8000億円超を1期に寄せれば、経常赤字は避けられない。赤字は経営責任の議論を呼び込む——産業史が償却の遅れた理由に挙げたのは、この怖さであった。住友銀行はそれを承知で1995年3月期に落とした。安宅産業の1132億円を1977年9月期に全額償却した経験が行内に残っており、それが二度目の一括処理を支えた。他行の首脳が本体分の処理はほぼ完了したと口をそろえたのは1997年の決算であり、その差は2年に及ぶ。
ただ、償却の早さは同行を免責しなかった。1998年6月には旧住専への融資紹介をめぐって約48億円の賠償を求められ、紹介責任を問われた134件のうち72件が住友銀行だったと名指しされた。処理額も1995年で終わらず、1998年度には1兆500億円に増加し、1999年3月には公的資金5010億円の注入を受けている。早く落としても損失の総額は減少しない。1995年に減少したのは、新しく貸す基準を作り直すまでの時間である。