ソフトバンクグループ OpenAIへの巨額出資 AIインフラ「スターゲート」

更新:

時期 2025年3月
当時の社長 孫正義
論点 AIへの集中投資とインフラ構築
何をなぜ決めたか
概要

2025年1月、ソフトバンクグループが米国のAIインフラに今後4年で5000億ドルを投じる新会社Stargateの設立に加わり、3月にはOpenAIへ最大400億ドル(約5.98兆円、実質最大300億ドル)の追加出資で合意した投資判断。段階的に払い込みを進め、2026年2月にはさらに300億ドルの追加出資で合意し、累計646億ドル・持分約13%まで積み増した。

背景

情報革命の次の段階を人工知能が担うと見た孫正義会長兼社長は、その学習と運用に桁違いの計算資源と資本が要ると考えた。ARM買収とビジョン・ファンドでAI投資会社へ転じたソフトバンクグループは、AIインフラそのものと、モデル開発企業への直接投資へと進んだ。

内容

Stargateは今後4年で5000億ドル、うち1000億ドルを直ちに投じる計画で、ソフトバンクグループが財務を担う。OpenAIへは2025年3月に最大400億ドルの追加出資で合意し、12月に225億ドルを払い込んで持分約11%、2026年2月にさらに300億ドルで合意して累計646億ドル・約13%とした。

含意

AI半導体のAmpere Computingを65億ドルで買収し、保有するアーム株を担保にしたローンで資金を捻出するなど、AIへの集中投資を強めた。投資先の評価と資金調達が業績を左右する構造で、勝者総取りをねらう賭けか、一つの技術に賭けすぎた過剰なリスクか——評価はまだ定まっていない。

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筆者の見解
筆者の見解

情報革命への一点賭け

この決断の核心は、情報革命の本命をOpenAIとAIインフラに定め、そこへソフトバンクグループの資本を集中させた点にある。ARM買収とビジョン・ファンドで投資会社へ転じた同社は、モデル開発企業への直接出資と、その計算基盤を担うStargateへの資金供給という二つの入り口から、一つの領域へ資本を注ぎ込んだ。OpenAI一社への出資は一年足らずで累計646億ドルへ膨らみ、2026年3月期の連結純利益が5兆円を超えたのは、この集中がうまく回ったときの姿を映している。

もっとも、集中は裏返せば分散の放棄でもある。OpenAIやAIインフラの価値が伸び続けるかぎり評価益はグループの決算を潤すが、AIブームが冷えれば同じ経路で損失が跳ね返る。しかも出資の相当部分を、保有するアーム株などの担保でまかなうため、AI関連株の下落は資金繰りにも及びかねない。勝者総取りをねらう賭けなのか、一つの技術へ賭けすぎた過剰なリスクなのか——本稿の時点でその答えは出ておらず、いま進むAIへの投資が実を結ぶかどうかに、ソフトバンクグループの命運はかかっている。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

業績の推移
同じ問いに直面した会社

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資金調達2009年GSユアサ完成車メーカーとの過半出資合弁による車載用リチウムイオン電池事業への参入車載用リチウムイオン電池への参入方式と量産投資の負担分担
2022年富士紡ホールディングス井上雅偉体制のROIC経営と、生成AI特需を取り込むニッチトップ戦略の確立経営体制の承継と資本効率経営
2022年freee業績不振によらない帳簿の一掃と、開発費を全額その期の費用とする方式への切り替え中長期戦略と会計方針
2012年オリンパス大手からの資本の受け入れと、医療分野での合弁の立ち上げ財務再建と医療事業の新たな柱づくり
1950年クラレ国産技術の合成繊維をポバールから一貫して生産する体制の立ち上げ合成繊維への参入と技術の自給
研究開発への注力1994年三菱石油南部沖「15-2」鉱区の取得と、自社オペレーターとしての操業への転換原油開発部門の育成と上流進出
1980年オービックビジネスコンサルタント公認会計士業からの転身と、得た1億円の製品開発への全額投入創業と初期の資金繰り
1959年京セラ設立と、持株第4位の技術者が経営の実権を掌握するま技術者起業の資本構成と経営の主導権
1912年日本鋼管白石元治郎氏による日本鋼管の設立と、継目無鋼管専業での発足参入する品目の選択と資金の出どころ
2023年ローツェ連続買収による半導体周辺装置とライフサイエンスへの多角化装置売り切り型からの脱却と収益源の多角化
参考文献
出典・参考
  • ソフトバンクグループ プレスリリース(2025年1月22日)「Stargate Projectについて」
  • ソフトバンクグループ プレスリリース(2025年3月20日)「ソフトバンクグループによるAmpere Computing買収について」
  • ソフトバンクグループ プレスリリース(2025年4月1日)「OpenAIへの追加出資に関するお知らせ」
  • ソフトバンクグループ プレスリリース(2026年2月27日)「OpenAIへの追加出資に関するお知らせ」

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