監査等委員会設置会社への移行(2016年・サイゼリヤの決断)

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論点取締役会の過半数を社外にするか
サイゼリヤ:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
社外取締役のいない取締役会から社外過半数の体制への切り替え2016年11月29日の第44期定時株主総会で、監査等委員会設置会社への移行を内容とする定款の変更が決議され、同日付で移行した。構成員の過半数を社外取締役とする監査等委員会の設置を通じて取締役会の監督機能を強化することで、コーポレート・ガバナンスの向上と意思決定の迅速化を図る。

何をなぜ決めたか:社外取締役のいない取締役会から社外過半数の体制への切り替え

概要

2016年11月29日の第44期定時株主総会で、監査等委員会設置会社への移行を内容とする定款の変更が決議され、同日付で移行した。構成員の過半数を社外取締役とする監査等委員会の設置を通じて取締役会の監督機能を強化することで、コーポレート・ガバナンスの向上と意思決定の迅速化を図る。

移行前の取締役会は6名で社外取締役はいなかった。移行後は取締役10名のうち3名が社外となる。

背景

移行前は監査役会設置会社で、取締役6名はいずれも社内、監査役3名のうち2名が社外(うち1名が独立役員)という構成だった。取締役会で票を持つ者に社外はおらず、社外の目は議決の外から監査する立場に置かれていた。

体制を採用する理由に掲げていたのは、監査役会設置会社として迅速な意思決定と取締役会の活性により効率的な経営システムを実現すること、そして社外監査役2名による客観的・中立的監視のもとで透明性と適法性を確保することであった。

内容

移行後の取締役会は10名で、監査等委員でない取締役7名(うち社外1名)と監査等委員である取締役3名(うち社外2名)に分かれる。監査等委員である取締役は取締役会に出席するほか経営会議など重要な会議に出席し、内部監査室と連携してリスク管理体制の構築にあたる。独立役員には、監査等委員である社外取締役の岡田勉氏と渡辺晋氏を選んだ。

任期は監査等委員でない取締役が1年、監査等委員である取締役が2年。監査等委員が補助使用人を求めた場合は、取締役会が監査等委員である取締役と協議のうえ内部監査部門などから人選して配置する。

含意

移行に伴って報酬構成も見直し、同じ総会で譲渡制限付株式報酬制度を新たに導入した。監査等委員でない取締役の枠は基本報酬が年額500百万円以内、株式報酬型ストック・オプションが年額200百万円以内、譲渡制限付株式報酬が年額200百万円以内かつ年10万株以内で、譲渡制限付株式は社外取締役には支給しない。

10名の体制は3期続き、2019年8月期には監査等委員でない取締役が4名へ絞られて取締役会は7名に戻った。社外3名の枠は動かず、2022年8月期からは監査等委員である取締役が4名(うち社外3名)となっている。

いつ何が起きたか5件
考察:同じ言葉のまま担い手が入れ替わった
考察

考察:同じ言葉のまま担い手が入れ替わった

この移行でサイゼリヤが初めて手にしたのは、取締役会で票を投じる社外の目であった。移行前の取締役6名はいずれも社内の人間で、社外の監視は取締役会の外にいる監査役2名が担っていた。興味深いのは、体制を採用する理由の説明が移行の前後でほとんど変わっていないことである。迅速な意思決定と取締役会の活性による効率的な経営システムの実現、そして客観的・中立的監視による透明性と適法性の確保という二つの柱は同じ言葉のまま置かれ、後者の担い手だけが社外監査役から監査等委員である取締役へ入れ替わった。統治の思想を改めたというより、同じ思想を新しい機関設計へ移す作業だったとみられる。

もっとも、機関設計を替えたことの効き目は、その後の人数の動きに表れている。移行から3期後の2019年8月期、監査等委員でない取締役は7名から4名へ絞られ、取締役会は10名から7名に戻った。社外3名の枠は動かなかったので、取締役会に占める社外の比率は3割から4割余りへ上がっている。創業者の正垣泰彦氏が代表取締役会長として席を保つなかで減少したのは社内取締役であり、監督の密度を上げたのは社外を増やす足し算ではなく社内を減らす引き算だった、ともいえるだろう。

Yutaka Sugiura, 2026年9月
数字で見る2表

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図と表

サイゼリヤ:取締役会と監査機関の員数

取締役(名)うち社外取締役率(%)
サイゼリヤ:取締役会と監査機関の員数
(名)取締役うち社外取締役うち監査等委員である取締役監査役備考
2011年8月期60−3監査役3名は全員が社外監査役で、うち1名が常勤
2012年8月期60−4監査役4名のうち3名が社外監査役で、うち1名が常勤
2013年8月期60−3
2014年8月期60−3
2015年8月期60−3監査役3名のうち2名が社外監査役。社外取締役はこの期まで1名もいない
2016年8月期1033−2016年11月29日に移行。員数は移行後の有価証券報告書提出日現在の構成
2017年8月期1033−
2018年8月期1033−
2019年8月期733−監査等委員でない取締役が7名から4名へ。社外3名の枠は動いていない
2020年8月期733−
2021年8月期733−
出所:サイゼリヤ 有価証券報告書 第39〜49期(コーポレート・ガバナンスの状況)
出所:サイゼリヤ 有価証券報告書 第39〜49期(コーポレート・ガバナンスの状況)

経緯と対応

経緯と対応
科目概要備考
決議2016年11月29日第44期定時株主総会で、監査等委員会設置会社への移行を内容とする定款の変更を決議
移行日2016年11月29日決議と同日付で監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行した
移行の目的取締役会の監督機能の強化構成員の過半数を社外取締役とする監査等委員会の設置を通じて図る
掲げた効果ガバナンスの向上と意思決定の迅速化
移行前の取締役会取締役6名(社外0名)監査役会は3名で、うち社外監査役2名。社外監査役1名を独立役員としていた
移行後の取締役会取締役10名(うち社外3名)監査等委員でない取締役7名(うち社外1名)と監査等委員である取締役3名
監査等委員会の構成監査等委員である取締役3名うち社外取締役2名。取締役会のほか経営会議など重要な会議にも出席する
独立役員岡田勉氏・渡辺晋氏いずれも監査等委員である社外取締役
取締役の任期1年監査等委員である取締役は2年。いずれも移行を決議した総会の終結の時から
監査等委員の補助使用人求めがあれば配置取締役会が監査等委員である取締役と協議のうえ内部監査部門などから人選する
報酬構成の見直し譲渡制限付株式報酬制度の導入移行に伴うものとして、同じ第44期定時株主総会で決議した
報酬枠(監査等委員でない取締役)基本報酬 年額500百万円以内うち社外取締役分は年額50百万円以内
株式報酬型ストック・オプション(同)年額200百万円以内うち社外取締役分は年額20百万円以内
譲渡制限付株式報酬(同)年額200百万円以内かつ年10万株以内社外取締役には支給しない
報酬枠(監査等委員である取締役)基本報酬 年額50百万円以内株式報酬型ストック・オプションは年額20百万円以内。譲渡制限付株式は対象外
個別の報酬額の決定取締役会の授権を受けた代表取締役監査等委員である取締役の分は、監査等委員である取締役の協議で決める
出所:サイゼリヤ 有価証券報告書 第44期(2016年8月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】【役員の状況】、第43期(2015年8月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】
出所:サイゼリヤ 有価証券報告書 第44期(2016年8月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】【役員の状況】、第43期(2015年8月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】
参考文献

参考文献

参考
  • サイゼリヤ 有価証券報告書「第44期(2016年8月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】」
  • サイゼリヤ 有価証券報告書「第44期(2016年8月期)【役員の状況】」
  • サイゼリヤ 有価証券報告書「第43期(2015年8月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】」

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