コマツソフトの取得は、金額の大きさでも技術の新しさでもなく、自社の弱点をそのまま埋める相手を選んだ点に特徴がある。三和銀行系という出自から与えられた金融・カードの顧客は、同社の強みであると同時に、そこから外へ出にくいという性質も帯びていた。製造業の情報子会社を丸ごと引き受けることは、顧客と技術者を同時に獲得する代わりに、収益性の低い組織を抱えることでもある。船木隆夫社長が"顧客基盤と技術"を基準として語ったのは、値段よりも欠けている部分を先に見る、という順序の表明であったとみられる。
この選び方は、その後のTISの形をかなりの程度決めた。買収で顧客の業種を広げ、規模で主契約の地位を狙うという方針は、2008年のインテックホールディングスとの経営統合まで一続きになっている。同時に、買った会社の採算をどう引き上げるかという課題も、そのつど残された。欠けているものを買って埋める経営は速いが、埋めたものを自社の水準まで引き上げる作業は速さでは片づかない。両者の時間差をどう扱うかが、この時期に始まった問いであったといえる。