大王パッケージの排除措置命令受諾(2014年・大王製紙の決断)更新:2026/09/12論点子会社への排除措置命令を争うか大王製紙:業績の推移売上高(億円)経常利益率(%)段ボールの取引をめぐる命令を争わず、審判請求を見送った判断2014年6月19日、連結子会社の大王パッケージが、段ボールシート及び段ボールケースの取引に関して、公正取引委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令に係る通知書を受領した。命令の内容には大王製紙グループと公正取引委員会の間で一部見解の相違があったが、両社は命令を受け入れ、公正取引委員会に対する審判請求の申立てを行わないこととした。何をなぜ決めたか:段ボールの取引をめぐる命令を争わず、審判請求を見送った判断概要2014年6月19日、連結子会社の大王パッケージが、段ボールシート及び段ボールケースの取引に関して、公正取引委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令に係る通知書を受領した。命令の内容には大王製紙グループと公正取引委員会の間で一部見解の相違があったが、両社は命令を受け入れ、公正取引委員会に対する審判請求の申立てを行わないこととした。支払見込額としての課徴金引当金212百万円は、命令書(案)の受領に伴い2014年3月期の特別損失へ計上されている。背景命令を受けたのは、元会長への貸付金問題の後始末がなお続いていた時期にあたる。過年度の有価証券報告書等の訂正に関して東京証券取引所へ改善報告書を提出し、2012年7月と2013年1月には改善状況報告書を重ねて出していた。2013年2月に北越紀州製紙から指摘のあった事項についても、企業統治改革委員会の委嘱を受けた二つの外部委員会が検証を行い、重要なコンプライアンス違反や投資判断に影響を及ぼす事象は確認されていない。信頼の回復を掲げていたところへ、子会社のカルテル認定が重なった。内容受け入れの判断は、争う利益と信頼の回復を秤にかけたものだった。早期の信頼回復及び長期的な企業価値の向上に重きを置き、外部専門家の助言等も踏まえて慎重に検討した結果、大王製紙と大王パッケージの両社が命令を受け入れ、審判請求の申立てを行わないこととしている。課徴金引当金は前期に積んであり、2015年3月期の連結貸借対照表では残高が消えた。同じ期の対処すべき課題は、コンプライアンス体制及びコーポレート・ガバナンス体制の強化を筆頭に据えている。含意段ボール事業の組織そのものも、この前後で組み替えられた。2013年4月に段ボール会社・販売会社等の子会社27社を8社へ、2014年4月に印刷会社の子会社4社を1社へ集約し、2015年4月には段ボール会社4社を大王パッケージ1社に統合している。紙・板紙事業のセグメント利益は命令を受け入れた2015年3月期に13,988百万円へ伸び、業績に命令が響いた跡はない。残ったのは、創業家の問題から続く統治の立て直しという課題であった。いつ何が起きたか6件考察:争わないという時間の配分考察考察:争わないという時間の配分争わないという選択は、法的な当否の放棄ではなく、時間の配分の決め直しだったとみられる。命令の内容に見解の相違があったと自ら記している以上、審判で争う余地は残っていた。それでも申立てを見送ったのは、争っている間ずっと係争中の会社という看板を背負い続けることの重さを見たからであろう。元会長の借入事件から3年、改善報告書と改善状況報告書を重ね、外部委員会の検証まで受けてきた会社にとって、公正取引委員会と数年にわたって向き合うことは、取り戻しかけた信用をもう一度預け直すのに等しかった。もっとも、受け入れが安く済んだことも確かである。課徴金引当金212百万円は、同じ期の連結売上高430,054百万円に対して0.05%に満たない。争う実益が小さければ、受け入れは勇気ある決断というより合理的な計算になる。むしろ見るべきは、この後に段ボール子会社が大王パッケージ1社へ集約されたことのほうかもしれない。命令を受けた会社を軸にグループを統合し直したのだから、統制の届く範囲を広げる作業と、命令を受け入れる判断とは同じ線の上にあったのだろう。Yutaka Sugiura, 2026年9月数字で見る2表数字で見る図と表大王製紙:紙・板紙事業の業績売上高(百万円)セグメント利益率(%)表を見る大王製紙:紙・板紙事業の業績×(百万円)売上高セグメント利益備考2013年3月期277,97010,926北越紀州製紙から関連会社等株式を取得し、連結子会社が43社に戻った期2014年3月期283,51111,372課徴金引当金212百万円を特別損失に計上2015年3月期290,03413,988命令を受け入れた期。翌期に利益の配賦方法を変更し、組替後は10,0682016年3月期299,96210,473いわき大王製紙の新マシンが通年で寄与2017年3月期291,95310,0272018年3月期313,553700古紙・原燃料価格の上昇でセグメント利益が93.0%減2019年3月期316,4918,1302020年3月期317,82519,936洋紙・板紙の価格修正が浸透し、原燃料価格も想定より安価に推移出所:大王製紙 有価証券報告書 第102〜109期(セグメントの業績)出所:大王製紙 有価証券報告書 第102〜109期(セグメントの業績)経緯と対応命令の通知2014年6月19日命令を受けた会社大王パッケージ株式会社対象となった取引段ボールシート及び段ボールケース課徴金引当金212百万円公正取引委員会との認識一部見解の相違審判請求申立てを行わない受け入れの理由早期の信頼回復を優先引当金の消滅2015年3月期表を見る経緯と対応×科目概要備考命令の通知2014年6月19日公正取引委員会から大王パッケージが排除措置命令及び課徴金納付命令に係る通知書を受領した命令を受けた会社大王パッケージ株式会社大王製紙の連結子会社。段ボールシート、ケースの製造・販売を担う対象となった取引段ボールシート及び段ボールケース独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令課徴金引当金212百万円課徴金納付命令書(案)の受領に伴う支払見込額。2014年3月期の特別損失に計上した公正取引委員会との認識一部見解の相違命令の内容について、大王製紙グループと公正取引委員会の間に相違があった審判請求申立てを行わない大王製紙と大王パッケージの両社が命令を受け入れ、申立てを見送った受け入れの理由早期の信頼回復を優先長期的な企業価値の向上に重きを置き、外部専門家の助言等も踏まえて慎重に検討した引当金の消滅2015年3月期連結貸借対照表の課徴金引当金は当期末に残高がなくなった再発防止全社的なコンプライアンス体制の強化対処すべき課題の筆頭に、コーポレート・ガバナンス体制の強化と並べて掲げた段ボール子会社の統合2015年4月1日段ボール会社4社を、命令を受けた大王パッケージ1社に統合した出所:大王製紙 有価証券報告書 第103期(2014年3月期)【対処すべき課題】【連結財務諸表注記】・第104期(2015年3月期)【対処すべき課題】出所:大王製紙 有価証券報告書 第103期(2014年3月期)【対処すべき課題】【連結財務諸表注記】・第104期(2015年3月期)【対処すべき課題】参考文献参考文献参考大王製紙 有価証券報告書「第103期(2014年3月期)【対処すべき課題】」大王製紙 有価証券報告書「第103期(2014年3月期)【連結財務諸表注記】【連結損益計算書】」大王製紙 有価証券報告書「第104期(2015年3月期)【対処すべき課題】」大王製紙 有価証券報告書「第102〜109期【経営成績等の状況の概要】」次に読む決断大王製紙の意思決定2012年大王製紙大王製紙北越紀州製紙経由で株式取得創業家との資本関係の解消と、関連会社等株式の買い戻し2012年2025年大王製紙大王製紙監査等委員会設置会社への移行監督と執行を分離し、取締役会を中長期の戦略の議論に寄せる選択2025年同じ問い:不祥事後の信頼回復2013年UmiosUmiosアクリフーズ事件と6社合併農薬混入事件への危機対応と、グループ中核6社を1社へ統合する純粋持株会社体制の解消2013年2014年タカタタカタ全米リコール拡大を拒否NHTSAの要請を受け入れず原因究明を優先させる選択2014年2014年日本郵船日本郵船自動車船カルテルの課徴金受諾排除措置命令を争わず131億円を納め、対応の軸を海外当局へ移した選択2014年2014年商船三井商船三井自動車船カルテルで課徴金減免申請立入検査より前に違反行為を止め、自ら申告する立場に転じて命令を免れた選択2014年2015年旭化成旭化成杭打ちデータ偽装子会社・旭化成建材での発覚を受けた全国物件の自主調査と開示2015年×出所