同じ人物が3年で自分の否定した戦略へ回った点に、この転換の性格が表れている。踏み切れたのは、2期連続の赤字と1,254億円の特別損失で船の簿価を切り下げ、退路を断ったからだと推察される。優位に立っている最中にやり方を変えたのではなく、劣位に陥ってから変えた。
ただ、安定を選ぶことも一種の賭けであった。LNG船は1隻約200億円を約20年かけて回収する事業で、利益貢献は5〜10年先になる。20年先の需要と相手の信用を読む点で、スポット市況を読むのと質が違うだけである。ロシア北極圏のプロジェクトは、橋本剛社長が制裁の可能性を語る対象として残った。相場を張る性格が消えたわけではなく、賭けの期間が20年に伸びたと思われる。