1,000万株と180万株の消却で発行済株式の8.3%を消し、その先で1株を10株に割った。順序が逆でないところに、この資本政策の性格が出ている。先に株数を減らして1株の重みを増し、そのうえで売買単位を10分の1に下げたのだから、狙いは希薄化の緩和ではなく、単純に窓口の幅を広げることにあったと推察される。1株6万円という株価は、100株単位でしか買えない市場では600万円の壁である。壁を崩すのに増資は要らず、既にある株を割ればよい。手元に1兆円の現金を抱えた会社が、資金調達ではなく分母の刻み方だけを動かしたのは、そういう判断であろう。
もっとも、増加したのは頭数であって重みではない。個人その他の株主は5.3倍の13万9,900人になったが、所有株式数の割合は14.05%から17.38%へ3.33ポイント動いただけで、翌期には15.36%へ戻っている。外国法人等の割合も一度45.98%まで下がったのち50.20%へ復した。株式の過半を海外の法人が握る構図は、分割の前後で変わっていない。投資家層の拡大という目的は、株主名簿の行数としては達せられ、議決権の分布としては達せられなかった。日本の個人が任天堂の株を保有しやすくなったことと、任天堂の株主が日本の個人になったことは別の話である。