危機に際して素早く方向を変えた、という要約ではこの決断の芯を外す。替えたのは業種であって、仕事の渡し方ではなかった。履歴書と面接を省いて短い単位の仕事を未経験者へ渡し、その日のうちに賃金を払う——事業をこの処理で定義していたからこそ、掲載求人の6割を占めていた飲食が閉じても、同じ仕組みのまま倉庫へ運び直すことができたとみられる。皿洗いも仕分けも、渡し方の側から見れば区別がなかった。
もっとも、設計が汎用であるだけでは移し先は生まれない。ほぼ全ての業種で出稿が下を向くなか物流だけが上向いていたという外部の条件、すなわち巣ごもり需要で倉庫が人手を求めていた状況があって、はじめて載せ替えが成り立った。しかも移した翌期の経常損失は前期より広がり、黒字化は2022年10月期まで待っている。何を固定し何を可変にしておくかという定義の置き方が、危機のさなかに選べる手の幅を決めたといえる。