サイバーエージェント サクセッションプラン公表 創業者からの世代交代に向けた後継者の選抜と育成の枠組み
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何をなぜ決めたか
- 概要
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引継ぎ可能な会社を目指し、2022年度に後継者計画を策定して次期社長候補者向けの研修を始めた経営判断。社長研修は二代目経営者候補として選抜した16名の従業員へ特別カリキュラムを組むもので、取締役会はサクセッションプランそのものを議題に据え、将来の取締役候補を含む幹部人材の選抜・育成・仕組み作りを議論している。
2025年12月12日の第28回定時株主総会を経て、1998年3月の設立以来社長を務めた藤田晋氏が代表取締役会長へ、山内隆裕氏が代表取締役社長へ就任した。
- 背景
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創業者が四半世紀にわたって代表取締役社長を務め、2015年に設立した㈱AbemaTVでも代表取締役を兼ねる体制が続いていた。判断の年にあたる2023年9月期の連結売上高は720,207百万円、連結従業員数は7,251名で、5期前の4,853名から1.5倍に増えている。
一方で営業利益は前期の69,114百万円から24,557百万円へ落ち、ゲーム事業の減収とメディア事業のワールドカップ投資が重なった期だった。承継の仕組みを組んだのは、業績の山ではなく谷にあたる年である。
- 内容
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育成を担うのは人事本部内に新設したサクセッションラダー開発室で、二代目社長研修・三代目社長研修・女性役員研修に加え、若手の抜擢を目的とする「強化指定社員セレクション会議」を運営する。各階層のリーダーごとに後継者計画を敷くサクセッションラダーを全社へ広げる構えである。
進捗を測る指標は経営者研修への参加人数で、多様なバックグラウンドを持つ経営人材の累計数を増やすことが目標に置かれた。施策の進捗は取締役会へ報告され、人材育成に精通した社外取締役から助言を受ける。取締役候補者の指名を審議するのは、独立社外取締役4名・常勤監査等委員1名・代表取締役1名からなる指名・報酬諮問委員会である。
- 含意
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社長に就任した山内隆裕氏は1983年8月20日生まれ。2006年4月に入社し、2009年4月に㈱CyberZの代表取締役、2012年12月にサイバーエージェント取締役、2018年10月に常務取締役、2020年12月に専務執行役員、2023年9月に㈱AbemaTVの取締役COOを務めてきた社内育ちである。
交代した2025年9月期の連結売上高は874,030百万円、営業利益は71,702百万円でいずれも過去最高だった。同じ総会で指名・報酬諮問委員会は指名諮問委員会と報酬諮問委員会へ分かれ、いずれも独立社外取締役が過半数を占める構成となり、取締役は社外4名を含む10名になった。
いつ何が起きたか 5件
筆者の見解
好調のうちに引くという選択
この判断の眼目は誰を選ぶかではなく、選ぶ仕組みを人事の部署として常設した点にあるだろう。二代目経営者候補16名の社長研修は一度きりの選抜で終わらず、三代目社長研修と女性役員研修、そして各階層のリーダーごとの後継者計画を敷くサクセッションラダーへ広がった。進捗を測る指標に据えたのが後継者の氏名でも交代の期日でもなく、経営者研修への参加人数であることが、その設計をよく表している。創業者の代わりを1人見つける仕事ではなく、代わりが常に複数いる状態を保つ仕事として組まれている。
もっとも、創業者依存が解けたと結論づけるのは早い。藤田晋氏は代表取締役会長として代表権を持ち続け、設立時から兼ねる㈱AbemaTVの代表取締役も現任のままである。交代した2025年9月期の連結売上高874,030百万円・営業利益71,702百万円という数字は、承継の成果ではなく、前任者が残した水準にすぎない。仕組みの成否が見えるのは、山内隆裕社長のもとで次の候補が育ち、三代目の研修を受けた層から現実の人事が出てきたときだろう。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
業績の推移
後継者計画の経緯と内容
後継者計画の経緯と内容
| 科目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 後継者計画の策定 | 2022年度 | 引継ぎ可能な会社を目指し、次期社長候補者向けの研修を開始した |
| 社長研修の対象 | 二代目経営者候補として選抜した16名の従業員 | 次世代の経営人材育成のための特別カリキュラム |
| 育成プログラム | 二代目社長研修、三代目社長研修、女性役員研修 | 若手の抜擢を目的とする「強化指定社員セレクション会議」も併せて実施 |
| 推進する組織 | サクセッションラダー開発室 | 社長研修の実施を機に人事本部内へ新設。各階層のリーダーごとの後継者計画を開発 |
| 進捗を測る指標 | 経営者研修への参加人数 | 多様なバックグラウンドを持つ経営人材の累計数を増やすことが目標 |
| 取締役会の関与 | サクセッションプランの議論 | 将来の取締役候補者を含めた幹部人材の選抜・育成・仕組み作りを議論・策定 |
| 取締役候補者の指名の審議 | 指名・報酬諮問委員会 | 独立社外取締役4名、常勤監査等委員である取締役1名、代表取締役1名で構成 |
| 社長に就いた人物 | 山内隆裕氏 | 1983年8月20日生まれ。2006年4月に入社した社内育ち |
| 後継者の社内歴 | 2012年12月に取締役、2018年10月に常務取締役 | 2020年12月に専務執行役員、2023年9月に㈱AbemaTV取締役COO |
| 交代の日 | 2025年12月12日 | 第28回定時株主総会での取締役選任議案の可決による |
| 交代後の体制 | 藤田晋氏が代表取締役会長、山内隆裕氏が代表取締役社長 | 藤田晋氏は1998年3月の設立から社長を務めた |
| 交代後の取締役 | 10名(うち社外取締役4名) | 監査等委員でない取締役7名(社外2名)と監査等委員である取締役3名(社外2名) |
| 委員会の見直し | 指名諮問委員会と報酬諮問委員会への分割 | 同じ総会の決議による。いずれも独立社外取締役が過半数を占める構成 |
| 交代時期の事前の公表 | 会社の公表資料に記載なし | 委員会の開催回数も同じく記載がない |
出所:サイバーエージェント 有価証券報告書 第26期(2023年9月期)〜第28期(2025年9月期)【サステナビリティに関する考え方及び取組】【コーポレート・ガバナンスの状況等】【役員の状況】
連結売上高と営業利益の推移
サイバーエージェント:連結売上高と営業利益の推移
| (百万円) | 売上高 | 営業利益 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2018年9月期 | 419,512 | 30,163 | |
| 2019年9月期 | 453,611 | 30,825 | |
| 2020年9月期 | 478,566 | 33,880 | |
| 2021年9月期 | 666,149 | 104,381 | |
| 2022年9月期 | 709,923 | 69,114 | |
| 2023年9月期 | 720,207 | 24,557 | 創業来26期増収。営業利益はゲーム事業の減収とW杯投資で64.5%減 |
| 2024年9月期 | 801,236 | 40,083 | |
| 2025年9月期 | 874,030 | 71,702 | 12月12日の株主総会で社長が交代。売上高・営業利益とも過去最高 |
出所:サイバーエージェント 有価証券報告書 第21期〜第28期【主要な経営指標等の推移】(連結経営指標等)
連結従業員数と提出会社の平均年齢の推移
サイバーエージェント:連結従業員数と提出会社の平均年齢の推移
| 連結従業員数(人) | 提出会社の平均年齢(歳) | 備考 | |
|---|---|---|---|
| 2018年9月期 | 4,853 | − | 平均年齢の記載は2019年9月期から |
| 2019年9月期 | 5,139 | 32.6 | |
| 2020年9月期 | 5,344 | 33.2 | |
| 2021年9月期 | 5,944 | 34.1 | |
| 2022年9月期 | 6,337 | 34.2 | |
| 2023年9月期 | 7,251 | 33.3 | |
| 2024年9月期 | 7,720 | 33.7 | |
| 2025年9月期 | 8,150 | 33.8 | 社長に就任した山内隆裕氏は就任時42歳 |
出所:サイバーエージェント 有価証券報告書 第21期〜第28期【従業員の状況】(連結会社の従業員数、提出会社の平均年齢)
同じ問いに直面した会社
同じ問いに直面した会社
参考文献
- サイバーエージェント CyberAgent Way「サイバーエージェント2代目社長 山内隆裕のキャリアと人物像」
- サイバーエージェント 有価証券報告書「第26期(2023年9月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】」
- サイバーエージェント 有価証券報告書「第27期(2024年9月期)【サステナビリティに関する考え方及び取組】」
- サイバーエージェント 有価証券報告書「第28期(2025年9月期)【サステナビリティに関する考え方及び取組】【役員の状況】」
- サイバーエージェント コーポレート・ガバナンスに関する報告書「2025年12月9日提出」