第2章 年〜年

ANYCOLOR:ANYCOLORへの商号変更と東証グロース市場への上場

2020年〜オフラインの停止と、ゲーム配信の権利処理

2020年3月、いちからは本店を渋谷区から千代田区へ移した。その直後から、新型コロナウイルスの感染拡大が事業を両側から揺らした。会社は影響として、オフラインでのイベント開催の中止とそれに伴うグッズの販売中止、一部の企業案件の商談期間の長期化を挙げた。一方で、社会的な在宅勤務等の増加により動画の視聴時間が増えるというプラスの影響も同時に生じた。2020年4月期の売上高は34億7,870万円、経常利益は4,201万円であった。売上は前期の4倍に達したが、利益はほとんど残らなかった。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [1]2020年3月、東京都渋谷区から東京都千代田区に本店移転
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業等のリスク】
    • [2]新型コロナウイルス感染症の事業への影響として、オフラインでのイベント開催の中止やそれに伴うグッズの販売中止、一部の企業案件の商談期間の長期化等があった
    • [3]社会的な在宅勤務等の増加により、動画視聴時間が増加する等のプラスの影響も生じていると会社は説明した
  • ANYCOLOR 有価証券報告書(2020年4月期・単体)
    • [4]2020年4月期の売上高は3,478.7百万円、経常利益は42.01百万円であった

配信を主たる収益源とする事業は、他社の著作物の上に立つ。ゲームの実況配信がその代表であり、権利者の許諾なしに続ければ足元が崩れる。2020年6月1日、いちからは任天堂と著作物の利用に関する包括的許諾契約を締結した。任天堂は個人向けにゲーム実況のガイドラインを公開していたが法人団体は対象外であり、いちからは法人として初めて包括的許諾を受けたと自社で発表した。演者を預かる会社が個人の立場を離れた以上、個人向けの枠組みからは外れる。事業の規模が大きくなるほど権利処理を先に片づける必要が生じる構図が、この契約に表れていた。

  • いちから ニュースリリース 2020年6月1日「VTuberグループ「にじさんじ」を運営するいちからが、任天堂株式会社の著作物の利用に関する包括的許諾契約を締結」
    • [5]2020年6月1日、いちからは任天堂と著作物の利用に関する包括的許諾契約を締結した
    • [6]任天堂は個人向けにゲーム実況のガイドラインを公開していたが法人団体は対象外であり、いちからは法人として初めて包括的許諾を受けたと自社リリースで発表した

同じ2020年、いちからは配信の外側に収益の取り口を増やした。6月に"にじさんじ"の英語圏に向けた公式YouTubeチャンネルを開設し、9月には専用のオンラインショップ"にじさんじオフィシャルストア"を設けた。10月からは公式ファンクラブ"にじさんじFAN CLUB"の提供を始め、ファン同士やファンとVTuberとの間でのチャット機能等の有料サービスを備えた。2020年4月期の領域別売上高は、国内コマース領域が15億1,933万円、国内ライブストリーミング領域が12億3,871万円であった。配信そのものより、配信の周辺で売る物のほうが大きい構造が、この時点で既にできていた。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [7]2020年6月、「にじさんじ」の英語圏に向けた公式YouTubeチャンネルを開設
    • [8]2020年9月、「にじさんじ」専用のオンラインショップである「にじさんじオフィシャルストア」を開設
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業の内容】
    • [9]2020年10月より提供を開始した公式ファンクラブ「にじさんじFAN CLUB」は、ファン同士やファンとVTuberとの間でのチャット機能等の有料サービスを備える
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
    • [10]2020年4月期の領域別売上高は国内コマース領域1,519,334千円、国内ライブストリーミング領域1,238,714千円
参考文献[1]-[10]
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [1]2020年3月、東京都渋谷区から東京都千代田区に本店移転
    • [7]2020年6月、「にじさんじ」の英語圏に向けた公式YouTubeチャンネルを開設
    • [8]2020年9月、「にじさんじ」専用のオンラインショップである「にじさんじオフィシャルストア」を開設
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業等のリスク】
    • [2]新型コロナウイルス感染症の事業への影響として、オフラインでのイベント開催の中止やそれに伴うグッズの販売中止、一部の企業案件の商談期間の長期化等があった
    • [3]社会的な在宅勤務等の増加により、動画視聴時間が増加する等のプラスの影響も生じていると会社は説明した
  • ANYCOLOR 有価証券報告書(2020年4月期・単体)
    • [4]2020年4月期の売上高は3,478.7百万円、経常利益は42.01百万円であった
  • いちから ニュースリリース 2020年6月1日「VTuberグループ「にじさんじ」を運営するいちからが、任天堂株式会社の著作物の利用に関する包括的許諾契約を締結」
    • [5]2020年6月1日、いちからは任天堂と著作物の利用に関する包括的許諾契約を締結した
    • [6]任天堂は個人向けにゲーム実況のガイドラインを公開していたが法人団体は対象外であり、いちからは法人として初めて包括的許諾を受けたと自社リリースで発表した
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業の内容】
    • [9]2020年10月より提供を開始した公式ファンクラブ「にじさんじFAN CLUB」は、ファン同士やファンとVTuberとの間でのチャット機能等の有料サービスを備える
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
    • [10]2020年4月期の領域別売上高は国内コマース領域1,519,334千円、国内ライブストリーミング領域1,238,714千円

2021年〜人を増やさぬ増益と、商号の変更

2021年4月期の売上高は76億3,604万円、経常利益は14億5,100万円となった。営業利益率は前期の1.3%から19.0%へ上がった。伸びを支えたのは人数の増加ではなかった。日本国内で活動するVTuber数は99名から103名へ4名増えたにとどまり、従業員数も150人から156人への増加であった。一方でYouTubeの再生時間(日本)は2億7,200万時間から4億9,600万時間へ倍近くに伸び、国内コマース領域の売上高も15億1,933万円から33億5,535万円へ増えた。既にいる演者一人あたりから得られる収益が厚くなったことが、利益率の跳ね上がりの中身であった。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】
    • [11]売上高は2020年4月期3,478,701千円から2021年4月期7,636,041千円へ、経常利益は42,014千円から1,451,000千円へ増加した
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
    • [12]営業利益は2020年4月期44,267千円(営業利益率1.3%)から2021年4月期1,452,015千円(営業利益率19.0%)へ増加した
    • [13]VTuber数(日本)は2020年4月期99名から2021年4月期103名、従業員数は150人から156人となった
    • [14]YouTube再生時間(日本)は2020年4月期272百万時間から2021年4月期496百万時間へ増加した
    • [15]国内コマース領域の売上高は2020年4月期1,519,334千円から2021年4月期3,355,358千円へ増加した

2021年4月、いちからはインドにおけるVTuberグループ"NIJISANJI IN"の活動を休止した。2019年11月に始動を発表してから1年5か月であった。2019年4月から12月までの9か月間に中国・インドネシア・インド・韓国の4つの海外グループを立ち上げており、そのうち最初に止められた枠がインドであった。残る3つのうち韓国とインドネシアのグループも、翌2022年4月に国内の"にじさんじ"へ統合されることとなった。国・言語圏ごとに別ブランドを置いた形は、始めるのも止めるのも軽い代わりに、支える体制を国ごとに自前で持つものでもあった。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [16]2021年4月、インドにおけるVTuberグループ「NIJISANJI IN」の活動を休止
    • [17]2019年11月に始動を発表したインドのVTuberグループ「NIJISANJI IN」の活動を2021年4月に休止した
    • [18]2019年4月から12月までの9か月間に中国・インドネシア・インド・韓国の4つの海外VTuberグループを立ち上げた
    • [19]2022年4月、インドネシアの「NIJISANJI ID」と韓国の「NIJISANJI KR」を、VTuberグループ「にじさんじ」に統合

2021年5月、いちからは本店を千代田区から港区へ移すとともに、商号をいちから株式会社からANYCOLOR株式会社へ変更した。同じ月、英語圏におけるVTuberグループ"NIJISANJI EN"が活動を開始した。翌6月には、VTuberとして活躍するためのタレント育成プロジェクト"バーチャル・タレント・アカデミー"を始めた。オーディションで選んで預かるだけでなく、育てる段階から手を入れる仕組みであった。商号の変更は、会社の名前を運営する特定のグループ名から切り離す手当てでもあった。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [20]2021年5月、東京都千代田区から東京都港区に本店移転
    • [21]2021年5月、商号をいちから株式会社からANYCOLOR株式会社に変更
    • [22]2021年5月、英語圏におけるVTuberグループ「NIJISANJI EN」が活動を開始
    • [23]2021年6月、VTuberとして活躍するためのタレント育成プロジェクト「バーチャル・タレント・アカデミー」を開始
参考文献[11]-[23]
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】
    • [11]売上高は2020年4月期3,478,701千円から2021年4月期7,636,041千円へ、経常利益は42,014千円から1,451,000千円へ増加した
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
    • [12]営業利益は2020年4月期44,267千円(営業利益率1.3%)から2021年4月期1,452,015千円(営業利益率19.0%)へ増加した
    • [13]VTuber数(日本)は2020年4月期99名から2021年4月期103名、従業員数は150人から156人となった
    • [14]YouTube再生時間(日本)は2020年4月期272百万時間から2021年4月期496百万時間へ増加した
    • [15]国内コマース領域の売上高は2020年4月期1,519,334千円から2021年4月期3,355,358千円へ増加した
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [16]2021年4月、インドにおけるVTuberグループ「NIJISANJI IN」の活動を休止
    • [17]2019年11月に始動を発表したインドのVTuberグループ「NIJISANJI IN」の活動を2021年4月に休止した
    • [18]2019年4月から12月までの9か月間に中国・インドネシア・インド・韓国の4つの海外VTuberグループを立ち上げた
    • [19]2022年4月、インドネシアの「NIJISANJI ID」と韓国の「NIJISANJI KR」を、VTuberグループ「にじさんじ」に統合
    • [20]2021年5月、東京都千代田区から東京都港区に本店移転
    • [21]2021年5月、商号をいちから株式会社からANYCOLOR株式会社に変更
    • [22]2021年5月、英語圏におけるVTuberグループ「NIJISANJI EN」が活動を開始
    • [23]2021年6月、VTuberとして活躍するためのタレント育成プロジェクト「バーチャル・タレント・アカデミー」を開始

2022年〜海外2極化と、東証グロース市場への上場

2022年2月17日、ANYCOLORはインドネシアの"NIJISANJI ID"と韓国の"NIJISANJI KR"を国内の"にじさんじ"へ統合すると発表した。掲げた理由は、グループのサポート体制を強固でより効率の良いものにすることであった。両グループは国内の"にじさんじ"とは別のグループとして運営されており、統合にあたっては両グループの公式アカウントの更新停止を要した。統合は2022年4月に実施された。英語圏の"NIJISANJI EN"と中国の"VirtuaReal"は統合の対象から外れて別グループとして運営が続き、海外の枠は4極から2極へ絞られた。

  • ANYCOLOR ニュースリリース 2022年2月17日「海外VTuberグループ「NIJISANJI ID」「NIJISANJI KR」、国内VTuberグループ「にじさんじ」への統合に関するお知らせ」
    • [24]2022年2月17日、NIJISANJI ID・KRを「にじさんじ」へ統合すると発表した
    • [25]統合の理由として「グループのサポート体制を、強固でより効率の良いものにするため。」と説明した
    • [26]NIJISANJI ID・KRは国内「にじさんじ」とは別のグループとして運営され、統合にあたっては両グループの公式アカウントの更新停止を要した
    • [28]NIJISANJI EN(英語圏中心)とVirtuaReal(中国VTuberグループ)は統合対象外とされ、別グループとして今後も運営を継続するとされた
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [27]2022年4月、インドネシアの「NIJISANJI ID」と韓国の「NIJISANJI KR」を、VTuberグループ「にじさんじ」に統合

2022年4月期の売上高は141億6,414万円で前期比85.5%増、営業利益は41億9,107万円で同188.6%増となり、営業利益率は29.6%に達した。当期純利益は27億9,306万円であった。この期の運営は所属VTuber数の増加よりもサポート体制の拡充を優先しており、日本国内で活動するVTuber数は前期比6名増の109人にとどまった。演者を増やさずに売上を8割伸ばしたことになる。従業員数は230人まで増え、平均年齢は30.1歳、平均勤続年数は1.6年、平均年間給与は516万6千円であった。海外を含む"その他領域"の売上高は3億5,130万円で、売上高合計の2.5%にすぎなかった。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書
    • [29]2022年4月期の売上高14,164,140千円(前期比85.5%増)、営業利益4,191,075千円(前期比188.6%増)、営業利益率29.6%
    • [31]所属VTuber数の増加よりもVTuberサポート体制の拡充を優先した運営を行い、日本国内で活動するVTuber数は109人(前期比6名増)となった
    • [32]2022年4月30日現在の従業員数230人、平均年齢30.1歳、平均勤続年数1.6年、平均年間給与5,166千円
    • [33]2022年4月期の「その他領域」(インドネシア、韓国、中国でのVTuberビジネス等を含む)の売上高は351,307千円で、売上高合計14,164,140千円の2.5%
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】
    • [30]2022年4月期の経常利益は4,149,013千円、当期純利益は2,793,063千円であった

2022年6月8日、ANYCOLORは東京証券取引所グロース市場へ株式を上場した。設立は2017年5月であり、5年1か月での上場であった。上場にあたっては一般募集(ブックビルディング方式)で普通株式50,000株を発行し、発行価格は1株につき1,530円とした。上場の時点で田角陸氏は26歳であり、2017年5月の設立時から代表取締役CEOを務めていた。2022年4月30日現在の大株主は田角陸氏が46.86%を保有し、LC FUND VIII, L.Pが11.18%、HODE HK Limitedが7.98%、Skyland Ventures2号投資事業有限責任組合が7.51%、ソニー・ミュージックエンタテインメントが5.59%と続いた。創業者が過半に近い持分を握ったままの上場であった。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [34]2022年6月8日付で東京証券取引所グロース市場に株式を上場した
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
    • [35]設立は2017年5月、東京証券取引所グロース市場への上場は2022年6月8日であった
    • [36]上場にあたり一般募集(ブックビルディング方式)で普通株式50,000株を発行、発行価格は1株につき1,530円
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【役員の状況】
    • [37]田角陸氏は1996年2月3日生まれで、上場日の2022年6月8日時点では26歳であった
    • [38]田角陸氏は2017年5月の当社設立時に代表取締役CEOへ就任し、現任である
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [39]2022年4月30日現在の大株主は田角陸46.86%(14,031,810株)、LC FUND VIII, L.P 11.18%、HODE HK Limited 7.98%、Skyland Ventures2号投資事業有限責任組合 7.51%、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント 5.59%
参考文献[24]-[39]
  • ANYCOLOR ニュースリリース 2022年2月17日「海外VTuberグループ「NIJISANJI ID」「NIJISANJI KR」、国内VTuberグループ「にじさんじ」への統合に関するお知らせ」
    • [24]2022年2月17日、NIJISANJI ID・KRを「にじさんじ」へ統合すると発表した
    • [25]統合の理由として「グループのサポート体制を、強固でより効率の良いものにするため。」と説明した
    • [26]NIJISANJI ID・KRは国内「にじさんじ」とは別のグループとして運営され、統合にあたっては両グループの公式アカウントの更新停止を要した
    • [28]NIJISANJI EN(英語圏中心)とVirtuaReal(中国VTuberグループ)は統合対象外とされ、別グループとして今後も運営を継続するとされた
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [27]2022年4月、インドネシアの「NIJISANJI ID」と韓国の「NIJISANJI KR」を、VTuberグループ「にじさんじ」に統合
    • [34]2022年6月8日付で東京証券取引所グロース市場に株式を上場した
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
    • [29]2022年4月期の売上高14,164,140千円(前期比85.5%増)、営業利益4,191,075千円(前期比188.6%増)、営業利益率29.6%
    • [31]所属VTuber数の増加よりもVTuberサポート体制の拡充を優先した運営を行い、日本国内で活動するVTuber数は109人(前期比6名増)となった
    • [32]2022年4月30日現在の従業員数230人、平均年齢30.1歳、平均勤続年数1.6年、平均年間給与5,166千円
    • [33]2022年4月期の「その他領域」(インドネシア、韓国、中国でのVTuberビジネス等を含む)の売上高は351,307千円で、売上高合計14,164,140千円の2.5%
    • [35]設立は2017年5月、東京証券取引所グロース市場への上場は2022年6月8日であった
    • [36]上場にあたり一般募集(ブックビルディング方式)で普通株式50,000株を発行、発行価格は1株につき1,530円
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】
    • [30]2022年4月期の経常利益は4,149,013千円、当期純利益は2,793,063千円であった
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【役員の状況】
    • [37]田角陸氏は1996年2月3日生まれで、上場日の2022年6月8日時点では26歳であった
    • [38]田角陸氏は2017年5月の当社設立時に代表取締役CEOへ就任し、現任である
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [39]2022年4月30日現在の大株主は田角陸46.86%(14,031,810株)、LC FUND VIII, L.P 11.18%、HODE HK Limited 7.98%、Skyland Ventures2号投資事業有限責任組合 7.51%、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント 5.59%

筆者考察

同じYouTubeの上で、2020年からの3年は事務所の型によって明暗が分かれた時期であった。YouTuberの事務所として2017年に上場したUUUMは、所属クリエイターの動画に付く広告収益を一括して受け取り、その一部を本人へ払う型で稼いでいた。広告の収益は再生の回数と広告の単価で上限が決まり、チャンネルと顔はクリエイター本人のものである。UUUMの売上高は2020年5月期の224億円から2022年5月期の235億円へほぼ横ばいで、経常利益も9億〜10億円にとどまった。同じ期間にANYCOLORの売上高は34億7,870万円から141億6,414万円へ4倍に増え、2022年4月期にはグッズなどのコマース領域が66億円と、配信の収益30億円の2倍を超えた。

分かれ目は、会社が何を持っているかにあった。UUUMが預かるのは個人の人気であり、稼ぎを増やすには所属する人数と再生の回数を増やすほかない。ANYCOLORはキャラクターの設定と名称を自社で設計して保有し、演者へ貸与している。キャラクターが会社のものであれば、その姿を商品にして売ることができ、稼ぎは広告の単価に縛られない。国内のVTuberが103名から109人と微増にとどまっても営業利益率が29.6%まで上がったのは、一人あたりの収益を広告ではなくファンの購買から得たからである。ただし稼ぎがキャラクターへの愛着に依るほど、演者一人の離脱が資産価値の低下に直結する。人数を増やさずに稼ぐ型は、一人の重みを大きくする型でもあった。

ANYCOLORの売上高 2020年4月期〜2022年4月期(単体)(百万円)

3,478.7 20年4月期 7,636 21年4月期 14,164.1 22年4月期
  • 出所は ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】。

2020年〜2022年の業績

決算期 区分 売上高 営業利益経常利益純利益 主な投資
億円 YoY 億円 億円 利益率 億円
2020年04月期 単体 35 n/a n/a 0 0.0% 0 n/a
2021年04月期 単体 76 +117.1% 15 15 19.7% 9 n/a
2022年04月期 単体 142 +86.8% 42 41 28.9% 28 n/a

出典・参考

10件
出典・参考
  • ANYCOLOR 有価証券報告書(2020年4月期・単体)
  • いちから ニュースリリース 2020年6月1日「VTuberグループ「にじさんじ」を運営するいちからが、任天堂株式会社の著作物の利用に関する包括的許諾契約を締結」
  • ANYCOLOR ニュースリリース 2022年2月17日「海外VTuberグループ「NIJISANJI ID」「NIJISANJI KR」、国内VTuberグループ「にじさんじ」への統合に関するお知らせ」
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業等のリスク】
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業の内容】
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【役員の状況】
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【大株主の状況】

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