古河スカイと住友軽金属の統合(2013年・古河電工の決断)

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論点支配と引き換えに軽金属の規模を取るか
古河電工:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
軽金属部門を担う連結子会社を統合新会社へ預け、支配ではなく持分で持ち続けた選択2012年8月29日、連結子会社の古河スカイが住友軽金属工業と統合基本合意書を締結した。2013年4月26日に古河スカイを存続会社、住友軽金属を消滅会社とする合併契約を締結し、同年10月1日に効力が発生して株式会社UACJが発足した。住友軽金属の1株には古河スカイの0.346株が割り当てられ、交付された株式は201,181,934株にのぼる。

何をなぜ決めたか:軽金属部門を担う連結子会社を統合新会社へ預け、支配ではなく持分で持ち続けた選択

概要

2012年8月29日、連結子会社の古河スカイが住友軽金属工業と統合基本合意書を締結した。2013年4月26日に古河スカイを存続会社、住友軽金属を消滅会社とする合併契約を締結し、同年10月1日に効力が発生して株式会社UACJが発足した。住友軽金属の1株には古河スカイの0.346株が割り当てられ、交付された株式は201,181,934株にのぼる。

新株の発行によって古河電工の持株比率は53.0%から28.1%へ下がり、古河スカイとその子会社16社は連結の範囲から外れ、UACJは持分法適用の関連会社となった。

背景

軽金属は1993年10月に古河アルミニウム工業と福井圧延を吸収合併して製販を一本化し、2003年10月に会社分割でスカイアルミニウム(同時に古河スカイへ商号変更)へ承継させ、2005年12月に東京証券取引所市場第一部へ上場させた事業である。10年かけて外へ出しながら、過半の株式は握り続けていた。

もっとも採算は重かった。軽金属セグメントの営業損益は2009年3月期に3億5千万円、2010年3月期に1億5千万円の赤字で、売上は2,340億円から1,881億円へ減少している。統合の合意時、古河スカイはタイに大型のアルミ板圧延工場を建設中でもあった。

内容

合併比率は古河スカイ側がみずほ証券と野村證券、住友軽金属側がSMBC日興証券と大和証券を第三者算定機関として起用し、市場株価法とDCF法などの分析を経て決めた。統合の狙いに掲げたのは、経営資源の効率的活用とスケールメリットによるコスト削減、そして「世界的な競争力を持つアルミニウムメジャー会社」となることである。

連結からは資産200,841百万円と負債143,287百万円が外れ、現金及び現金同等物14,422百万円も同時に抜けた。連結従業員数は50,342人から47,045人へ減少し、軽金属セグメントの従業員欄は「-」になった。

含意

2014年3月期の連結損益計算書には、上期の売上高88,167百万円と営業利益4,909百万円が軽金属として計上され、下期はUACJの持分法による投資利益2,352百万円だけが残った。経常利益への取込は合わせて7,208百万円である。収益源を一つ失い、利益だけを持分で受け取る構造へ変わった。

持株比率はその後28.1%から24.9%、25.0%へと動き、2024年6月にUACJ株式2,600,000株を市場で売却して19.75%まで落としたところで、持分法適用の範囲からも外れた。

いつ何が起きたか8件
考察:支配権を譲渡して規模を獲得した
考察

考察:支配権を譲渡して規模を獲得した

この統合で古河電工が差し出したのは、株式でも現金でもなく支配そのものだった。合併の対価は存続会社である古河スカイが自ら発行した新株で、親会社は一円も出していない。それでいて持株比率は53.0%から28.1%へ落ち、売上1,800億円台のセグメントと子会社16社、従業員3,000人余りが連結から消えた。払ったのは希薄化という形の代金である。アルミ圧延で世界規模を取るには住友軽金属と足し合わせるしかなく、足し合わせれば過半は保てない。その引き換えを受け入れたところに、この判断の芯がある。

もっとも、譲渡したのは支配であって関係ではない。統合後もUACJへは原材料を供給し、同社から原材料を購入し、業務の一部を受託する取引が続き、2014年4月にはハードディスク用アルミ基板材の合弁会社の設立でも合意している。持分法の利益は年により1,855百万円の益と5,684百万円の損の間で揺れ、連結の主力事業だった頃の安定は戻らなかった。2024年に株式の一部を売って持分法の範囲からも外したとき、20年をかけた軽金属からの後退がようやく終わったのだと推察される。

Yutaka Sugiura, 2026年9月
数字で見る2表

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図と表

古河電工:軽金属セグメントと持分法による投資損益

軽金属セグメント売上高(百万円)
古河電工:軽金属セグメントと持分法による投資損益
(百万円)軽金属セグメント売上高軽金属セグメント営業損益持分法による投資損益(全社)備考
2009年3月期234,032△350291事業の種類別セグメントによる区分。売上高は内部売上高を含む計
2010年3月期188,117△1503,270事業の種類別セグメントによる区分。翌期から報告セグメントへ切り替わる
2011年3月期202,50011,487634事業の種類別セグメントから報告セグメントへ移行した期
2012年3月期190,0955,710125
2013年3月期180,7004,362112統合基本合意の期。古河スカイは連結子会社で持株比率は53.0%
2014年3月期94,0284,444△82510月1日に連結除外。売上高は上期の6か月分で、下期は持分法に切り替わる
2015年3月期−−1,855軽金属の区分は消滅。UACJへの持株比率は28.1%
2016年3月期−−△5,684ビスキャスの事業再編に伴う損失計上を含む全社の持分法損益
2017年3月期−−102UACJへの持株比率は24.9%
2018年3月期−−4,311UACJへの持株比率は25.0%
2019年3月期−−1,685
出所:古河電気工業 有価証券報告書 第188〜198期(セグメント情報・連結損益計算書・関係会社の状況)
出所:古河電気工業 有価証券報告書 第188〜198期(セグメント情報・連結損益計算書・関係会社の状況)

統合の条件

統合の条件
科目概要備考
結合企業古河スカイ株式会社当社の連結子会社。アルミニウムの圧延製品・鋳物製品・鋳造製品等の製造・販売
被結合企業住友軽金属工業株式会社アルミ・銅等の非鉄金属およびその合金の圧延品ならびに加工品の製造・販売
法的形式吸収合併古河スカイが吸収合併存続会社、住友軽金属が吸収合併消滅会社
統合基本合意書の締結2012年8月29日古河スカイと住友軽金属の両社が締結した
合併契約の締結2013年4月26日実施は国外を含む関係当局の承認・許認可と両社の株主総会の承認を条件とした
企業結合日2013年10月1日
合併比率住友軽金属1株に古河スカイ0.346株住友軽金属が保有する自己株式には割当てを行わない
交付した株式数201,181,934株合併契約時の予定は201,191,323株。株式買取請求に係る株式は除く
合併比率の算定機関みずほ証券・野村證券ほか2社住友軽金属側はSMBC日興証券と大和証券。市場株価法とDCF法等で株式価値を算定
統合新会社株式会社UACJ資本金45,000百万円。アルミニウム・銅等の非鉄金属の圧延製品等の製造・販売
当社の持株比率53.0%→28.1%古河スカイは連結子会社だったが、UACJは持分法適用の関連会社となった
企業結合を行った主な理由世界的な競争力を持つアルミニウムメジャー会社経営資源の効率的活用やスケールメリットの確保等によるコスト削減と顧客満足度の向上
連結除外となった資産200,841百万円流動資産96,445、固定資産104,395。現金及び現金同等物14,422を含む
連結除外となった負債143,287百万円流動負債86,955、固定負債56,332
連結範囲から外れた会社古河スカイと子会社16社Tri-Arrows Aluminum Holding Inc.ほか3社は持分法適用の範囲へ移った
当期の連結損益への取込売上高88,167百万円第2四半期連結累計期間の売上高。同期間の営業利益は4,909百万円
経常利益への取込7,208百万円上期の経常利益4,856と第3・第4四半期のUACJ持分法投資利益2,352の合計
会計処理事業分離等に関する会計基準企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針に基づき処理した
出所:古河電気工業 有価証券報告書 第191期(2013年3月期)【経営上の重要な契約等】・第192期(2014年3月期)【企業結合等関係】【連結キャッシュ・フロー計算書関係】
出所:古河電気工業 有価証券報告書 第191期(2013年3月期)【経営上の重要な契約等】・第192期(2014年3月期)【企業結合等関係】【連結キャッシュ・フロー計算書関係】
参考文献

参考文献

参考
  • 古河電気工業 有価証券報告書「第191期(2013年3月期)【経営上の重要な契約等】」
  • 古河電気工業 有価証券報告書「第191期(2013年3月期)【関係会社の状況】」
  • 古河電気工業 有価証券報告書「第192期(2014年3月期)【企業結合等関係】」
  • 古河電気工業 有価証券報告書「第192期(2014年3月期)【連結キャッシュ・フロー計算書関係】」
  • 古河電気工業 有価証券報告書「第192期(2014年3月期)【従業員の状況】」

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