タイミー求人主力の飲食から物流への転換と、倉庫内軽作業の開拓
- 概要
- 2020年、新型コロナウイルスの感染拡大で飲食店が営業を自粛し、掲載求人の約6割を占めていた飲食関連は数%まで落ち込んだ。売上は一時3分の1へ減少したが、小川嶺社長は自社プラットフォームで唯一出稿が上向いていた物流へ主力職種を移し、一年ほどで売上を回復させた。
- 背景
- タイミーは2018年8月のサービス開始以来、飲食店の求人を軸に伸びていた。掲載される募集の約6割は飲食業で、事業者が納める利用料は働き手への報酬の3割にあたる。飲食への集中が成長を作っていたぶん、休業の影響はそのまま業績へ及んだ。
- 内容
- 出稿データでほぼ全てのアカウントが下向きに転じるなか、物流だけが上向いていた。仕事を短い単位で切り出して未経験者に渡し、その日のうちに賃金を払う仕組みは倉庫内軽作業でもそのまま使えたため、求人の主力を物流・小売・デリバリーへ移した。
- 含意
- 2021年10月期の売上高は前期の2.8倍にあたる12億9900万円へ戻った一方、経常損失は13億8700万円と赤字幅は広がった。黒字転換は2022年10月期を待つ。業種でなく仕事の渡し方で事業を定義していたことが、載せ替えを可能にしたとみることができる。
筆者の見解
替えたのは業種であって、仕事の渡し方ではなかった
危機に際して素早く方向を変えた、という要約ではこの決断の芯を外す。替えたのは業種であって、仕事の渡し方ではなかった。履歴書と面接を省いて短い単位の仕事を未経験者へ渡し、その日のうちに賃金を払う——事業をこの処理で定義していたからこそ、掲載求人の6割を占めていた飲食が閉じても、同じ仕組みのまま倉庫へ運び直すことができたとみられる。皿洗いも仕分けも、渡し方の側から見れば区別がなかった。
もっとも、設計が汎用であるだけでは移し先は生まれない。ほぼ全ての業種で出稿が下を向くなか物流だけが上向いていたという外部の条件、すなわち巣ごもり需要で倉庫が人手を求めていた状況があって、はじめて載せ替えが成り立った。しかも移した翌期の経常損失は前期より広がり、黒字化は2022年10月期まで待っている。何を固定し何を可変にしておくかという定義の置き方が、危機のさなかに選べる手の幅を決めたといえる。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
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