井上貞治郎氏の起業は、綿密な市場分析に基づくものではなく、10代から20代にかけて職を転々とし、大陸放浪で蓄財にも家族にも恵まれなかった人物が「自分で稼ぐしかない」という切迫感から生まれた。事業の選択も「パン屋か紙屋か」という二択から始まり、偶然目にしたドイツ製の梱包材に商機を見…
段ボールはドイツ製品の模倣から始まったが、「段ボール」という日本語の命名によって国内市場に固有のカテゴリーが生まれた。技術的な差別化ではなく、命名と国産化による価格競争力が事業の基盤となった点は、後発メーカーの参入戦略として構造的に興味深い。加えて、第一次世界大戦期に東京電気の電…
2006年の3社提携は、王子製紙による北越製紙へのTOBという外圧を契機に成立した。株式持ち合いと経営統合の模索を同時に打ち出したが、防衛目的の提携と前向きな統合では意思決定の温度差が生じやすい。外圧が去れば統合の推進力も失われるという構図はM&Aにおいて典型的であり、リーマンシ…