシンガポール、2019年1月の香港、2020年2月のタイ、2021年1月の中国へと拠点を広げた。2025年2月にマレーシアで初出店した時点で海外は200店舗を超え、同年3月末には207店舗に達している。中期経営計画では2026年度に海外売上比率35%、310〜320店舗の達成を掲げており、韓国での1号店から十数年で到達した水準にあたる[13][14][15]

出典・参考

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