ミドリ電化の完全子会社化(2005年・エディオンの決断)

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論点近畿の同業を株式交換で子会社化するか
エディオン:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)
近畿地盤の同業を株式交換で取り込み連結売上7,146億円へ

何をなぜ決めたか:近畿地盤の同業を株式交換で取り込み連結売上7,146億円へ

概要

エディオンは2005年4月1日、近畿地方を地盤とする家電量販店ミドリ電化を株式交換により完全子会社とした。2004年11月19日に締結した株式交換契約に基づき自社株式16,676,797株を交付して議決権の100%を取得し、発行済株式総数は88,988,839株から105,665,636株へ増加した。

広島地盤のデオデオ、中部地盤のエイデンに近畿の直営85店舗(フランチャイズを含めて88店舗)が加わり、連結売上高は第4期の4,379億円から第5期は7,146億円へ伸びた。久保允誉社長の下で進めた事業統合である。

背景

デオデオとエイデンは2002年3月29日に株式移転で完全親会社エディオンを設立し、持株会社の下に二つの地盤を並べた。ただし出店地域の一部では同じ商品を扱う他社の店舗が多数存在し、企業の統廃合や再編が繰り返されるなかで出店競争と価格競争が激しくなっていた。

2005年3月16日にまずミドリ電化の株式を取得して持分法適用会社とし、みなし取得日を第4期末に置いたうえで、翌期首に株式交換へ進んだ。掲げた狙いは仕入統合とシステム統合、そして財務統合によるCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)の導入である。

内容

株式交換で受け入れた資産は92,401百万円、負債は59,936百万円で、資産の内訳は現金及び現金同等物7,289百万円、その他の流動資産32,658百万円、固定資産52,453百万円だった。資本金は増加せず、資本準備金が13,052百万円、連結の資本剰余金が16,510百万円増加している。

連結調整勘定は第4期末の1,122百万円から1,087百万円へ減少し、この株式交換に伴う増加は計上されていない。交換後の大株主には尼崎市の興富株式会社が5.67%で第3位に、ミドリ電化を創業した安保詮氏が2.12%で第7位に入った。

含意

ミドリ電化を通期で取り込んだ第5期は、連結売上高が7,146億円(前期比163.2%)、営業利益80億円(同160.7%)、経常利益203億円(同182.6%)となった。仕入割引が57億32百万円増加し、CMSの導入でミドリ電化を除く有利子負債は98億30百万円減少している。

一方で総資産は880億円増加して3,195億円となり、自己資本比率は45.6%から40.2%へ下がった。ミドリ電化単体の経常利益は第5期の4,298百万円から第6期は91百万円へ落ち、規模を利益に変える仕事は2009年の吸収合併へ持ち越された。

いつ何が起きたか7件
考察:規模を得ることと、収益を上げること
考察

考察:規模を得ることと、収益を上げること

この統合を、規模を追っただけの合従連衡と読むと芯を外す。エディオンが選んだのは緩やかな共同購入連合ではなく、議決権の100%を握る完全子会社化であった。しかも対価は現金ではなく自社株式16,676,797株の交付で、資本金は1円も増加していない。受け入れた資産924億円・負債599億円の差額は資本準備金へ振り替えられ、連結調整勘定も増加していない。手元の資金を使わずに近畿の85店舗を取り込む方式を選んだところに、指揮系統を一つへまとめる意思と、財務の負担を避ける計算の両方が表れているのだろう。

もっとも、握った規模を収益へ変える作業は、株式交換の完了とともに始まったにすぎない。ミドリ電化単体の経常利益は統合初年度の4,298百万円から翌期は91百万円へ落ち、その後も646百万円、204百万円と低迷した。掲げた仕入統合とシステム統合が進む一方で、デオデオ・エイデン・ミドリ電化が各々に間接部門と店舗ブランドを抱える連邦制は続いていた。規模を得ることと、それを利益に変えることは別の仕事である。三つの事業会社を一つへ組み替える決断は、2009年10月の吸収合併まで待たねばならなかった。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
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図と表

エディオン:連結業績の推移

売上高(百万円)経常利益率(%)
エディオン:連結業績の推移
(百万円)売上高経常利益当期純利益備考
2002年9月期222,7844,4451,214第1期は2002年3月29日から9月30日までの6か月と3日の変則決算
2003年3月期220,0735,0201,176第2期は6か月の変則決算
2004年3月期434,16610,2073,017
2005年3月期437,99211,1634,9183月16日にミドリ電化株式を取得し、持分法適用会社とした
2006年3月期714,69720,3898,226ミドリ電化を通期で連結。仕入割引が5,732百万円増加した
2007年3月期740,29318,6317,3677月に石丸電気の株式33.4%を取得。本社を名古屋から大阪へ移した
2008年3月期851,20521,2276,754
2009年3月期803,00411,751△13,506減損損失7,946と投資有価証券評価損5,751で特別損失が19,947
2010年3月期820,03019,6129,32310月にデオデオがミドリ電化を吸収合併した
2011年3月期901,01034,43516,211
2012年3月期759,02516,3843,697
出所:エディオン 有価証券報告書 第5期・第8期・第10期・第11期【主要な経営指標等の推移】
出所:エディオン 有価証券報告書 第5期・第8期・第10期・第11期【主要な経営指標等の推移】

エディオン:ミドリ電化単体の業績

売上高(百万円)
エディオン:ミドリ電化単体の業績
(百万円)売上高経常利益備考
2006年3月期235,8634,298株式交換で完全子会社となった最初の期
2007年3月期223,33791中部地区11店舗をエイデンへ譲渡した
2008年3月期194,679646
2009年3月期183,928204
出所:エディオン 有価証券報告書 第5期〜第8期【関係会社の状況】主要な損益情報等
出所:エディオン 有価証券報告書 第5期〜第8期【関係会社の状況】主要な損益情報等

株式交換の条件

株式交換の条件
科目概要備考
被取得企業株式会社ミドリ電化兵庫県尼崎市・資本金1,560百万円。家庭電化商品等の販売
取得の法的形式株式交換(旧商法第352条)エディオンを完全親会社、ミドリ電化を完全子会社とする
株式交換契約の締結2004年11月19日
企業結合日2005年4月1日2005年3月16日に株式を取得して持分法を適用。みなし取得日は第4期末
取得した議決権比率100.0%子会社のミドリサービス、ミドリの2社も同時に連結の範囲へ加えた
交付した株式数16,676,797株発行済株式総数は88,988,839株から105,665,636株へ。資本金の増加はない
増加した資本準備金13,052百万円連結では同じ株式交換で資本剰余金が16,510百万円増加した
受け入れた資産92,401百万円現金及び現金同等物7,289/上記以外の流動資産32,658/固定資産52,453
受け入れた負債59,936百万円流動負債47,162/固定負債12,774
連結調整勘定1,087百万円第4期末は1,122百万円。この株式交換に伴う増加は計上されていない
加わった店舗直営85店舗フランチャイズを含めて88店舗。近畿地方が地盤で、うち家電が82店舗
出所:エディオン 有価証券報告書 第5期(2006年3月期)【経営上の重要な契約等】【発行済株式総数、資本金等の推移】・連結財務諸表注記
出所:エディオン 有価証券報告書 第5期(2006年3月期)【経営上の重要な契約等】【発行済株式総数、資本金等の推移】・連結財務諸表注記
参考文献

参考文献

参考
  • エディオン 有価証券報告書【沿革】
  • エディオン 有価証券報告書「第5期(2006年3月期)【経営上の重要な契約等】」
  • エディオン 有価証券報告書「第5期(2006年3月期)連結キャッシュ・フロー計算書注記」
  • エディオン 有価証券報告書「第5期(2006年3月期)【発行済株式総数、資本金等の推移】」
  • エディオン 有価証券報告書「第5期〜第8期【関係会社の状況】主要な損益情報等」
  • エディオン 有価証券報告書「第5期・第8期・第10期・第11期【主要な経営指標等の推移】」

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