レンゴーの直近の業績・経営課題と展望

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レンゴーの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望

2025/3売上高9,933億円YoY+10.3%
2025/3売上総利益1,818億円YoY+3.7%
2025/3販売費及び一般管理費1,444億円YoY+14.1%
2025/3営業利益374億円YoY▲23.4%
2025/3経常利益392億円YoY▲18.4%
2025/3親会社株主に帰属する当期純利益290億円YoY▲12.3%
2025/3自己資本比率37.3%YoY+1.1pt
2025/3有利子負債合計3,324億円前年比+126億円
2025/3現金同等物期末残高706億円YoY▲32%
経営トップ川本洋祐代表取締役社長兼COO
2025/3従業員数25,011前年比+1,622人
2025/3平均給与779万円前年比+28万円

なぜ段ボールの垂直統合モデルを、軟包装と重包装で再現できないのか(筆者所感)

レンゴーの事業原型は、1910年に創業者の井上貞治郎氏が東京・上野公園で起業を決意した時点で輪郭が定まった。井上氏は手切金10銭を握って三盛社を立ち上げ、ドイツ製電球の梱包材を「段ボール」と命名して国産化した。共同設立者は赤字続きで離れ、井上氏は島田洋紙店からの借入でドイツ製抄紙機を輸入し量産体制を組み上げた。第一次世界大戦期に東京電気がウラジオストク経由で電球輸出を本格化すると段ボールは輸出産業の必需品となり、命名と先行投資の二つの先回りが市場の標準形をレンゴー起点で固定化した。

こうした先回りは、1920年の5社合併と1923年の日本製紙吸収、1930年の淀川工場新設で原紙から加工までを自前で抱え込む垂直統合モデルへ厚みを増した。1949年の大阪証券取引所上場で資本市場からの調達経路を整え、1961年以降は地方工場新設で古紙回収網を全国へ広げた。差別化が効かないコモディティ産業で規模の経済を取りに行く設計は、原材料高騰に弱い中小加工業者との差を広げ、業界の上位集中を加速させた。1975年のオイルショックで原紙が供給過剰に陥った時も、新京都・千葉・三田と更新投資を止めず、需要が戻ると価格改定で収益を取り戻す順序を定着させた。

だが規模を守る発想は、2012年6月の公取委立入検査と課徴金59億円として副作用が表面化した。垂直統合と業界上位集中は情報共有と協調の余地を抱え込む構造でもある。並行して、1999年のセッツ合併で住友商事と接近し、2000年に住友商事出身の大坪清氏が社長に就任した。大坪社長は1998年子会社化の朋和産業で軟包装、2016年のトライウォール買収で重包装を取り込み、段ボール専業の枠を横へ広げた。2006年の日本製紙・住友商事との3社提携は、王子製紙の北越TOBが引き起こした業界再編圧力への防衛策であったが、リーマンショックを経て2009年に解消され、単独路線へ戻った。

なぜ段ボールで効いた垂直統合の優位を、軟包装と重包装でそのまま再現できないのか。原紙集中度が高く古紙回収網も自前で組める段ボール事業では、原料と加工と回収の三層を抱え込む設計が後発の参入を阻む。一方で軟包装はフィルム・印刷・成形を外部に依存する工程設計、重包装は地域ごとの個別仕様が強く、レンゴーの自前主義が同じ効き方で利益率を生む条件は揃いにくい。大坪・川本両氏が掲げる総合パッケージングへの組み替えは、原紙一貫モデルから始まった先行者利得を、隣接領域の買収累積で利益体質ごと拡張できるかを試している。

レンゴーの業績推移直近10ヵ年・有価証券報告書をもとに作成(XBRLよりデータ取得)

項目単位FY152016/3連結 / JGAAPFY162017/3連結 / JGAAPFY172018/3連結 / JGAAPFY182019/3連結 / JGAAPFY192020/3連結 / JGAAPFY202021/3連結 / JGAAPFY212022/3連結 / JGAAPFY222023/3連結 / JGAAPFY232024/3連結 / JGAAPFY242025/3連結 / JGAAP
損益計算書 (PL)
売上高YoY億円5,325+1.9%5,455+2.4%6,057+11.0%6,531+7.8%6,838+4.7%6,807−0.4%7,469+9.7%8,461+13.3%9,008+6.5%9,933+10.3%
板紙・紙加工関連事業億円3,6733,8213,9714,3194,4974,3274,4884,8395,1095,147
軟包装関連事業億円6396576837317598339401,1551,2131,816
重包装関連事業億円408398393409427433424451443450
海外関連事業億円2632686727338058781,2651,6631,8922,131
売上原価億円4,4524,4695,0605,4195,5135,4746,1127,0427,2548,115
売上総利益億円8739869971,1121,3251,3331,3571,4191,7541,818
販管費億円7167498268599129331,0241,1601,2651,444
営業利益YoY億円157+182.5%236+50.3%171−27.7%253+48.1%412+63.0%399−3.1%333−16.7%260−22.0%489+88.2%374−23.4%
板紙・紙加工関連事業億円8413372156302284227143350234
軟包装関連事業億円42493719354021304851
重包装関連事業億円1726181616211611917
海外関連事業億円482334343349606849
経常利益YoY億円166+133.0%252+51.6%232−8.1%275+18.5%432+57.4%432+0.0%366−15.2%287−21.7%480+67.3%392−18.4%
当期純利益YoY億円98+71.7%139+41.4%166+19.8%172+3.3%278+61.9%286+2.9%282−1.4%204−27.5%330+61.7%290−12.3%
貸借対照表 (BS)
自己資本比率%33.533.234.134.333.936.036.635.436.337.3
有利子負債比率%33.731.428.927.028.528.327.628.227.326.7
キャッシュフロー (CF)
営業CF億円506420312509611660579461896770
投資CF億円-335-369-287-387-783-460-547-606-760-973
財務CF億円-17021-32-94243-7319200173-145
従業員
連結従業員数13,99916,03816,53216,96818,90219,45120,14122,54823,38925,011
単体従業員数3,6803,7003,7303,8174,0424,1324,1814,2524,3454,372
平均年収(単体)万円678695709717718720726728751779

IR資料直近5ヵ年

決算説明会資料

年度経営の振り返り報告資料
FY25アールエム東セロを2024年4月にサン・トックスと三井化学東セロのパッケージ事業統合で子会社化。トライウォール社(香港)が米コンセプト・パッケージング社に資本参加、プロンク・インド社・プロンク・ドバイ社の株式取得。次期は2026年3月期初年度・2030年3月期最終年度の中期ビジョン「Vision120」を5月発表予定。累進的配当政策を継続。

通期決算説明会(script付き版のみ公開)

https://ssl4.eir-parts.net/doc/3941/ir_material_for_fiscal_ym/200702/00.pdf
FY24サン・トックスと三井化学東セロのパッケージソリューション事業を統合し新会社アールエム東セロ設立を発表。愛媛東温工場稼働開始、トライコー社(独)新工場建設、大和紙器・日東紙器工業の合併。スペイン・ジェコインサ社100%取得、インド・ヴェルヴィン・コンテナーズ社30%取得など海外M&Aが本格化。

通期決算説明会(2024年3月期業績説明資料)

https://ssl4.eir-parts.net/doc/3941/ir_material_for_fiscal_ym/200697/00.pdf
FY23グループ再編に向けた新会社設立等のトピックを整理する展開期。中期ビジョン「Vision115」のもと、サステナビリティとパッケージング事業基盤の強化を推進する局面。

通期決算説明会(2023年3月期業績説明資料)

https://ssl4.eir-parts.net/doc/3941/ir_material_for_fiscal_ym/200646/00.pdf
FY22ビナクラフトペーパー社のベトナム段ボール原紙新工場建設・生産能力増強を推進。中期ビジョン「Vision115」のもと、海外段ボール原紙の供給網強化フェーズ。新型コロナ統合対策本部体制下での事業運営を継続。

通期決算説明会

https://ssl4.eir-parts.net/doc/3941/ir_material_for_fiscal_ym/200642/00.pdf

アニュアルレポート / 統合報告書

年度経営の振り返り報告資料
FY26

統合報告書

https://www.rengo.co.jp/financial/pdf/2025_japanese.pdf
FY25統合報告書2024として財務情報・ESG情報を統合開示。事業展開・生物多様性の保全・サステナビリティ評価(SOMPOサステナビリティ・インデックス、MSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数等)を体系化。中期ビジョン「Vision115」総括期に向けた進捗を整理。

統合報告書

https://www.rengo.co.jp/financial/pdf/2024_japanese.pdf
FY24統合報告書2023。財務情報・ESG情報を国際統合報告フレームワーク準拠で統合開示。アールエム東セロ設立など事業ポートフォリオ拡張の方向性をパッケージング・ソリューションの観点で整理。

統合報告書

https://www.rengo.co.jp/financial/pdf/2023_japanese.pdf
FY23「統合報告書2022」として財務情報とESG情報を統合する初期形態を提示。サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを国際統合報告フレームワーク準拠で開示し始める転換期。

統合報告書

https://www.rengo.co.jp/financial/pdf/2022_japanese.pdf
FY22アニュアルレポート最終年度。中期ビジョン「Vision115」、女性活躍計画(2021年4月〜2026年3月)、サン・トックス子会社化(2020年10月)、タイ・コンテナーズの拡大等を整理。次年度から統合報告書へ移行する直前期。

アニュアルレポート

https://www.rengo.co.jp/financial/pdf/2021_japanese.pdf

参考文献・出所

有価証券報告書
きんとま一本杉(井上貞治郎著)
公正取引委員会 排除措置命令
経済界ウェブ