みずほフィナンシャルグループの直近の業績・経営課題と展望
みずほフィナンシャルグループの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望
三行併存の積み残しを技術から文化と人事制度へ持ち越した統合作業
創業者の安田善次郎氏が1864年に開いた日本橋の両替店、1902年発足の特殊銀行・日本興業銀行、1971年合併の都銀第一勧銀──性格の異なる3行は1990年代末に単独で存続できる経営基盤を失い、2000年9月に世界最大級のメガバンクとして発足した。ところが2002年4月の勘定系切替障害、2011年3月の震災義援金処理障害、2021年からの8回連発障害と、3行併存期に残った縦割り運営が断続的に表面化し、4000億円超を投じた次期勘定系システムMINORIへの2019年全面移行で技術統合を完遂しても、3行間の組織文化統合は手付かずで残った。
2022年2月に就任した木原正裕氏は、風土・人事・業務プロセスの三位一体改革を最重要課題に置き、Group CCuOを新設し同職に全社の組織開発を担わせた。社員参加型のワーキンググループ4本に約140人が有志で参加し、対話形式で論点整理と経営提言を行った。2023年5月発表の中期経営計画では業務純利益1〜1.1兆円、親会社株主純利益7000億円台半ば、サステナブルファイナンス累計100兆円という3つの数値目標を5カ年で据え、銀信証一体のOne Mizuhoを統合方針として再提示した。
2023年に米M&AアドバイザリーGreenhillを買収して約370名のM&A人員を獲得し、米州CIBで銀行貸出と社債引受からM&Aアドバイザリーまで自前完結する体制を整えた。2024年導入の新人事制度〈かなで〉では銀行・信託・証券間で水準が異なっていた同一職務の給与をグループ共通基準でそろえ、関連コスト約200億円を全額人件費増として計上した。2024年3月期は経常収益8兆7445億円・純利益6790億円、2025年3月期は9兆303億円・8854億円と2期連続で過去最高益を更新し、政策保有株式は3年間で3000億円規模の削減計画に沿って進捗した。
みずほFGの統合作業は技術更改と組織文化変革の二段階で進んできた。2002年・2011年・2021年と20年にわたる障害連発は3行併存期の縦割りが構造課題であることを示し、MINORI稼働で形式上の技術統合は終わったものの、意思決定の遅さと文化の分断は残った。木原社長は米州CIBと国内金利上昇で得た過去最高益の収益を〈かなで〉とカルチャー変革の原資に投入する経営判断を下した。発足から四半世紀、みずほFGは技術から文化・人事制度へ統合作業の主戦場を移し、3行併存に起源を持つ構造課題の決着段階に入っている。
みずほフィナンシャルグループの業績推移直近10ヵ年・有価証券報告書をもとに作成(XBRLよりデータ取得)
| 項目 | 単位 | FY152016/3 | FY162017/3 | FY172018/3 | FY182019/3 | FY192020/3 | FY202021/3 | FY212022/3 | FY222023/3 | FY232024/3 | FY242025/3 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 損益計算書 (PL) | |||||||||||
| 売上高YoY | 億円 | 32,153+1.1% | 32,929+2.4% | 35,611+8.1% | 39,256+10.2% | 39,867+1.6% | 32,181−19.3% | 39,631+23.2% | 57,788+45.8% | 87,445+51.3% | 90,304+3.3% |
| 売上原価 | 億円 | 22,177 | 25,554 | 27,787 | 33,115 | 33,488 | 26,818 | 34,032 | 49,892 | 78,304 | 78,622 |
| 売上総利益 | 億円 | 9,975 | 7,375 | 7,824 | 6,141 | 6,379 | 5,363 | 5,598 | 7,896 | 9,140 | 11,681 |
| 販管費 | 億円 | 13,496 | 14,672 | 14,890 | 14,309 | 13,784 | 14,146 | 13,929 | 14,453 | 16,640 | 18,407 |
| 営業利益YoY | 億円 | 9,975−1.3% | 7,375−26.1% | 7,824+6.1% | 6,141−21.5% | 6,379+3.9% | 5,363−15.9% | 5,598+4.4% | 7,896+41.0% | 9,140+15.8% | 11,681+27.8% |
| 経常利益YoY | 億円 | 9,975−1.3% | 7,375−26.1% | 7,824+6.1% | 6,141−21.5% | 6,379+3.9% | 5,363−15.9% | 5,598+4.4% | 7,896+41.0% | 9,140+15.8% | 11,681+27.8% |
| 当期純利益YoY | 億円 | 6,709+9.6% | 6,035−10.0% | 5,765−4.5% | 966−83.3% | 4,486+364.5% | 4,710+5.0% | 5,305+12.6% | 5,555+4.7% | 6,790+22.2% | 8,854+30.4% |
| 貸借対照表 (BS) | |||||||||||
| 自己資本比率 | % | 4.2 | 4.3 | 4.4 | 4.4 | 4.0 | 4.1 | 3.8 | 3.6 | 3.7 | 3.7 |
| 有利子負債比率 | % | 3.2 | 3.8 | 3.7 | 4.2 | 4.1 | 4.6 | 4.5 | 4.5 | 4.3 | 4.5 |
| キャッシュフロー (CF) | |||||||||||
| 営業CF | 億円 | 41,042 | 46,901 | 29,667 | -26,361 | 19,019 | 166,132 | 49,172 | 88,672 | 18,850 | -38,208 |
| 投資CF | 億円 | 36,879 | 57,964 | -23,162 | 54,872 | -58,085 | -97,637 | -18,605 | 66,057 | 19,822 | 37,931 |
| 財務CF | 億円 | -5,210 | -245 | 1,500 | -186 | -2,818 | 408 | -5,221 | -6,111 | -2,310 | -2,990 |
| 従業員 | |||||||||||
| 連結従業員数 | 人 | 56,375 | 59,179 | 60,051 | 59,132 | 57,264 | 54,492 | 52,420 | 51,212 | 52,307 | 52,554 |
| 単体従業員数 | 人 | 1,318 | 1,359 | 1,526 | 1,664 | 1,677 | 1,949 | 2,072 | 2,270 | 2,457 | 2,626 |
| 平均年収(単体) | 万円 | 970 | 990 | 987 | 911 | 968 | 993 | 1,044 | 1,038 | 1,073 | 1,117 |
IR資料直近5ヵ年
決算説明会資料
| 年度 | 経営の振り返り | 報告資料 |
|---|---|---|
| FY25 | 中計(2023-2025)の財務目標を1年前倒し達成、新たな中期財務目標を設定。「Greenhill」買収で米国IB完成、「楽天証券」「Golub Capital」「楽天カード」へのアライアンス・出資進捗、欧州拠点網再編・海外カストディ譲渡・BK/RT統合などポートフォリオ最適化を実行。政策保有株式削減▲1,900億円超。 | 2024年度決算 会社説明会 本編 https://www.mizuho-fg.co.jp/investors/financial/briefing/pdf/20250520_1.pdf |
| FY24 | 中期経営計画目標(業務純益1〜1.1兆円)への到達を前倒し、24年度業務純益計画10,700億円。新中期経営計画の前提となる金融指標を更新(日本国債10年利回り0.95%、日経平均30,000円、ドル円120円)、政策保有株式削減と成長投資への振替を継続。 | 2023年度決算 会社説明会 本編 https://www.mizuho-fg.co.jp/investors/financial/briefing/pdf/20240520_1.pdf |
| FY23 | FY23通期の業績報告。特記すべき構造的トピックなし。 | 2022年度決算 会社説明会 本編 https://www.mizuho-fg.co.jp/investors/financial/briefing/pdf/20230522_1.pdf |
| FY22 | 構造改革による経費削減と政策保有株式削減取り組みを継続。19/3末〜22/3末の削減実績は▲3,425億円。累進的配当を基本に、自己株式取得は業績・資本・株価・成長投資機会を勘案して機動的に実施する方針を体系化。トレーディングブック統合でプライス提示力向上。 | 2021年度決算 会社説明会 本編 https://www.mizuho-fg.co.jp/investors/financial/briefing/pdf/20220518_1.pdf |
| FY21 | 木原体制初年度。抜本的構造改革の進捗を主題化、注力分野への投資増を構造改革で吸収、海外コスト構造改革▲30億円を計上。政策保有株式削減取り組み継続、CET1比率の目指す水準を再整理。 | 2020年度決算 会社説明会 本編 https://www.mizuho-fg.co.jp/investors/financial/briefing/pdf/20210519_1.pdf |
ファクトシート
| 年度 | 経営の振り返り | 報告資料 |
|---|---|---|
| FY25 | FY25通期の業績報告。特記すべき構造的トピックなし。 | 補足編 https://www.mizuho-fg.co.jp/investors/financial/briefing/pdf/20250520_2.pdf |
| FY24 | FY24通期の業績報告。特記すべき構造的トピックなし。 | 補足編 https://www.mizuho-fg.co.jp/investors/financial/briefing/pdf/20240520_2.pdf |
アニュアルレポート / 統合報告書
| 年度 | 経営の振り返り | 報告資料 |
|---|---|---|
| FY26 | 統合報告書(兼ディスクロージャー誌)。「経済・社会とともに価値を創造する」みずほの価値創造ストーリーを中軸に再整理、副社長メッセージ・価値創造のための資本構造を体系化。 | 統合報告書(ディスクロージャー誌)2025 https://www.mizuho-fg.co.jp/investors/disclosure/pdf/data25d_all.pdf |
| FY25 | 中期経営計画(2023-2025)の概要と進捗総括号。〈みずほ〉の価値創造ストーリーをマテリアリティと結び付け、国際統合報告フレームワーク準拠の体系で整理。 | 統合報告書(ディスクロージャー誌)2024 https://www.mizuho-fg.co.jp/investors/disclosure/pdf/data24d_all.pdf |
| FY24 | 新中期経営計画(2023-2025)の発表号。「成長戦略と中期経営計画」の特集を中軸に、デジタルトランスフォーメーション・サイバーセキュリティを重点領域として設定。 | ディスクロージャー誌 2023 https://www.mizuho-fg.co.jp/investors/disclosure/pdf/data23d_all.pdf |
| FY23 | 中計(2019-2022)終盤の進捗報告書。価値創造ストーリーの整理と、人材・組織・データセクションの体系化を進める。 | ディスクロージャー誌 2022 https://www.mizuho-fg.co.jp/investors/disclosure/pdf/data22d_all.pdf |
| FY22 | みずほの統合報告書として国際統合報告フレームワークに沿った価値創造ストーリーの初年度整理号。重要性・簡潔性を編集方針に据える。 | ディスクロージャー誌 2021 https://www.mizuho-fg.co.jp/investors/disclosure/pdf/data21d_all.pdf |