3委員会設置と執行役への権限委譲(2023年・NECの決断)更新:2026/09/12論点監督と執行をどこまで分離するかNEC:業績の推移売上高(億円)営業利益率(%)データ出所監査役会設置会社をやめ、監督と執行を分離して意思決定を速めるための組み替え2023年6月22日の第185期定時株主総会の決議により、NECは監査役会設置会社から指名委員会等設置会社へ移った。移行の時点で取締役は12名、うち7名が社外取締役で、指名・報酬・監査の3委員会が法定の委員会として置かれた。取締役会は取締役および執行役の職務執行の監督と、経営の基本方針に関する重要事項の審議を担う。何をなぜ決めたか:監査役会設置会社をやめ、監督と執行を分離して意思決定を速めるための組み替え概要2023年6月22日の第185期定時株主総会の決議により、NECは監査役会設置会社から指名委員会等設置会社へ移った。移行の時点で取締役は12名、うち7名が社外取締役で、指名・報酬・監査の3委員会が法定の委員会として置かれた。取締役会は取締役および執行役の職務執行の監督と、経営の基本方針に関する重要事項の審議を担う。監督と執行を明確に分け、取締役会から執行役へ大幅な権限を委譲することで、意思決定と事業遂行の迅速化をはかる組み替えである。背景社会価値の継続的な創出と企業価値の最大化には監督と執行の両面からのガバナンス強化が要るという認識のもと、経営の透明性と健全性の確保、スピードある意思決定と事業遂行の実現、説明責任の明確化、迅速かつ適切で公平な情報開示の四つを基本方針に掲げてきた。移行の検討は監査役会設置会社の時代に置いていた指名委員会が担い、指名委員会等設置会社への移行を前提とした取締役会の構成の検討とキャリア・スキルマトリックスの見直し、社外取締役候補者の選定、社長のサクセッションプランの運用を審議している。移行を見据えた役員報酬制度の改定も、同じ時期に取締役会で決まった。内容取締役の過半数は独立社外取締役とし、独立性を確保する。指名委員会・報酬委員会・監査委員会の委員長も、すべて独立社外取締役が務める。指名委員会は4名のうち3名が社外取締役で、委員長は社外取締役の望月晴文氏。報酬委員会も4名中3名が社外取締役で、委員長は社外取締役の岡昌志氏。監査委員会は6名のうち5名が社外取締役で、委員長は社外取締役の岡田譲治氏が務め、常勤の委員として小幡忍氏が入る。移行後の2023年度は、指名委員会を5回、報酬委員会を4回開いた。含意執行側も同時に組み替えた。全社横断的なリスクマネジメント体制の強化、経営会議を中心とした執行側の会議体の再整備による意思決定の質の高度化、内部監査機能の強化が並行して進んでいる。取締役会の議題は決議事項中心から、企業価値向上のための経営の重要事項にフォーカスしたものへ変わった。2023年度の取締役会実効性評価では、第三者評価機関による分析を踏まえ、審議・討議の充実、権限委譲を踏まえたモニタリングプロセスの再整備、取締役間および取締役と執行役間のコミュニケーション強化の3項目で大幅な改善が認められた。一方で、取締役会の運営を高度にすること、委員会の機能を明確にすること、事務局の支援体制を強めることも要ると確認している。いつ何が起きたか6件当時の取締役12名当時の取締役(2023年6月株主総会決議)新野隆:取締役森田隆之:取締役松倉肇:取締役中村邦晴:取締役クリスティーナアメージャン:取締役藤川修:取締役小幡忍:取締役岡昌志:取締役岡田恭子:取締役望月晴文:取締役岡田譲治:取締役山田義仁:取締役考察:速さを買うために放棄したもの考察考察:速さを買うために放棄したもの指名委員会等設置会社を選ぶということは、取締役会が業務執行の決定をどこまで委ねるかを法の形で確定させることにほかならない。監査等委員会設置会社なら委任の範囲は定款と取締役会の裁量に残るが、指名委員会等設置会社は執行役への委任が制度の前提で、指名と報酬の決定権も社外が委員長を務める委員会へ移る。NECが優先したのは意思決定と事業遂行の速さであり、その対価として経営陣が握っていた人事と報酬の裁量を制度的に委譲したのだろう。もっとも、監督の実質はまだ問われている途中である。2023年度の実効性評価は3つの重点項目に大幅な改善を認める一方で、取締役会運営の高度化と委員会機能の明確化、事務局の支援体制の強化を課題に挙げた。権限を委ねた先をどう見るかという問いは、議題を決議事項から経営の重要事項へ移し替えただけでは片づかない。執行側の会議体の再整備と内部監査機能の強化を同時に進めたのは、委譲した権限が視界から消えないようにする備えだろう。Yutaka Sugiura, 2026年9月数字で見る2表数字で見る図と表NEC:取締役会と監査役会の構成取締役(名)監査役(名)うち社外取締役率(%)表を見るNEC:取締役会と監査役会の構成×(名)取締役うち社外取締役監査役うち社外監査役備考2021年11月126532022年7月10553移行直前の体制。取締役と監査役を合わせた役員は15名2023年6月127−−6月22日に移行。監査役会は廃止され、監査委員会が監査を担う2023年7月127−−2023年12月127−−2024年3月127−−2024年6月138−−2025年4月138−−2025年6月118−−社外取締役が8名となり、取締役11名の過半数を占める2026年4月107−−2026年6月107−−出所:日本電気 コーポレート・ガバナンス報告書(2021年11月30日〜2026年6月24日の各更新時点)出所:日本電気 コーポレート・ガバナンス報告書(2021年11月30日〜2026年6月24日の各更新時点)経緯と対応移行前の機関設計監査役会設置会社移行の決議2023年6月22日移行後の機関設計指名委員会等設置会社取締役会の構成方針過半数を独立社外取締役3委員会の委員長いずれも独立社外取締役指名委員会4名(うち社外取締役3名)報酬委員会4名(うち社外取締役3名)監査委員会6名(うち社外取締役5名)表を見る経緯と対応×科目概要備考移行前の機関設計監査役会設置会社2022年7月時点で取締役10名(うち社外5名)と監査役5名(うち社外3名)移行の決議2023年6月22日第185期定時株主総会の決議により、同日付で移行した移行後の機関設計指名委員会等設置会社移行時の取締役は12名(うち社外取締役7名)。2024年6月には13名(うち社外8名)取締役会の構成方針過半数を独立社外取締役職務経歴・専門性・国際性・ジェンダー等の多様性と適正規模を考慮して構成する3委員会の委員長いずれも独立社外取締役経営の透明性・客観性の向上を狙いとして定めた指名委員会4名(うち社外取締役3名)委員長は社外取締役の望月晴文氏。2023年度は5回開催報酬委員会4名(うち社外取締役3名)委員長は社外取締役の岡昌志氏。2023年度は4回開催監査委員会6名(うち社外取締役5名)委員長は社外取締役の岡田譲治氏。常勤の委員は小幡忍氏執行への権限委譲取締役会から執行役への大幅な権限委譲監督と執行を明確に分離し、意思決定と事業遂行の迅速化をはかる執行側の組み替え会議体の再整備と内部監査機能の強化経営会議を中心に再整備し、全社横断的リスクマネジメント体制も強化した取締役会の議題決議事項中心から経営の重要事項へ企業価値向上のための重要事項にフォーカスしたアジェンダへ変更した移行後の実効性評価3つの重点項目で大幅な改善2023年度。第三者評価機関の分析結果を2024年3月の定時取締役会で議論した出所:日本電気 有価証券報告書 第185期(2023年3月期)・第186期(2024年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】出所:日本電気 有価証券報告書 第185期(2023年3月期)・第186期(2024年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】当時の取締役12名当時の取締役(2023年6月株主総会決議)新野隆:取締役森田隆之:取締役松倉肇:取締役中村邦晴:取締役クリスティーナアメージャン:取締役藤川修:取締役小幡忍:取締役岡昌志:取締役岡田恭子:取締役望月晴文:取締役岡田譲治:取締役山田義仁:取締役参考文献参考文献参考日本電気 有価証券報告書「第185期(2023年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】」日本電気 有価証券報告書「第186期(2024年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】」日本電気 コーポレート・ガバナンス報告書「コーポレート・ガバナンス報告書(2023年7月14日)」次に読む決断NECの意思決定2021年NECNECBluStellar戦略へ転換ハード売り切りからの脱却と、再成長に向けた事業モデルの組み替え2021年2025年NECNECCSG Systems Internationalを買収米国の通信事業者向け課金ソフトの取得とNetcrackerとの統合2025年同じ問い:取締役会改革2023年メルカリメルカリ指名委員会等設置会社へ移行創業CEOが退任したあとの後継の選び方を、先に制度へ預ける機関設計の転換2023年2023年サイバーエージェントサイバーエージェントサクセッションプラン公表創業者からの世代交代に向けた後継者の選抜と育成の枠組み2023年2023年横浜ゴム横浜ゴム監査等委員会設置会社への移行監査を担う者を議決権のある取締役として取締役会に迎えた機関設計の転換2023年2023年三井E&S三井E&S監査等委員会設置会社へ移行事業持株会社体制への転換と同じ年に進めた、コンパクトな経営体制への組み替え2023年2023年アイシンアイシントヨタ出身トップと指名審議の社外化親会社から4人の社長を迎えた会社での後継選びの仕組みの見直し2023年×出所