財務戦略
戦後の日本企業の財務は、主力銀行からの借入を軸に組まれていた。個人の貯蓄は預金に集まり、銀行が土地と設備を担保に設備資金を配分した。株式は取引先と相互に保有し合い、外部の投資家へ資本の使い方を説明する必要は乏しかった。
この区分の決断は、時代ごとに問われる面を変えてきた。高度成長期の資金調達は、重点産業の設備投資へ銀行の資金をどう振り向けるかの問題であった。1990年代に資産価格が下落すると、担保と自己資本が同時に減少し、不良債権の償却と有利子負債の圧縮を進める財務体質の改善が2000年代にかけて前に出た。銀行の融資が縮小した後は、公募増資と子会社の上場が調達の手段になった。2020年代には、投資家が資本効率の指標を持ち込み、株主還元の決断が前に出ている。
借入には返済の相手と期日が契約で定められているが、株式に期日はない。いま問われているのは、調達した資本のうち事業に投じない部分を、いつ、いくら株主へ返すかである。会社はその判断を自ら下し、説明責任を毎年負う。
論点と年代
資金調達
Oceano社向け債権と株式の譲渡海外取引先の債権・優先株式の売却と約45億円の保証責任の解消シティインデックスイレブンスらの大量保有赤字決算での年間75円の配当維持と、自己株式取得・次期配当の保留アポロ出資で非公開化1650億円の第三者割当と、株式併合による上場からの退出MMホールディングスTOB価格の自社株買い提案否決公開買付け不実施後の当初買付価格での自己株取得要求の拒絶FUSION30と3,500億円の自社株買い成長投資を最優先した資金配分の見直しと、継続増配への方針変更日本製紙の売出しと自己株式取得上限300億円の買付けで需給への影響を緩和デジタルガレージへ出資DG株の追加取得で持分法適用関連会社化、半年後に評価損449億円エリオットの自社株買い要請3,000億円規模の要請を受けた、累進配当・総還元性向40%への転換
上場による資金調達
日本郵政の第2次売出しと自己株取得自己株式取得による親会社持分の約89%から61%への引き下げ株式10分割と自社株買い自己株式の消却と1株10株の分割による、投資単位の引き下げPDハウス展開へ上場パーキンソン病専門住宅の全国展開に向けた東証グロース市場への株式公開
41件を見る資本提携による資金調達
日本製紙の売出しと自己株式取得上限300億円の買付けで需給への影響を緩和デジタルガレージへ出資DG株の追加取得で持分法適用関連会社化、半年後に評価損449億円ヤマハ発動機株1,800万株を売却政策保有株式の縮減と自己株式の取得・消却
26件を見る大型投資の資金調達
「VISION2030」策定売上高2,000億円・営業利益500億円を掲げる中期経営計画の始動長期ビジョン2030へ資産振替政策保有株式・遊休不動産の売却と、3年で最大1,400億円の設備投資への振り替え本田技研とブルーエナジー設立完成車メーカーとの過半出資合弁による車載用リチウムイオン電池事業への参入
15件を見る株主提案と資本政策
シティインデックスイレブンスらの大量保有赤字決算での年間75円の配当維持と、自己株式取得・次期配当の保留MMホールディングスTOB価格の自社株買い提案否決公開買付け不実施後の当初買付価格での自己株取得要求の拒絶FUSION30と3,500億円の自社株買い成長投資を最優先した資金配分の見直しと、継続増配への方針変更
12件を見る株主還元
シティインデックスイレブンスらの大量保有赤字決算での年間75円の配当維持と、自己株式取得・次期配当の保留MMホールディングスTOB価格の自社株買い提案否決公開買付け不実施後の当初買付価格での自己株取得要求の拒絶FUSION30と3,500億円の自社株買い成長投資を最優先した資金配分の見直しと、継続増配への方針変更エリオットの自社株買い要請3,000億円規模の要請を受けた、累進配当・総還元性向40%への転換ギャランツ圧力下で防衛策廃止自己株式取得・増配による株主還元への切り替え時価総額向上への資本政策転換新中期経営計画のもとでの、時価総額向上という経営課題の設定エリオットの株主提案アクティビスト・住友不動産の対応山下通郎氏が社長就任通商産業省出身5代からの交代と株主還元方針の見直し
株主還元の26件を見る財務体質の改善
茂原工場の新光電気工業への譲渡国内量産拠点の売却による債務超過の解消REVIC支援下の繊維撤退祖業の繊維から高分子への集中と、外部資本の受け入れと経営陣の交代商船三井と業務提携14.86%の株式を持たせて結んだオフショア事業での連携双日との資本業務提携主要取引行4行を割当先とする優先株式による資本増強コロナ禍での資本増強JRグループ初の公募増資2786億円と「鉄道一本足」からの構造転換大衆薬をブラックストーンへ売却創業以来の一般用医薬品事業を投資ファンドへ譲渡する選択コロナ禍の公募増資で再建過去最大級の資本調達と事業構造改革による自力再建の選択事業再生ADRの申請560億円の債権放棄を前提とした国内外の生産拠点の縮小
財務体質の改善の39件を見る