火力を切り出す判断は、事業の不振によるものではなかった。火力は長く売上の大半を生んできた事業であり、切り出しの理由は収益性ではなく規模にある。数千億円規模の燃料調達交渉で海外のメジャーと渡り合うには、東京電力単独の購買量では足りない。国内2位の中部電力と統合してはじめて世界最大の買い手になる、という算段が合弁の中身だった。垂直統合を前提としてきた電力会社が、規模の必要な機能だけを社外へ出して共同で持つ体制へ移行した点で、地域独占の時代の会社の形からは明確に離れている。
ただし規模を外へ出せば、損益も外へ出る。移管後のフュエル&パワーは従業員0名で売上高40億円未満のセグメントとなり、そこに1749億円の利益が立つ期もあれば30億円の損失が立つ期もある。自社で発電所を回して積み上げる利益ではなく、合弁の成績を持分で受け取る利益に変わったためである。同時に、調達コストの変動リスクは小売のエナジーパートナーへ寄った。FY22の3282億円の損失は、発電と小売を分けた設計が、価格変動をどこで受け止めるかまで決めていたことを示している。