サイバーエージェント エンジニア採用本格化 人材の積み増しを通じた、外部依存から開発体制の内製化への転換
更新:
何をなぜ決めたか
- 概要
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2006年、急成長するアメーバのトラフィックを支えるため、サイバーエージェントがエンジニア採用を本格化し、技術の内製化に踏み切った経営判断。営業を中心とする組織から、自ら技術基盤をつくる事業会社への転換点となった。
- 背景
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アメーバブログの利用が急拡大するなか、外注に頼る体制では規模の拡大に耐えられなくなっていた。広告代理を主力に成長した同社は技術者が乏しく、システムの作り直しが避けられない状況に置かれていた。
- 内容
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2006年にエンジニア採用を本格化し、技術組織の構築に着手。同年4月に入社した佐藤真人氏が技術責任者として基盤を再設計し、記事やコメントはMySQL、ブログの管理情報はOracleと、用途で使い分ける大規模構成を組んだ。
- 含意
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2006年のシステム改善を契機にアメブロは月間50億ページビューの日本一のブログへ成長し、2010年にAmeba事業は黒字化した。この内製化の経験が、後のゲームやアドテクの技術投資を支える土台となった。
いつ何が起きたか 4件
筆者の見解
技術を持つことが次の事業を生んだ
この決断の意味は、目先のサーバー増強にとどまらない。広告代理という営業主体の会社が、エンジニアを自ら採り、技術責任者に基盤の設計と運用を委ねたことは、事業を支える能力の中心を営業から技術へと移す判断だった。用途に応じてMySQLとOracleを使い分ける設計に象徴されるように、内製化は単なる人手の確保ではなく、自社のサービスを自社の技術で最適化できる状態をつくることであった。メディアを持つと決めた以上、それを支える技術も自前で持たねばならない——2004年のアメーバの選択が、必然としてこの内製化を呼び込んだ。
そして、この時期に育った技術の力は、アメーバ一つにとどまらなかった。自社で大規模サービスを設計・運用できる組織は、のちにゲーム事業のCygamesや、広告の配信技術を担うアドテク部門といった、技術が競争力を左右する領域へ人材と知見を送り出す母体になった。営業の会社として始まったサイバーエージェントが、技術者にとって働く場として認知されていく出発点も、この2006年の転換にある。メディアへの参入が技術の内製化を促し、その技術がさらに次の事業を生む——この連鎖の最初の環が、ここで結ばれた。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
業績の推移
技術者採用と設備投資の内容
技術者採用と設備投資の内容
| 科目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| エンジニアの中途採用開始 | 2006年5月 | 沿革が技術者採用の起点として置く月 |
| 内製の起点 | 2006年 | 「アメーバブログ」の内製を始めた年。以後エンジニアとデザイナーを積極採用した |
| 新卒のエンジニア職第1期生 | 2008年4月入社 | 中途採用の開始から2年で、新卒にも職種別の採用枠を設けた |
| 技術者採用の規模 | 2006年4月入社で23名内定 | 2006年9月期第3四半期の決算説明会資料が「予定通り」と記す |
| 同じ期の新卒受け入れ | 135名 | 技術者23名を含む。連結役職員数は前四半期比229名増 |
| 職種別構成の技術者比率 | 7.8% | 2006年6月末。営業23.7%・制作24.9%に対する水準 |
| 設備投資の主要な内容 | サーバー及びネットワーク関連機器の購入 | 2006年9月期から2011年9月期まで、有価証券報告書が毎期この内容を挙げる |
| 2006年9月期の設備投資総額 | 1,069百万円 | 有形固定資産受入ベース。消費税等を含まない |
| Ameba関連の役職員数 | 2005年3月末に43名 | 決算説明会資料が事業別内訳にAmeba関連を別記した最初の四半期 |
| 提出会社の本社設備 | ソフトウェア、ネットワーク関連機器及び業務施設等 | 2011年9月期の帳簿価額は2,147百万円、従業員857名 |
| 内製化の体制 | 会社の公表資料に記載なし | 技術責任者の氏名、外注から内製への切り替えの経緯は開示資料にない |
出所:サイバーエージェント 有価証券報告書 第8〜14期【設備投資等の概要】【従業員の状況】/アニュアルレポート2015【沿革】/2006年9月期第3四半期・2008年9月期第1四半期 決算説明会資料
従業員数・ソフトウェア資産・設備投資の推移
サイバーエージェント:従業員数・ソフトウェア資産・設備投資の推移
| 連結従業員数(人) | ソフトウェア期末残高(百万円) | 設備投資総額(百万円) | 備考 | |
|---|---|---|---|---|
| 2001年9月期 | 172 | − | − | ソフトウェア残高は第8期の前期欄まで、設備投資額は第8期まで遡れる |
| 2002年9月期 | 333 | − | − | |
| 2003年9月期 | 473 | − | − | |
| 2004年9月期 | 767 | 353 | − | 残高はのれんと仮勘定を含まない内訳。千円表示を百万円へ切り捨てた |
| 2005年9月期 | 1,184 | 825 | 1,775 | 残高は825,083千円。設備投資は運営媒体のシステム構築と内部造作 |
| 2006年9月期 | 1,493 | 1,058 | 1,069 | この期からサーバー及びネットワーク関連機器の購入が設備投資の主要な内容になる |
| 2007年9月期 | 1,566 | 994 | 1,282 | 残高は連結貸借対照表の無形固定資産の内訳。この期からのれんが立つ |
| 2008年9月期 | 1,873 | 1,253 | 982 | |
| 2009年9月期 | 2,036 | 1,684 | 982 | メディア(広告・課金・コンテンツ)事業のサーバー投資。前期と同額で開示された |
| 2010年9月期 | 1,677 | 2,240 | 1,238 | 従業員数は正社員のみの集計へ変わり、前期比で減って見える |
| 2011年9月期 | 1,981 | 2,507 | 1,329 |
出所:サイバーエージェント 有価証券報告書 第8期・第11期・第14期【主要な経営指標等の推移】(連結) / サイバーエージェント 有価証券報告書 第8〜14期【設備投資等の概要】 / サイバーエージェント 有価証券報告書 第8〜14期【連結貸借対照表】(無形固定資産の内訳)
技術系人材の比率
サイバーエージェント:技術系人材の比率
| (%) | 職種別構成の「技術」 | 専門職(エンジニア) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2004年9月末 | 7.2 | − | 連結役職員の職種7分類のひとつ。派遣社員及びアルバイトを含まない |
| 2005年9月末 | 9.5 | − | |
| 2006年9月末 | 9 | − | 技術者23名の採用内定を出した年度。資料は整数で表示している |
| 2007年6月末 | 8.6 | − | 2007年9月末の回の資料は残っていない |
| 2008年3月末 | 9 | − | この回から呼称が「技術」から「エンジニア」に変わった |
| 2013年9月末 | − | 47 | 単体正社員1,498名。総合職53%と専門職47%の2分類に変わり、定義が切れる |
| 2014年9月末 | − | 47 | 単体正社員1,664名。母数も連結役職員から単体正社員に変わっている |
| 2015年9月末 | − | 45 | エンジニアとデザイナーの合計。母数は従業員 |
出所:サイバーエージェント 決算説明会資料 2005年9月期第1四半期〜2008年9月期第2四半期(連結役職員数の職種別構成比) / サイバーエージェント アニュアルレポート2013・2014(数字で見るサイバーエージェント社員) / サイバーエージェント アニュアルレポート2015(テクノロジーとクリエイティブ)
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参考文献
- サイバーエージェント 有価証券報告書【沿革】
- サイバーエージェント 決算説明会資料「2006年9月期 第3四半期」
- サイバーエージェント 決算説明会資料「2008年9月期 第1四半期」
- サイバーエージェント 決算説明会資料「2006年9月期 第2四半期」
- サイバーエージェント 有価証券報告書「第9期(2006年9月期)【設備投資等の概要】」
- サイバーエージェント 有価証券報告書「第14期(2011年9月期)【設備の状況】」
- サイバーエージェント 有価証券報告書「第11期(2008年9月期)【従業員の状況】」
- サイバーエージェント アニュアルレポート「2015(テクノロジーとクリエイティブ)」
- サイバーエージェント アニュアルレポート「2013(数字で見るサイバーエージェント社員)」
- サイバーエージェント アニュアルレポート「2014(数字で見るサイバーエージェント社員)」