みずほフィナンシャルグループ MINORI障害の頻発 度重なるシステム障害と行政処分——経営責任とガバナンス改革への転換
更新:
何をなぜ決めたか
- 概要
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2021年2月以降、次世代基幹システム「MINORI」を動かすみずほ銀行で複数のシステム障害が発生し、営業部店やATMでの取引、インターネットバンキング取引、内為・外為取引等が一部不能となった。金融庁は9月22日と11月26日の二度にわたり銀行法にもとづく業務改善命令を発し、11月26日には財務省が外為法にもとづく是正措置命令をみずほ銀行に出している。
みずほは障害を技術の不具合ではなく経営と企業風土の問題として引き取り、執行役の辞任・解任と、再発防止・ガバナンス改革に着手した。
- 背景
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3行統合以来の懸案だった勘定系を刷新したMINORIのもとで、2021年2月28日から同年3月12日にかけて複数の障害が起き、ATM・インターネットバンキング取引や外為取引等が一部不能となった。8月20日の障害はみずほ信託銀行にも及んでいる。
取締役会は、みずほフィナンシャルグループとみずほ銀行に利害関係を有しない外部の識者・専門家から成る独立した調査委員会を設置し、再発防止策の策定を検証するため社外取締役のみの検証委員会も置いた。2021年6月に調査報告書を受領し、その評価・提言を踏まえた原因究明・再発防止の総括を公表している。
- 内容
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11月26日、金融庁が銀行法第52条の33第1項及び同法第26条第1項にもとづく業務改善命令を、財務省が外為法第17条にもとづく是正措置命令を発した。みずほ銀行は12月17日に改善・再発防止策の策定及び監査態勢の整備等に係る報告書を財務省へ提出し、みずほフィナンシャルグループとみずほ銀行は2022年1月17日に業務改善計画を金融庁へ提出している。
執行役は2021年11月26日付で1名、2022年1月17日付で1名が辞任し、2022年2月1日付で1名が解任された。後任には木原正裕氏が2022年2月、執行役社長グループCEOとして就任している。
- 含意
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業務改善計画の実施状況は2022年3月末を初回として3か月ごとに報告され、2024年1月15日の報告書をもって金融庁への定期報告は終了した。執行側のシステム障害改善対応推進委員会と、社外取締役のみで構成する監督側のシステム障害対応検証委員会は残り、検証委員会は2021年度に7回、2022年度に9回開いている。
直撃を受けたリテール・事業法人カンパニーの業務純益は、障害の年度の425億円から命令の年度には964億円へ伸びた。統合の完成が技術ではなく人と文化で決まるという課題は残っている。
いつ何が起きたか 8件
筆者の見解
「システムの問題」を「経営の問題」と言い切れたか
この判断の芯は、技術の不具合として片づけられたはずの障害を、経営と企業風土の問題として引き受けた点にある。原因究明を外部の識者・専門家に委ね、その提言を総括として自ら公表し、執行役3名が辞任・解任で退いた——巨額投資の失敗を認めるのとは別種の、扱いにくい責任の取り方であった。2002年、2011年と同じ轍を踏んだうえで、原因をシステムそのものではなく組織の側に見定めた点に、この決断の踏み込みがうかがえる。
もっとも、風土は号令だけでは変わらない。3行併存が生んだ縦割りと、上へ物を言わない空気は、勘定系を統合し直してなお残った。2024年1月15日の報告で定期報告が終わり、リテール・事業法人カンパニーの業務純益も425億円から964億円へ戻ったが、それが仕組みの手直しにとどまるのか、意思決定の質そのものを変えたのかは、次の危機でしか確かめようがない。統合の完成は技術ではなく人と文化で決まる——20年越しのその問いを、みずほはなお背負っていると推察される。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
業績の推移
経緯と対応
経緯と対応
| 科目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 障害の発生 | 2021年2月28日から同年3月12日 | みずほ銀行で複数のシステム障害。ATM・インターネットバンキング取引や外為取引等が一部不能となった |
| 障害の広がり | 2021年2月以降 | 営業部店やATMでの取引、内為・外為取引等が一部不能に。8月20日の障害はみずほ信託銀行も含む |
| 調査委員会の設置 | 2021年3月 | 取締役会が、持株会社と銀行の双方に利害関係を有しない外部の識者・専門家から成る委員会を設置した |
| 検証委員会の設置 | 2021年3月 | 社外取締役のみで構成し、再発防止策の策定の検証を担う |
| 調査報告書の受領 | 2021年6月 | システム障害特別調査委員会の評価・提言を踏まえ、原因究明・再発防止にかかる総括を公表した |
| 一度目の業務改善命令 | 2021年9月22日 | 銀行法第52条の33第1項及び同法第26条第1項にもとづき金融庁が発出 |
| 二度目の業務改善命令 | 2021年11月26日 | 同じ条項にもとづく。持株会社とみずほ銀行の双方が対象となった |
| 是正措置命令 | 2021年11月26日 | 外為法第17条にもとづく銀行等の確認義務の履行に関し、財務省がみずほ銀行に発出 |
| 是正措置命令への報告 | 2021年12月17日 | みずほ銀行が改善・再発防止策の策定及び監査態勢の整備等に係る報告書を財務省へ提出 |
| 業務改善計画の提出 | 2022年1月17日 | みずほフィナンシャルグループとみずほ銀行が金融庁へ提出した |
| 推進・検証の体制 | 2021年6月15日に公表 | 執行側にシステム障害改善対応推進委員会、監督側に社外取締役のみの同対応検証委員会を設置した |
| 執行役の辞任・解任 | 2021年度に3名 | 2021年11月26日付で1名、2022年1月17日付で1名が辞任。2022年2月1日付で1名が解任された |
| 社長の交代 | 2022年2月 | 木原正裕氏が執行役社長グループCEOに就任。2022年6月から取締役兼執行役社長グループCEO |
| 実施状況の報告 | 3か月ごと | 2022年3月末の実施状況を初回として継続。検証委員会は2021年度に7回、2022年度に9回開催した |
| 定期報告の終了 | 2024年1月15日 | この報告書の提出をもって、金融庁への定期報告は終了となった |
出所:みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書 第19期(2021年3月期)【事業等のリスク】【対処すべき課題等】・第20期(2022年3月期)【事業等のリスク】【コーポレート・ガバナンスの状況等】・第22期(2024年3月期)【事業等のリスク】
リテール・事業法人カンパニーの業績
みずほフィナンシャルグループ:リテール・事業法人カンパニーの業績
| (百万円) | RBC業務粗利益 | RBC経費 | RBC業務純益 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2017年3月期 | 646,100 | 678,300 | △32,200 | この期と翌期は億円単位で開示された。百万円へ換算している |
| 2018年3月期 | 726,200 | 723,300 | 15,600 | |
| 2019年3月期 | 707,151 | 713,735 | 11,183 | |
| 2020年3月期 | 673,572 | 668,435 | 16,536 | |
| 2021年3月期 | 679,878 | 640,566 | 42,502 | 2021年2月28日から3月12日にかけて障害が起きた期 |
| 2022年3月期 | 713,625 | 620,956 | 96,437 | 二度の業務改善命令と是正措置命令を受け、執行役3名が退いた期 |
| 2023年3月期 | 704,010 | 611,572 | 73,331 | |
| 2024年3月期 | 749,224 | 651,128 | 105,046 | 2023年4月に組織の一部と配賦方法を見直した期。前期とは連続しない |
| 2025年3月期 | 832,192 | 702,186 | 140,456 | 2024年4月に各セグメント間の配賦方法を見直した期 |
| 2026年3月期 | 984,610 | 756,663 | 237,515 |
出所:みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書 第15〜24期(セグメント情報等)
同じ問いに直面した会社
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参考文献
- 金融庁(2021年11月26日)「みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分について」
- みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書「第19期(2021年3月期)【事業等のリスク】」
- みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書「第19期(2021年3月期)【対処すべき課題等】」
- みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書「第20期(2022年3月期)【事業等のリスク】」
- みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書「第20期(2022年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】」
- みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書「第22期(2024年3月期)【事業等のリスク】」
- みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書「第15〜24期(セグメント情報等)」