エーザイの直近の業績・経営課題と展望

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エーザイの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望

2025/3売上高7,894億円YoY+6.4%
2025/3売上総利益6,206億円YoY+5.8%
2025/3販売費及び一般管理費4,080億円YoY+9%
2025/3営業利益544億円YoY+1.8%
2011/3経常利益1,052億円YoY+32%
2025/3親会社株主に帰属する当期純利益464億円YoY+9.5%
2025/3自己資本比率58.9%YoY▲2.2pt
2025/3有利子負債合計1,875億円前年比+281億円
2025/3現金同等物期末残高2,656億円YoY▲12.8%
経営トップ内藤晴夫代表執行役CEO
2025/3従業員数10,917前年比▲150人
2025/3平均給与1,056万円前年比+2万円

なぜ世界初を出しても利益が手元に残らないのか(筆者所感)

エーザイは1936年11月、東京田辺製薬常務取締役新薬部長だった内藤豊次氏が東京三河島に副業として「合資会社桜ヶ丘研究所」を立てたのが起点である。豊次氏は欧米視察で先進国の研究機関の厚みを見て、自前の研究所がなければ国産新薬は作れないと判断した。田辺商店の経営陣はソロバンを理由に容れず、豊次氏は本業の傍ら毎週木曜の晩だけ顔を出す体制で研究所を立ち上げた。1944年に研究所と日本衛材を合併し、田辺の影から独立した中堅製薬として自立する経路は、当時の業界でも異例だった。

こうして自立した中堅は、武田・三共・塩野義が抗生物質の価格競争を演じる横で、競争の薄い循環器系に研究を絞り込む方針を採った。1966年社長就任の祐次氏は「大手が大型バスで名神高速道路を突っ走っている時、うちは旧東海道を走ってきた」(日経ビジネス 1982/06/28)と独自路線を述懐した。1974年4月に世界初の代謝性強心剤として発売したノイキノンは1975年3月期10億円から1981年3月期280億円へ伸び、絞り込みを初めて目に見える数字に変えた。1988年社長交代の三代目・内藤晴夫氏は1997年のアリセプト・パリエット発売で神経・がん・消化器のスペシャリティファーマへ転換した。

ところが、北米でアリセプトの特許切れが迫る2008年1月、晴夫社長はMGIファーマを4137億円で買収し、父子の攻防から築いたキャッシュフロー社是を時間との交換で曲げた。2008年3月期営業利益は前期1,053億円から177億円へ急減した。MGI由来のがんパイプラインは2015年承認のレンビマへ結実し、2018年の米メルク社との全世界提携で2023年度売上2,976億円まで伸び、レケンビ投資原資となって20年越しに資金循環が成立した。だが、メルクへの利益折半費用は2023年度1,416億円に達し、自社開発で稼いだ収益の相当部分が提携先に流れる構図が固定化した。

アリセプトで26年磨いた米国の認知症専門医ネットワークは、レケンビ上市後にそのまま競合の参入を阻む販売網になる。一方で、大手と重ならない領域で時間を費やす絞り込み戦略は、世界初に到達するまでの開発費を中堅単独で抱えきれず、レンビマで見たような提携前提のモデルに行き着く。武田薬品の売上収益4兆円台に対しエーザイは7,000億円台で、規模差を踏まえれば自社の研究開発投資1,100億円を疾患修飾療法の単価で賄う以外に道はない。2026年度ROE8%目標と研究開発投資の両立は、レケンビ単価の浸透がメルク提携を介さない自社品としてどこまで広がるかにかかる。

エーザイの業績推移直近10ヵ年・有価証券報告書をもとに作成(XBRLよりデータ取得)

項目単位FY152016/3連結 / IFRSFY162017/3連結 / IFRSFY172018/3連結 / IFRSFY182019/3連結 / IFRSFY192020/3連結 / IFRSFY202021/3連結 / IFRSFY212022/3連結 / IFRSFY222023/3連結 / IFRSFY232024/3連結 / IFRSFY242025/3連結 / IFRS
損益計算書 (PL)
売上高YoY億円5,479−0.1%5,391−1.6%6,001+11.3%6,428+7.1%6,956+8.2%6,459−7.1%7,562+17.1%7,444−1.6%7,418−0.4%7,894+6.4%
EMEA億円413443498537552593722760794
アメリカス億円1,2221,1399791,2791,4281,6762,1272,3242,783
イーストアジア・グローバルサウス億円542596
中国億円4935626637708511,0381,1081,1191,155
日本億円2,6682,9622,7682,4712,3192,1402,3892,1692,163
売上原価億円1,9451,9592,0131,8451,7571,6131,7481,7781,5531,688
売上総利益億円3,5353,4323,9884,5835,1994,8465,8145,6665,8646,206
販管費億円3,1512,9221,8392,2822,5632,8163,6643,5833,7444,080
営業利益YoY億円519+83.3%591+13.7%772+30.7%862+11.6%1,255+45.7%515−59.0%538+4.3%400−25.5%534+33.4%544+1.8%
EMEA億円103154197230257301416356359
アメリカス億円2374364636006479121,3341,3821,583
イーストアジア・グローバルサウス億円228274
中国億円129155244328404524556566572
日本億円1,1161,0441,002942839610729710717
当期純利益YoY億円549+27.0%394−28.4%518+31.7%634+22.3%1,218+92.1%419−65.6%480+14.3%554+15.6%424−23.5%464+9.5%
貸借対照表 (BS)
自己資本比率%58.956.754.656.461.562.258.661.561.158.9
有利子負債比率%16.513.08.58.37.710.011.413.5
キャッシュフロー (CF)
営業CF億円9567591,4961,0371,0287311,176-18560301
投資CF億円-67-286170-79-276-361-288-227-253-101
財務CF億円-729-354-819-792-1,035-559-490-245-227-578
従業員
連結従業員数9,87710,45210,45610,68310,99811,23711,32211,07611,06710,917
単体従業員数3,5043,2463,1723,1402,9533,0053,0343,0432,9842,998
平均年収(単体)万円1,0941,0391,0451,0991,0371,0429201,0501,0541,056

IR資料直近5ヵ年

決算説明会資料

年度経営の振り返り報告資料
FY25アルツハイマー病治療剤レケンビへの積極的な資源投入を継続しつつ増収増益を達成。レケンビ欧州承認取得を含むグローバル展開が本格化、米国連結子会社Eisai Inc.のオペレーション最適化(解雇給付計上)と構造改革費用を吸収。BB-1701のIPR&D資産減損37億円も計上。

通期決算説明会 (2024年度)

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FY24レケンビへの積極投資を継続しつつ二桁増益を確保。バイオジェン社からのレケンビ関連費用戻入で医薬品事業がプラス、レンビマ・デエビゴの成長が下支え。研究開発費比率はレケンビ投資継続のもと前年から0.5ポイント改善し、米Eisai Inc.の使用権資産減損22億円を計上。

通期決算説明会 (2023年度)

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FY23認知症領域への投資加速期。レケンビ米国迅速承認・本承認取得を見据え研究開発費・販売管理費で合計約600億円を投入。レンビマ販売マイルストン167億円受領、EAファーマのパイプライン見直しによる減損等を計上。WHOのGlobal Action Plan on Dementiaに沿った認知症トータルパッケージ戦略を強調。

通期決算説明会 (2022年度)

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FY22ADUHELM販売権の減損損失80億円とEAファーマのパイプライン見直しによる減損等73億円を計上、Biogenとの提携契約変更でADUHELM負担額上限を設定。lecanemab(後のレケンビ)のフェーズⅢ試験成功を受けFDA申請、認知症領域の主軸シフトが鮮明化。

通期決算説明会 (2021年度)

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FY21

通期決算説明会 (2020年度)

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参考文献・出所

有価証券報告書
日経ビジネス 1982/6/28
決算説明会 FY2023
オール大衆 1969/9
日経ビジネス 1976/7/16
日経ビジネス 1995/9/25
決算説明会 FY2024
決算説明会 FY2025-3Q