GMOインターネットグループ 持株会社体制への移行 祖業のインフラ事業と広告・メディア事業の上場子会社GMOアドパートナーズへの吸収分割による承継と、本体のグループ経営への特化

更新:

時期 2024年6月
当時の社長 熊谷正寿
論点 祖業を抱えた事業持株会社からグループ経営の持株会社への組み替え
何をなぜ決めたか
概要

2024年6月25日、GMOインターネットグループは取締役会で、自社が営むインターネットインフラ事業とインターネット広告・メディア事業を、連結子会社のGMOアドパートナーズへ吸収分割で承継させることを決め、同日付で吸収分割契約を結んだ。

2025年1月1日の効力発生とともに本体は持株会社体制へ移り、GMOアドパートナーズはGMOインターネットへ商号を改め、東京証券取引所プライム市場へ市場を変えた。対価として、GMOインターネットの普通株式257,941,328株が本体へ割り当てられた。

背景

本体は1995年にプロバイダー事業、1997年にホスティング事業へ参入し、ドメイン・クラウド・レンタルサーバー・プロバイダーを自ら運営してきた。2024年12月期の連結売上高は277,407百万円、営業利益は46,653百万円に達し、ネット金融・暗号資産・決済の各社を傘下に抱えながら、本体自身も祖業を営む事業持株会社の形をとっていた。

2024年6月には、AI・ロボット事業に参入するためGMO AI&ロボティクス商事を設立している。

内容

移る事業の2024年12月期の売上高は61,960百万円で、本体の単体売上高66,404百万円の大半にあたる。受け皿のGMOアドパートナーズは、1999年設立のまぐクリックを前身とする広告・メディア事業の中核会社で、同期の連結売上高は12,997百万円、純資産は5,246百万円であった。

目的には、AIロボティクス革命に向けた商流の整理、インフラ事業と広告・メディア事業の統合による競争激化への対応、グループ経営機能への特化によるスピード経営の加速の三つを挙げた。会計上は共通支配下の取引として処理した。

含意

本体の従業員数は2024年12月末の723名から、2025年12月末には197名へ減った。移行日以降は関係会社からの受取配当金を売上高に計上する方式へ変わり、2025年12月期の単体売上高は29,587百万円となった。

GMOインターネットに対する議決権比率は、分割前の57.0%から92.0%へ上がった。祖業を手放した本体は、同じ2025年にプライム・ストラテジーを公開買付けで取得し、議決権の63.1%を握っている。

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筆者の見解
筆者の見解

祖業を子会社へ渡した本体

この再編は、組織図を整えるというより、本体が祖業の運営者であることをやめた判断だとみられる。売上高61,960百万円の事業を出したことで、本体の単体売上高は66,404百万円から29,587百万円へ縮み、中身は受取配当金へ入れ替わった。受け皿に選んだのが売上高12,997百万円の上場子会社だった点も目を引く。インフラの稼ぎを広告・メディアと同じ器に入れ、その器の議決権を92.0%まで握ることで、祖業を市場価格のつく子会社として持ち直した形と読める。

もっとも、1社のなかでインフラと広告・メディアが噛み合うかは、まだ数字に出ていない。分割の目的の筆頭に掲げたAIロボティクスも、担うのは2024年6月に設立したばかりの商社である。事業を子会社に分けて上場させ、グループで市場価格を持つという2000年のまぐクリック以来の型を、祖業にまで当てはめた到達点がこの再編であり、その成否は承継後の子会社の業績が示すことになるだろう。

Yutaka Sugiura, 2026年9月

業績の推移
吸収分割の条件

吸収分割の条件

科目 概要 備考
分割会社 GMOインターネットグループ 資本金5,000百万円。2024年12月期の連結純資産190,047百万円
承継会社 GMOアドパートナーズ 2025年1月1日にGMOインターネットへ商号変更。証券コード4784
分割の法的形式 吸収分割
決議日・契約締結日 2024年6月25日 取締役会で決議し、同日付で吸収分割契約を締結
効力発生日 2025年1月1日 同日付で持株会社体制へ移行
承継した事業 インターネットインフラ事業、広告・メディア事業 インフラはドメイン、クラウド・レンタルサーバー、プロバイダーの各事業
対象事業の売上高 61,960百万円 2024年12月期
割当ての内容 普通株式257,941,328株 承継会社が対象事業の対価として分割会社へ交付
承継会社の規模 売上高12,997百万円 2024年12月期連結。純資産5,246百万円、総資産10,356百万円
承継会社の議決権比率 92.0% 2025年12月末。うち間接所有1.4%。2024年12月末は57.0%
会計処理 共通支配下の取引 帳簿価額に基づき処理
本体の従業員数 197名 2025年12月末。2024年12月末は723名

出所:GMOインターネットグループ 有価証券報告書 第34期(2024年12月期)【経営上の重要な契約等】【重要な後発事象】・第35期(2025年12月期)【企業結合等関係】【関係会社の状況】

本体(提出会社)の売上高と経常利益

GMOインターネットグループ:本体(提出会社)の売上高と経常利益

(百万円) 売上高経常利益 備考
2019年12月期 56,0216,459
2020年12月期 64,2517,207
2021年12月期 67,03814,681 第32期の売上高の表示方法変更を反映した組替後の値
2022年12月期 63,00715,669 収益認識に関する会計基準を適用
2023年12月期 65,16111,851
2024年12月期 66,40413,148 分割を決議した期。対象事業の売上高は61,960
2025年12月期 29,58713,382 持株会社へ移行。関係会社からの受取配当金を売上高に計上
本体の売上高と経常利益率
売上高(百万円)経常利益率(%)

出所:GMOインターネットグループ 有価証券報告書 第30期・第34期・第35期【主要な経営指標等の推移】(提出会社の経営指標等)

連結と本体の従業員数

GMOインターネットグループ:連結と本体の従業員数

(名) 連結本体 備考
2019年12月期 5,238715
2020年12月期 5,225721
2021年12月期 5,758752
2022年12月期 6,159764
2023年12月期 6,253737
2024年12月期 6,333723 分割を決議した期
2025年12月期 6,484197 事業の承継で本体の従業員は共通部門だけになった

出所:GMOインターネットグループ 有価証券報告書 第29〜35期(2019年12月期〜2025年12月期)【従業員の状況】【主要な経営指標等の推移】

同じ問いに直面した会社

同じ問いに直面した会社

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2022年円谷フィールズホールディングス持株会社体制への移行と、商号を変更したグループ再編グループ組織と企業の自己定義
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2006年DOWA5部門を10社へ分社し、事業運営の権限を事業会社へ移す再配置事業ごとの損益責任と権限の所在
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2005年ミスミグループ本社持株会社移行による流通専業からの転換事業構造と製造機能
1990年東京エレクトロンデバイス建物保守管理業務のグループ他社への移管と、外国製半導体販売への業態転換グループ機能の再配置と業態転換
2024年三井松島ホールディングス連続M&Aによる脱石炭転換と、111年続いた石炭事業からの撤退脱石炭とポートフォリオ転換
2024年豊田通商台数依存からの脱却と、売上10兆円規模の商社化収益構造の転換と非自動車・非資源化
参考文献
出典・参考

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