仙台オフィスの閉鎖(2023年・メルカリの決断)2023年 | メルカリの決断

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何をなぜ決めたか:稼働率の低下を受けた顧客対応拠点の閉鎖と業務の遠隔対応への移行

概要
概要

2023年3月29日、メルカリは顧客対応を担う仙台市の拠点を閉鎖する方針を明らかにした。2014年4月の開設から9年、従業員数は臨時雇用者を含め約280人の規模だった。位置づけは、オフィス稼働率などを踏まえた拠点見直しの一環である。

有価証券報告書に閉鎖の記載はない。2022年6月末の設備の表には仙台オフィスの従業員165人と臨時雇用者116人が載り、合計281人は報じられた約280人と合致する。2023年6月末の有価証券報告書の設備欄の表からは仙台オフィスは消滅したが、メルカリは公式声明として閉鎖の時期と人員の扱いは明らかにしていない。

背景
背景

仙台の拠点は、サービス開始の翌年に立ち上げた。2014年4月には月間の流通額が数億円に達し、顧客対応の拡充が急務となっていた。計画は同年末までに24時間体制で50名規模である。2016年9月には在籍150名となり、問い合わせの約90%を仙台で受けた。

2017年3月に福岡の拠点を開設すると、役割は分かれた。2021年4月の時点で、仙台は顧客対応に加えて不正検知を担っている。従業員は2020年6月末の212人から2022年6月末の165人へ減少し、臨時雇用者は126人から116人となった。コロナ禍以降はリモート勤務を強化し、本社オフィスの規模も縮小していた。

内容
内容

閉鎖の理由は二つある。オフィス稼働率の低下と、全社的な組織見直しに伴う人員の再配置である。一部の業務はリモート対応へ移行して続け、福岡市の拠点は維持する。一方、人員削減や配置転換の具体策は明らかにしていない。

費用の面では、仙台の閉鎖に関わる金額を区分して開示していない。同じ2023年6月期の特別損失に載る解約違約金114百万円は、本社ビルの一部フロア退去によるものである。仙台オフィスの帳簿価額も2022年6月末で12百万円にすぎず、2020年6月末の41百万円から減少していた。一方、2024年6月期の米国の組織再編では、従業員数の減少と退職金等の費用を開示している。

沿革:意思決定前後の出来事12件
考察:公式発表なき拠点消滅
考察

考察:公式発表なき拠点消滅

なぜ創業期から続く拠点を閉鎖したのか。事務所に集まらなくても顧客対応を続けられると分かったためとみられる。2016年9月に問い合わせの約90%を担った仙台も、福岡の開設で唯一の対応拠点ではなくなっていた。コロナ禍でリモート勤務を強化すれば、同じ業務を事務所に集める必要は薄れる。本社でも同じ期に一部フロアの退去を決めている。仙台だけを狙った判断ではなく、全社で床面積を減らす判断の一部だったと思われる。

しかし、拠点の閉鎖は床面積だけの問題ではない。2022年6月末の仙台には281人がおり、提出会社の従業員と臨時雇用者の2割近くを占めた。それでも閉鎖の時期も人員の処遇も公表せず、有価証券報告書にも記載はない。一部業務をリモートで続けるという説明だけでは、仙台で採用してきた人員の行方を社外から知ることはできない。会社の開示だけを読むと、この決断は設備の表から一行消えたようにしか見えない。

焦点は、閉鎖そのものより伝え方にあると考える。2014年の開設はニュースリリースで公表した一方で、閉鎖は取材で判明し、リリースは確認できない。2023年6月末にはどの事業所にも載らない従業員99人と臨時雇用者86人がおり、その内訳も公表していない。ここで問われるのは閉鎖の是非ではなく、公表の姿勢と誠実さである。米国の再編では人数と費用まで開示しただけに、国内の拠点の閉鎖を自ら語らなかった落差は大きい。

Yutaka Sugiura, 2026年11月

数字で見る

数値:意思決定前後の事業数値2件

メルカリ:仙台と福岡の人員

仙台 従業員(人)仙台 臨時雇用者(人)
(人)仙台 従業員仙台 臨時雇用者福岡 従業員福岡 臨時雇用者
2018年6月期256473−
2019年6月期230668461
2020年6月期21212675112
2021年6月期182758497
2022年6月期16511677127
2023年6月期−−60136
2024年6月期−−71167
2025年6月期−−53138
2026年6月期−−46138

仙台の人員は2022年6月期の281人を最後に開示がなくなる

メルカリ:仙台と福岡の人員
(人)仙台 従業員仙台 臨時雇用者福岡 従業員福岡 臨時雇用者備考
2018年6月期256473−
2019年6月期230668461
2020年6月期21212675112
2021年6月期182758497
2022年6月期16511677127仙台は合計281人。閉鎖前で最後の開示
2023年6月期−−60136閉鎖の方針を表明。仙台オフィスは設備の表から消えた
2024年6月期−−71167
2025年6月期−−53138
2026年6月期−−46138
出所:メルカリ 有価証券報告書 第6期〜第14期(【主要な設備の状況】)
出所:メルカリ 有価証券報告書 第6期〜第14期(【主要な設備の状況】)

メルカリ:提出会社の人員と事業所に載らない人数

提出会社 従業員(人)提出会社 臨時雇用者(人)
(人)提出会社 従業員提出会社 臨時雇用者本社 従業員事業所に載らない従業員
2018年6月期756284270
2019年6月期1,1781748640
2020年6月期1,0902778030
2021年6月期1,0602047940
2022年6月期1,2322909900
2023年6月期1,3152711,15699
2024年6月期1,4172521,3460
2025年6月期1,5433391,46327
2026年6月期1,3452901,2954

2023年6月期は、従業員99人が設備の表のどの事業所にも載らない

メルカリ:提出会社の人員と事業所に載らない人数
(人)提出会社 従業員提出会社 臨時雇用者本社 従業員事業所に載らない従業員備考
2018年6月期756284270
2019年6月期1,1781748640
2020年6月期1,0902778030
2021年6月期1,0602047940
2022年6月期1,2322909900
2023年6月期1,3152711,15699本社と福岡を除く99人は表に載らない。臨時雇用者も86人が同じ
2024年6月期1,4172521,3460
2025年6月期1,5433391,46327
2026年6月期1,3452901,2954
出所:メルカリ 有価証券報告書 第6期〜第14期(【従業員の状況】【主要な設備の状況】)。事業所に載らない人数は計算
出所:メルカリ 有価証券報告書 第6期〜第14期(【従業員の状況】【主要な設備の状況】)。事業所に載らない人数は計算
仙台オフィス閉鎖の条件

仙台オフィス閉鎖の条件

仙台オフィス閉鎖の条件
科目概要備考
会社の公表資料記載なし有価証券報告書と手元の決算資料に閉鎖の記載はなく、方針は報道で確認した
閉鎖の表明2023年3月29日閉鎖の時期は明らかにしていない
拠点の人員約280人臨時雇用者を含む。2022年6月末の設備の表では従業員165人と臨時雇用者116人
理由オフィス稼働率の低下など全社的な組織見直しに伴う人員の再配置も考慮した
業務の扱い一部をリモート対応へ移行人員削減や配置転換の具体策は明らかにしていない
福岡の拠点維持2023年6月末は従業員60人と臨時雇用者136人
有報の表からの消失2023年6月末表から消えた時点であり、閉鎖の完了日ではない
出所:千葉日報オンライン(2023年3月29日)「メルカリ、仙台の拠点閉鎖へ オフィス見直し策の一環」/河北新報オンライン(2023年3月29日)「メルカリ、仙台拠点を閉鎖へ 組織見直しに伴う人員再配置で」/メルカリ 有価証券報告書 第10期・第11期【主要な設備の状況】
出所:千葉日報オンライン(2023年3月29日)「メルカリ、仙台の拠点閉鎖へ オフィス見直し策の一環」/河北新報オンライン(2023年3月29日)「メルカリ、仙台拠点を閉鎖へ 組織見直しに伴う人員再配置で」/メルカリ 有価証券報告書 第10期・第11期【主要な設備の状況】
人物:意思決定前後の取締役5名

取締役5名(2022年9月株主総会決議)

区分役員名役職
取締役業務執行担当領域
業務執行兼務山田進太郎取締役:取締役業務執行:取締役会議長担当:指名委員、報酬委員
小泉文明金融取締役:取締役業務執行:担当:President(会長)
独立役員篠田真貴子コンサル取締役:取締役業務執行:担当:報酬委員長
村上憲郎取締役:取締役業務執行:担当:
渡辺雅之コンサル取締役:取締役業務執行:担当:指名委員
この一覧は2022年9月の定時株主総会の直後に提出された有価証券報告書の【役員の状況】による。
参考文献

参考文献

参考

  • 千葉日報オンライン(2023年3月29日)
  • 千葉日報オンライン(2023年3月29日) /メルカリ 有価証券報告書 第6期(2018年6月期)【沿革】
  • メルカリ 有価証券報告書 第10期〜第14期(2022年6月期〜2026年6月期)
  • メルカリ 有価証券報告書 第10期(2022年6月期)【主要な設備の状況】
  • メルカリ 有価証券報告書 第11期(2023年6月期)【主要な設備の状況】
  • メルカリ 公式サイト mercan(2016年9月13日)「「仙台から世界基準で挑む」メルカリの強さを支えるカスタマーサポートのこれまでとこれから」
  • メルカリ 公式サイト mercan(2021年4月13日)「メルカリが創業時から情熱を注ぐ“お客さま対応”、東京・仙台・福岡CSそれぞれの役割を聞く」
  • メルカリ 有価証券報告書 第8期(2020年6月期)・第10期(2022年6月期)【主要な設備の状況】
  • 河北新報オンライン(2023年3月29日)
  • メルカリ 有価証券報告書 第11期(2023年6月期)【連結損益計算書関係】
  • メルカリ 有価証券報告書 第11期(2023年6月期)【連結損益計算書】
  • メルカリ 有価証券報告書 第12期(2024年6月期)【従業員の状況】/メルカリ 有価証券報告書 第11期(2023年6月期)【従業員の状況】/メルカリ 有価証券報告書 第12期(2024年6月期)【連結財務諸表注記】
  • メルカリ 有価証券報告書 第6期(2018年6月期)【主要な設備の状況】
  • メルカリ 有価証券報告書 第8期(2020年6月期)【主要な設備の状況】
  • メルカリ 有価証券報告書 第9期(2021年6月期)【主要な設備の状況】
  • メルカリ 有価証券報告書 第14期(2026年6月期)【主要な設備の状況】
  • メルカリ 有価証券報告書 第6期〜第14期(【主要な設備の状況】)
  • メルカリ 有価証券報告書 第6期〜第14期(【従業員の状況】【主要な設備の状況】)。事業所に載らない人数は計算
  • メルカリ ニュースリリース「フリマアプリ「メルカリ」、仙台オフィス開設について」
  • メルカリ オウンドメディア「「仙台から世界基準で挑む」メルカリの強さを支えるカスタマーサポートのこれまでとこれから」
  • メルカリ オウンドメディア「メルカリが創業時から情熱を注ぐ“お客さま対応”、東京・仙台・福岡CSそれぞれの役割を聞く」
  • メルカリ 有価証券報告書「第6期〜第10期(2018年6月期〜2022年6月期)【沿革】【主要な設備の状況】【従業員の状況】」
  • メルカリ 有価証券報告書「第11期(2023年6月期)【主要な設備の状況】【従業員の状況】【連結損益計算書】」
  • メルカリ 有価証券報告書「第12期〜第14期(2024年6月期〜2026年6月期)【主要な設備の状況】【従業員の状況】【連結財務諸表注記】」

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