大王製紙大王パッケージの排除措置命令受諾:段ボールの取引をめぐる命令を争わず、審判請求を見送った判断
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- 概要
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2014年6月19日、連結子会社の大王パッケージが、段ボールシート及び段ボールケースの取引に関して、公正取引委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令に係る通知書を受領した。命令の内容には大王製紙グループと公正取引委員会の間で一部見解の相違があったが、両社は命令を受け入れ、公正取引委員会に対する審判請求の申立てを行わないこととした。
支払見込額としての課徴金引当金212百万円は、命令書(案)の受領に伴い2014年3月期の特別損失へ計上されている。
- 背景
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命令を受けたのは、元会長への貸付金問題の後始末がなお続いていた時期にあたる。過年度の有価証券報告書等の訂正に関して東京証券取引所へ改善報告書を提出し、2012年7月と2013年1月には改善状況報告書を重ねて出していた。
2013年2月に北越紀州製紙から指摘のあった事項についても、企業統治改革委員会の委嘱を受けた二つの外部委員会が検証を行い、重要なコンプライアンス違反や投資判断に影響を及ぼす事象は確認されていない。信頼の回復を掲げていたところへ、子会社のカルテル認定が重なった。
- 内容
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受け入れの判断は、争う利益と信頼の回復を秤にかけたものだった。早期の信頼回復及び長期的な企業価値の向上に重きを置き、外部専門家の助言等も踏まえて慎重に検討した結果、大王製紙と大王パッケージの両社が命令を受け入れ、審判請求の申立てを行わないこととしている。
課徴金引当金は前期に積んであり、2015年3月期の連結貸借対照表では残高が消えた。同じ期の対処すべき課題は、コンプライアンス体制及びコーポレート・ガバナンス体制の強化を筆頭に据えている。
- 含意
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段ボール事業の組織そのものも、この前後で組み替えられていった。2013年4月に段ボール会社・販売会社等の子会社27社を8社へ、2014年4月に印刷会社の子会社4社を1社へ集約し、2015年4月には段ボール会社4社を大王パッケージ1社に統合している。
紙・板紙事業のセグメント利益は命令を受け入れた2015年3月期に13,988百万円へ伸び、業績に命令が響いた跡はない。残ったのは、創業家の問題から続く統治の立て直しという課題であった。
争わないという時間の配分
争わないという選択は、法的な当否の放棄ではなく、時間の配分の決め直しだったとみられる。命令の内容に見解の相違があったと自ら記している以上、審判で争う余地は残っていた。それでも申立てを見送ったのは、争っている間ずっと係争中の会社という看板を背負い続けることの重さを見たからであろう。元会長の借入事件から3年、改善報告書と改善状況報告書を重ね、外部委員会の検証まで受けてきた会社にとって、公正取引委員会と数年にわたって向き合うことは、取り戻しかけた信用をもう一度預け直すのに等しかった。
もっとも、受け入れが安く済んだことも確かである。課徴金引当金212百万円は、同じ期の連結売上高430,054百万円に対して0.05%に満たない。争う実益が小さければ、受け入れは勇気ある決断というより合理的な計算になる。むしろ見るべきは、この後に段ボール子会社が大王パッケージ1社へ集約されたことのほうかもしれない。命令を受けた会社を軸にグループを統合し直したのだから、統制の届く範囲を広げる作業と、命令を受け入れる判断とは同じ線の上にあったのだろう。
Yutaka Sugiura, 2026年9月
経緯と対応
| 科目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 命令の通知 | 2014年6月19日 | 公正取引委員会から大王パッケージが排除措置命令及び課徴金納付命令に係る通知書を受領した |
| 命令を受けた会社 | 大王パッケージ株式会社 | 大王製紙の連結子会社。段ボールシート、ケースの製造・販売を担う |
| 対象となった取引 | 段ボールシート及び段ボールケース | 独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令 |
| 課徴金引当金 | 212百万円 | 課徴金納付命令書(案)の受領に伴う支払見込額。2014年3月期の特別損失に計上した |
| 公正取引委員会との認識 | 一部見解の相違 | 命令の内容について、大王製紙グループと公正取引委員会の間に相違があった |
| 審判請求 | 申立てを行わない | 大王製紙と大王パッケージの両社が命令を受け入れ、申立てを見送った |
| 受け入れの理由 | 早期の信頼回復を優先 | 長期的な企業価値の向上に重きを置き、外部専門家の助言等も踏まえて慎重に検討した |
| 引当金の消滅 | 2015年3月期 | 連結貸借対照表の課徴金引当金は当期末に残高がなくなった |
| 再発防止 | 全社的なコンプライアンス体制の強化 | 対処すべき課題の筆頭に、コーポレート・ガバナンス体制の強化と並べて掲げた |
| 段ボール子会社の統合 | 2015年4月1日 | 段ボール会社4社を、命令を受けた大王パッケージ1社に統合した |
出所:大王製紙 有価証券報告書 第103期(2014年3月期)【対処すべき課題】【連結財務諸表注記】・第104期(2015年3月期)【対処すべき課題】
大王製紙:紙・板紙事業の業績
| (百万円) | 売上高 | セグメント利益 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2010年3月期 | − | − | 創業家とファミリー企業が関連会社の議決権を握り、連結の範囲が現在と連続しない |
| 2011年3月期 | − | − | |
| 2012年3月期 | − | − | 連結子会社が37社から8社へ減った期。セグメントの区分が前後と連続しない |
| 2013年3月期 | 277,970 | 10,926 | 北越紀州製紙から関連会社等株式を取得し、連結子会社が43社に戻った期 |
| 2014年3月期 | 283,511 | 11,372 | 課徴金引当金212百万円を特別損失に計上 |
| 2015年3月期 | 290,034 | 13,988 | 命令を受け入れた期。翌期に利益の配賦方法を変更し、組替後は10,068 |
| 2016年3月期 | 299,962 | 10,473 | いわき大王製紙の新マシンが通年で寄与 |
| 2017年3月期 | 291,953 | 10,027 | |
| 2018年3月期 | 313,553 | 700 | 古紙・原燃料価格の上昇でセグメント利益が93.0%減 |
| 2019年3月期 | 316,491 | 8,130 | |
| 2020年3月期 | 317,825 | 19,936 | 洋紙・板紙の価格修正が浸透し、原燃料価格も想定より安価に推移 |
出所:大王製紙 有価証券報告書 第102〜109期(セグメントの業績)
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