この判断の見どころは、北米で現地生産に失敗した会社が、その9カ月後に別の国で工場を立てた点にある。ウェルドン社の買収では、既存メーカーを丸ごと買って現地に生産を委ねる形をとり、11年で畳んだ。浙江では自前で工場を興し、経営を現地の人材に渡しながら、本体は生産技術とサービスの指導に回るという分け方をとっている。同じ"現地化"でも、何を渡して何を残すかの線が引き直されていたとみられる。
もっとも、その線引きが成果を生んだのは、中国の量産需要がスマートフォンから電気自動車へと切れ目なく続いたためでもある。営業利益のほぼ全額が一つの市場から出る構成は、収益の厚さと裏腹の重さを抱える。マレーシア・ベトナム・インドへの拠点整備は、その重さへの備えにあたる。三井への依存を断って長岡へ移り、北米の生産を畳み、いま中国に深く根を張るというツガミの歩みは、寄せる相手を選び直しながら自立を保つ試みの連なりとして読めるのかもしれない。