インターネットイニシアティブ の歴史

更新: Author:

創業 1992年
創業者 鈴木幸一
創業地 東京都千代田区
創業
1992年12月、鈴木幸一氏らが東京都千代田区に資本金1,800万円で株式会社インターネットイニシアティブ企画を設立した。当時のインターネットは研究機関どうしの非営利の接続に限られ、企業が代金を払って使う商材ではなかったが、接続を有償の商用サービスへ開いた。1993年5月に社名を現在のインターネットイニシアティブへ改め、同年7月に日本で初めて商用の接続サービスを開始、1994年2月に特別第二種電気通信事業者の登録認可を取得した。1995年から1998年にかけては映像配信・米国法人・システムインテグレーションの各社を相次いで設立し、1999年8月に米国ナスダックへ米国預託証券を登録した。ただし国内での株式公開は6年遅れ、2005年12月の東証マザーズまで待つことになる。
決断
自ら開いた市場で、資本の独立だけは20年間持てなかった。1998年10月、通信キャリアの株式会社クロスウェイブ コミュニケーションズを合弁で設立し、自前の回線設備へ資金を投じた。だが2003年8月、同社は負債約684億円で会社更生手続の開始を申し立て、IIJには最大約109億円の損失負担が見込まれた。自社の財務基盤では吸収できず、同年9月に第三者割当増資で120億円を調達し、NTTの持分法適用関連会社となった。2005年12月に東証マザーズへ上場し、2006年8月の無償減資で繰越損失を解消したうえで、同年12月に東証一部へ移った。2019年4月には米国預託証券をナスダックで上場廃止し、資金の調達先を国内へ戻している。回線を自ら建てて失った損失を資本で埋めたことが、以後は設備より契約を積む側へ投資の向きを変えさせた。
現況
売上の99%を一つのセグメントが占め、そのなかで接続料はもう中心ではない。2026年3月期の売上高は3,453億円、営業利益348億円、純利益241億円で、内訳はネットワークサービス及びSI事業3,423億円とATM運営事業30億円である。2003年の増資のあと、回収の読めない設備投資から法人ストック型へ稼ぎ方を組み替えた。2008年に法人向けMVNO、2009年にクラウドのIIJ GIO、2011年に松江の外気冷却コンテナ型データセンター、2012年に個人向けの格安SIM『IIJmio』と、月々積み上がる契約を接続へ重ねた。2018年3月には国内で初めてフルMVNOの提供を始めている。売上高が7年で1.8倍のあいだに営業利益が49億円から348億円へ7倍になったのは、設備を先に建てて契約で埋める順序を守ったからである。
競合
NTTともKDDIとも競い、その両方から同率で出資を受けている。IIJは全国の回線設備を自前で持たず、NTT東日本・西日本の光回線とNTTドコモの携帯網を仕入れて法人へ提供する。2003年の増資以来20年、NTTの持分法適用関連会社という資本構造に置かれていたが、2023年5月にNTTグループ傘下から離脱してKDDIと資本業務提携を結び。NTTグループが持株の一部を売却し、三社合併で発足したKDDIが総額512億円で発行済株式の10.0%を取得して、両社が各11.5%の同率第一位株主となった。どちらの陣営の回線も仕入れられる位置は、通信会社の傘下にある同業には作れない。ただし回線を持たない立場では仕入れ値を相手が決め、2026年3月期の売上原価2,692億円は売上高の78%を占める。
インターネットイニシアティブ:長期業績の推移(売上高・利益率)売上高(億円純利益率(%)
2006年3月期2026年3月期

創業ストーリー 日本初の商用ISP創業からクロスウェイブ経営危機まで (1992年〜)

「商用ISPという業態が存在しない国」での起業

1992年12月、東京都千代田区に株式会社インターネットイニシアティブ企画が資本金1,800万円で設立された。日本ではこの時点までインターネット接続を商用提供する事業者は存在せず、研究機関相互の非営利接続(JUNET / WIDE)のみが運用されていた段階である。1993年5月に社名を株式会社インターネットイニシアティブに変更、同年7月に商用インターネット接続サービスの提供を開始した。IIJは日本で商用インターネット接続を手がけた先駆的な事業者の一社となった。1994年2月に郵政省(現総務省)から特別第二種電気通信事業者として登録認可を取得し、通信事業者の法的地位を得た。研究目的だったインターネットを商用に転換する試みは、規制官庁の運用を商用ISPに開かせる作業を伴った。 [1][2][3][4]

  • インターネットイニシアティブ 有価証券報告書【沿革】
    • [1]1992年12月 ㈱インターネットイニシアティブ企画として東京都千代田区に資本金1,800万円で設立
    • [3]1993年5月 社名を㈱インターネットイニシアティブに変更/同年7月 商用インターネット接続サービス提供開始
    • [4]1994年2月 郵政省(現総務省)より特別第二種電気通信事業者として登録認可を取得
  • NTT東日本 BizDrive(2025年12月9日)
    • [2]創業者は鈴木幸一

1996年3月に米国子会社IIJ America Inc.を設立し、日米間バックボーン構築の起点とした。1996年11月にはSI事業を担うアイアイジェイテクノロジーを設立、1997年9月にはNTTと合弁でインターネットマルチフィード株式会社を設立し、相互接続ポイント(IX)の運用基盤を整えた。1998年2月には地域関連会社5社を吸収合併して資本金を8.42億円に増資、4月に技術研究所を社内組織として設置した。1998年10月、株式会社クロスウェイブ コミュニケーションズを通信キャリア事業の合弁会社として設立、これが5年後の経営危機につながる。1999年8月、米国ナスダック市場にADRを登録、日本企業として早期のナスダック上場で米国機関投資家からの資金調達ルートを得た。 [5][6][7][8][9][10]

  • インターネットイニシアティブ 有価証券報告書【沿革】
    • [5]1996年3月 米国子会社IIJ America Inc.を設立(日米間バックボーン構築の起点)
    • [6]1996年11月 SI事業を担うアイアイジェイテクノロジーを設立
    • [7]1997年9月 NTTと合弁でインターネットマルチフィード㈱を設立(IX運用基盤)
    • [8]1998年2月 地域関連会社5社を吸収合併し資本金8.42億円に増資/4月 技術研究所を社内組織として設置
    • [9]1998年10月 ㈱クロスウェイブ コミュニケーションズを通信キャリア事業の合弁会社として設立
    • [10]1999年8月 米国ナスダック市場にADRを登録
  • インターネットイニシアティブ 有価証券報告書【沿革】
    • [1]1992年12月 ㈱インターネットイニシアティブ企画として東京都千代田区に資本金1,800万円で設立
    • [3]1993年5月 社名を㈱インターネットイニシアティブに変更/同年7月 商用インターネット接続サービス提供開始
    • [4]1994年2月 郵政省(現総務省)より特別第二種電気通信事業者として登録認可を取得
    • [5]1996年3月 米国子会社IIJ America Inc.を設立(日米間バックボーン構築の起点)
    • [6]1996年11月 SI事業を担うアイアイジェイテクノロジーを設立
    • [7]1997年9月 NTTと合弁でインターネットマルチフィード㈱を設立(IX運用基盤)
    • [8]1998年2月 地域関連会社5社を吸収合併し資本金8.42億円に増資/4月 技術研究所を社内組織として設置
    • [9]1998年10月 ㈱クロスウェイブ コミュニケーションズを通信キャリア事業の合弁会社として設立
    • [10]1999年8月 米国ナスダック市場にADRを登録
  • NTT東日本 BizDrive(2025年12月9日)
    • [2]創業者は鈴木幸一

クロスウェイブ破綻と「NTT傘下入り」── 創業以来最大の危機

2003年8月、持分法適用関連会社クロスウェイブ コミュニケーションズが会社更生手続開始を申し立てた。1998年に通信キャリアとして合弁設立した同社は、ITバブル期の通信キャリア向け過剰投資の中で資金繰りが詰まり、IIJの連結業績にも持分法投資損失として波及した。同年9月、IIJは第三者割当増資により120億円を調達して資本金を137.65億円に増資、主要引受先がNTTとなり、IIJはNTTの持分法適用関連会社入りした。クロスウェイブ破綻の財務インパクトを資本注入で乗り切る判断であると同時に、創業以来の独立路線がNTT系列入りという資本構造へ移った転換点でもある。同年12月、クロスウェイブはNTTコミュニケーションズへ営業譲渡契約を締結し、通信キャリア事業からの撤退が確定した。 [11][12][13][14]

  • インターネットイニシアティブ 有価証券報告書【沿革】
    • [11]2003年8月 持分法適用関連会社クロスウェイブ コミュニケーションズが会社更生手続開始を申立
    • [12]2003年9月 第三者割当増資で120億円を調達し資本金137.65億円に増資・主要引受先NTT・NTT持分法適用関連会社入り
    • [13]2003年12月 クロスウェイブがNTTコミュニケーションズへ営業譲渡契約を締結
    • [14]クロスウェイブは1998年に通信キャリアとして合弁設立された会社

クロスウェイブ事件は、IIJに3つの教訓を残した。第一に、合弁子会社の通信キャリア事業のように資本集約度が高く回収期間が長い投資はIIJ本体の財務体力で支えきれないこと。第二に、ITバブル期の業界全体の楽観に乗った設備投資は需要のサイクルが下振れたときに回収困難に陥ること。第三に、米国市場で得たADRの資本調達ルートだけでは100億円規模の減損ショックを吸収しきれず、国内事業会社からの追加資本注入が必要となること、である。NTTからの増資受け入れは、独立系ISPとしての創業期コンセプトと矛盾する側面を抱えつつも、財務再建のための不可避な選択として実行された。鈴木幸一社長は『振り返れば、思い半ばどころか後悔8割』[引用元](日経ビジネス 2019年10月)と当時の経営判断を後年に振り返っている。

  • インターネットイニシアティブ 有価証券報告書【沿革】
    • [11]2003年8月 持分法適用関連会社クロスウェイブ コミュニケーションズが会社更生手続開始を申立
    • [12]2003年9月 第三者割当増資で120億円を調達し資本金137.65億円に増資・主要引受先NTT・NTT持分法適用関連会社入り
    • [13]2003年12月 クロスウェイブがNTTコミュニケーションズへ営業譲渡契約を締結
    • [14]クロスウェイブは1998年に通信キャリアとして合弁設立された会社

API for AI Agents — 認証不要、URLをGETするだけで機械可読なJSONをトークン消費を抑えつつ取得できます。

インターネットイニシアティブの沿革1992〜2023年における主な出来事を抜粋

時代年月社長・CEO出来事重要度
1992〜2003年日本初の商用ISP創業からクロスウェイブ経営危機まで「商用ISPが存在しない国」でのインターネットイニシアティブ創業

1992年12月、インターネットを商用で提供する事業者が国内に一社も存在しないなか、鈴木幸一氏らが株式会社インターネットイニシアティブ企画を設立し、日本の商用インターネット接続事業を開いた経営判断。

詳細を読む
★★★
社名をインターネットイニシアティブに変更
インターネット接続サービスの提供を開始★★
鈴木幸一子会社IIJ America Inc.を設立
鈴木幸一日本電信電話と合弁でインターネットマルチフィードを設立
鈴木幸一クロスウェイブ コミュニケーションズを設立
鈴木幸一ナスダック市場にADRを登録し資本金7,082百万円に増資★★
鈴木幸一IPv6によるインターネット接続サービスを開始
鈴木幸一持分法適用関連会社クロスウェイブ コミュニケーションズが会社更生手続開始の申立★★
鈴木幸一クロスウェイブ破綻とNTTグループからの増資受け入れ

2003年、合弁で設立した通信キャリア、クロスウェイブ コミュニケーションズの会社更生申立てを受け、IIJが第三者割当増資でNTTグループから120億円を調達し、その持分法適用関連会社となった資本政策。

詳細を読む
★★★
鈴木幸一クロスウェイブ コミュニケーションズがNTTコミュニケーションズへ営業譲渡契約を締結
2004〜2018年上場・MVNO・クラウド ── 第二の創業期と勝栄二郎社長への承継鈴木幸一東京証券取引所マザーズ市場に上場し資本金16,834百万円に増資
鈴木幸一資本準備金・資本金の額の減少(無償減資)により繰越損失を解消★★
鈴木幸一ハイホーを子会社化
鈴木幸一トラストネットワークスを設立
鈴木幸一MVNO形態にて法人向けモバイルデータ通信サービスの提供を開始★★
鈴木幸一IIJイノベーションインスティテュートを設立
鈴木幸一クラウドコンピューティングサービス「IIJ GIO」の提供を開始★★
鈴木幸一AT&TジャパンLLCの新設子会社を完全子会社化
鈴木幸一外気冷却コンテナ型データセンターを開設
鈴木幸一フロー型のISP接続から法人ストック型への事業モデル転換

2003年のクロスウェイブ破綻とNTT傘下入りを転機に、IIJが回収の読めないフロー型投資から、契約が月々積み上がる法人ストック型へと『稼ぎ方』を組み替えた事業モデル転換。2008年のMVNO、2009年のクラウド、2011年のデータセンター、2012年の個人向けSIMを軸に据えた。

詳細を読む
★★★
勝栄二郎公募増資により資本金21,835百万円に増資
勝栄二郎日本テレビ放送網と合弁でJOCDNを設立
勝栄二郎個人向け固定インターネット接続を主とする完全子会社ハイホーの全株式を譲渡
勝栄二郎大手金融機関他18社と合弁でディーカレットを設立
勝栄二郎国内初のフルMVNOとして「IIJモバイルサービス/タイプI」を提供開始★★
2019年〜法人ストック型構造増益と「第二の創業期」── 谷脇社長承継へ(2019〜現在)勝栄二郎ナスダック市場におけるADRを上場廃止
勝栄二郎国内初のeSIM対応モバイルデータ通信サービスを開始
勝栄二郎PTC SYSTEM(S) LTDを完全子会社化
勝栄二郎欧州監督機関より拘束的企業準則(BCR)の承認を取得
勝栄二郎クラウドサービス「IIJ GIOインフラストラクチャーP2 Gen.2」の提供を開始
勝栄二郎クラウドサービス「IIJ GIOインフラストラクチャーP2」がISMAP登録
勝栄二郎ディーカレットHDが暗号資産事業を売却しデジタル通貨事業に専念
勝栄二郎東京証券取引所東京証券取引所プライム市場に移行
勝栄二郎NTTグループ傘下からの離脱とKDDIとの資本業務提携

2023年5月、IIJの筆頭株主であったNTTグループが保有株の一部をKDDIへ売却し、IIJはKDDIと資本業務提携を締結した。NTTグループとKDDIが各11.5%で同率の第一位株主となり、IIJは2003年以来のNTTの持分法適用関連会社から外れた資本政策である。

詳細を読む
★★★
出典・参考
  • インターネットイニシアティブ 有価証券報告書【沿革】
  • インターネットイニシアティブ 有価証券報告書
  • 東洋経済オンライン(東洋経済新報社, 2025年4月)
  • 日本経済新聞(日本経済新聞社, 2024年12月)
  • NTT東日本 BizDrive(2025年12月9日)
  • IIJ.news Vol.188(インターネットイニシアティブ, 2025年6月)

免責事項およびポリシー