抜本的構造改革への着手(2017年・みずほFGの決断)

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論点 人員削減を採用抑制で進めるか
みずほFG:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)
約8万人の人員と約500拠点から、1.9万人と100拠点を削る10年計画

何をなぜ決めたか:約8万人の人員と約500拠点から、1.9万人と100拠点を削る10年計画

概要

2017年11月、10年後を見据えたグループの持続的成長と将来の競争優位性確保に向けて、抜本的構造改革の原案を公表した。2017年3月末に約8万人いた人員を2026年度までに約1.9万人、約500あった国内拠点を2024年度までに約100拠点減らす。2017年度に1.45兆円だったグループ合算の経費は、次期システム関連償却費を除いた削減額で2021年度までに1,000億円程度、2024年度までに1,000億円台半ばを目指す。

佐藤康博社長は 『抜本的構造改革は、人員・店舗の削減等を通じた経費の削減自体を目的とするのではなく、基礎的収益力を強化するための取り組みでなければならない』 と、削減それ自体を目的に置いていない。

背景

2018年3月期の連結粗利益は前連結会計年度比1,773億円減の1兆9,153億円まで落ち、うち資金利益が604億円減の8,073億円と最も削られた。一方で営業経費は217億円増えて1兆4,889億円となり、粗利益の8割近くを経費が食う形になった。

中期経営計画に掲げた財務目標のうち、グループ経費率60%程度(次期システム等関連経費を除き50%台後半)の達成は難しい状況にあった。マイナス金利の長期化で利ざやが細るなか、店舗と人員という固定費を抱えたままでは収益体質が立ち直らない。

内容

削減の手立ては希望退職ではない。人員構造を踏まえた退職動向を見極めつつ、グループ全体での採用数の最適化によって人員をしぼり、フロント人員は人材の確保・育成とバック・本部からの人員シフトで質・量を上げる。拠点は全国を約120エリアにグルーピングし、中核となるハブ拠点と少人数・軽量のスポーク拠点を組み合わせた体制へ組み替える。

2018年度は約1,300人相当の効率化を計画し、うち約600人をフロントへ移し約700人を減らす。拠点は2017年度に実施した11拠点と合わせ、2017〜2018年度の累計で19拠点を削る計画とした。

含意

2019年度の実績は人員が約0.4万人減(計画は約0.3万人減)、国内拠点が38拠点減で計画通り、経費は890億円減(計画は580億円減)と、いずれも計画を上回った。最終目標は国内拠点が2024年度に約130拠点減、経費が2023年度に約1,400億円減へ引き上げられている。

連結従業員数は2018年3月末の60,051人から2023年3月末の51,212人へ縮み、営業経費は同じ期間に1兆4,889億円から1兆4,452億円へ。連結粗利益が2兆2,784億円まで戻ったことで、粗利益に対する営業経費の比率は77.7%から63.4%へ下がった。

いつ何が起きたか 6件
考察:分母を軽くする改革だった
考察

考察:分母を軽くする改革だった

この判断は人員削減の計画として語られやすいが、実態は収益体質の分母を軽くする決めごとであった。計画が置いた約8万人・約500拠点・1.45兆円という3つの数字は、いずれも2017年3月末と2017年度の実績で、削る先を10年先まで引いている。希望退職を使わず、退職動向を見極めた採用数の最適化で減らすという設計は、雇用を守る配慮であると同時に、効果が出るまでの時間を自ら長く取ることでもあった。10年という期限は、そこから逆算された数字だろう。

もっとも、分子である稼ぐ力は計画の外にあった。2023年3月期に粗利益が2兆2,784億円まで戻り、経費率が77.7%から63.4%へ下がったのは、経費が1兆4,452億円とほぼ横ばいに収まる一方で粗利益が3,600億円余り伸びたためで、削減だけが効いたのではない。2024年3月期以降は成長領域への資源投下で営業経費が再び1兆8,407億円まで増えている。固定費を削る局面は終わり、何に使うかを選ぶ局面へ移ったとみられる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
数字で見る 3表

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図と表

みずほFG:従業員数の推移

連結従業員数(人)嘱託及び臨時従業員数(人)
みずほFG:従業員数の推移
(人) 連結従業員数嘱託及び臨時従業員数 備考
2013年3月期 55,49217,680
2014年3月期 54,91118,889
2015年3月期 54,78419,922
2016年3月期 56,37520,584
2017年3月期 59,17920,219 連結と嘱託・臨時を合わせた約8万人が削減計画の母数となった
2018年3月期 60,05120,076 2017年11月に抜本的構造改革の原案を公表した期
2019年3月期 59,13217,707
2020年3月期 57,26417,010 2019年度の人員削減実績は約0.4万人減で、計画の約0.3万人減を上回った
2021年3月期 54,49215,309
2022年3月期 52,42014,019
2023年3月期 51,21213,190 2021年度目標の約0.8万人減を、2017年3月末対比で満たした
出所:みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書 第11〜21期(従業員の状況)
出所:みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書 第11〜21期(従業員の状況)

みずほFG:連結粗利益と営業経費

連結粗利益(億円)営業経費(億円)営業経費率(%)
みずほFG:連結粗利益と営業経費
(億円) 連結粗利益営業経費 備考
2013年3月期 21,71712,446
2014年3月期 20,35212,582
2015年3月期 22,47713,516
2016年3月期 22,21613,495
2017年3月期 20,92714,672
2018年3月期 19,15314,889 粗利益が1,773億円減る一方で経費は217億円増え、比率は77.7%に達した
2019年3月期 18,12714,308 経費は数理計算上の差異の償却負担減と経費抑制で581億円減った
2020年3月期 20,62213,783 構造改革による人件費・減価償却費の減少で経費は524億円減
2021年3月期 21,98614,146
2022年3月期 22,52413,928
2023年3月期 22,78414,452 粗利益が戻り、比率は63.4%へ下がった
出所:みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書 第11〜21期(業績等の概要・連結粗利益及び営業経費)
出所:みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書 第11〜21期(業績等の概要・連結粗利益及び営業経費)

構造改革の条件

構造改革の条件
科目 概要 備考
公表の時期 2017年11月 10年後を見据えたグループの持続的成長と将来の競争優位性確保に向けた原案として公表
2017年3月末の人員 約8万人 2017年3月末。連結従業員数59,179人に嘱託及び臨時従業員20,219人を加えた規模
人員の削減 約1.9万人減 2026年度まで。2021年度に約0.8万人減、2024年度に約1.4万人減を置いた
削減の手立て 採用数の最適化と人員シフト 退職動向を見極めたグループ全体の採用最適化と、バック・本部からフロントへの配置換え
2017年3月末の国内拠点 約500拠点 2017年3月末
拠点の削減 約100拠点減 2024年度まで。2021年度に50拠点減を置き、のちに2024年度約130拠点減へ引き上げた
拠点の型 ハブ&スポーク体制 全国を約120エリアに分け、中核のハブ拠点と少人数・軽量のスポーク拠点を組み合わせる
2017年度の経費 1.45兆円 2017年度・グループ合算。2019年度の管理会計ルール変更後の表記では1.47兆円
経費の削減 1,000億円台半ば 2024年度まで。2021年度までに1,000億円程度。次期システム関連償却費を除く削減額
2018年度の計画 約1,300人相当の効率化 うち約600人をフロントへシフトし、約700人を削減する
2019年度の実績 人員約0.4万人減・38拠点減 計画は人員約0.3万人減・38拠点減。経費は890億円減で計画の580億円減を上回った
出所:みずほフィナンシャルグループ 統合報告書 ディスクロージャー誌2018(抜本的構造改革への取り組み・CFOメッセージ)・ディスクロージャー誌2020(5ヵ年経営計画の進捗)
出所:みずほフィナンシャルグループ 統合報告書 ディスクロージャー誌2018(抜本的構造改革への取り組み・CFOメッセージ)・ディスクロージャー誌2020(5ヵ年経営計画の進捗)
参考文献

参考文献

参考
  • みずほフィナンシャルグループ 統合報告書「ディスクロージャー誌2018「抜本的構造改革への取り組み」」
  • みずほフィナンシャルグループ 統合報告書「ディスクロージャー誌2018「CEOメッセージ」「CFOメッセージ」」
  • みずほフィナンシャルグループ 統合報告書「ディスクロージャー誌2020「抜本的構造改革の定量イメージ」」
  • みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書「第16期(2018年3月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】」
  • みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書「第11〜21期(従業員の状況・業績等の概要)」

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