ファッションECモール創業(1998年・ZOZOの決断)

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論点 輸入CD通販の家業の法人化
輸入CD通販という家業から、受託販売のモール運営への転身

何をなぜ決めたか:輸入CD通販という家業から、受託販売のモール運営への転身

概要

1998年5月、22歳の前澤友作氏が、パンクバンド Switch Style の活動を続けながら、出資金300万円で有限会社スタート・トゥデイを東京都江戸川区に設立した。カナダ留学中に集めた輸入CD・レコードを音楽誌広告で売る紙カタログ通販を家業として法人化したもので、2000年4月の株式会社化と2004年12月のファッション特化型ECモール"ZOZOTOWN"開設を経て、2007年12月に東京証券取引所マザーズ市場へ上場した。

背景

前澤氏は早稲田実業学校高等部の在学中にパンクバンド Switch Style を結成し、高校卒業後は大学進学を選ばずカナダへ約半年間の語学留学に出た。帰国後、現地で集めた輸入CD・レコードを音楽誌"DOLL""宝島"への小広告で売る通信販売を開始し、実家の電話とファックスで受注する家業が口コミで広がって、月商は500万円規模に達していた。

内容

1998年5月、前澤氏は出資金300万円で有限会社スタート・トゥデイを東京都江戸川区に設立し、輸入CD・レコードの通信販売を事業目的に掲げた。2000年1月にCD・レコードの輸入販売サイト"STMonline"の運営を始め、同年4月には株式会社スタートトゥデイへ組織を改めて資本金を1,500万円とし、10月にはアパレルセレクトショップEC"EPROZE"を立ち上げて在庫を自ら抱える買取型でファッション領域へ参入した。2001年に前澤氏はバンド活動を終え、経営に専念する体制へ移った。

含意

2004年12月、セレクトショップ17店舗を単一ドメインの"ZOZOTOWN"へ統合し、出店ブランドの商品を預かって販売手数料を得る受託販売型へ転じた。2005年のユナイテッドアローズ出店に有力セレクトショップが続き、2006年8月には千葉県習志野市に物流拠点 ZOZOBASE を開設して入荷から撮影・掲載・出荷までを社内で標準化した。創業事業である輸入CD・レコードの販売は翌9月に終え、家業の商材はここで完全に姿を消した。

いつ何が起きたか 10件
考察:趣味の延長から始めた者が編集権を掌握するまで
考察

考察:趣味の延長から始めた者が編集権を掌握するまで

この創業が示すのは、周到な事業計画からではなく、好きな音楽を売る趣味の延長から起こされた事業が、業態を何度も組み替えながら育っていった経緯である。輸入CDの紙カタログ通販から、CD の EC 化、買取型のアパレルEC、そして単一ドメインのファッションモールへと、前澤氏は扱う商材と事業モデルを段階的に置き換えていった。固定した青写真を追うのではなく、そのつどの市場の反応に合わせて形を変えていった柔らかさが、初期の成長を支えていたとみられる。

もう一つ見えてくるのは、2004年のファッションモール化で運営側が握った雑誌のような編集権と受託販売の仕組みが、その後の ZOZO の性格を決めていったことである。出店ブランドの体験を守りながら販売以外の作業を肩代わりする提供価値は、ユナイテッドアローズをはじめとする有力店の参画によって業界の信用を得ていった。趣味から出発した個人の事業が、編集と物流を握るプラットフォームの運営会社へと転じたこの初期十数年の積み重ねが、後の成長を支える土台になっていったといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
資本金の推移
数字で見る 2表

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図と表

ZOZO:創業から上場後までの業績

売上高(千円)経常利益率(%)
ZOZO:創業から上場後までの業績
(千円) 売上高経常利益当期純利益 備考
2004年3月期 1,244,29918,6448,591 第6期。ZOZOTOWN 開設前で、扱いは輸入CDと買取型のアパレルEC
2005年3月期 1,825,85496,31053,154 ZOZOTOWN 開設の翌期。売上高は前期の1.5倍
2006年3月期 3,388,551127,62566,740
2007年3月期 6,068,444814,434461,399 経常利益が6.4倍。受託販売型への転換が損益に出た期
2008年3月期 8,584,5651,724,9841,039,434 第10期。上場した期。ここまでは連結財務諸表を作成していない
2009年3月期 10,696,5562,220,7571,270,784 第11期から連結。前期までは単体で、連結子会社を持たなかった
出所:スタートトゥデイ 有価証券報告書 第10期(2008年3月期)・第11期(2009年3月期)【主要な経営指標等の推移】
出所:スタートトゥデイ 有価証券報告書 第10期(2008年3月期)・第11期(2009年3月期)【主要な経営指標等の推移】

創業の条件

創業の条件
科目 概要 備考
設立年月 1998年5月 第1期は1999年3月期。設立から東京証券取引所マザーズ市場への上場まで9年を要した
当初の商号 有限会社スタート・トゥデイ 2000年4月に株式会社スタートトゥデイへ組織変更した
設立時の出資金 300万円 株式会社への組織変更時の資本金は1,500万円。上場した2008年3月期末で13億4,910万円
設立時の所在地 東京都江戸川区 2001年1月に千葉県千葉市美浜区へ本社を移転した
当初の事業 輸入CD・レコードの通信販売 2006年9月に輸入販売事業を終了し、創業時の商材から完全に離れた
設立時の代表者 前澤友作氏 1975年11月22日生まれ。設立と同時に代表取締役へ就任し、以後現任
株式上場 2007年12月・東証マザーズ市場 公募は10,000株。発行価格170,000円、引受価額158,100円、資本組入額79,050円
出所:スタートトゥデイ 有価証券報告書 第10期(2008年3月期)【沿革】【役員の状況】【発行済株式総数、資本金等の推移】
出所:スタートトゥデイ 有価証券報告書 第10期(2008年3月期)【沿革】【役員の状況】【発行済株式総数、資本金等の推移】
参考文献

参考文献

参考
  • スタートトゥデイ 有価証券報告書「第10期(2008年3月期)【沿革】【役員の状況】【発行済株式総数、資本金等の推移】」
  • スタートトゥデイ 有価証券報告書「第11期(2009年3月期)【主要な経営指標等の推移】」

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