第4章 年〜年

武富士:武井保雄の逮捕と過払い判決による会社更生法申請

武井保雄氏の退場、4,814億円の当期純損失と2010年の会社更生手続

2003年〜武井保雄の逮捕、2,432億円の財務制限条項と一族株24.8%への縮小

広告を止め、守りに入る

武富士の会長だった武井保雄氏は、2003年12月に電気通信事業法違反(盗聴)の容疑で逮捕された。会社は同じ月にコンプライアンス統轄室を置き、外部の有識者をコンプライアンス委員会へ招いた。2004年7月の経営陣の挨拶は一連の事件を詫び、前年を『昨年は、弊社創業以来最も多難な年でありました』と振り返った。テレビCMは2003年12月から自粛し、再開は2005年4月までずれ込んだ。広告と営業の自粛は、新規の申し込みと口座の獲得を細らせた。2004年3月期の営業収益は3,811億円で、前期から9.1%減った。集客を自ら止めたことで、店舗網の規模で稼ぐ仕組みの弱さが初めて数字に表れたといえる。

  • 日経ビジネス 2004年11月29日号
    • [1]武富士の会長だった武井保雄は、2003年12月に電気通信事業法違反(盗聴)の容疑で逮捕された
  • 武富士 アニュアルレポート 2005(英文)「MESSAGE FROM THE MANAGEMENT」
    • [2]武富士は2003年12月にコンプライアンス統轄室を設け、外部の有識者をコンプライアンス委員会に招いた
    • [5]テレビ・新聞・雑誌での広告と営業活動の自粛により、新規の申し込み件数と新規口座数が減少した
  • 武富士 年次報告 2004「経営陣ご挨拶」
    • [3]2004年7月付の経営陣の挨拶は、時間外労働賃金の未払い、財務局の行政処分、電気通信事業法違反などの一連の事件について株主・顧客に詫びた
    • [6]2004年3月期の営業収益は3,811億円(前期比9.1%減)、当期純利益は744億円(同21.4%減)であった
  • 武富士 お知らせ(2005年4月27日)「新テレビCM「セミナー」篇 放映開始のお知らせ」
    • [4]武富士は2003年12月から自粛していたテレビCMの放映を2005年4月に再開した
貸倒償却率10%の条項を外す

逮捕の直後、貸倒償却率が10%に届くと一括返済を迫られる条項付きの負債が、2003年11月末の単体で2,432億円あると報じられた。償却率は2003年3月期に6.6%まで上がり、その期は7.2%と予想されていた。会社は2002年7月から与信を絞り、量の拡大より質を優先する方針へ切り替えていた。2005年3月期には、自己破産の増加で続いた営業貸付金の減少がほぼ止まった。資金面では2004年3月と5月に、期間30年の無担保ユーロ円債を計1,200億円発行した。2005年9月には貸付債権の信託受益権を担保とする20億米ドルの融資枠へ借り換え、財務制限条項をすべて外した。事件が借入の期限を早める経路を、調達の形を替えて断ったと考えられる。

  • 日経ビジネス 2003年12月22日・29日号
    • [7]貸倒償却率10%以上で一括返済・償還を求められる条項の付いた武富士の負債は、2003年11月末の単体で2,432億円(借入金1,826億円、社債606億円)であった
    • [8]武富士の貸倒償却率は2003年3月期に6.6%に達し、2004年3月期の予想値は7.2%であった
  • 武富士 アニュアルレポート 2005(英文)「MESSAGE FROM THE MANAGEMENT」
    • [9]武富士は2002年7月に与信基準を厳格化し、量的拡大から質的向上へ重点を移した
    • [10]自己破産の増加による貸倒償却の拡大で続いていた営業貸付金残高の減少は、2005年3月期に事実上止まった
    • [11]武富士は2004年3月と5月に、期間30年・額面計1,200億円の無担保ユーロ円債を発行した
  • 武富士 決算説明会のご案内(2005年10月20日)
    • [12]武富士は2005年9月21日、営業貸付債権の信託受益権を担保とした20億米ドルのコミットメントラインを設定し、真正譲渡方式への変更で当該契約の財務制限条項をすべて取り除いた
25%規定の下で一族株を手放す

貸金業規制法は、禁錮以上の刑が確定した者が25%以上の株式を持つ貸金業者の登録を取り消すと定めていた。武井氏は2003年に武富士株の約66%を保有しており、外資系金融機関への売却交渉は破談した。判決の1週間前の2004年11月10日、会社は主要株主の保有株に関する報告を公表し、1,689万株に有価証券処分信託を設定するとした。市場での売却と信託銀行への預託を合わせ、持ち株比率は24.8%に下がる計算であった。11月17日の判決は懲役3年、執行猶予4年となり、処分信託は2005年に株の処分を終えた。ただ、二男の武井健晃氏は代表権を持って営業部門を統括しており、所有と経営の分離は形の上にとどまったと思われる。

  • 日経ビジネス 2004年11月29日号
    • [13]貸金業規制法では、禁錮以上の刑が確定した人物が25%以上の株式を保有している会社は貸金業登録を取り消される
    • [14]武井保雄は2003年に武富士株の約66%を保有しており、外資系金融機関への売却交渉は破談となった
    • [16]800万株の市場売却、2,500万株の信託銀行への預託、1,689万株の有価証券処分信託により、武井保雄の持ち株比率は24.8%になるとされた
    • [17]2004年11月17日、東京地方裁判所は武井保雄に懲役3年・執行猶予4年の判決を言い渡した
    • [19]武井保雄の二男の武井健晃は代表権を持ち、営業部門を統括していた
  • 武富士 決算説明会のご案内(2005年10月20日)
    • [15]武富士は2004年11月10日付で「主要株主の保有株に関するご報告」を公表し、1,689万株(議決権の約12%)を有価証券処分信託とした
    • [18]2004年11月10日付で報告した有価証券処分信託の1,689万株は、株式の処分完了により信託が終了した
参考文献[1]-[19]
  • 日経ビジネス 2004年11月29日号
    • [1]武富士の会長だった武井保雄は、2003年12月に電気通信事業法違反(盗聴)の容疑で逮捕された
    • [13]貸金業規制法では、禁錮以上の刑が確定した人物が25%以上の株式を保有している会社は貸金業登録を取り消される
    • [14]武井保雄は2003年に武富士株の約66%を保有しており、外資系金融機関への売却交渉は破談となった
    • [16]800万株の市場売却、2,500万株の信託銀行への預託、1,689万株の有価証券処分信託により、武井保雄の持ち株比率は24.8%になるとされた
    • [17]2004年11月17日、東京地方裁判所は武井保雄に懲役3年・執行猶予4年の判決を言い渡した
    • [19]武井保雄の二男の武井健晃は代表権を持ち、営業部門を統括していた
  • 武富士 アニュアルレポート 2005(英文)「MESSAGE FROM THE MANAGEMENT」
    • [2]武富士は2003年12月にコンプライアンス統轄室を設け、外部の有識者をコンプライアンス委員会に招いた
    • [5]テレビ・新聞・雑誌での広告と営業活動の自粛により、新規の申し込み件数と新規口座数が減少した
    • [9]武富士は2002年7月に与信基準を厳格化し、量的拡大から質的向上へ重点を移した
    • [10]自己破産の増加による貸倒償却の拡大で続いていた営業貸付金残高の減少は、2005年3月期に事実上止まった
    • [11]武富士は2004年3月と5月に、期間30年・額面計1,200億円の無担保ユーロ円債を発行した
  • 武富士 年次報告 2004「経営陣ご挨拶」
    • [3]2004年7月付の経営陣の挨拶は、時間外労働賃金の未払い、財務局の行政処分、電気通信事業法違反などの一連の事件について株主・顧客に詫びた
    • [6]2004年3月期の営業収益は3,811億円(前期比9.1%減)、当期純利益は744億円(同21.4%減)であった
  • 武富士 お知らせ(2005年4月27日)「新テレビCM「セミナー」篇 放映開始のお知らせ」
    • [4]武富士は2003年12月から自粛していたテレビCMの放映を2005年4月に再開した
  • 日経ビジネス 2003年12月22日・29日号
    • [7]貸倒償却率10%以上で一括返済・償還を求められる条項の付いた武富士の負債は、2003年11月末の単体で2,432億円(借入金1,826億円、社債606億円)であった
    • [8]武富士の貸倒償却率は2003年3月期に6.6%に達し、2004年3月期の予想値は7.2%であった
  • 武富士 決算説明会のご案内(2005年10月20日)
    • [12]武富士は2005年9月21日、営業貸付債権の信託受益権を担保とした20億米ドルのコミットメントラインを設定し、真正譲渡方式への変更で当該契約の財務制限条項をすべて取り除いた
    • [15]武富士は2004年11月10日付で「主要株主の保有株に関するご報告」を公表し、1,689万株(議決権の約12%)を有価証券処分信託とした
    • [18]2004年11月10日付で報告した有価証券処分信託の1,689万株は、株式の処分完了により信託が終了した

2006年〜最高裁判決と改正貸金業法、4,814億円の当期純損失

判決の4日後の年頭挨拶

2006年1月13日、最高裁はみなし弁済の成立に要る支払いの任意性を厳しく解する判決を下し、これを機に過払い利息の返還請求が急増した。その4日後の年頭挨拶で、会社は創業40周年の2006年を自己資本1兆円に届く節目の年と位置づけていた。4月には大手7社で借り手の保護と救済を掲げる自主的な取り組みに合意し、第三者への請求や自宅以外への連絡の一掃を社内に改めて指示した。同じ月、将来の返還に備える利息返還損失引当金225億円を初めて営業費用に計上した。2006年3月期の過払請求返還金は186億9,900万円で、前期比70.3%増えていた。判決の重みを、会社はこの時点でまだ測りかねていたのだろう。

  • 武富士 年次報告 2007「はじめに」
    • [20]2006年1月13日に最高裁が「みなし弁済」の任意性に厳格な解釈を適用する判決を下したのを機に、過払返還請求が急増した
  • 武富士 株主・投資家向けお知らせ(2006年1月17日)「年頭のご挨拶」
    • [21]2006年1月17日付の年頭挨拶は、創業40周年の2006年を長年の目標である自己資本1兆円を達成する節目の年とした
  • 武富士 お知らせ(2006年4月18日)「消費者金融市場をより一層健全化するための自主的取り組みについて」
    • [22]武富士を含む大手7社は、資金需要者のトラブルの予防・保護・救済の観点から自主的取り組みに合意し、武富士は第三者請求や居宅以外への連絡などの不正行為をなくすよう社内に改めて注意喚起した
    • [23]武富士は過払請求返還金の発生に備え、利息返還損失引当金繰入額225億円を営業費用に計上する見込みとした
  • 武富士 決算説明会資料(2006年4月27日)
    • [24]2006年3月期の過払請求返還金は18,699百万円で、前期の10,981百万円から70.3%増えた
引当金5,625億円と4,814億円の純損失

2006年9月の改正法案の骨子は、出資法の上限金利を29.2%から20%へ下げる内容であった。改正法は12月に成立し、借入総額を年収の3分の1までに抑える総量規制も決まった。会計士協会の新たな取扱いを受け、会社は第3四半期に引当金4,130億円を特別損失とし、繰延税金資産の計上もやめた。2007年3月期の繰入れは計5,625億円に達し、当期純損失は4,814億円となった。近藤光社長らの挨拶は返還の山を2007年から2008年と読み、引当金4,888億円で『今後の利息返還請求につきましては十分に対応可能であると考えております』とした。翌期の当期純利益は532億円と見込んだが、実績は141億500万円にとどまった。引当の十分性は、判決前の1年間の請求をもとにした見積もりの上に立っていた。

  • 武富士 決算説明会資料(2006年11月2日)
    • [25]2006年9月15日の貸金業法改正案骨子は、出資法の上限金利を29.2%から20%へ引き下げるものであった
  • 武富士 株主・投資家向けお知らせ(2007年2月15日)「2007年3月期第3四半期業績の概要」
    • [26]2006年12月に貸金業法改正案が成立し、3年後に上限金利の引き下げと総量規制(貸付上限を年収の3分の1以内)が実施されることになった
    • [27]日本公認会計士協会の2006年10月13日付業種別監査委員会報告第37号に基づき、武富士は第3四半期に利息返還損失引当金繰入額4,130億円を特別損失に計上し、繰延税金資産の計上を取りやめた
  • 武富士 年次報告 2007「はじめに」
    • [28]2007年3月期は利息返還損失引当金を上期に特別損失2,720億円、下期に営業費用2,905億円、計5,625億円繰り入れ、当期純損失は4,814億円となった
    • [29]利息返還金は2007年から2008年にピークを迎えて減少すると見込み、期末の引当金残高は4,888億円とした
    • [30]2008年3月期の見通しは経常利益533億円、当期純利益532億円であった
  • 武富士 決算説明資料(2010年5月14日)「2010年3月期 決算説明資料」
    • [31]2008年3月期の当期純利益は14,105百万円であった
勧誘を縛り、店と広告を削る

2007年10月、会社は年収の3分の1を超える客への勧誘を禁じると発表した。あわせて全支店の電話に録音システムを入れ、社員の勧誘と請求を監視するとした。同じ月、金融商品取引法の施行を受けてコンプライアンス統轄部の中に内部統制室を設けた。費用の面では71店舗の統廃合と、広告宣伝費を前年の約半分の50億円に抑える計画を掲げた。それでも2008年5月16日には関東財務局から業務改善命令を受け、6月16日に業務改善計画を出した。2007年3月期末の口座数は212万5,599口座で、前期から8.5%減っていた。貸す相手を絞りながら集客の費用も削れば、貸付金の縮小は避けがたかったと思われる。

  • 武富士 株主・投資家向けお知らせ(2007年10月4日)「貸金業法の施行に対する弊社の対応について」
    • [32]武富士は貸金業法の段階的施行に向け、年収の3分の1を超える顧客への勧誘を禁止する方針を示した
    • [33]武富士は全支店の電話に録音システムを導入し、従業員による不適切な勧誘・請求等を監視するとした
  • 武富士 お知らせ(2007年10月22日)「更なるコンプライアンス体制の内部統制室を設置」
    • [34]武富士は金融商品取引法の施行を受け、2007年10月1日付でコンプライアンス統轄部内に内部統制室を設置した
  • 武富士 年次報告 2007「はじめに」
    • [35]武富士は営業店71店舗の統廃合と、広告宣伝費を前年比約50%削減の50億円とする計画を示した
    • [37]2007年3月期の単体の口座数は212万5,599口座で、前期比8.5%減であった
  • 武富士レポート 2009「トップメッセージ ごあいさつ」
    • [36]武富士は2008年5月16日に関東財務局から業務改善命令を受け、同年6月16日に業務改善計画を提出した
参考文献[20]-[37]
  • 武富士 年次報告 2007「はじめに」
    • [20]2006年1月13日に最高裁が「みなし弁済」の任意性に厳格な解釈を適用する判決を下したのを機に、過払返還請求が急増した
    • [28]2007年3月期は利息返還損失引当金を上期に特別損失2,720億円、下期に営業費用2,905億円、計5,625億円繰り入れ、当期純損失は4,814億円となった
    • [29]利息返還金は2007年から2008年にピークを迎えて減少すると見込み、期末の引当金残高は4,888億円とした
    • [30]2008年3月期の見通しは経常利益533億円、当期純利益532億円であった
    • [35]武富士は営業店71店舗の統廃合と、広告宣伝費を前年比約50%削減の50億円とする計画を示した
    • [37]2007年3月期の単体の口座数は212万5,599口座で、前期比8.5%減であった
  • 武富士 株主・投資家向けお知らせ(2006年1月17日)「年頭のご挨拶」
    • [21]2006年1月17日付の年頭挨拶は、創業40周年の2006年を長年の目標である自己資本1兆円を達成する節目の年とした
  • 武富士 お知らせ(2006年4月18日)「消費者金融市場をより一層健全化するための自主的取り組みについて」
    • [22]武富士を含む大手7社は、資金需要者のトラブルの予防・保護・救済の観点から自主的取り組みに合意し、武富士は第三者請求や居宅以外への連絡などの不正行為をなくすよう社内に改めて注意喚起した
    • [23]武富士は過払請求返還金の発生に備え、利息返還損失引当金繰入額225億円を営業費用に計上する見込みとした
  • 武富士 決算説明会資料(2006年4月27日)
    • [24]2006年3月期の過払請求返還金は18,699百万円で、前期の10,981百万円から70.3%増えた
  • 武富士 決算説明会資料(2006年11月2日)
    • [25]2006年9月15日の貸金業法改正案骨子は、出資法の上限金利を29.2%から20%へ引き下げるものであった
  • 武富士 株主・投資家向けお知らせ(2007年2月15日)「2007年3月期第3四半期業績の概要」
    • [26]2006年12月に貸金業法改正案が成立し、3年後に上限金利の引き下げと総量規制(貸付上限を年収の3分の1以内)が実施されることになった
    • [27]日本公認会計士協会の2006年10月13日付業種別監査委員会報告第37号に基づき、武富士は第3四半期に利息返還損失引当金繰入額4,130億円を特別損失に計上し、繰延税金資産の計上を取りやめた
  • 武富士 決算説明資料(2010年5月14日)「2010年3月期 決算説明資料」
    • [31]2008年3月期の当期純利益は14,105百万円であった
  • 武富士 株主・投資家向けお知らせ(2007年10月4日)「貸金業法の施行に対する弊社の対応について」
    • [32]武富士は貸金業法の段階的施行に向け、年収の3分の1を超える顧客への勧誘を禁止する方針を示した
    • [33]武富士は全支店の電話に録音システムを導入し、従業員による不適切な勧誘・請求等を監視するとした
  • 武富士 お知らせ(2007年10月22日)「更なるコンプライアンス体制の内部統制室を設置」
    • [34]武富士は金融商品取引法の施行を受け、2007年10月1日付でコンプライアンス統轄部内に内部統制室を設置した
  • 武富士レポート 2009「トップメッセージ ごあいさつ」
    • [36]武富士は2008年5月16日に関東財務局から業務改善命令を受け、同年6月16日に業務改善計画を提出した

2009年〜中期経営計画と条件緩和債権の売却、会社更生手続開始の申立て

辛抱の年と2,561億円の赤字

2009年の年頭挨拶で、清川昭社長は『本年を完全施行後に大きく飛躍するための「辛抱の年」と位置づけ』、財務基盤を固める方針を示した。2月の中期経営計画は、有人店舗を360店から100店へ、社員を2,625人から1,800人へ減らす道筋を描いた。そのうえで2010年3月期から3年間、当期純利益230億円、200億円、200億円を確保するとした。前提として2009年3月期に、利息返還損失引当金2,297億円の積み増しと、条件緩和債権の元本減免分481億円の一括償却を重ねた。赤字は2,561億円に上り、清川社長らは報告書でこれを『経営課題解決のため他社に先駆け、業績変動要因の排除を決断し、戦略的に赤字を計上しました』と説明した。損失を一期に寄せて翌期からの黒字を約束する形は、2年前の引当と同じ構図であった。

  • 武富士 株主・投資家向けお知らせ(2009年1月15日)「年頭のご挨拶」
    • [38]清川昭社長は2009年の年頭挨拶で、財務基盤を磐石にし、費用対効果を高め効率経営を推進するとした
  • 武富士 中期経営計画及び2009年3月期第3四半期決算説明会資料(2009年2月13日)
    • [39]中期経営計画は、有人店舗を2008年3月期の360店から2012年3月期に100店へ、社員数を2,625人から1,800人へ減らす計画であった
    • [40]中期経営計画は当期純利益を2010年3月期230億円、2011年3月期200億円、2012年3月期200億円と計画した
  • 武富士レポート 2009「トップメッセージ ごあいさつ」
    • [41]2009年3月期に利息返還損失引当金2,297億円を積み増し、条件緩和債権の元本減免部分の未償却額481億円を一括償却した
    • [42]2009年3月期は2,561億円の赤字を計上し、清川昭社長と武井健晃副社長の連名の挨拶で、中期経営計画の実行のための戦略的な赤字であると説明した
格下げが資金の出口を塞ぐ

2009年11月、会社は格付け会社2社の格下げで資金繰りに影響が出ていると認めた。2005年7月に始めた受益権の譲渡による調達が、早期返済の条項に触れたためである。12月には、簿価380億9,200万円の条件緩和債権が145億円で売却され、88億700万円の特別損失が計上された。転換社債は2010年6月に償還を前倒しで求められる見込みがあり、その支払いに備えて、現金に新しい社債を組み合わせて渡す形で交換に応じる者を募った。2010年2月に公表した四半期決算には、会社が存続する前提そのものに重大な疑いを抱かせる状況があるとの記載が入った。2010年3月期の実績は当期純利益が45億7,700万円、新規顧客が5万7,595件である。計画に掲げた230億円と16万3,000件のどちらにも大きく届かなかった。

  • 武富士 お知らせ(2009年11月16日)「2011年満期ユーロ円建普通社債の交換募集による発行等のお知らせ」
    • [43]武富士は、ムーディーズとスタンダード&プアーズによる格下げで資金繰りに影響が生じていると公表した
    • [44]格下げにより、株式会社ブルキャピトルとの間で2005年7月に始めた真正譲渡方式の優先受益権譲渡による資金調達が早期返済条項等に抵触した
    • [46]2010年6月に想定される2018年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の繰上償還請求への対応として、現金または現金と2011年満期ユーロ円建普通社債を対価とする交換募集を実施した
  • 武富士 適時開示(2009年12月14日)「条件緩和債権の譲渡に伴う特別損失の計上に関するお知らせ」
    • [45]武富士は手元流動性確保のため簿価380億92百万円の条件緩和債権を145億円で譲渡し、88億7百万円の特別損失を計上した
  • 武富士 平成22年3月期 第3四半期決算短信(2010年2月)
    • [47]格付けの引き下げと一部借入金の早期返済事由への抵触などにより新たな資金調達が極めて厳しく、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在すると開示した
  • 武富士 決算説明資料(2010年5月14日)「2010年3月期 決算説明資料」
    • [48]2010年3月期の当期純利益は4,577百万円、新規顧客獲得数は57,595件であった
  • 武富士 中期経営計画及び2009年3月期第3四半期決算説明会資料(2009年2月13日)
    • [49]中期経営計画は2010年3月期の当期純利益を230億円、新規顧客獲得数を163,000件と計画していた
申立ての前日に否定した報道

2010年9月27日、会社は更生法の申請準備を伝えた報道に対し、申請を決めた事実はないとする文書を出した。翌28日の取締役会で会社更生手続開始の申立てを決議し、同日東京地方裁判所に申し立てた。清川社長、武井健晃副社長ら取締役4人は経営責任を明確にするとして同日に辞任し、近藤光前社長も相談役を離れた。残る経営陣は保全管理人の下にとどまり、蓄積した実務の知識で手続を支えるとした。10月31日に更生手続の開始が決まり、管財人の小畑英一氏が経営を引き継いだ。過払い金も更生債権として届け出が要り、判決や和解で確定した分も含めて弁済は止められた。借り手へ返すべき利息は、ほかの債権と同じ列に並ぶことになった。

  • 武富士 お知らせ(2010年9月27日)「本日の一部報道について」
    • [50]武富士は2010年9月27日、会社更生法の申請を準備しているとの一部報道について、会社が発表したものではなく申請決定を行った事実はないと公表した
  • 武富士 お知らせ(2010年9月28日)「代表取締役の異動に関するお知らせ」
    • [51]武富士は2010年9月28日の取締役会で会社更生手続開始の申立てを決議し、同日東京地方裁判所に申し立てた
  • 武富士 会社更生手続開始の申立てに関するお知らせ(FAQ)(2010年9月28日)
    • [52]清川昭社長、武井健晃副社長、相田勝則・佐藤健吾両常務の4名が経営責任を明確にするため2010年9月28日付で辞任し、前代表取締役の近藤光相談役も同日付で相談役を離れた
    • [53]4名を除く経営陣は保全管理人の下で事業運営と更生手続の遂行に協力し、蓄積されたノウハウを活用して経営の連続性を維持するとした
  • 武富士 お知らせ「会社更生手続に関するQ&A」(2010年10月31日)
    • [54]武富士は2010年10月31日に東京地方裁判所から会社更生手続開始決定を受け、管財人は小畑英一であった
    • [55]更生手続開始決定により過払金を含む一切の更生債権の弁済は禁止され、判決や和解で確定した過払金も債権の届出が必要とされた
参考文献[38]-[55]
  • 武富士 株主・投資家向けお知らせ(2009年1月15日)「年頭のご挨拶」
    • [38]清川昭社長は2009年の年頭挨拶で、財務基盤を磐石にし、費用対効果を高め効率経営を推進するとした
  • 武富士 中期経営計画及び2009年3月期第3四半期決算説明会資料(2009年2月13日)
    • [39]中期経営計画は、有人店舗を2008年3月期の360店から2012年3月期に100店へ、社員数を2,625人から1,800人へ減らす計画であった
    • [40]中期経営計画は当期純利益を2010年3月期230億円、2011年3月期200億円、2012年3月期200億円と計画した
    • [49]中期経営計画は2010年3月期の当期純利益を230億円、新規顧客獲得数を163,000件と計画していた
  • 武富士レポート 2009「トップメッセージ ごあいさつ」
    • [41]2009年3月期に利息返還損失引当金2,297億円を積み増し、条件緩和債権の元本減免部分の未償却額481億円を一括償却した
    • [42]2009年3月期は2,561億円の赤字を計上し、清川昭社長と武井健晃副社長の連名の挨拶で、中期経営計画の実行のための戦略的な赤字であると説明した
  • 武富士 お知らせ(2009年11月16日)「2011年満期ユーロ円建普通社債の交換募集による発行等のお知らせ」
    • [43]武富士は、ムーディーズとスタンダード&プアーズによる格下げで資金繰りに影響が生じていると公表した
    • [44]格下げにより、株式会社ブルキャピトルとの間で2005年7月に始めた真正譲渡方式の優先受益権譲渡による資金調達が早期返済条項等に抵触した
    • [46]2010年6月に想定される2018年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の繰上償還請求への対応として、現金または現金と2011年満期ユーロ円建普通社債を対価とする交換募集を実施した
  • 武富士 適時開示(2009年12月14日)「条件緩和債権の譲渡に伴う特別損失の計上に関するお知らせ」
    • [45]武富士は手元流動性確保のため簿価380億92百万円の条件緩和債権を145億円で譲渡し、88億7百万円の特別損失を計上した
  • 武富士 平成22年3月期 第3四半期決算短信(2010年2月)
    • [47]格付けの引き下げと一部借入金の早期返済事由への抵触などにより新たな資金調達が極めて厳しく、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在すると開示した
  • 武富士 決算説明資料(2010年5月14日)「2010年3月期 決算説明資料」
    • [48]2010年3月期の当期純利益は4,577百万円、新規顧客獲得数は57,595件であった
  • 武富士 お知らせ(2010年9月27日)「本日の一部報道について」
    • [50]武富士は2010年9月27日、会社更生法の申請を準備しているとの一部報道について、会社が発表したものではなく申請決定を行った事実はないと公表した
  • 武富士 お知らせ(2010年9月28日)「代表取締役の異動に関するお知らせ」
    • [51]武富士は2010年9月28日の取締役会で会社更生手続開始の申立てを決議し、同日東京地方裁判所に申し立てた
  • 武富士 会社更生手続開始の申立てに関するお知らせ(FAQ)(2010年9月28日)
    • [52]清川昭社長、武井健晃副社長、相田勝則・佐藤健吾両常務の4名が経営責任を明確にするため2010年9月28日付で辞任し、前代表取締役の近藤光相談役も同日付で相談役を離れた
    • [53]4名を除く経営陣は保全管理人の下で事業運営と更生手続の遂行に協力し、蓄積されたノウハウを活用して経営の連続性を維持するとした
  • 武富士 お知らせ「会社更生手続に関するQ&A」(2010年10月31日)
    • [54]武富士は2010年10月31日に東京地方裁判所から会社更生手続開始決定を受け、管財人は小畑英一であった
    • [55]更生手続開始決定により過払金を含む一切の更生債権の弁済は禁止され、判決や和解で確定した過払金も債権の届出が必要とされた

2003年〜2010年の業績

決算期 区分 売上高 経常利益純利益 主な投資
億円 YoY 億円 利益率 億円
2003年03月期 連結 4,220 n/a 1,833 43.4% 951 n/a
2004年03月期 連結 3,845 ▲8.9% 1,386 36.0% 747 n/a
2005年03月期 連結 3,601 ▲6.3% 1,193 33.1% 687 n/a
2006年03月期 連結 3,513 ▲2.4% 922 26.2% 469 n/a
2007年03月期 連結 3,289 ▲6.4% ▲1,638 ▲49.8% ▲4,813 n/a
2008年03月期 連結 2,705 ▲17.8% 423 15.6% 141 n/a
2009年03月期 連結 1,863 ▲31.1% ▲2,147 ▲115.2% ▲2,561 n/a
2010年03月期 連結 1,203 ▲35.4% 332 27.6% 46 n/a

出典・参考

25件
出典・参考
  • 武富士 アニュアルレポート 2005(英文)「MESSAGE FROM THE MANAGEMENT」
  • 武富士 決算説明会のご案内(2005年10月20日)
  • 武富士 決算説明会資料(2006年4月27日)
  • 武富士 決算説明会資料(2006年11月2日)
  • 武富士 中期経営計画及び2009年3月期第3四半期決算説明会資料(2009年2月13日)
  • 武富士 決算説明資料(2010年5月14日)「2010年3月期 決算説明資料」
  • 武富士 平成22年3月期 第3四半期決算短信(2010年2月)
  • 日経ビジネス 2003年12月22日・29日号
  • 日経ビジネス 2004年11月29日号
  • 武富士 年次報告 2004「経営陣ご挨拶」
  • 武富士 お知らせ(2005年4月27日)「新テレビCM「セミナー」篇 放映開始のお知らせ」
  • 武富士 株主・投資家向けお知らせ(2006年1月17日)「年頭のご挨拶」
  • 武富士 お知らせ(2006年4月18日)「消費者金融市場をより一層健全化するための自主的取り組みについて」
  • 武富士 年次報告 2007「はじめに」
  • 武富士 株主・投資家向けお知らせ(2007年2月15日)「2007年3月期第3四半期業績の概要」
  • 武富士 株主・投資家向けお知らせ(2007年10月4日)「貸金業法の施行に対する弊社の対応について」
  • 武富士 お知らせ(2007年10月22日)「更なるコンプライアンス体制の内部統制室を設置」
  • 武富士レポート 2009「トップメッセージ ごあいさつ」
  • 武富士 株主・投資家向けお知らせ(2009年1月15日)「年頭のご挨拶」
  • 武富士 お知らせ(2009年11月16日)「2011年満期ユーロ円建普通社債の交換募集による発行等のお知らせ」
  • 武富士 適時開示(2009年12月14日)「条件緩和債権の譲渡に伴う特別損失の計上に関するお知らせ」
  • 武富士 お知らせ(2010年9月27日)「本日の一部報道について」
  • 武富士 お知らせ(2010年9月28日)「代表取締役の異動に関するお知らせ」
  • 武富士 会社更生手続開始の申立てに関するお知らせ(FAQ)(2010年9月28日)
  • 武富士 お知らせ「会社更生手続に関するQ&A」(2010年10月31日)

免責事項およびポリシー