日本郵船 の歴史

更新: Author:

創業 1885年
母体 郵便汽船三菱会社+共同運輸会社
創業地 東京都
創業
1885年9月、郵便汽船三菱会社と共同運輸会社が合併して日本郵船会社が発足し、10月に創業した。発足時の資本金は1100万円、所有船舶は69隻だった。白地に赤い2本の線を引いた二引の旗章は、2社の合同を表す。1893年にボンベイ航路を開設して日本初の遠洋定期航路とし、1896年には欧州・北米シアトル・豪州の各航路を相次いで開設して、欧州勢が押さえていたアジアの幹線へ参入した。採算の見通しにくい遠洋航路を支えたのは航海奨励法などの補助金であり、国の政策と歩調を合わせる経営はこのときに始まった。
決断
新しい船種を日本で最初に走らせ、その船隊を自前で積み上げてきた。太平洋戦争で船隊の大半を失い、戦後も過当競争で13年の無配が続いたのち、1964年に国策の海運集約で6グループの中核となり、三菱海運との合併で保有船腹228万8000トンを得て最大手となった。1968年には日本初のコンテナ船『箱根丸』を就航させ、1970年に自動車専用船、1983年にLNG船へ船種を広げる。その一番手だったコンテナ船だけを、2016年には定期コンテナ船事業を3社共同のONEへ切り出し、自動車船・ドライバルク・エネルギーを自社に残した。
現況
外航海運のうち、コンテナ船だけを社外に置いている。2026年3月期の売上高2兆4236億円の内訳は物流8017億円、ドライバルク5431億円、自動車5261億円。最大の物流は完全子会社の郵船ロジスティクスが航空・海上のフォワーディングと倉庫で稼ぐ。利益では順が変わる。経常利益ベースのセグメント利益2240億円のうち、完成車を運ぶ自動車が979億円、LNG船とタンカーのエネルギー544億円、出資38パーセントのONE持分を含む定期船が498億円、3つで9割だ。売上は倉庫と通関が積み、利益は自動車専用船とLNG船が出す。
競合
競う相手は同じ集約から生まれた2社だ。1964年に外航海運95社を6グループへ統合した海運集約の中核、大阪商船三井船舶と川崎汽船は現在も商船三井・川崎汽船として残り、ONEへは31パーセントずつを出資する共同事業者でもある。市況から距離を取る道筋も似る。商船三井はLNG船と長期契約へ収益の軸を移し、川崎汽船は多角化を見送って自動車船と鉄鋼原料輸送へ集中した。差がつくのは船の外側だ。郵船ロジスティクスを完全子会社として持ち、航空・海上のフォワーディングと倉庫で売上の3割にあたる8017億円を上げ、自社船の走らない区間まで荷主の貨物を引き受ける。物流を独立の報告セグメントに持つのは3社でこの社だけで、海運市況の谷を陸と空の運賃で埋める形を取っている。
日本郵船:長期業績の推移(売上高・利益率)売上高(億円純利益率(%)
1997年3月期2026年3月期
日本郵船における経営の転換点(その1) Q なぜ1885年に、競い合っていた2社は明治政府の仲裁で1つの海運会社へ統合されたのか
A 郵便汽船三菱会社と共同運輸会社は、航路ごとの運賃の値下げ合戦で互いの経営体力を削り合っていた。一民間の消耗戦に任せれば、欧州勢が独占する遠洋航路に対抗する日本の外航海運が育たないと見た明治政府が、両社の合併を仲裁した。1885年9月、岩崎弥太郎氏が興した三菱系と政府が後押しした共同運輸が一体となって日本郵船会社が設立され、資本金1100万円・所有船舶69隻で10月に創業した。値下げ合戦を終わらせて1社に束ね、政府の補助金と結びつきながら船隊を広げる海運会社をつくる選択だった。
日本郵船における経営の転換点(その2) Q なぜ2017年に、長年の主力だった定期コンテナ船事業を切り離してONEへ統合したのか
A コンテナ船事業は船腹の供給過剰で運賃が採算割れの水準に張り付き、構造的な低収益から抜け出せずにいた。2016年8月末には、東西基幹航路のアライアンス船社としては史上初めて韓進海運が経営破綻し、単独では規模を確保できない邦船各社に決断を迫った。その約2カ月後の10月31日、日本郵船・商船三井・川崎汽船は定期コンテナ船事業と海外ターミナル事業の統合を発表して契約を締結する。出資比率は日本郵船38パーセント・商船三井31パーセント・川崎汽船31パーセントで、統合後の規模は約140万TEU・世界シェア約7パーセントの6位に相当した。同時に2017年3月期にコンテナ船などの減損で特別損失約1950億円を計上し、親会社株主に帰属する当期純損失2657億円を出して過去の投資を清算したうえで、新会社へ出資した
日本郵船における経営の転換点(その3) Q なぜコロナ禍後の空前の利益を、再投資より2000億円超の自己株式取得など株主還元へ多く振り向けたのか
A 2022年3月期に経常利益1兆31億円へ届いた利益の大半は、港湾混雑と巣ごもり消費が運賃を急騰させた一過性のものであり、しかも出資比率38パーセントのONEからの持分法利益で日本郵船が自ら制御できない外部要因に依存していた。市況が戻れば剥落する利益を恒久事業へ厚く回すのは合理的でないと見て、株主へ返す比重を高めた。中期経営計画のもとで総額2000億円の自己株式を取得して消却し、その後も取得枠を積み増した。年間配当は200円へ引き上げつつ下限を100円に固定し、市況が正常化しても配当水準を守る設計とした

API for AI Agents — 認証不要、URLをGETするだけで機械可読なJSONをトークン消費を抑えつつ取得できます。

日本郵船の沿革1885〜2025年における主な出来事を抜粋

時代年月社長・CEO出来事重要度
1885〜1945年二引の旗章と日本初の遠洋定期航路の開拓郵便汽船三菱会社と共同運輸会社の合併により発足★★★
ボンベイ航路を開設★★
欧州航路・北米シアトル航路を開設★★
豪州航路を開設
パナマ経由の東航ニューヨーク航路を開設
近海郵船を設立
第二東洋汽船を合併★★
近海郵船を合併
戦時海運管理令の施行により船舶が国家管理下に移行★★
終戦時の所有船舶が37隻まで減少★★
1946〜1967年国策による海運の集約と13年ぶりの復配浅尾新甫東京・大阪・名古屋の各証券取引所に上場
浅尾新甫海運の民営還元により自主運航へ復帰★★
児玉忠康世界初の大型LPG専用船が竣工
児玉忠康日本郵船・大阪商船三井船舶・川崎汽船ほか海運6グループへの集約(1964年成立)

1963年に成立した海運二法を受け、1964年4月1日に外航海運95社が日本郵船・大阪商船三井船舶・川崎汽船・ジャパンライン・山下新日本汽船・昭和海運の6グループに集約された、戦後最大規模の業界再編である。

詳細を読む
★★★
児玉忠康世界初のチップ専用船「呉丸」が竣工
児玉忠康13年ぶりに復配★★
1968〜1998年コンテナ革命と2度目の集約による規模の確保有吉義弥日本初のフルコンテナ船「箱根丸」が北米航路に就航★★★
有吉義弥近海・内航部門を近海郵船へ委譲★★
有吉義弥自動車専用船による輸送を開始
菊地庄次郎欧州航路でコンテナサービスを開始
菊地庄次郎フランクフルト証券取引所に上場
菊地庄次郎自営の大井コンテナターミナルを開業
小野晋日本貨物航空を設立★★
小野晋LNG船事業に参入★★
根本二郎郵船クルーズを設立
根本二郎日本ライナーシステムを合併★★
根本二郎日本籍船初のダブルハルタンカーが竣工
河村健太郎グランドアライアンスによるコンテナ船サービスを開始★★
河村健太郎タンカー「ダイヤモンドグレース」の原油流出事故★★
河村健太郎船員の外国人比率が9割に到達★★
河村健太郎昭和海運を吸収合併★★★
1999〜2026年総合物流路線とコンテナ船事業の切り離し草刈隆郎草刈隆郎氏が社長に就任
草刈隆郎セレス・ターミナルズを子会社化★★
草刈隆郎中長期経営ビジョン「Forward 120」を策定★★
草刈隆郎5年間で160隻の船隊整備計画を発表★★
宮原耕治日本貨物航空を子会社化★★
宮原耕治ヤマトHDと資本業務提携
工藤泰三公募増資により1100億円を調達★★
工藤泰三経常損失360億円を計上★★
工藤泰三親会社株主に帰属する当期純損失728億円を計上
工藤泰三郵船航空サービスが郵船ロジスティクスに商号変更
内藤忠顕邦船3社の定期コンテナ船事業統合(ONE設立)

2016年10月31日、日本郵船・商船三井・川崎汽船が、赤字の続く定期コンテナ船事業と海外ターミナル事業を切り出して統合すると発表した経営判断。日本郵船が38%、商船三井と川崎汽船が31%ずつ出資する合弁会社『オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)』を2017年7月に設立し、2018年4月にサービスを始めた。統合を主導する筆頭出資者として、日本郵船の側から記す。

詳細を読む
★★★
内藤忠顕親会社株主に帰属する当期純損失2657億円を計上
内藤忠顕日本郵船・商船三井・川崎汽船によるコンテナ船事業統合とONE発足(2017年成立)

2016年10月、日本郵船・商船三井・川崎汽船の邦船3社が、各社の定期コンテナ船事業のみを切り出して統合すると発表。2017年7月に共同出資の新会社オーシャン ネットワーク エクスプレス(ONE)を設立し、2018年4月にサービスを開始した。

詳細を読む
★★★
内藤忠顕郵船ロジスティクスを完全子会社化
内藤忠顕Ocean Network Express がサービスを開始★★
長澤仁志2050年の温室効果ガス排出ネットゼロを宣言★★
長澤仁志経常利益1兆31億円・純利益1兆91億円を計上★★
長澤仁志中期経営計画で4年間1兆2000億円の投資を決定★★
曽我貴也曽我貴也氏が社長に就任
曽我貴也世界初のアンモニア燃料商用船「魁」が竣工★★
曽我貴也経常利益2613億円に縮小
曽我貴也NYK Energy Ocean の株式80%を取得★★
出典・参考
  • 日本郵船 有価証券報告書【沿革】
  • 日本郵船株式会社五十年史(日本郵船、1935年)第四編「補助命令」
  • 日本郵船株式会社五十年史(日本郵船、1935年)第二編第三章「日露戰爭時に於ける當社の業績と戰後の發展」・第五章「世界大戰時に於ける社業の大躍進」
  • 日本郵船株式会社五十年史(日本郵船、1935年)第二編第七章「關東大震災及び濟南・上海兩事變に際し當社船の活動」
  • 日本郵船株式会社五十年史(日本郵船、1935年)第二編第八章「太平洋橫斷航路の擴充」・第十一章「當社關係の海運同盟・貨客連絡運送契約・其他の協定」
  • 証券アナリストジャーナル 第3巻第6号(1965年6月)
  • 日本郵船歴史博物館(公式)
  • 日本郵船歴史博物館 航跡「海運集約」(日本郵船公式)
  • 国土交通省 運輸白書 昭和44年版「第3節 海運業の再建整備」
  • 商船三井 公式サイト「歴史」(企業情報)
  • 川崎汽船 公式サイト「会社沿革」(企業情報)
  • NSユナイテッド海運 公式サイト「沿革」(企業情報)

免責事項およびポリシー