マルナカ2社を子会社化(2011年・イオンの決断)

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論点 手薄な中四国の基盤をどう得るか
イオン:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
中四国トップの食品スーパーの取り込みによる地盤の獲得

何をなぜ決めたか:中四国トップの食品スーパーの取り込みによる地盤の獲得

概要

2011年10月、イオンが、中国・四国エリアで211店を展開する食品スーパー、株式会社マルナカと株式会社山陽マルナカ(香川県高松市・岡山市南区)の株式を創業者一族から取得し子会社化すると発表した経営判断。同年11月に取得を実行し、マルナカの議決権94.96%、山陽マルナカの議決権100.00%を握った。両社の資本金は1億円と2,500万円で、株式は上場されず創業家が握ったままだった。

背景

全国に店舗網を持つイオンにとって、中四国は手薄な地域だった。マルナカグループは創業50周年を機に世代交代を進めており、2010年8月にイオン・三菱商事を交えた4社で包括業務提携契約を締結していた。提携から1年3か月をかけて、商品と販促の提携から資本の取得へと関係を進めた形になる。

内容

中山一族から両社の株式を取得し、マルナカでは議決権の94.96%を、山陽マルナカでは100.00%を握った。マルナカ他20社を連結したことに伴う株式の取得価額は約519億円で、連結開始時に流動641億円・固定2,101億円の資産を受け入れ、のれん約204億円を計上した。過去に出資したダイエーやマルエツが持株5割未満だったのに対し、今回は株式のほぼ全てを取得して経営のグリップを握る形をとった。

含意

出資先の社風を尊重する連邦経営から一歩踏み込み、大量調達はイオンが、生鮮は地場が担う一体運営を志向した判断であった。連結が通年で効いた2013年2月期のSM事業は営業収益が前期比121.1%へ伸び、グループの食品スーパーは全国で1,000店舗を超える規模となった。一方で約204億円ののれんは、投資効果の発現する期間にわたって償却する負担として残った。

いつ何が起きたか 5件
考察:連邦経営と一体運営のあいだで
考察

考察:連邦経営と一体運営のあいだで

この判断の芯にあるのは、出資先の自主性を重んじる連邦経営と、グループの相乗効果を引き出す一体運営という、イオンが長く抱えてきた二つの論理の折り合いである。ダイエーやマルエツに対しては5割未満の出資にとどめ、社風と人材を尊重する立場をとってきた同社が、四国首位のマルナカには議決権の94.96%を、山陽マルナカには100.00%を求めた。世代交代という相手の事情と、手薄な中四国という自社の弱点が重なったことで、踏み込むだけの理由がそろっていたのだろう。

もっとも、経営のグリップを握ることと、地場が培った生鮮の強みを損なわずに生かすことは、必ずしも同じ方向を向くとは限らない。買収から得た基盤はその後の再編でマックスバリュ西日本へ、さらにフジへと組み替えられ、マルナカという独立した名は薄れていった。地盤を押さえる決断が、地場の個性をどこまで残せるのか——中四国スーパー再編の口火を切ったこの子会社化は、規模の論理と地域密着の両立という流通業に固有の難題を、なお問い続けているだろう。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
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図と表

イオン:のれんと総資産の推移

のれん(百万円)
イオン:のれんと総資産の推移
(百万円) のれん総資産 備考
2007年2月期 −3,534,346 のれんの区分がなく、連結調整勘定として計上していた期
2008年2月期 82,6513,591,406
2009年2月期 72,4253,741,447
2010年2月期 69,4793,785,288
2011年2月期 74,7533,774,628 連結前。マルナカ2社は創業家が握る非上場会社
2012年2月期 101,7204,048,937 マルナカ他20社を連結。連結開始時ののれん20,497を上乗せした
2013年2月期 140,8525,724,835 イオン銀行の子会社化でのれん21,810が加わった
2014年2月期 142,4066,815,241
2015年2月期 191,0357,859,803
2016年2月期 181,8068,225,874
2017年2月期 161,6948,750,856
出所:イオン 有価証券報告書 第82〜92期(連結貸借対照表)
出所:イオン 有価証券報告書 第82〜92期(連結貸借対照表)

イオン:SM事業の業績(報告セグメント)

売上高(百万円)セグメント利益率(%)
イオン:SM事業の業績(報告セグメント)
(百万円) 売上高セグメント利益 備考
2012年2月期 1,220,74121,846 SMを独立の報告セグメントに区分。マルナカ2社の寄与は11月からの4か月
2013年2月期 1,478,38421,862 営業収益は前期比121.1%。SM事業の店舗数が全国で1,000店を超えた
2014年2月期 1,551,24912,208
2015年2月期 2,510,362△5,575 ディスカウントストアを含む「SM・DS」へ区分を変更。減損損失20,593
2016年2月期 3,039,44621,157 区分は「SM・DS」。減損損失21,609
2017年2月期 3,195,30833,688 区分を「SM」へ戻した。減損損失19,071
出所:イオン 有価証券報告書 第87〜92期(セグメント情報)
出所:イオン 有価証券報告書 第87〜92期(セグメント情報)

子会社化の条件

子会社化の条件
科目 概要 備考
被取得企業 株式会社マルナカ・株式会社山陽マルナカ いずれもスーパーマーケット。本社はマルナカが香川県高松市、山陽マルナカが岡山市南区
取得の法的形式 株式の取得 連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得として現金で支払っている
子会社とした時期 2011年11月
議決権の所有割合(マルナカ) 94.96% 創業家の持分が残り、完全子会社にはしていない
議決権の所有割合(山陽マルナカ) 100.00%
資本金 マルナカ100百万円・山陽マルナカ25百万円
店舗網 マルナカ138店・山陽マルナカ72店 徳島店他137事業所と新倉敷店他71事業所。2013年2月末時点
株式の取得価額 51,935百万円 マルナカ他20社の合計。手元の現金及び現金同等物16,170百万円を除く支出は35,764百万円
連結開始時に受け入れた資産 流動64,149百万円・固定210,154百万円 マルナカ他20社の合計。のれん20,497百万円は別に計上
連結開始時に引き受けた負債 流動118,115百万円・固定119,627百万円 ほかに少数株主持分5,123百万円を引き継いだ
のれん 20,497百万円 連結開始時に計上。投資効果の発現する期間(5年〜20年)で均等償却する
出所:イオン 有価証券報告書 第88期(2013年2月期)【沿革】【関係会社の状況】【設備の状況】【連結キャッシュ・フロー計算書関係】
出所:イオン 有価証券報告書 第88期(2013年2月期)【沿革】【関係会社の状況】【設備の状況】【連結キャッシュ・フロー計算書関係】
参考文献

参考文献

参考
  • イオン ニュースリリース「株式会社マルナカ及び株式会社山陽マルナカの株式取得(子会社化)及び株式会社マルナカホールディングスとの資本提携に関するお知らせ」
  • イオン ニュースリリース「株式会社マルナカ及び株式会社山陽マルナカの子会社化と代表取締役の異動について」
  • イオン 有価証券報告書「第88期(2013年2月期)【関係会社の状況】【設備の状況】」
  • イオン 有価証券報告書「第88期(2013年2月期)【連結キャッシュ・フロー計算書関係】」
  • イオン 有価証券報告書「第88期(2013年2月期)【沿革】【セグメント情報】」

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