古河電工米ルーセントの光ファイバ買収:ケーブル部門の取り込みによる世界シェア2位への浮上
更新:
- 概要
-
2001年7月24日(米国時間)、古河電気工業は米ルーセント・テクノロジーズの光ファイバー部門を総額27億5,000万ドルで買収すると発表した。自社負担は18億7,500万ドル(約2,250億円)で、米コムスコープ、米コーニングと三者で分担した。同年11月に買収を完了し、世界シェアは7%前後から22%前後へ上がってコーニングに次ぐ2位となった。
- 背景
-
1995年6月に社長へ就いた古河潤之助氏のもとで、古河電工は新製品比率を高め、1990年に北米で合弁設立した光部品メーカーJDSユニフェイズ株の高騰で巨額の含み益を抱えた。一方、本業の光ファイバでは世界4位・シェア7%前後にとどまり、首位の米コーニングとの差は大きかった。
- 内容
-
売り手のルーセントはITバブル崩壊で業績が悪化し、2001年2月に身売りを決めていた。仏アルカテルによる一括買収が5月に決裂した後、光ファイバー部門だけを切り出す方針へ変わり、2カ月の争奪戦の末に古河電工が落札した。ルーセントの約900件の特許と、コーニングの特許使用権も引き継いだ。
- 含意
-
契約締結は米同時多発テロとコムスコープの資金難で二度延び、その間に頼みの株式含み益は約2兆円から1,500億円程度へ縮んだ。買収後の需要は戻らず、2003年3月期に1,140億円、2004年3月期に1,401億円の最終赤字を計上した。古河潤之助氏は2003年に会長へ退いた。
値上がりした担保で買い、値下がりしてから払う
約2兆円と言われたJDSユニフェイズ株の含み益は、契約が締結される前に5,000億円へ、さらに1,500億円程度へと減っていた。値上がりした株を後ろ盾に決めた買い物の代金を、値下がりしたあとに払ったことになる。実際に戻るまでには十年以上を要し、その差が二期で2,500億円を超える最終赤字となって表れたとみられる。
ただ、買った資産そのものが誤りであったとは言い切れない。ルーセントの約900件の特許とコーニングの特許使用権は失われず、赤字のまま二十年以上抱えた事業が2025年にLighteraへ組み直され、いまは情報通信ソリューション売上の3割を超えるデータセンタ関連製品を支えている。手放していれば、この収穫は他社のものであった。買収の失敗として記録された判断が、売らずに持ち続けた年月によって別の評価を得た点に、この決断の輪郭があるといえる。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
同じ問いに直面した会社
- 日経ビジネス 2001年3月12日号
- 古河電気工業 有価証券報告書【沿革】
- 古河電気工業 有価証券報告書(2002年3月期〜2004年3月期・連結)
- 古河電気工業 ニュースリリース 2025年3月6日「光ファイバ・ケーブル事業の運営体制を刷新、4月1日より新ブランド「Lightera」が始動」
- 古河電気工業 2025年度第3四半期 決算説明会 質疑応答