さくらインターネット:石狩データセンターの開設と双日の親会社化
都市型データセンターの統廃合から石狩への集中へ
2009年〜都市型データセンターの統廃合と石狩への転進
本業へ戻った会社に残っていたのは、都市部に分散した借り物のデータセンターだった。2009年3月期の売上高は71億700万円、当期純利益は3億7,400万円と黒字を回復したが、収益の柱であるハウジングと専用サーバは、拠点の床と電力を顧客に貸す事業であり、拠点の条件がそのまま原価になる。会社は、設備の老朽化した拠点の統廃合による運営効率の最適化と西新宿データセンターの設備更新を進め、あわせて朝日ネットとの業務提携や双日グループをはじめとする提携先とのアライアンスを強化する方針を示した。翌2010年3月期には、サービスの開発から運用・保守までを自社で完結させ、自社のホスティングに合わせて拠点そのものを設計する垂直統合を、データセンター事業の戦略の柱に据えている。
- 有価証券報告書(2009年3月期)
- [1]2009年3月期の売上高7,107百万円・当期純利益374百万円
- さくらインターネット 2009年3月期決算説明会資料(2009年5月28日)
- [2]設備が老朽化したデータセンターの統廃合による運営効率の最適化と西新宿データセンターの設備更新を推進し、朝日ネットと業務提携して双日グループをはじめとする提携先とのアライアンスを強化した
- さくらインターネット 2010年3月期決算説明会資料(2010年5月14日)
- [3]サービス開発から運用・保守まで自社で完結し、自社ホスティングに合わせて拠点を設計する垂直統合をデータセンター事業の戦略の柱として提示した
借り続ける限り、賃借料も空調費も構造的には下がらない。2010年3月期には本町データセンターの閉鎖と販売管理システムの減損損失を計上する一方、堂島データセンターでは空調とサーバ収容効率を高める改修を実施した。翌2011年3月期には本町を8月に閉鎖したうえ池袋の閉鎖も決め、減損損失を計上している。同じ時期、会社は北海道石狩市に郊外型の大規模データセンターを建設し、2011年秋の運用開始を予定すると公表した。建設資金は長期借入で調達し、基幹システムも抜本的に見直すとした。都市の床を借りて足すやり方から、地価の安い土地を取得して建て広げるやり方へ、拠点の作り方そのものを入れ替えた。
- さくらインターネット 2010年3月期決算説明会資料(2010年5月14日)
- [4]本町データセンターの閉鎖と販売管理システムの減損損失を計上し、堂島データセンターで空調とサーバ収容効率を高める改修を実施した
- さくらインターネット 2011年3月期決算説明会資料(2011年5月10日)
- [5]2010年8月に本町データセンターを閉鎖し、池袋データセンターの閉鎖決定で減損損失を計上した
- [6]北海道石狩市に郊外型大規模データセンターを建設し、2011年秋の運用開始を予定した
- [7]石狩データセンターの建設資金は長期借入で調達し、基幹システムを抜本的に見直すとした
大型投資の期間に、株主の構成も変わった。2011年3月、普通株式の公開買付けの実施と株式会社田中邦裕事務所との株主間合意により、双日がさくらインターネットの親会社となる。同年11月には石狩データセンターが運用を開始し、同じ時期に"さくらのクラウド"の提供が始まった。床を貸す事業の上に、計算資源を時間で貸す事業が重なる。ただし新設した拠点は、動き出した瞬間から費用を生む。2012年3月期の経常利益は8億800万円と前期の11億9,500万円から減益となり、閉鎖を決めた池袋の穴も埋まらず、都内のデータセンターは供給余力の不足で大口案件の獲得に苦戦していた。
- 有価証券報告書【沿革】
- [8]2011年3月に普通株式の公開買付けの実施と株式会社田中邦裕事務所との株主間合意により双日株式会社が親会社となった
- [9]2011年11月に石狩データセンターが運用を開始した
- さくらインターネット統合報告書「さくらのレポート2024」(2024年12月)
- [10]2011年11月の石狩データセンター開設と同時期に「さくらのクラウド」の提供を開始した
- 有価証券報告書(2012年3月期)
- [11]2012年3月期の経常利益808百万円(前期1,195百万円)
- さくらインターネット 2012年3月期決算説明会資料(2012年4月26日)
- [12]池袋データセンターを閉鎖し、都内データセンターの供給余力不足で大口案件の獲得に苦戦した
参考文献[1]-[12]
- 有価証券報告書(2009年3月期)
- [1]2009年3月期の売上高7,107百万円・当期純利益374百万円
- さくらインターネット 2009年3月期決算説明会資料(2009年5月28日)
- [2]設備が老朽化したデータセンターの統廃合による運営効率の最適化と西新宿データセンターの設備更新を推進し、朝日ネットと業務提携して双日グループをはじめとする提携先とのアライアンスを強化した
- さくらインターネット 2010年3月期決算説明会資料(2010年5月14日)
- [3]サービス開発から運用・保守まで自社で完結し、自社ホスティングに合わせて拠点を設計する垂直統合をデータセンター事業の戦略の柱として提示した
- [4]本町データセンターの閉鎖と販売管理システムの減損損失を計上し、堂島データセンターで空調とサーバ収容効率を高める改修を実施した
- さくらインターネット 2011年3月期決算説明会資料(2011年5月10日)
- [5]2010年8月に本町データセンターを閉鎖し、池袋データセンターの閉鎖決定で減損損失を計上した
- [6]北海道石狩市に郊外型大規模データセンターを建設し、2011年秋の運用開始を予定した
- [7]石狩データセンターの建設資金は長期借入で調達し、基幹システムを抜本的に見直すとした
- 有価証券報告書【沿革】
- [8]2011年3月に普通株式の公開買付けの実施と株式会社田中邦裕事務所との株主間合意により双日株式会社が親会社となった
- [9]2011年11月に石狩データセンターが運用を開始した
- さくらインターネット統合報告書「さくらのレポート2024」(2024年12月)
- [10]2011年11月の石狩データセンター開設と同時期に「さくらのクラウド」の提供を開始した
- 有価証券報告書(2012年3月期)
- [11]2012年3月期の経常利益808百万円(前期1,195百万円)
- さくらインターネット 2012年3月期決算説明会資料(2012年4月26日)
- [12]池袋データセンターを閉鎖し、都内データセンターの供給余力不足で大口案件の獲得に苦戦した
2012年〜石狩の稼働率と東証一部への市場変更
郊外型の拠点は、建てた時点では費用しか生まない。2012年3月期の決算説明で、会社は前の中期経営計画を振り返ったうえ、新しい中期経営計画では石狩を活用したサービス展開による新たな競争優位性の獲得を掲げた。翌2013年3月期には石狩の稼働率向上によって売上が増えて利益率が改善し、運用コストが通年で発生するなかでも収益体質は改善に向かった。売上高94億8,200万円に対し経常利益は8億1,200万円で、前期からほぼ横ばいだった。空いたラックが埋まる速さが利益を決める構造であり、需要の獲得と設備の増床を同じ速度で進められるかが問われた。
- さくらインターネット 2012年3月期決算説明会資料(2012年4月26日)
- [13]前中期経営計画を振り返り、新中期経営計画では石狩を活用したサービス展開による新たな競争優位性の獲得を掲げた
- さくらインターネット 2013年3月期決算説明会資料(2013年4月30日)
- [14]石狩データセンターの稼働率向上で売上増と利益率改善が進み、運用コストが通年で発生するなかでも収益体質が改善した
- 有価証券報告書(2013年3月期)
- [15]2013年3月期の売上高9,482百万円・経常利益812百万円
増床は1棟ずつ刻まれた。2014年3月期に石狩データセンター2号棟が稼働し、ラックとサーバの収容率をそれぞれ20%高め、空調方式を最適化している。同じ決算説明で会社は、首都圏のデータセンターで大規模新設と老朽拠点の統廃合が同時に起きる2013年問題を市場環境の軸として示し、中期経営計画の定量目標を修正した。売上高は100億4,500万円と初めて100億円を超えたが、経常利益は6億3,300万円へ落ちている。2015年3月期には、データセンターの稼働率と収容率の向上による投資効率化とデータセンター事業への集中によって堅実に成長したと前の計画を総括し、期末配当を1株5円から10円へ増配した。
- さくらインターネット 2014年3月期決算説明会資料(2014年4月25日)
- [16]石狩データセンター2号棟が稼働し、ラック・サーバ収容率を各20%向上させ空調方式を最適化した
- [17]中期経営計画の定量目標を修正し、首都圏データセンターの2013年問題(大規模新設と老朽拠点の統廃合)を市場環境の軸として提示した
- 有価証券報告書(2014年3月期)
- [18]2014年3月期の売上高10,045百万円・経常利益633百万円
- さくらインターネット 2015年3月期決算説明会資料(2015年4月27日)
- [19]前中期経営計画のレビューでデータセンターの稼働率・収容率向上による投資効率化とデータセンター事業への集中で堅実に成長したと総括し、期末配当予想を1株当たり5円から10円へ増配した
事業の幅は、本業に隣接する技術と顧客基盤へ絞って広げられた。2015年4月にホスティングサービスの強化を目的としてJoe'sクラウドコンピューティングを、2016年5月にセキュリティ体制の強化とサービスラインナップの拡充を目的としてゲヒルンを、2017年1月にはシステム運用の技術とエンタープライズ系の顧客基盤の獲得を目的としてエヌシーアイをそれぞれ子会社化した。2015年11月には東京証券取引所市場第一部へ市場を変更している。2016年12月に石狩3号棟が竣工し、2017年3月期には公募増資と第三者割当増資で27億2,300万円を調達した。この公募増資と双日による売出し、株主間合意の終了により、双日は親会社ではなくなり、その他の関係会社となった。
- 有価証券報告書【沿革】
- [20]2015年4月にJoe'sクラウドコンピューティング、2016年5月にゲヒルン、2017年1月にエヌシーアイ(同年5月アイティーエムに商号変更)を子会社化した
- [21]2015年11月に株式会社東京証券取引所市場第一部へ市場変更した
- [24]2017年3月に公募増資・双日による売出しの実施および株式会社田中邦裕事務所との株主間合意の終了により、双日が親会社ではなくなりその他の関係会社となった
- さくらインターネット 2017年3月期決算説明会資料(2017年4月24日)
- [22]2016年12月に石狩データセンター3号棟が竣工した
- [23]公募増資と第三者割当増資により2,723百万円を調達した
参考文献[13]-[24]
- さくらインターネット 2012年3月期決算説明会資料(2012年4月26日)
- [13]前中期経営計画を振り返り、新中期経営計画では石狩を活用したサービス展開による新たな競争優位性の獲得を掲げた
- さくらインターネット 2013年3月期決算説明会資料(2013年4月30日)
- [14]石狩データセンターの稼働率向上で売上増と利益率改善が進み、運用コストが通年で発生するなかでも収益体質が改善した
- 有価証券報告書(2013年3月期)
- [15]2013年3月期の売上高9,482百万円・経常利益812百万円
- さくらインターネット 2014年3月期決算説明会資料(2014年4月25日)
- [16]石狩データセンター2号棟が稼働し、ラック・サーバ収容率を各20%向上させ空調方式を最適化した
- [17]中期経営計画の定量目標を修正し、首都圏データセンターの2013年問題(大規模新設と老朽拠点の統廃合)を市場環境の軸として提示した
- 有価証券報告書(2014年3月期)
- [18]2014年3月期の売上高10,045百万円・経常利益633百万円
- さくらインターネット 2015年3月期決算説明会資料(2015年4月27日)
- [19]前中期経営計画のレビューでデータセンターの稼働率・収容率向上による投資効率化とデータセンター事業への集中で堅実に成長したと総括し、期末配当予想を1株当たり5円から10円へ増配した
- 有価証券報告書【沿革】
- [20]2015年4月にJoe'sクラウドコンピューティング、2016年5月にゲヒルン、2017年1月にエヌシーアイ(同年5月アイティーエムに商号変更)を子会社化した
- [21]2015年11月に株式会社東京証券取引所市場第一部へ市場変更した
- [24]2017年3月に公募増資・双日による売出しの実施および株式会社田中邦裕事務所との株主間合意の終了により、双日が親会社ではなくなりその他の関係会社となった
- さくらインターネット 2017年3月期決算説明会資料(2017年4月24日)
- [22]2016年12月に石狩データセンター3号棟が竣工した
- [23]公募増資と第三者割当増資により2,723百万円を調達した
2018年〜クラウドへの集中と物理基盤サービスの縮小
拠点も子会社も増えた時期に、売上と利益の伸びが分かれた。2017年9月に開発・運用技術のノウハウ活用を目的としてビットスターを、2018年8月にストレージソフトウェア技術力の獲得を目的としてIzumoBASEを子会社化し、2018年5月にはハイパフォーマンスコンピューティング領域のシステムインテグレーションを担うプラナスソリューションズを設立している。2017年10月には大阪のデータセンター拠点の集約を完了し、同年11月に石狩3号棟が稼働した。連結売上高は2017年3月期の139億6,100万円から2019年3月期の195億円へ伸びた一方、営業利益は10億1,800万円から6億円へ落ち、従業員は495人から652人へ増えている。
- 有価証券報告書【沿革】
- [25]2017年9月にビットスター、2018年8月にIzumoBASEを子会社化し、2018年5月にプラナスソリューションズを設立した
- さくらインターネット 2018年3月期決算説明会資料(2018年4月26日)
- [26]大阪のデータセンター拠点集約を2017年10月に完了し、石狩データセンター3号棟が11月に稼働した
- 有価証券報告書(2017年3月期・2019年3月期)
- [27]連結売上高は2017年3月期13,961百万円・2019年3月期19,500百万円、営業利益は1,018百万円・600百万円、従業員は495人・652人
収益の土台を自ら縮める選択が、ここで採られた。2019年8月にソフトバンクとの合弁会社BBSakura Networksを設立し、2020年3月期にはクラウドシフトとハウジング縮小に伴うデータセンター設備の最適化を進めながら、超個体型データセンターの研究開発に着手している。2021年3月期にはリモートワークを前提とする働き方へ転換して増収増益となる一方、経営資源をクラウドへ集中させる方針を示し、翌期の一時的な減収減益を見込むと予告した。実際、2022年3月期はクラウド集中に伴う物理基盤サービスの契約満了と収益認識基準の適用で減収となり、本社移転と東京支社の縮小で特別損失が発生した。連結売上高は200億円と前期の222億円を下回っている。
- さくらインターネット 2020年3月期決算説明会資料(2020年4月27日)
- [28]2019年8月にソフトバンクとの合弁会社BBSakura Networks株式会社を設立し、クラウドシフトとハウジング縮小に伴うデータセンター設備の最適化を進めて超個体型データセンターの研究開発に着手した
- さくらインターネット 2021年3月期決算説明会資料(2021年4月27日)
- [29]リモートワーク前提の働き方への転換と収益向上策の加速で増収増益となり、経営資源をクラウドへ集中させる方針のもと翌期は一時的な減収減益を見込むとした
- さくらインターネット 2022年3月期決算説明会資料(2022年4月27日)
- [30]クラウド集中に伴う物理基盤サービスの契約満了と収益認識基準の適用で減収となり、本社移転・東京支社縮小により特別損失が発生した
- 有価証券報告書(2022年3月期)
- [31]2022年3月期の連結売上高200億円(前期222億円)
減ることを織り込んだ先に置かれたのは、公共調達という市場だった。2021年12月に政府衛星データプラットフォーム事業の企画準備会社としてTellusを設立し、2022年4月には東京証券取引所の市場区分の見直しにより市場第一部からプライム市場へ移行している。2023年3月期はクラウド集中による投資効率化とデータセンターの最適化が進んで増収増益となり、会社は数年内のガバメントクラウドへの参入を成長戦略の柱に据え、高火力コンピューティングでAI基盤市場を狙う方針を示した。同じ年に初めて編んだ統合報告書では、石狩の外気冷却など環境に配慮したインフラと2022年のCO2排出量実質ゼロの達成、ISMAP登録を経てガバメントクラウドを目指す道筋が並べられている。国産のクラウドであること自体が、調達の条件として値を持ち始めていた。
- 有価証券報告書【沿革】
- [32]2021年12月に政府衛星データプラットフォーム事業の企画準備会社として株式会社Tellusを設立し、2022年4月に東京証券取引所の市場区分の見直しにより市場第一部からプライム市場へ移行した
- さくらインターネット 2023年3月期決算説明会資料(2023年4月27日)
- [33]クラウド集中による投資効率化とデータセンター最適化で増収増益となり、数年内のガバメントクラウド参入を成長戦略の柱に据え、高火力コンピューティングでAI基盤市場を狙う方針を示した
- さくらインターネット統合報告書「さくらのレポート2023」(2023年12月)
- [34]初年度の統合報告書で石狩データセンターの外気冷却など環境配慮型インフラと2022年のCO2排出量実質ゼロ達成、ISMAP登録を経てガバメントクラウドを目指す方針を提示した
参考文献[25]-[34]
- 有価証券報告書【沿革】
- [25]2017年9月にビットスター、2018年8月にIzumoBASEを子会社化し、2018年5月にプラナスソリューションズを設立した
- [32]2021年12月に政府衛星データプラットフォーム事業の企画準備会社として株式会社Tellusを設立し、2022年4月に東京証券取引所の市場区分の見直しにより市場第一部からプライム市場へ移行した
- さくらインターネット 2018年3月期決算説明会資料(2018年4月26日)
- [26]大阪のデータセンター拠点集約を2017年10月に完了し、石狩データセンター3号棟が11月に稼働した
- 有価証券報告書(2017年3月期・2019年3月期)
- [27]連結売上高は2017年3月期13,961百万円・2019年3月期19,500百万円、営業利益は1,018百万円・600百万円、従業員は495人・652人
- さくらインターネット 2020年3月期決算説明会資料(2020年4月27日)
- [28]2019年8月にソフトバンクとの合弁会社BBSakura Networks株式会社を設立し、クラウドシフトとハウジング縮小に伴うデータセンター設備の最適化を進めて超個体型データセンターの研究開発に着手した
- さくらインターネット 2021年3月期決算説明会資料(2021年4月27日)
- [29]リモートワーク前提の働き方への転換と収益向上策の加速で増収増益となり、経営資源をクラウドへ集中させる方針のもと翌期は一時的な減収減益を見込むとした
- さくらインターネット 2022年3月期決算説明会資料(2022年4月27日)
- [30]クラウド集中に伴う物理基盤サービスの契約満了と収益認識基準の適用で減収となり、本社移転・東京支社縮小により特別損失が発生した
- 有価証券報告書(2022年3月期)
- [31]2022年3月期の連結売上高200億円(前期222億円)
- さくらインターネット 2023年3月期決算説明会資料(2023年4月27日)
- [33]クラウド集中による投資効率化とデータセンター最適化で増収増益となり、数年内のガバメントクラウド参入を成長戦略の柱に据え、高火力コンピューティングでAI基盤市場を狙う方針を示した
- さくらインターネット統合報告書「さくらのレポート2023」(2023年12月)
- [34]初年度の統合報告書で石狩データセンターの外気冷却など環境配慮型インフラと2022年のCO2排出量実質ゼロ達成、ISMAP登録を経てガバメントクラウドを目指す方針を提示した
筆者考察
この15年の損益には、設備投資の波がそのまま出ている。石狩データセンターを建てる前の2011年3月期、さくらインターネットの経常利益は11億9,500万円だった。都市部の古い拠点を使い切った状態の数字である。石狩が動いた2012年3月期は8億800万円へ落ち、2号棟が稼働した2014年3月期は6億3,300万円まで下がった。データセンターは建てた瞬間から電力と減価償却を生み、ラックが埋まるまで利益を戻さない。売上高は2009年3月期の71億700万円から2014年3月期に100億円を超えたが、経常利益は一度も2011年3月期の水準へ届いていない。伸びていたのは設備の規模であって、そこから引き出す利益ではなかった。
双日も、同じ周期で位置を変えている。2008年2月に筆頭株主として入り、石狩の建設が決まった直後の2011年3月に親会社となり、3号棟が竣工して投資が回り始めた2017年3月に、公募増資と売出しによって親会社ではなくなった。商社の資本が要ったのは、自前で建てる体力の無かった期間だけだったといえる。もっとも、建て終えた先に待っていたのは別種の問題である。2021年以降、さくらインターネットは物理基盤サービスの契約満了を受け入れて減収を選び、クラウドへ寄せた。2022年3月期の連結売上高200億円は前期の222億円を下回る。床を埋める競争から、床の使い方を変える競争へ、競争の焦点が移っていた。
2009年〜2023年の業績
| 決算期 | 区分 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 主な投資 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 億円 | YoY | 億円 | 億円 | 利益率 | 億円 | |||
| 2009年03月期 | 単体 | 71 | n/a | n/a | 3 | 4.2% | 4 | n/a |
| 2010年03月期 | 単体 | 78 | +9.9% | n/a | 7 | 9.0% | 6 | n/a |
| 2011年03月期 | 単体 | 86 | +10.3% | n/a | 12 | 14.0% | 6 | n/a |
| 2012年03月期 | 単体 | 92 | +7.0% | n/a | 8 | 8.7% | 6 | n/a |
| 2013年03月期 | 単体 | 95 | +3.3% | n/a | 8 | 8.4% | 5 | n/a |
| 2014年03月期 | 単体 | 100 | +5.3% | n/a | 6 | 6.0% | 4 | n/a |
| 2015年03月期 | 単体 | 106 | +6.0% | 10 | 9 | 8.5% | 5 | n/a |
| 2016年03月期 | 連結 | 121 | +14.2% | 10 | 8 | 6.6% | 6 | n/a |
| 2017年03月期 | 連結 | 140 | +15.7% | 10 | 8 | 5.7% | 5 | n/a |
| 2018年03月期 | 連結 | 170 | +21.4% | 7 | 6 | 3.5% | 3 | 石狩データセンター3号棟が稼働開始(2017/11) |
| 2019年03月期 | 連結 | 195 | +14.7% | 6 | 4 | 2.1% | 1 | n/a |
| 2020年03月期 | 連結 | 219 | +12.3% | 9 | 8 | 3.7% | 2 | n/a |
| 2021年03月期 | 連結 | 222 | +1.4% | 14 | 11 | 5.0% | 8 | n/a |
| 2022年03月期 | 連結 | 200 | ▲9.9% | 8 | 6 | 3.0% | 3 | n/a |
| 2023年03月期 | 連結 | 206 | +3.0% | 11 | 10 | 4.9% | 7 | n/a |
出典・参考
22件
- 有価証券報告書(2009年3月期)
- さくらインターネット 2009年3月期決算説明会資料(2009年5月28日)
- さくらインターネット 2010年3月期決算説明会資料(2010年5月14日)
- さくらインターネット 2011年3月期決算説明会資料(2011年5月10日)
- 有価証券報告書(2012年3月期)
- さくらインターネット 2012年3月期決算説明会資料(2012年4月26日)
- さくらインターネット 2013年3月期決算説明会資料(2013年4月30日)
- 有価証券報告書(2013年3月期)
- さくらインターネット 2014年3月期決算説明会資料(2014年4月25日)
- 有価証券報告書(2014年3月期)
- さくらインターネット 2015年3月期決算説明会資料(2015年4月27日)
- さくらインターネット 2017年3月期決算説明会資料(2017年4月24日)
- 有価証券報告書(2017年3月期・2019年3月期)
- さくらインターネット 2018年3月期決算説明会資料(2018年4月26日)
- さくらインターネット 2020年3月期決算説明会資料(2020年4月27日)
- さくらインターネット 2021年3月期決算説明会資料(2021年4月27日)
- さくらインターネット 2022年3月期決算説明会資料(2022年4月27日)
- 有価証券報告書(2022年3月期)
- さくらインターネット 2023年3月期決算説明会資料(2023年4月27日)
- さくらインターネット統合報告書「さくらのレポート2023」(2023年12月)
- さくらインターネット統合報告書「さくらのレポート2024」(2024年12月)
- 有価証券報告書【沿革】