みずほフィナンシャルグループ委員会設置会社へ移行:監督と経営を分け、社外取締役を中心とする3委員会へ統治を組み替えた機関設計の転換
更新:
- 概要
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2014年6月24日の定時株主総会で定款の変更が決議され、みずほフィナンシャルグループは同日付で監査役会設置会社から委員会設置会社へ移行した。取締役会は13名のうち6名を社外取締役とし、議長には社外取締役の大田弘子氏が就任した。指名・報酬の両委員会は委員長を含む全員が社外取締役で、監査委員会は5名のうち3名が社外取締役となる。
移行に伴い監査役5名(うち社外3名)が同日付で退任し、法令上の専決事項以外の業務執行の決定は、グループCEOである執行役社長へ原則として委任された。
- 背景
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2013年9月27日、みずほ銀行は信販会社との国内の一部提携ローンにおける反社会的勢力との取引に関連し、経営管理態勢、内部管理態勢、法令等遵守態勢に重大な問題点が認められたとして金融庁から業務改善命令を受けた。さらに同年12月26日、その後の金融庁検査における報告内容を踏まえ、持株会社とみずほ銀行の双方が業務改善命令を受ける。みずほ銀行に対するものは当該提携ローンの業務一部停止を含んでいた。
2013年10月28日と2014年1月17日に提出した業務改善計画は、反社会的勢力との関係遮断の一層の強化とともに、グループガバナンスの一層の高度化を掲げていた。
- 内容
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移行前は監査役会設置会社で、取締役12名のうち社外はわずか3名、指名委員会と報酬委員会は取締役会の諮問機関にとどまっていた。移行後は取締役会の過半数を社外取締役と社内非執行取締役が占め、監督と業務執行が分かれる。
指名委員会の権限は自社にとどまらない。株主総会に提出する取締役の選解任議案を決めるほか、みずほ銀行・みずほ信託銀行・みずほ証券という中核子会社3社の取締役の選解任と、代表取締役の選定・解職までを持株会社として承認する。法定の3委員会のほかに人事検討会議・リスク委員会・社外取締役会議を置き、反社会的勢力への対応を専門に担う反社取引排除委員会も経営政策委員会として設けた。
- 含意
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委員会設置会社を選んだ理由として挙げたのは、執行役が業務執行を迅速に進める一方で取締役会が監督に徹せること、社外者の視点でチェックアンドバランス機能を確保できること、そしてG-SIFIsの一角をなす金融グループとして業界をリードすべき立場にあり、グローバルに要求されているガバナンス体制に呼応することであった。
社外取締役の比率は3分の1から46%へ上がり、2015年6月にはコーポレートガバナンス・コードの全原則を実施すると表明する。もっとも、この体制のもとで2021年にシステム障害が相次ぎ、再び二度の業務改善命令を受けた。
人事の決定権を、社外へ預けた
この移行の芯は、機関設計の看板を替えたことではなく、人事の決定権を社外へ預けた点にある。指名委員会は自社の取締役候補を決めるだけでなく、みずほ銀行・みずほ信託銀行・みずほ証券の取締役の選解任と代表取締役の選定までを承認する。旧3行の均衡を保つ人事が統合以来の宿痾であったことを思えば、その配分を委員長も委員も全員が社外という場へ移した意味は重い。反社会的勢力との取引で二度の命令を受けた直後に、法令遵守の手続きではなく人事の器を組み替えたところに、この判断の踏み込みがうかがえる。
もっとも、器は中身を保証しない。社外取締役の比率が3分の1から46%へ上がり、コーポレートガバナンス・コードの全原則を実施すると表明したその体制のもとで、2021年には障害が相次ぎ、再び二度の業務改善命令を受けた。監督の側に社外を積み増しても、執行の現場で何が起きているかが届かなければ、委員会は形だけ整った会議体になる。統治の設計を先に済ませたことが、かえって「仕組みは直した」という安心を生んだのではないか。
Yutaka Sugiura, 2026年9月
経緯と対応
| 科目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 一度目の業務改善命令 | 2013年9月27日 | みずほ銀行が信販会社との国内の一部提携ローンにおける反社会的勢力との取引に関して受けた |
| 二度目の業務改善命令 | 2013年12月26日 | 持株会社とみずほ銀行の双方が対象。銀行には当該提携ローンの業務一部停止を含む |
| 業務改善計画の提出 | 2013年10月28日と2014年1月17日 | 反社会的勢力との関係遮断の一層の強化と、グループガバナンスの一層の高度化を掲げた |
| 移行の決議 | 2014年6月24日 | 定時株主総会で定款の変更が決議され、同日付で委員会設置会社へ移行した |
| 移行前の機関設計 | 監査役会設置会社 | 取締役12名のうち社外は3名。指名委員会・報酬委員会は取締役会の諮問機関にとどまった |
| 監査役の退任 | 5名(うち社外3名) | 2014年6月24日付。監査役会の廃止に伴うもの |
| 取締役会の構成 | 13名(うち女性1名) | 社外取締役6名、社内非執行取締役2名、執行役を兼務する取締役5名。過半数を非執行とする |
| 取締役会議長 | 社外取締役の大田弘子氏 | 原則として社外取締役(少なくとも非執行取締役)とする。副議長は高橋秀行氏 |
| 指名委員会 | 4名全員が社外取締役 | 委員長は大橋光夫氏。中核子会社3社の取締役の選解任と代表取締役の選定も承認する |
| 報酬委員会 | 4名全員が社外取締役 | 委員長は甲斐中辰夫氏。取締役・執行役の個人別の報酬と役員報酬の基本方針を決める |
| 監査委員会 | 5名のうち社外取締役3名 | 委員長は高橋秀行氏。社内非執行取締役2名を常勤の監査委員とする |
| 業務執行の委任 | 執行役社長へ原則委任 | 法令上の専決事項以外の業務執行の決定を、グループCEOである執行役社長に委ねる |
| 法定外の会議体 | 人事検討会議・リスク委員会・社外取締役会議 | 執行役等の選任案の審議、リスクガバナンスへの助言、社外取締役と社長の討議の場 |
| 反社取引排除委員会 | 経営政策委員会として設置 | 持株会社、みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券に置き、グループ全体で連携する |
出所:みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書 第12期(2014年3月期)【役員の状況】【事業等のリスク】【コーポレート・ガバナンスの状況】・第13期(2015年3月期)【役員の報酬等】
みずほフィナンシャルグループ:取締役会の構成
| (人) | 取締役 | うち社外取締役 | 監査役 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2010年3月期 | 9 | 3 | 5 | 各期の有価証券報告書提出日現在の員数。社外監査役3名を含む監査役会を置いていた |
| 2011年3月期 | 9 | 3 | 5 | |
| 2012年3月期 | 9 | 3 | 5 | |
| 2013年3月期 | 12 | 3 | 5 | みずほ銀行とみずほコーポレート銀行の合併に備え、取締役が9名から12名へ増えた |
| 2014年3月期 | 13 | 6 | − | 2014年6月24日に委員会設置会社へ移行。提出日現在は移行後の体制で、監査役を置かない |
| 2015年3月期 | 13 | 6 | − | 取締役13名の内訳は社外6名、社内非執行2名、執行役を兼務する取締役5名 |
| 2016年3月期 | 13 | 6 | − | |
| 2017年3月期 | 13 | 6 | − | 女性の取締役が1名から2名へ増えた |
| 2018年3月期 | 14 | 6 | − | 社内非執行取締役が2名から3名へ増え、取締役は14名となった |
| 2019年3月期 | 14 | 6 | − | |
| 2020年3月期 | 13 | 6 | − |
出所:みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書 第8〜18期(役員の状況・コーポレート・ガバナンスの状況)
同じ問いに直面した会社
- 金融庁(2013年12月26日)「みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分について」
- みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書「第12期(2014年3月期)【事業等のリスク】」
- みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書「第12期(2014年3月期)【対処すべき課題】」
- みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書「第12期(2014年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況】」
- みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書「第12期(2014年3月期)【役員の状況】」
- みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書「第13期(2015年3月期)【役員の報酬等】」
- みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書「第13期(2015年3月期)【対処すべき課題】」
- みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書「第8〜18期(役員の状況・コーポレート・ガバナンスの状況)」