この一連を買収の失敗とだけ読むのは、話を単純にしすぎるだろう。持株会社への移行と、ソニーサプライチェーンソリューションの株式66%を約180億円で取得したメーカー系子会社の連続買収は、荷主の物流子会社を取り込んで3PLとサプライチェーン管理の基盤を一気に広げる戦略として、それ自体は筋が通っていた。難しさがあったのは拡大の向きではなく、買収価格に織り込んだ将来収益の見立てと、取り込んだ機能を採算へ集約し直す速度のほうであった。見込みと現実の差が、2017年3月期の254億円の減損として一度に表面化したとみられる。
もっとも、この判断が残したのは損失の穴だけではなかった。減損は自己資本を毀損し、藤岡圭社長の退任という代償を求めた。ただ、持株会社で分けた三井倉庫ビジネストラストを三年で三井倉庫へ戻し、五年をかけて有利子負債を940億円まで圧縮した再建が、後の海上運賃高騰下の高収益を受け止める土台になったと推察される。広げること自体より、広げた基盤をどこで採算を確保し直し、痛んだ財務をどう整理するかに、この時期の経営の質が表れたといえる。