古河電工の直近の動向と展望
古河電工の直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。
セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。
直近の動向と展望
データセンター需要が光ファイバ投資24年越しの回収となる
2025年3月期、古河電工の連結売上高は1兆2,018億円、経常利益は486億円まで回復した。ドライバーは情報通信ソリューション事業、特にAI・データセンター向け光ファイバ・ケーブル、光部品である。2025年4月1日付で光ファイバ・ケーブル事業を再編し、日本、OFS(北米・欧州)、FEL(中南米)を統合して新ブランド「Lightera」として発足させた。2001年に買収したOFS社の名前がブランド名の由来であり、24年越しに光ファイバ事業を統合ブランドとして再出発させた形となる。4地域事業を一体運営する体制へ切り替えたことで、AI需要を世界市場で取りに行く準備が整い、IOWN構想に連動する空孔ファイバ・マルチコアファイバの量産化も視野に入った局面へと移行し、光ファイバの会社という姿がようやく明確になってきた。
2025年12月にはDFBレーザチップの追加増産投資を発表した。MTフェルール・ローラブルリボンケーブルも追加投資を検討中で、データセンター関連製品の売上は情報通信ソリューション全体の3割超に達した。2025年度Q3累計の親会社株主当期純利益355億円は、前年同期の164億円から倍以上に伸び、政策保有株式の売却益を含む特別損益改善が大きく寄与した。FY25通期予想は売上高1兆3,000億円・営業利益560億円・経常利益650億円・当期純利益530億円へ上方修正されている。IOWN構想に向けた空孔ファイバ、マルチコアファイバ、外部光源用DFBレーザチップといった次世代技術の特許・生産体制が、ようやく収益に結びつき始めた局面で、20年越しの仕込みがようやく結実する時期に入ったと評価できる状況にある。
- 決算説明会 FY25-2Q
- 決算説明会 FY26-3Q
水冷・CPO投資の前倒しと非コア切り出しの継続
成長領域はデータセンター関連に集中している。水冷サーマル製品は、2024年7月の水冷工場新設リリース時点の将来売上見込みが、2025年11月の工場拡張リリース時には約2倍に拡大し、2026年度売上見込みは当初60億円の約2倍水準へ伸びる。CPO(Co-Packaged Optics)関連製品の量産化目標は、当初の2030年から2028年度へ前倒しされた。外部光源ELSFPとCPO用小型多心光コネクタが主力製品となる見込みで、白山工場では2026年1月にフェルール増産投資を発表し、プリコンケーブルの本格的な利益貢献は2026年度からを見込む段階に入った。AI需要の急拡大に合わせて量産計画が連続して前倒しされ、20年以上の停滞を経て次の主力事業がようやく形を整えて、2020年代後半の成長ドライバーへと育ちつつある状況が明確となっている。
一方、非コア事業の切り出しは継続している。2024年4月にEssex Furukawa Magnet Wire LLC株式を譲渡し太物巻線事業を完全に手放し、2024年6月にはUACJ株式の一部を譲渡して持分法適用範囲から除外、同年7月には古河電池株式を投資ファンドへ約186億円で譲渡した。1981年に吸収合併した古河金属、1993年に吸収合併したアルミ事業、1950年に設立した古河電池という戦後の多角化で築いた子会社群は、2020年代半ばまでにほぼ切り出し・資本関係の縮小が完了した。配当性向は2025年度予想で20.9%にとどまり、「データセンタ関連の設備投資は今後も続く見込み。成長分野への投資を積極的に行う方針であり、そちらに振り向けたい」(青島弘治・古河電工財務本部長、決算説明会 FY26-3Q)として、株主還元より成長投資を優先する方針を明示している。
- 決算説明会 FY25-2Q
- 決算説明会 FY26-3Q