アステラス製薬 の歴史

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創業 2005年
母体 山之内製薬+藤沢薬品工業
創業地 東京都中央区
創業
2005年4月1日、山之内製薬と藤沢薬品工業が合併してアステラス製薬が発足した。法律上存続したのは山之内製薬で、証券コード4503も有価証券報告書の期も切れずに続いている。2004年2月24日に両社が合併の基本合意を発表し、2年に一度の薬価引き下げが続く国内で、3位と5位が単独では創薬投資を回収できないという見通しを両社は共有した。山之内製薬の泌尿器・循環器と藤沢薬品工業の移植・免疫は重ならず、新会社の医薬品売上は約8000億円、MRは約2400名で国内最大となる。山之内製薬単独の最終期にあたる2005年3月期に売上高4471億円・従業員7196人だった規模は、合併第1期の2006年3月期に売上高8793億円・従業員14965人へ倍増した。
決断
意思決定の場所を、合併の3年後に日本から米国へ移した。2008年4月、米国にアステラスファーマグローバルディベロップメントを設立し、臨床開発の指揮を世界最大の市場の中へ置いた。研究は国内に残したまま、開発の司令塔だけを動かす分担である。取得する対象も品目ではなく会社そのもので、2007年12月に米アジェンシスを約4億ドルで取得し、2010年6月には米OSIファーマシューティカルズを同意なき公開買付けで約3700億円で取得した。前立腺がん治療薬XTANDIはこの買収で得た資産で、2016年3月期の売上収益1兆3727億円・当期利益1936億円という最高益を生んだ。以後も細胞医療のオカタ、抗体のガニメド、女性ヘルスのオジェダ、遺伝子治療のオーデンテスと、社内にない創薬技術を持つ会社を技術の種類ごとに取得している。
現況
1剤の独占販売期間が、売上2兆円の会社の損益に期限を与えている。2026年3月期の売上収益は2兆1392億円、営業利益3826億円、当期純利益2915億円で、IVERIC bio買収の直後に170億円まで減少した純利益は2期で17倍に戻った。地域別では米国9457億円が日本3171億円の3倍にあたり、日本は売上の15%まで縮んでいる。その米国売上の中心にあるXTANDIは、独占販売期間が2027年に満了する。2024年からは全社最適化プログラムで4年間に1200〜1500億円を削減し、2027年度のコア営業利益率30%を目標に置いた。買い集めた眼科・遺伝子治療・女性ヘルスの製品が、その満了までに主力の交代を担えるかが問われている。
競合
同じ2005年に生まれた2社のうち、先に市販薬を譲渡したのはアステラス製薬である。2006年4月、市販薬子会社ゼファーマの全株式を第一三共へ渡し、医療用医薬品だけを扱う会社になった。三共と第一製薬が持株会社を先に置いて統合したのは国内の規模を争う再編で、当時の争点は国内での順位だった。その第一三共が市販薬から離れるのは20年後で、武田薬品工業が大衆薬事業を投資ファンドへ売却した2020年のより14年早い。海外での組み方も分かれ、塩野義製薬がHIV薬の権利を英ViiV Healthcareへ預けてロイヤリティを受け取るのに対し、アステラス製薬は販売会社ごと取得して自社で売り切る形を選んでいる。競争の焦点は国内の順位ではなく、2027年に切れるXTANDIの後を、買い集めた技術のどれが継ぐかに移った。
アステラス製薬:長期業績の推移(売上高・利益率)売上高(億円純利益率(%)
2005年3月期2026年3月期

設立ストーリー 2005年の発足と海外がん事業への賭け ── 合併からXTANDI最高益まで (2005年〜)

対等合併の実務 ── 二社を一つの会社にする

2005年4月1日、山之内製薬と藤沢薬品工業が合併し[1]、アステラス製薬が発足した。2年に一度の薬価引き下げで国内市場の拡大が見込めなくなる一方、欧米の大手は大型合併で研究開発の規模を引き上げており、国内3位と5位が単独で創薬投資を回収し続けることは難しくなっていた。合併基本合意の発表時点で、新会社の医薬品売上高は約8000億円となり、武田薬品工業に次ぐ国内2位・世界17位に上がる。MR数は約2400名で国内最大となる。竹中登一氏は合併決定後の取材で『やはり現状の700億円では足りない、ラフに見積もっても最低1000億円はないと駄目ですね』[引用元](週刊東洋経済 2004/04/17)と語っている。規模を作ることが、この合併の主眼の一つだった。

  • アステラス製薬 有価証券報告書【沿革】
    • [1]2005年4月1日に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併しアステラス製薬が発足した

発足初年度から重複拠点の整理が始まった。2005年4月に製剤生産機能を統合・分社化してアステラス東海を設立し、翌2006年4[2]月には原薬製造機能を分社化してアステラスファーマケミカルズを設立した(両社は2011年4月にアステラス富山とともに統合され、アステラスファーマテックとなる)。組織は社長直属の本部をマネジメントの中心単位とする9本部制を敷き、本部長や主要ポスト[3]に旧山之内・旧藤沢の出身者を配した。数字の上での変化は明瞭で、山之内単独の最終期にあたる2005年3月期に売上高4471億円・従業員7196人だった規模は、合併第1期の2006年3月期に売上高8793億円・従業員14965人へと倍増し、2007年3月期には売上高9206億円・純利益1312[4]億円となった。

  • アステラス製薬 有価証券報告書【沿革】
    • [2]2005年4月にアステラス東海(製剤)、2006年4月にアステラスファーマケミカルズ(原薬)を設立し、2011年4月にアステラスファーマテックへ統合した
    • [3]発足時の組織は社長直属の本部を中心単位とする9本部制で、旧2社出身者を主要ポストに配した
  • アステラス製薬 有価証券報告書(連結財務諸表)
    • [4]売上高は2005年3月期4471億円から2006年3月期8793億円へ、従業員数は7196人から14965人へ増え、2007年3月期は売上高9206億円・純利益1312億円だった

2008年4月には米国にアステラスファーマグローバルディベロップメントInc.を設立し、開発本社機能を米国に置いた[5]。竹中氏は合併決定時、海外大手から出資を伴う提携を持ちかけられても『本当にずっと日本で研究をさせてくれるか不安でした』[引用元](週刊東洋経済 2004/04/17)として応じず、日本を中心に研究を行い営業をグローバルに広げる構えを語っていた。その3年後に選ばれたのは、研究は国内に残しつつ、臨床開発の司令塔だけを世界最大の市場である米国へ移す分担である。合併を国内の重複整理で終わらせず、臨床開発の指揮を世界最大の市場の中に置いた判断は、当時の日本の大手製薬としては踏み込んだものだったとみられる。

  • アステラス製薬 有価証券報告書【沿革】
    • [5]2008年4月に米国へアステラスファーマグローバルディベロップメントInc.を設立し開発本社機能を置いた
  • アステラス製薬 有価証券報告書【沿革】
    • [1]2005年4月1日に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併しアステラス製薬が発足した
    • [2]2005年4月にアステラス東海(製剤)、2006年4月にアステラスファーマケミカルズ(原薬)を設立し、2011年4月にアステラスファーマテックへ統合した
    • [5]2008年4月に米国へアステラスファーマグローバルディベロップメントInc.を設立し開発本社機能を置いた
    • [3]発足時の組織は社長直属の本部を中心単位とする9本部制で、旧2社出身者を主要ポストに配した
  • アステラス製薬 有価証券報告書(連結財務諸表)
    • [4]売上高は2005年3月期4471億円から2006年3月期8793億円へ、従業員数は7196人から14965人へ増え、2007年3月期は売上高9206億円・純利益1312億円だった

アジェンシス、OSI ── がん領域への3700億円クロスボーダー

合併直後からアステラスはがん領域への投資を加速した。2007年12月に米バイオベンチャーのアジェンシス[6]を約4億ドルで買収して抗体医薬の開発拠点を獲得し、2010年6月にはOSIファーマシューティカルズを約3700億円で買収した[7]。OSIは肺がん治療薬タルセバを擁し、合併後のアステラスにとって最大級のクロスボーダー買収となった。OSI買収で前立腺がん治療薬XTANDI(エンザルタミド)を中核資産として取り込み、それまで泌尿器・移植が中心だった事業構成をがん領域へ傾けた。大阪発の製薬会社が、米国市場を主戦場とするがん企業へ形を変える時期の判断である。がん領域へのパイプライン集中と、自社研究に閉じないクロスボーダーM&Aの組み合わせは、合併以降の経営の基調となった。

  • アステラス製薬 有価証券報告書【沿革】
    • [6]2007年12月に米バイオベンチャーのアジェンシスを買収した
    • [7]2010年6月にOSIファーマシューティカルズを約3700億円で買収した

OSI買収の翌年にあたる2011年6月、野木森雅郁社長から畑中好彦[8]へ社長が交代した。合併初代の竹中・野木森ラインから3代目への移行は、グローバル化の遂行を担う世代交代で、買収後の統合実務を研究開発出身の畑中好彦社長が引き受けた。畑中体制では、2008年以降に設立したインド・ブラジル・オーストラリア・シンガポール・マレーシア各国[9]の販売子会社網を本格稼働させ、卸や代理店経由が中心だった海外販売を自社直販体制として新興国まで広げた。海外売上比率は高まり、米国と欧州を中核とする収益構造への移行がこの数年間で進んだ。米国での直販組織は、XTANDIの立ち上げを加速させる役割も担った。

  • アステラス製薬 有価証券報告書(役員の状況)
    • [8]2011年6月に野木森雅郁社長から畑中好彦へ社長交代した
  • アステラス製薬 有価証券報告書【沿革】
    • [9]2008年以降にインド・ブラジル・オーストラリア・シンガポール・マレーシア各国の販売子会社を設立した
  • アステラス製薬 有価証券報告書【沿革】
    • [6]2007年12月に米バイオベンチャーのアジェンシスを買収した
    • [7]2010年6月にOSIファーマシューティカルズを約3700億円で買収した
    • [9]2008年以降にインド・ブラジル・オーストラリア・シンガポール・マレーシア各国の販売子会社を設立した
  • アステラス製薬 有価証券報告書(役員の状況)
    • [8]2011年6月に野木森雅郁社長から畑中好彦へ社長交代した

XTANDIが運んだ純利益1936億円と次の種まき

OSI由来のXTANDIは去勢抵抗性前立腺がんの標準治療として世界各国で承認を獲得し、合併後のアステラスの収益を押し上げた。2012年3月期に売上収益9694億円だった連結業績は、2014年3月期に1兆1645億円、2016[10]年3月期には1兆3727億円・親会社の所有者に帰属する当期利益1936億円へ拡大し、合併以来の最高益を記録した。泌尿器領域で長年培った販売体制が、同じ前立腺領域のXTANDIと噛み合い、米国市場での立ち上げの速さを支えた。XTANDIが米国・欧州で伸びたことで、合併直後から積み上げた海外開発投資は回収段階に入り、合併の成果が定量的に現れた時期である。ピーク時の世界売上は同社全体の3割超を占め、単一製品への依存の大きさも同時に浮き彫りになった。

  • アステラス製薬 有価証券報告書(連結財務諸表)
    • [10]売上収益は2012年3月期9694億円・2014年3月期1兆1645億円・2016年3月期1兆3727億円へ拡大し、2016年3月期に純利益1936億円の合併以来最高益を記録した

ピーク収益に達するのと前後して、次の種も播かれた。2013年10月に米Amgenとの合弁アステラス・アムジェン・バイオファーマが業務を開始し[11]、抗体医薬を中心とするバイオ医薬分野への本格参入を狙った。2016年2月には米オカタセラピューティクスを買収して眼科の細胞医療研究に参入し、同年12[12]月には独ガニメドファーマシューティカルズを買収してClaudin18.2標的のゾルベツキシマブ[13]を取り込んだ。合併前の両社が得意とした低分子創薬の延長ではなく、バイオ医薬・細胞医療・抗体医薬という異なる技術の組み合わせを短期間で揃えた点に、XTANDI依存からの脱却への危機感がにじむ。のちに重点領域となる眼科とがん抗体医薬の種は、この時期に揃った。

  • アステラス製薬 有価証券報告書【沿革】
    • [11]2013年10月に米Amgenとの合弁アステラス・アムジェン・バイオファーマが業務を開始した
    • [12]2016年2月に米オカタセラピューティクスを買収し眼科の細胞医療研究に参入した
    • [13]2016年12月に独ガニメドファーマシューティカルズを買収しClaudin18.2標的のゾルベツキシマブを取り込んだ
  • アステラス製薬 有価証券報告書(連結財務諸表)
    • [10]売上収益は2012年3月期9694億円・2014年3月期1兆1645億円・2016年3月期1兆3727億円へ拡大し、2016年3月期に純利益1936億円の合併以来最高益を記録した
  • アステラス製薬 有価証券報告書【沿革】
    • [11]2013年10月に米Amgenとの合弁アステラス・アムジェン・バイオファーマが業務を開始した
    • [12]2016年2月に米オカタセラピューティクスを買収し眼科の細胞医療研究に参入した
    • [13]2016年12月に独ガニメドファーマシューティカルズを買収しClaudin18.2標的のゾルベツキシマブを取り込んだ

オジェダ買収と安川体制の発足 ── 外部導入という宣言

2017年5月、ベルギーのオジェダSAを買収し、女性ヘルス領域[14](子宮内膜症治療薬)の基盤を獲得した。翌2018年4月、畑中好彦社長から安川健司[15]へ社長が交代した。研究開発出身で、合併後の統合と海外展開を最前線で担った世代が経営の中心に立った。安川健司社長は就任後の取材で、自前主義では競争に勝てないとして外部のイノベーションを取り込む仕組みの構築を経営の柱に据える方針を明示し、旧2社の時代から続いた社内研究偏重を改め、外部導入と提携を軸に置く方針への転換を示した。合併以来続いた連続買収を、臨時の打ち手から常道へと制度化する宣言でもあった。

  • アステラス製薬 有価証券報告書【沿革】
    • [14]2017年5月にベルギーのオジェダSAを買収し女性ヘルス(子宮内膜症治療薬)領域の基盤を獲得した
  • アステラス製薬 有価証券報告書(役員の状況)
    • [15]2018年4月に畑中好彦社長から安川健司へ社長交代した

業績面では2017年3月期に売上収益1兆3117億円・純利益2187億円となり[16]、円高の進行や国内薬価改定の影響を受けつつ、合併直後の倍に近い純利益水準を維持した。XTANDIへの過度な依存と米国での特許切れリスクは2010年代後半から市場の関心となり、外部導入をさらに加速して次世代パイプラインを厚くすることが、安川体制の出発点の最大の課題だった。合併から安川体制の発足までの十年余りは、がん領域への選択と集中で最高益を実現すると同時に、その収益の先細りに備える時期でもあった。合併から十年余りを経て、アステラスは再び、次の成長の核を社外に求めて探す段階に戻った。外部導入を基本とする方針が、この後の連続買収を方向づけた。

  • アステラス製薬 有価証券報告書(連結財務諸表)
    • [16]2017年3月期の売上収益は1兆3117億円・純利益2187億円だった
  • アステラス製薬 有価証券報告書【沿革】
    • [14]2017年5月にベルギーのオジェダSAを買収し女性ヘルス(子宮内膜症治療薬)領域の基盤を獲得した
  • アステラス製薬 有価証券報告書(役員の状況)
    • [15]2018年4月に畑中好彦社長から安川健司へ社長交代した
  • アステラス製薬 有価証券報告書(連結財務諸表)
    • [16]2017年3月期の売上収益は1兆3117億円・純利益2187億円だった

オーデンテス買収とAT132の挫折 ── 遺伝子治療への賭け

2018年以降、安川体制は外部導入を矢継ぎ早に行った。2018年1月に米マイトブリッジ、同年12月に米ポテンザセラピューティクスを買収して[17]、ミトコンドリア疾患・がん免疫の研究シードを獲得した。2020年1月には米オーデンテスセラピューティクスを買収[18]し、遺伝子治療領域への本格参入を果たした。オーデンテスは神経筋疾患を対象とするアデノ随伴ウイルス(AAV)遺伝子治療のAT132を擁し[19]、この買収はアステラスにとって、これまでの低分子・抗体・細胞医療に続く新しい軸として遺伝子治療という未成熟な市場に踏み込む、新規モダリティへの賭けとなった。製造工程そのものが確立しきらない領域に、買収対価を先行投入した判断である。

  • アステラス製薬 有価証券報告書【沿革】
    • [17]2018年1月に米マイトブリッジ、同年12月に米ポテンザセラピューティクスを買収した
    • [18]2020年1月に米オーデンテスセラピューティクスを買収し遺伝子治療領域へ本格参入した
    • [19]オーデンテスは神経筋疾患を対象とするアデノ随伴ウイルス(AAV)遺伝子治療のAT132を擁していた

しかしAT132は、臨床試験での有害事象と製造プロセスをめぐる課題が重なり、開発計画が遅延した。子会社名はアステラスジーンセラピーズへ改められ[20]、社内ガバナンスの再構築が進んだ。2021年3月期の連結売上収益は1兆2495億円・純利益1206[21]億円に低下し、為替やXTANDI米国売上の頭打ちに加え、新規モダリティ買収の収益貢献が見えにくい状況が続いた。安川健司社長は外部導入路線を続ける一方で、買収後の統合と開発リスクの管理という、従来のアステラスには経験の薄い課題を抱え込んだ。遺伝子治療という新しい領域は、同社の従来の開発体制にも見直しを迫る規模の試行錯誤を必要とした。

  • アステラス製薬 有価証券報告書【沿革】
    • [20]オーデンテスの子会社名はアステラスジーンセラピーズへ改められた
  • アステラス製薬 有価証券報告書(連結財務諸表)
    • [21]2021年3月期の連結売上収益は1兆2495億円・純利益1206億円だった
  • アステラス製薬 有価証券報告書【沿革】
    • [17]2018年1月に米マイトブリッジ、同年12月に米ポテンザセラピューティクスを買収した
    • [18]2020年1月に米オーデンテスセラピューティクスを買収し遺伝子治療領域へ本格参入した
    • [19]オーデンテスは神経筋疾患を対象とするアデノ随伴ウイルス(AAV)遺伝子治療のAT132を擁していた
    • [20]オーデンテスの子会社名はアステラスジーンセラピーズへ改められた
  • アステラス製薬 有価証券報告書(連結財務諸表)
    • [21]2021年3月期の連結売上収益は1兆2495億円・純利益1206億円だった

「社内要因の根絶」と重点戦略製品の仕込み

2022年3月期、アステラスはXTANDIに続く成長製品として、尿路上皮がん治療薬パドセブ、急性骨髄性白血病治療薬ゾスパタ、腎性貧血治療薬エベレンゾを『重点戦略製品』に位置づけた。2022年3月期1Q時点でのコア営業利益は前年同期比12%減の553億円となり、米国インフレ抑制法への対応やXTANDIの患者支援プログラム拡大が米国売上の下押し要因となるなか、後継製品群の積み上げが急務となった。安川健司社長は社内文化改革を一段強め、社内に残るイノベーション阻害要因の根絶を自らの使命として明示した。外部導入という構造改革を支えるために、社内の側にも同時に手を入れた時期にあたる。

2016年に買収したガニメド由来のゾルベツキシマブ[22](Claudin18.2標的抗体)は、安川健司社長の在任中に胃がん臨床試験で有望データを示し、のちのVYLOYとして開花する素地ができた。オジェダ由来のフェゾリネタント(のちのVEOZAH)が更年期障害治療薬として米国申請段階に進み、女性ヘルスでの新領域開拓も動いた。安川期の外部導入は、買収から数年を経てパイプラインの形を取り始めたが、本格的な収益貢献はなお先送りされた。連続買収の成果が見え始めるまでには、モダリティごとの開発・製造・上市の長い準備期間が必要となる構造的な事情があった。買収の成果が決算に現れるまでの空白期間をどう埋めるかが、安川時代を通じた経営課題として残った。

  • アステラス製薬 有価証券報告書【沿革】
    • [22]2016年に買収したガニメド由来のゾルベツキシマブ(Claudin18.2標的抗体)はのちのVYLOYとなった
  • アステラス製薬 有価証券報告書【沿革】
    • [22]2016年に買収したガニメド由来のゾルベツキシマブ(Claudin18.2標的抗体)はのちのVYLOYとなった

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アステラス製薬の沿革2005〜2023年における主な出来事を抜粋

時代年月社長・CEO出来事重要度
2005〜2016年2005年の発足と海外がん事業への賭け ── 合併からXTANDI最高益まで竹中登一山之内製薬と藤沢薬品工業の合併によるアステラス製薬の誕生(2005年成立)

2005年4月、山之内製薬と藤沢薬品工業が合併し、新社名アステラス製薬として発足した案件。武田薬品に次ぐ国内第2位の製薬企業が誕生した。

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★★★
竹中登一竹中登一氏が初代社長に就任
野木森雅郁アジェンシスInc.を買収
野木森雅郁アステラスファーマグローバルディベロップメントInc.を設立
野木森雅郁アステラスファーマインディアPVT.Ltd.を設立
野木森雅郁アステラスファーマブラジルを設立
野木森雅郁米OSIファーマシューティカルズへの同意なき買収(敵対的TOB)

2010年3月、アステラス製薬が米OSIファーマシューティカルズに1株52ドルの公開買付を仕掛けた経営判断。OSIの取締役会は同意せず、日本の製薬会社による米社への数少ない敵対的買収となった。

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★★★
野木森雅郁アステラスファーマテックが発足
畑中好彦畑中好彦氏が社長に就任
畑中好彦アステラス・アムジェン・バイオファーマが業務開始
畑中好彦オカタセラピューティクスInc.を買収★★
畑中好彦ガニメドファーマシューティカルズAGを買収★★
2017〜2022年「自前主義では勝てない」 ── 安川体制の外部導入畑中好彦オジェダSA(ベルギー)を買収
畑中好彦マイトブリッジInc.を買収
安川健司安川健司氏が社長に就任
安川健司ポテンザセラピューティクスInc.を買収
安川健司オーデンテスセラピューティクスInc.を買収★★
安川健司アステラスファーマテックを吸収合併
2023〜2026年岡村期のIVERIC bio 約8000億円と連続買収の検証岡村直樹岡村直樹氏が社長に就任
岡村直樹IVERIC bio, Inc.を買収★★
岡村直樹FY23純利益が前年比83%減★★
出典・参考

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