第1章 年〜年

ANYCOLOR:いちからの設立と「にじさんじ」によるVTuber事務所への転換

2017年〜出資を得られず畳んだ4つの事業と、iPhone Xの表情認識で開発したアプリ「にじさんじ」

創業者で代表取締役の田角陸氏は2017年5月、東京都新宿区に資本金100万円でいちから株式会社を設立した。早稲田大学に在学しながらガイアックス子会社の新規事業でインターンを務め、社長業を学ぶには自ら社長になることが近道と判じての休学と創業である。設立前後には動画・AR広告・スキルシェアの領域で試作品を作り、投資家に事業案を示し続けた。ただし4つの事業はいずれも出資を得られず、仲間2人も会社を辞めて田角陸氏一人が残った。それでも事業を止めなかった背景には、欠点を実行の中で1つずつ潰せば当たる確率は上がるという考えがあった。資本金100万円・社員1人という小ささが、外れた事業を即座に打ち切る判断を容易にしたとみられる。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [1]2017年5月、東京都新宿区で資本金100万円によりいちから株式会社を設立(11月に渋谷区へ移転)
  • BRIDGE 2019年9月14日「U25起業家に聞く「起業・新基準」/にじさんじ「いちから」代表、田角さん」
    • [2]早稲田大学在学中にガイアックス子会社でインターン。社長になることが一番の学びと考え休学して2017年5月に創業。創業期は動画・AR広告・スキルシェアの領域でモックやβ版を作り投資家に提示
    • [3]早稲田大学在学中にガイアックス子会社でインターン。社長になることが一番の学びと考え休学して2017年5月に創業。創業期は動画・AR広告・スキルシェアの領域でモックやβ版を作り投資家に提示
  • キャリアハック 2018年5月「「にじさんじ」生んだ田角陸って何者?事業の失敗も、VTuberで逆転!」
    • [4]設立前後に4つの事業を立ち上げたが出資を得られず、2人の仲間も辞めた。失敗を否定的に捉えず、実行しながら欠点を潰せば当たる確率が上がると考えていた
    • [5]設立前後に4つの事業を立ち上げたが出資を得られず、2人の仲間も辞めた。失敗を否定的に捉えず、実行しながら欠点を潰せば当たる確率が上がると考えていた

2017年6月、AppleがWWDCでARKitを発表し、表情認識の技術を使う製品を容易に作れる環境が整った。同年10月のiPhone X発売により、技術の普及からAR領域の流行の向きを見通せるようになった。田角陸氏はここで、表情に連動する絵文字Animojiと生配信の掛け合わせを次の事業の題目に定めた。同じ頃、バーチャルYouTuberの「キズナアイ」がチャンネル登録100万を突破し、市場の立ち上がりが見えていた。投資家から受けた助言のうち田角陸氏が重く見たのは、参入が早すぎても遅すぎても成り立たないという時機の観点であった。技術の普及と市場の立ち上がりが同じ年に重なり、短期集中で成果を出したい田角陸氏の選び方に合ったのだろう。

  • THE SEED マガジン「「何にこだわり、何をやめるか」PDCAを高速で回し続ける事業選定(起業家1年目の教科書)」
    • [6]2017年6月のWWDCでARKitが発表され表情認識の製品が容易に作れるようになった。Animojiと生配信を掛け合わせてVTuber領域に参入。投資家の助言で最も重く見たのは「なぜ今やるのか」という参入時機の観点
    • [8]2017年6月のWWDCでARKitが発表され表情認識の製品が容易に作れるようになった。Animojiと生配信を掛け合わせてVTuber領域に参入。投資家の助言で最も重く見たのは「なぜ今やるのか」という参入時機の観点
    • [10]2017年6月のWWDCでARKitが発表され表情認識の製品が容易に作れるようになった。Animojiと生配信を掛け合わせてVTuber領域に参入。投資家の助言で最も重く見たのは「なぜ今やるのか」という参入時機の観点
  • キャリアハック 2018年5月「「にじさんじ」生んだ田角陸って何者?事業の失敗も、VTuberで逆転!」
    • [7]2017年10月のiPhone X発売で技術の普及からトレンドが予測できた。キズナアイの登録100万突破で市場の盛り上がりを見て、短期集中に向く事業としてVTuberを選んだ
    • [9]2017年10月のiPhone X発売で技術の普及からトレンドが予測できた。キズナアイの登録100万突破で市場の盛り上がりを見て、短期集中に向く事業としてVTuberを選んだ

いちからは2018年1月にVTuberグループ「にじさんじ」の始動を発表し、配信の演者であるライバーの募集を始めた。2月8日、iPhone XのAnimojiで誰でもバーチャルYouTuberになれるアプリ「にじさんじ」の公式キャラクター8名が動画投稿と生配信を開始。8名には学級委員の月ノ美兎、ゲーマーの渋谷ハジメなどの設定が並び、生配信はMirrativ、編集動画はYouTubeに振り分けた。アプリの正式版は近日公開とされたままで、宣伝役のライバーの配信が売り物より先に世に出る順序となった。告知のリツイートは約7,000件に及び、それまで試しに出した3〜4本の事業案とは反応の大きさが段違いであった。売り物のアプリより宣伝役が先に走り出したこの順序が、その後の事業の向きを決めたと考えられる。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [11]2018年1月にVTuberグループ「にじさんじ」の始動を発表しライバー募集を開始。2018年2月に第1期の所属VTuber8名が活動開始
  • いちから ニュースリリース 2018年2月8日「iPhoneXのAnimojiで簡単バーチャルYouTuberの「にじさんじ」から公式バーチャルYouTuber8人始動!!」
    • [12]アプリ「にじさんじ」の公式バーチャルアイドル8人が2018年2月8日から動画投稿とLive配信を開始(月ノ美兎・渋谷ハジメほか)。LiveはMirrativ、編集動画はYouTube。アプリの公式リリース版は近日公開予定
    • [13]アプリ「にじさんじ」の公式バーチャルアイドル8人が2018年2月8日から動画投稿とLive配信を開始(月ノ美兎・渋谷ハジメほか)。LiveはMirrativ、編集動画はYouTube。アプリの公式リリース版は近日公開予定
    • [14]アプリ「にじさんじ」の公式バーチャルアイドル8人が2018年2月8日から動画投稿とLive配信を開始(月ノ美兎・渋谷ハジメほか)。LiveはMirrativ、編集動画はYouTube。アプリの公式リリース版は近日公開予定
  • THE SEED マガジン「「何にこだわり、何をやめるか」PDCAを高速で回し続ける事業選定(起業家1年目の教科書)」
    • [15]にじさんじはそれまで3〜4つ出した試作と比べ反応が段違いで、プレスリリースが約7,000リツイートとなり、深く参入すべきと判断
参考文献[1]-[15]
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [1]2017年5月、東京都新宿区で資本金100万円によりいちから株式会社を設立(11月に渋谷区へ移転)
    • [11]2018年1月にVTuberグループ「にじさんじ」の始動を発表しライバー募集を開始。2018年2月に第1期の所属VTuber8名が活動開始
  • BRIDGE 2019年9月14日「U25起業家に聞く「起業・新基準」/にじさんじ「いちから」代表、田角さん」
    • [2]早稲田大学在学中にガイアックス子会社でインターン。社長になることが一番の学びと考え休学して2017年5月に創業。創業期は動画・AR広告・スキルシェアの領域でモックやβ版を作り投資家に提示
    • [3]早稲田大学在学中にガイアックス子会社でインターン。社長になることが一番の学びと考え休学して2017年5月に創業。創業期は動画・AR広告・スキルシェアの領域でモックやβ版を作り投資家に提示
  • キャリアハック 2018年5月「「にじさんじ」生んだ田角陸って何者?事業の失敗も、VTuberで逆転!」
    • [4]設立前後に4つの事業を立ち上げたが出資を得られず、2人の仲間も辞めた。失敗を否定的に捉えず、実行しながら欠点を潰せば当たる確率が上がると考えていた
    • [5]設立前後に4つの事業を立ち上げたが出資を得られず、2人の仲間も辞めた。失敗を否定的に捉えず、実行しながら欠点を潰せば当たる確率が上がると考えていた
    • [7]2017年10月のiPhone X発売で技術の普及からトレンドが予測できた。キズナアイの登録100万突破で市場の盛り上がりを見て、短期集中に向く事業としてVTuberを選んだ
    • [9]2017年10月のiPhone X発売で技術の普及からトレンドが予測できた。キズナアイの登録100万突破で市場の盛り上がりを見て、短期集中に向く事業としてVTuberを選んだ
  • THE SEED マガジン「「何にこだわり、何をやめるか」PDCAを高速で回し続ける事業選定(起業家1年目の教科書)」
    • [6]2017年6月のWWDCでARKitが発表され表情認識の製品が容易に作れるようになった。Animojiと生配信を掛け合わせてVTuber領域に参入。投資家の助言で最も重く見たのは「なぜ今やるのか」という参入時機の観点
    • [8]2017年6月のWWDCでARKitが発表され表情認識の製品が容易に作れるようになった。Animojiと生配信を掛け合わせてVTuber領域に参入。投資家の助言で最も重く見たのは「なぜ今やるのか」という参入時機の観点
    • [10]2017年6月のWWDCでARKitが発表され表情認識の製品が容易に作れるようになった。Animojiと生配信を掛け合わせてVTuber領域に参入。投資家の助言で最も重く見たのは「なぜ今やるのか」という参入時機の観点
    • [15]にじさんじはそれまで3〜4つ出した試作と比べ反応が段違いで、プレスリリースが約7,000リツイートとなり、深く参入すべきと判断
    • [12]アプリ「にじさんじ」の公式バーチャルアイドル8人が2018年2月8日から動画投稿とLive配信を開始(月ノ美兎・渋谷ハジメほか)。LiveはMirrativ、編集動画はYouTube。アプリの公式リリース版は近日公開予定
    • [13]アプリ「にじさんじ」の公式バーチャルアイドル8人が2018年2月8日から動画投稿とLive配信を開始(月ノ美兎・渋谷ハジメほか)。LiveはMirrativ、編集動画はYouTube。アプリの公式リリース版は近日公開予定
    • [14]アプリ「にじさんじ」の公式バーチャルアイドル8人が2018年2月8日から動画投稿とLive配信を開始(月ノ美兎・渋谷ハジメほか)。LiveはMirrativ、編集動画はYouTube。アプリの公式リリース版は近日公開予定

2018年〜4か月で登録100万を超えた8名のライバーと、3グループを統合した「にじさんじ」

公開から4か月で、にじさんじのライバーのYouTubeチャンネル登録数は総計100万を超えた。所属は2018年4月末時点で20名に増え、生配信の同時視聴者数でも国内上位のグループに入った。この反応を受けて田角陸氏は、配信基盤として事業を広げる案を採らず、ライバー個人のマネジメントへ事業の軸を移した。世に出した時点で自然流入の数字が伸びない事業は早く見切り、反応の大きい領域に集中するという判断基準に沿った入れ替えである。その結果、特定の配信基盤に縛られずに活動するライバーを抱える体制ができあがった。アプリの利用者を数える事業から、ライバーの視聴者を数える事業への転換だったと推察される。

  • キャリアハック 2018年5月「「にじさんじ」生んだ田角陸って何者?事業の失敗も、VTuberで逆転!」
    • [16]公開から4か月でYouTubeチャンネル登録数は総計100万以上、ライブ配信の同時視聴者数は国内トップクラス。所属は2018年4月末時点で20名
    • [17]公開から4か月でYouTubeチャンネル登録数は総計100万以上、ライブ配信の同時視聴者数は国内トップクラス。所属は2018年4月末時点で20名
  • BRIDGE 2019年9月14日「U25起業家に聞く「起業・新基準」/にじさんじ「いちから」代表、田角さん」
    • [18]VTuber事業ではライブ配信プラットフォームとして伸ばすのではなく、個人の力を信じたVTuberマネジメントの仕組みにし、プラットフォームを問わず活躍するVTuberをマネジメントできた
    • [20]VTuber事業ではライブ配信プラットフォームとして伸ばすのではなく、個人の力を信じたVTuberマネジメントの仕組みにし、プラットフォームを問わず活躍するVTuberをマネジメントできた
  • THE SEED マガジン「「何にこだわり、何をやめるか」PDCAを高速で回し続ける事業選定(起業家1年目の教科書)」
    • [19]サービスを世に出した時点でオーガニックに数字が伸びなければ事業に見切りをつけ、反応の良いものに集中する判断基準

いちからは2018年5月、ゲーム配信者に特化したグループ「にじさんじゲーマーズ」を始めた。6月には候補生で構成する「にじさんじSEEDs」を加え、ライバーを迎える間口を本体と合わせて3つに広げた。2月に8名で始めた所属は4月末に20名となっており、派生グループはこの増員の流れを受けての開始であった。ところが12月、いちからは3つのグループを「にじさんじ」の1つの名前へ統合した。派生グループの開始から7か月足らずでの統合で、ゲーム配信と候補生で分けた間口は1年を待たずに1つの看板へ戻った。視聴者を1つの名前に集め、ライバーの間を回遊させるほうが得策と判じたと思われる。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [21]2018年5月「にじさんじゲーマーズ」、6月「にじさんじSEEDs」を開始し、12月に3グループを「にじさんじ」に統合
    • [22]2018年5月「にじさんじゲーマーズ」、6月「にじさんじSEEDs」を開始し、12月に3グループを「にじさんじ」に統合
    • [24]2018年5月「にじさんじゲーマーズ」、6月「にじさんじSEEDs」を開始し、12月に3グループを「にじさんじ」に統合
    • [25]2018年5月「にじさんじゲーマーズ」、6月「にじさんじSEEDs」を開始し、12月に3グループを「にじさんじ」に統合
  • キャリアハック 2018年5月「「にじさんじ」生んだ田角陸って何者?事業の失敗も、VTuberで逆転!」
    • [23]にじさんじの所属VTuberは2018年4月末時点で20名

いちからはライバーと業務委託契約を結び、会社が作ったアバターと名称、自宅から一人で2Dと3Dの配信ができる自社開発のツール、YouTubeやSNSのアカウントを貸与する型を採った。キャラクターの容姿と設定は会社が設計し、演じるライバーはオーディションで選んだ。この設計の根には、人を引き付けて集めるのは人の力だという事業仮説があった。2019年4月期(第2期)の売上高は866,517千円、経常利益は47,258千円となり、前期の経常損失3,962千円から黒字へ転じた。前期の売上高は16,622千円で、1期で50倍を超す規模への拡大。名前とアカウントを会社が持つため、ライバーの人気が会社の資産として残る仕組みだったとうかがえる。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業の内容】
    • [26]オーディションで選んだライバーと業務委託契約を結び、会社が作成したアバター・VTuberの名称・配信ツール・YouTube等の配信アカウントとSNSアカウントを貸与。容姿を含むキャラクター設定は会社が設計
    • [27]オーディションで選んだライバーと業務委託契約を結び、会社が作成したアバター・VTuberの名称・配信ツール・YouTube等の配信アカウントとSNSアカウントを貸与。容姿を含むキャラクター設定は会社が設計
  • BRIDGE 2019年9月14日「U25起業家に聞く「起業・新基準」/にじさんじ「いちから」代表、田角さん」
    • [28]VTuber事業の仮説は「人を魅力し、人を集められるのは、人の力」
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】(2022年4月期)
    • [29]第1期(2018年4月期)売上高16,622千円・経常損失3,962千円、第2期(2019年4月期)売上高866,517千円・経常利益47,258千円
    • [30]第1期(2018年4月期)売上高16,622千円・経常損失3,962千円、第2期(2019年4月期)売上高866,517千円・経常利益47,258千円
参考文献[16]-[30]
  • キャリアハック 2018年5月「「にじさんじ」生んだ田角陸って何者?事業の失敗も、VTuberで逆転!」
    • [16]公開から4か月でYouTubeチャンネル登録数は総計100万以上、ライブ配信の同時視聴者数は国内トップクラス。所属は2018年4月末時点で20名
    • [17]公開から4か月でYouTubeチャンネル登録数は総計100万以上、ライブ配信の同時視聴者数は国内トップクラス。所属は2018年4月末時点で20名
    • [23]にじさんじの所属VTuberは2018年4月末時点で20名
  • BRIDGE 2019年9月14日「U25起業家に聞く「起業・新基準」/にじさんじ「いちから」代表、田角さん」
    • [18]VTuber事業ではライブ配信プラットフォームとして伸ばすのではなく、個人の力を信じたVTuberマネジメントの仕組みにし、プラットフォームを問わず活躍するVTuberをマネジメントできた
    • [20]VTuber事業ではライブ配信プラットフォームとして伸ばすのではなく、個人の力を信じたVTuberマネジメントの仕組みにし、プラットフォームを問わず活躍するVTuberをマネジメントできた
    • [28]VTuber事業の仮説は「人を魅力し、人を集められるのは、人の力」
  • THE SEED マガジン「「何にこだわり、何をやめるか」PDCAを高速で回し続ける事業選定(起業家1年目の教科書)」
    • [19]サービスを世に出した時点でオーガニックに数字が伸びなければ事業に見切りをつけ、反応の良いものに集中する判断基準
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [21]2018年5月「にじさんじゲーマーズ」、6月「にじさんじSEEDs」を開始し、12月に3グループを「にじさんじ」に統合
    • [22]2018年5月「にじさんじゲーマーズ」、6月「にじさんじSEEDs」を開始し、12月に3グループを「にじさんじ」に統合
    • [24]2018年5月「にじさんじゲーマーズ」、6月「にじさんじSEEDs」を開始し、12月に3グループを「にじさんじ」に統合
    • [25]2018年5月「にじさんじゲーマーズ」、6月「にじさんじSEEDs」を開始し、12月に3グループを「にじさんじ」に統合
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業の内容】
    • [26]オーディションで選んだライバーと業務委託契約を結び、会社が作成したアバター・VTuberの名称・配信ツール・YouTube等の配信アカウントとSNSアカウントを貸与。容姿を含むキャラクター設定は会社が設計
    • [27]オーディションで選んだライバーと業務委託契約を結び、会社が作成したアバター・VTuberの名称・配信ツール・YouTube等の配信アカウントとSNSアカウントを貸与。容姿を含むキャラクター設定は会社が設計
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】(2022年4月期)
    • [29]第1期(2018年4月期)売上高16,622千円・経常損失3,962千円、第2期(2019年4月期)売上高866,517千円・経常利益47,258千円
    • [30]第1期(2018年4月期)売上高16,622千円・経常損失3,962千円、第2期(2019年4月期)売上高866,517千円・経常利益47,258千円

2019年〜約7億円の資金調達と、中国・インドネシア・インド・韓国の4グループ

いちからは2019年8月、約7億円の資金調達を実施した。これに先立つ5月24日の臨時株主総会では、6月14日付でA2種優先株式を発行できるよう定款を変え、発行済み普通株式の一部をA2種優先株式へ改める決議が通った。調達と同じ8月の13日付で株式1株を100株に分割し、株式の単位も細かくした。調達した資金の主な使途は、国内事業部の人材確保と配信機材の導入、海外展開に合わせた各国の人材への先行投資であった。国内の人材と機材については、一度で終わらず継続して投じる段階と位置づけた。黒字化の直後に、型を国外へ広げる前に人と設備を先に積む順序を選んだものと読める。

  • MoguLive 2019年12月22日「いちからの“2019年の挑戦”から見えてきたものは? CEO・田角陸氏インタビュー」
    • [31]2019年8月に約7億円の資金調達。国内事業部の人材や配信機材の導入に注力し継続投資の段階と位置づけ、海外展開に合わせ各国の人材へ先行投資
    • [34]2019年8月に約7億円の資金調達。国内事業部の人材や配信機材の導入に注力し継続投資の段階と位置づけ、海外展開に合わせ各国の人材へ先行投資
    • [35]2019年8月に約7億円の資金調達。国内事業部の人材や配信機材の導入に注力し継続投資の段階と位置づけ、海外展開に合わせ各国の人材へ先行投資
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】(2022年4月期)
    • [32]2019年5月24日の臨時株主総会で、6月14日付でA2種優先株式の発行を可能とする定款変更と普通株式の一部のA2種優先株式への内容変更を決議。2019年8月13日付で1株を100株に株式分割
    • [33]2019年5月24日の臨時株主総会で、6月14日付でA2種優先株式の発行を可能とする定款変更と普通株式の一部のA2種優先株式への内容変更を決議。2019年8月13日付で1株を100株に株式分割

いちからは2019年4月、中国でVTuberグループ「VirtuaReal Project」の始動を発表した。7月にインドネシアの「NIJISANJI ID」、11月にインドの「NIJISANJI IN」、12月に韓国の「NIJISANJI KR」が続き、9か月で4つの国にライバー募集の窓口を設けた。インドネシアではオーディションを現地のイベントで動画により告知した際に大きな声援が起き、需要は予想を上回った。インドについては、日本人好みのキャラクターが受け入れられにくいことを見込み、ライバーの設定を現地向けに調整した。日本のアニメ市場が国内と海外全体でほぼ同じ規模とされることから、VTuber市場も同じ比率になるという見立てがあった。工場も店舗も持たない型であったため、短期間で4つの市場へ広げられたのであろう。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [36]2019年4月中国「VirtuaReal Project」、7月インドネシア「NIJISANJI ID」、11月インド「NIJISANJI IN」、12月韓国「NIJISANJI KR」の始動を発表しライバー募集を開始
    • [37]2019年4月中国「VirtuaReal Project」、7月インドネシア「NIJISANJI ID」、11月インド「NIJISANJI IN」、12月韓国「NIJISANJI KR」の始動を発表しライバー募集を開始
  • MoguLive 2019年12月22日「いちからの“2019年の挑戦”から見えてきたものは? CEO・田角陸氏インタビュー」
    • [38]インドネシアでの需要や反響は予想を超えた。インドでは日本人好みのキャラクターが受けにくいためローカライズ。日本のアニメ市場は日本と海外全体で同等とされ、VTuber市場も同様の割合になるとの見方
    • [39]インドネシアでの需要や反響は予想を超えた。インドでは日本人好みのキャラクターが受けにくいためローカライズ。日本のアニメ市場は日本と海外全体で同等とされ、VTuber市場も同様の割合になるとの見方
    • [40]インドネシアでの需要や反響は予想を超えた。インドでは日本人好みのキャラクターが受けにくいためローカライズ。日本のアニメ市場は日本と海外全体で同等とされ、VTuber市場も同様の割合になるとの見方

2019年10月、いちからはDMM musicと組んだ大規模な音楽のリアルイベントを開催した。対面の催しはファンの支持を強める手段とされ、2020年以降に数と種類を増やす方針が示された。同じ時期には、VR空間でキャストと1対1で会話できる新規事業「ユメノグラフィア」にも力を入れていた。一方、2019年4月期末の従業員数は48人で、前期末の3人から増えたばかりの陣容。その人数で国内の運営と4つの海外グループ、新規事業を同時に抱えたまま、いちからは2020年を迎えた。商号を改めて上場を目指す次の局面では、広げた事業を支える体制づくりが課題になったと言えそうだ。

  • MoguLive 2019年12月22日「いちからの“2019年の挑戦”から見えてきたものは? CEO・田角陸氏インタビュー」
    • [41]2019年10月に大規模リアルイベント「にじさんじ Music Festival~ Powered by DMM music~」を開催。イベントは支持を強める手段で来年以降に数とバリエーションを増やす方針。新規事業はVRで1対1のコミュニケーションができる「ユメノグラフィア」に注力
    • [42]2019年10月に大規模リアルイベント「にじさんじ Music Festival~ Powered by DMM music~」を開催。イベントは支持を強める手段で来年以降に数とバリエーションを増やす方針。新規事業はVRで1対1のコミュニケーションができる「ユメノグラフィア」に注力
    • [43]2019年10月に大規模リアルイベント「にじさんじ Music Festival~ Powered by DMM music~」を開催。イベントは支持を強める手段で来年以降に数とバリエーションを増やす方針。新規事業はVRで1対1のコミュニケーションができる「ユメノグラフィア」に注力
    • [45]2019年10月に大規模リアルイベント「にじさんじ Music Festival~ Powered by DMM music~」を開催。イベントは支持を強める手段で来年以降に数とバリエーションを増やす方針。新規事業はVRで1対1のコミュニケーションができる「ユメノグラフィア」に注力
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】(2022年4月期)
    • [44]従業員数は2018年4月期3人、2019年4月期48人
    • [46]従業員数は2018年4月期3人、2019年4月期48人
参考文献[31]-[46]
  • MoguLive 2019年12月22日「いちからの“2019年の挑戦”から見えてきたものは? CEO・田角陸氏インタビュー」
    • [31]2019年8月に約7億円の資金調達。国内事業部の人材や配信機材の導入に注力し継続投資の段階と位置づけ、海外展開に合わせ各国の人材へ先行投資
    • [34]2019年8月に約7億円の資金調達。国内事業部の人材や配信機材の導入に注力し継続投資の段階と位置づけ、海外展開に合わせ各国の人材へ先行投資
    • [35]2019年8月に約7億円の資金調達。国内事業部の人材や配信機材の導入に注力し継続投資の段階と位置づけ、海外展開に合わせ各国の人材へ先行投資
    • [38]インドネシアでの需要や反響は予想を超えた。インドでは日本人好みのキャラクターが受けにくいためローカライズ。日本のアニメ市場は日本と海外全体で同等とされ、VTuber市場も同様の割合になるとの見方
    • [39]インドネシアでの需要や反響は予想を超えた。インドでは日本人好みのキャラクターが受けにくいためローカライズ。日本のアニメ市場は日本と海外全体で同等とされ、VTuber市場も同様の割合になるとの見方
    • [40]インドネシアでの需要や反響は予想を超えた。インドでは日本人好みのキャラクターが受けにくいためローカライズ。日本のアニメ市場は日本と海外全体で同等とされ、VTuber市場も同様の割合になるとの見方
    • [41]2019年10月に大規模リアルイベント「にじさんじ Music Festival~ Powered by DMM music~」を開催。イベントは支持を強める手段で来年以降に数とバリエーションを増やす方針。新規事業はVRで1対1のコミュニケーションができる「ユメノグラフィア」に注力
    • [42]2019年10月に大規模リアルイベント「にじさんじ Music Festival~ Powered by DMM music~」を開催。イベントは支持を強める手段で来年以降に数とバリエーションを増やす方針。新規事業はVRで1対1のコミュニケーションができる「ユメノグラフィア」に注力
    • [43]2019年10月に大規模リアルイベント「にじさんじ Music Festival~ Powered by DMM music~」を開催。イベントは支持を強める手段で来年以降に数とバリエーションを増やす方針。新規事業はVRで1対1のコミュニケーションができる「ユメノグラフィア」に注力
    • [45]2019年10月に大規模リアルイベント「にじさんじ Music Festival~ Powered by DMM music~」を開催。イベントは支持を強める手段で来年以降に数とバリエーションを増やす方針。新規事業はVRで1対1のコミュニケーションができる「ユメノグラフィア」に注力
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】(2022年4月期)
    • [32]2019年5月24日の臨時株主総会で、6月14日付でA2種優先株式の発行を可能とする定款変更と普通株式の一部のA2種優先株式への内容変更を決議。2019年8月13日付で1株を100株に株式分割
    • [33]2019年5月24日の臨時株主総会で、6月14日付でA2種優先株式の発行を可能とする定款変更と普通株式の一部のA2種優先株式への内容変更を決議。2019年8月13日付で1株を100株に株式分割
    • [44]従業員数は2018年4月期3人、2019年4月期48人
    • [46]従業員数は2018年4月期3人、2019年4月期48人
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [36]2019年4月中国「VirtuaReal Project」、7月インドネシア「NIJISANJI ID」、11月インド「NIJISANJI IN」、12月韓国「NIJISANJI KR」の始動を発表しライバー募集を開始
    • [37]2019年4月中国「VirtuaReal Project」、7月インドネシア「NIJISANJI ID」、11月インド「NIJISANJI IN」、12月韓国「NIJISANJI KR」の始動を発表しライバー募集を開始

筆者考察

いちからが2018年に行ったのは、売れない製品からの撤退ではない。会社が売り物として公開したアプリ"にじさんじ"ではなく、そのアプリの公式バーチャルYouTuberとして始動させた8名のライバーのほうを事業の中心へ据えた入れ替えであった。宣伝の手段が売り物を追い越したとき、多くの会社は本業を守りながら副次的な人気を使おうとする。田角陸氏は逆の順序を採った。設立から1年に満たず、2018年4月期の売上高が16,622千円、経常損失が3,962千円という規模であったことが、この入れ替えを軽くした。守るものが無い時期にしか通らない判断であった。

この選択は、会社の資産の置き場所も決めている。ツールを売る会社であれば資産はソフトウェアに宿るが、ライバーを預かる会社では、資産はキャラクターの設計と演者個人との関係の上に置かれる。いちからはアバターと名称と配信アカウントを自社に残し、演者へは貸与した。この型は複製が利く。2019年4月から12月までの9か月間で中国・インドネシア・インド・韓国へ同じ形を敷けたのは、工場も店舗も要らなかったからである。ただし従業員は2019年4月期で48人にとどまり、広げた枠を支える手は伴っていなかった。速さと薄さは同じ型から生まれている。

いちからの売上高 2018年4月期〜2019年4月期(単体)(百万円)

16.62 18年4月期 866.52 19年4月期
  • 出所は ANYCOLOR 有価証券報告書(2018年4月期・2019年4月期・単体)。

2017年〜2019年の業績

決算期 区分 売上高 経常利益純利益 主な投資
億円 YoY 億円 利益率 億円
2017年 n/a n/a n/a n/a n/a n/a n/a
2018年04月期 単体 0 n/a 0 n/a 0 n/a
2019年04月期 単体 9 n/a 0 0.0% 0 n/a

出典・参考

8件
出典・参考
  • いちから ニュースリリース 2018年2月8日「iPhoneXのAnimojiで簡単バーチャルYouTuberの「にじさんじ」から公式バーチャルYouTuber8人始動!!」
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】(2022年4月期)
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業の内容】
  • キャリアハック 2018年5月「「にじさんじ」生んだ田角陸って何者?事業の失敗も、VTuberで逆転!」
  • BRIDGE 2019年9月14日「U25起業家に聞く「起業・新基準」/にじさんじ「いちから」代表、田角さん」
  • MoguLive 2019年12月22日「いちからの“2019年の挑戦”から見えてきたものは? CEO・田角陸氏インタビュー」
  • THE SEED マガジン「「何にこだわり、何をやめるか」PDCAを高速で回し続ける事業選定(起業家1年目の教科書)」

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