株主要求と会社対応9件
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株主要求と会社対応
スティール・パートナーズは、筆頭株主として非公開の提言から書簡の公表へ進み、最後は全株式の取得を提案した。面談に経営コンサルタントを同席させ、赤字のシステムバス・システムキッチン事業からの撤退と大規模な自己株式の取得を提言したが、第3次中期経営計画の要旨がROE6%を掲げると、書簡で計画の修正を求めた。業績の悪化を理由に、取締役会の承認を求めて1株1,025円の公開買付けを提案し、株価がその価格を上回ると提案を撤回して、2010年3月には保有を5%未満に減らした。
ノーリツは、スティール・パートナーズの提言を採らず、自ら策定した第3次中期経営計画の遂行を選んだ。計画の資本政策は継続的かつ安定的な配当と連結配当性向35%の目標にとどめ、自己株式の取得には触れなかった。買収提案では、2007年2月に導入した買収防衛策の大規模買付ルールの適用除外への同意を求められ、社外の専門家を交えた検討に時間が要るとして回答期限の延期を求めた。10月に回答を示し、住設システム機器と温水機器の相乗効果を説く補足資料を公表した。
要求と経緯要求6件・出来事9件
株主との対話:株主から会社に対する要求と経緯
| 項目 | 日付 | 主体 | 対話区分 | やり取りの要旨 | 株主公表 | 会社公表 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 自社株買い | 2007/11 | 面談提案 | 要求大規模な自社株買い | — | ||
| 2008/01/25 | 書簡提案 | 要求自社株買い・消却上限347億円 | — | |||
| 2008/02/20 | 意思決定 | 確定第3次中期経営計画 | — | |||
| 2008/09/11 | 書簡提案 | 要求余剰資金での自社株買い | — | |||
| 資本効率 | 2008/01/25 | 書簡提案 | 要求ROE引き上げ試算10.2% | — | ||
| 2008/02/20 | 意思決定 | 確定第3次中期経営計画 | — | |||
| 2008/09/11 | 書簡提案 | 要求ROE最低8% | — | |||
| 非中核事業 | 2007/11 | 面談提案 | 要求住設2事業の廃止・売却 | — | ||
| 2008/01/25 | 書簡提案 | 要求赤字の住設2事業の撤退 | — | |||
| 2008/02/20 | 意思決定 | 確定第3次中期経営計画 | — | |||
| 2008/09/11 | 書簡提案 | 要求住設2事業の売却・撤退 | — | |||
| 2008/10/17 | 意思決定 | 確定適用除外同意への回答 | — | |||
| 経営戦略 | 2008/01/25 | 書簡提案 | 要求中期経営計画の見直し | — | ||
| 2008/02 | 面談 | 東京での面談 | — | |||
| 2008/02/20 | 意思決定 | 確定第3次中期経営計画 | — | |||
| 2008/09/11 | 書簡提案 | 要求包括的な戦略の見直し | — | |||
| 2008/10/17 | 意思決定 | 確定適用除外同意への回答 | — | |||
| 買収提案 | 2008/09/11 | 書簡提案 | 要求全株式の買付け1株1,025円 | — | ||
| 2008/09/19 | 意思決定 | 確定回答期限の延期要請 | — | |||
| 2008/09/26 | 公開書簡 | 回答期限延期の受諾 | — | |||
| 2008/10/17 | 意思決定 | 確定適用除外同意への回答 | — | |||
| 2009/03/24 | 公開書簡 | 買収提案の撤回 | — | |||
| 買収防衛策 | 2008/09/11 | 書簡提案 | 要求対抗措置の不発動 | — | ||
| 2008/09/19 | 意思決定 | 確定回答期限の延期要請 | — | |||
| 2008/10/17 | 意思決定 | 確定適用除外同意への回答 | — |
| 日付 | 主体 | 対話区分 | やり取りの要旨 | 株主公表 | 会社公表 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2007/11 | 面談提案 | 要求大規模な自社株買い | — | ||
| 要求住設2事業の廃止・売却 | |||||
| 2008/01/25 | 書簡提案 | 要求自社株買い・消却上限347億円 | — | ||
| 要求ROE引き上げ試算10.2% | |||||
| 要求赤字の住設2事業の撤退 | |||||
| 要求中期経営計画の見直し | |||||
| 2008/02 | 面談 | 東京での面談 | — | ||
| 2008/02/20 | 意思決定 | 確定第3次中期経営計画 | — | ||
| 確定第3次中期経営計画 | |||||
| 確定第3次中期経営計画 | |||||
| 確定第3次中期経営計画 | |||||
| 2008/09/11 | 書簡提案 | 要求余剰資金での自社株買い | — | ||
| 要求ROE最低8% | |||||
| 要求住設2事業の売却・撤退 | |||||
| 要求包括的な戦略の見直し | |||||
| 要求全株式の買付け1株1,025円 | |||||
| 要求対抗措置の不発動 | |||||
| 2008/09/19 | 意思決定 | 確定回答期限の延期要請 | — | ||
| 確定回答期限の延期要請 | |||||
| 2008/09/26 | 公開書簡 | 回答期限延期の受諾 | — | ||
| 2008/10/17 | 意思決定 | 確定適用除外同意への回答 | — | ||
| 確定適用除外同意への回答 | |||||
| 確定適用除外同意への回答 | |||||
| 確定適用除外同意への回答 | |||||
| 2009/03/24 | 公開書簡 | 買収提案の撤回 | — |
株主側の主張:スティール・パートナーズ
さて、ご存知の通り、スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド(オフショア)エル・ピー(以下、「当ファンド」といいます。)は2007年11月30日、貴社に企業価値向上のための提言を提出いたしました。我々の提言には、貴社の経費構造の合理化や、赤字事業であるシステムバス及びシステムキッチン事業からの廃止または売却の検討が含まれていました。当ファンドの分析に基づく試算によれば、一定の業務改善策に加え、大規模な自社株買いを実施することにより、貴社の株主資本利益率(以下、「ROE」といいます。)を企業年金連合会が役員再任の最低基準としているROE水準(8%)を上回る10.2%にまで引き上げることが可能になります。なお、我々の提言は、貴社がこれらを採用し、実行された場合においても、事業を円滑に運営するために十分な流動資金を残すはずのものです。
(中略)
加部様、計画要旨によれば、貴社の第3次中期経営計画は企業年金連合会の支持基準であるROE8%を目指そうともされておりません。経営陣が企業価値向上のために必要な措置を講じることに前向きでなく、我々株主の提言を全く聞き入れて頂けない状況であるように見受けられるため、我々は、次の定時株主総会または臨時株主総会において新任される取締役候補者の代替案を提案する株主としての権利を行使するかどうかを検討していることを申し添えます。
我々が、長きにわたり、貴社及び貴社の経営環境を評価し、すべてのステークホルダーのために悪化する貴社の財務状況及び業績の好転に向けて詳細な提言を行なったにも関わらず、貴社経営陣には我々の提言を真剣に検討される意向が全く無いことが明らかとなって参りました。貴社の業績予想未達は続き、業績は著しく悪化し続けるばかりであり、ステークホルダー価値が破壊されつつあります。貴社経営陣及び貴社取締役会が「より優れている」と主張する施策により、財務状況がさらに悪化していながら、なお我々の提言を傲然と無視し続けられることについては、弁解の余地がないと考えます。
(中略)
当ファンドの提案:貴社は、主力事業である温水機器事業に国内外で集中するために、直ちに不採算のシステムバス及びシステムキッチン事業を売却するか、又はこれらの事業から撤退すべきです。
貴社経営陣の反応:貴社経営陣は、採算性が低い非主力事業であるシステムバス及びシステムキッチン事業につき、創業以来の事業であるため売却するつもりはない、と述べられています。中期経営計画ではこれら不採算の非主力事業の継続と他者との提携が予定されていますが、これは貴社の黒字事業からますます経営陣の注意力を削ぐものです。
(中略)
創業以来の事業であるという理由のみをもって不採算事業に資金を投入し続けるという行為は、ビジネスの常識に逆行するものであります。
貴社経営陣の反応:貴社経営陣は、企業年金連合会の基準が「厳しすぎる」として我々の提言を拒まれ、詳細かつ調査を尽くした我々の提言よりも自らの企業価値向上計画の方が「優れている」と主張する一方で、何も有効な手を打たれていません。貴社経営陣の中期経営計画には自己株式取得の実施に関する計画が一切含まれておらず、株主へ利益を還元する方法としては、現金による配当について曖昧に言及するに留めてあります。
(中略)
したがって、貴社経営陣がステークホルダー価値を破壊し、過去7年の間の6年間において営業利益の予想を達成できず、貴社経営陣も貴社取締役会もかかる業績悪化に歯止めをかけることが保証できるような措置を取られているとは考えられないため、当ファンドはここに、金庫株を除く貴社の発行済み株式の全てを、2008年9月9日現在の市場価格である一株あたり953円に対して約7.6%のプレミアムの上乗せに相当する一株あたり1,025円の価格で取得するという提案につき、貴社取締役会と交渉を行うべく、提示させていただきたく存じます。
(中略)
我々は、貴社取締役会が2007年に導入されている、貴社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下、「買収防衛策」といいます。)の内容を存じております。当ファンドは、過去の経験より、このような事前警告型の買収防衛策は、主に交渉の機会の限定と経営陣の保身を目的としているため、欠点が多いと考えております。また、貴社の買収防衛策に基づく手続きは一応「独立した」特別委員会の監督を受けることとなっておりますが、当委員会の委員は内部出身者からなる取締役会により選任され、当買収防衛策においては貴社取締役会が最高の意思決定機関とされております。このように、明らかに独立性を欠き、利益が相反していることに鑑み、当ファンドは貴社に対し、一切対抗措置を発動せず、当ファンドの買付提案に応じるか否かを個々の株主の一存に任せられるよう、要請いたします。
会社側の主張:ノーリツ
また、SPJSFは、当社に対して、本公開買付けの実施にあたって、当社が平成19年2月13日付で導入している「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)について」に定める大規模買付ルールの適用を除外することについての当社取締役会の同意(以下、「本適用除外同意」)を要請し、これに対する当社の回答を、平成20年9月19日までに行うことを求めております。
これに対して、当社は、本書簡受領後、社外の専門家も交えてその内容について真摯に検討を行い、平成20年9月16日及び本日、臨時取締役会を開催して、本書簡に対する対応を検討いたしました。その結果、SPJSFからの当社の買収意向と本個別提案は、いずれも当社の企業価値及び株主共同の利益に関して極めて重要な事項であるため、本適用除外同意の可否も含めて、当社取締役会として、当社の全てのステークホルダーとの関係を考慮して、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に資するかどうかという観点から、慎重かつ詳細に検討する必要があると判断致しました。そして、本書簡を受領後、平成20年9月19日までにこれら重要事項の検討を完了させ、当社取締役会として本適用除外同意の可否に関する意見を表明することは極めて困難であるとの結論に至りました。
同一の営業体制と販売チャネルにより、温水を機軸として住設システム機器を含む「湯まわりトータル」での販売が可能となります。
(中略)
温水機器がつくる「お湯」は、住設システム機器を通じてお客さまの生活空間で活かされ、お客さまが住設システム機器に求めるニーズは温水機器の機能向上にもつながっています。
(中略)
「湯まわりトータル」での提案が評価され、ガス会社ルートでの販売量は増加しています。
システムバスおよびシステムキッチンは、中長期でも安定的な需要台数が見込まれます。
(中略)
市場全体は減少傾向だが、単体浴槽(在来浴室)からシステムバスへの切替やリフォームは今後も続くと考えます。
(中略)
温水空調機器を中核として、住設システム機器を含む「湯まわりトータル」での市場深耕を図り、事業の成長を目指します。
筆者見解(歴史的文脈から見た視点)
要求区分の一覧19種類
スティール・パートナーズの要求区分:公開資料からの推定
ノーリツに対し、スティール・パートナーズがどの要求区分(投資ファンドが要求する項目を独自に一般化したもの)を、どの手段で伝えたかを、公開資料で確かめられる範囲で○を付けて示す。
| 種別 | 要求区分 | 定義 | 株主提案 | 招集請求 | 書簡提案 | 面談提案 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 資本政策 | 特別配当 | 通常の配当に上乗せした、一度きりの配当 | ||||
| 配当方針 | 1株配当の引き上げ、配当性向・DOEの目標の変更 | |||||
| 自社株買い | 自己株式の取得と、取得した株式の消却 | ○ | ○ | |||
| 資本効率 | ROE・資本コストの目標、余剰資本の水準と使い道の方針。個別の還元策は特別配当・配当方針・自社株買い | ○ | ||||
| 政策保有株 | 取引先などと持ち合う政策保有株式の売却・縮減 | |||||
| 保有資産 | 現預金・不動産など事業に使っていない資産の売却・活用。政策保有株式は除く | |||||
| 事業戦略 | 上場子会社 | 上場子会社の完全子会社化・売却・持分の扱い | ||||
| 非中核事業 | 本業から外れた事業・子会社・資産の売却。上場子会社は除く | ○ | ○ | |||
| 経営戦略 | 経営戦略・中期経営計画・事業ポートフォリオの見直し | ○ | ||||
| M&A・提携 | 会社が進める買収・統合・資本提携への反対、条件の見直し | |||||
| 非公開化 | 株式の非公開化・MBOの実施、その条件の見直し | |||||
| 買収提案 | 株主自らが買い手となる株式の買付けの提案と、取締役会への賛同の要請。会社が進める買収はM&A・提携、非公開化の実施は非公開化 | ○ | ||||
| ガバナンス | 取締役解任 | 特定の取締役の解任、再任への反対 | ||||
| 取締役選任 | 株主が推す候補を含む取締役の選任 | |||||
| 取締役会構成 | 独立社外取締役の比率、議長と社長の分離など取締役会の構成 | |||||
| 定款変更 | 株主総会で決められる事項を増やすなどの定款の変更 | |||||
| 役員報酬 | 役員報酬の水準・仕組み・業績との連動の見直し | |||||
| 買収防衛策 | 買収防衛策の廃止、導入への反対 | ○ | ||||
| 非公開 | 非公開面談 | 面談など公表されない場で伝えた要求。中身は非公開 |
参考文献12件
参考文献
| 日付 | 公表 | 種類 | 要旨 |
|---|---|---|---|
| 1985 | 第三者 | 雑誌 | ノーリツ 風呂釜・給湯器のトップ・メーカー(太田敏郎)(証券アナリストジャーナル 23巻10号) |
| 2008/01/29 | 株主公表 | プレスリリース | 経営コンサルタント同席の面談と提言の提出 |
| 2008/02/20 | 会社公表 | 中期経営計画 | 第3次中期経営計画資料の公表 |
| 2008/09/11 | 株主公表 | プレスリリース | 1株1,025円での全株式取得の提案 |
| 2008/09/19 | 会社公表 | 適時開示 | 適用除外同意の回答期限の延期要請 |
| 2008/09/26 | 株主公表 | プレスリリース | 回答期限の10月17日への延期の受諾 |
| 2008/10/17 | 会社公表 | 補足資料 | 適用除外同意の要請への回答と補足資料 |
| 2009/03/24 | 株主公表 | プレスリリース | 株価の上回りを理由とする買収提案の撤回 |
| 2009/03/30 | 第三者 | 有価証券報告書 | 第59期(2008年12月期)(ノーリツ) |
| 2010/02/12 | 第三者 | 決算説明資料 | 2009年(平成21年)12月期 財務・業績概況(ノーリツ) |
| 2010/03 | 第三者 | 株主通信 | 第60期 株主通信(2009年12月期)(ノーリツ) |
| 2026/03/26 | 第三者 | 有価証券報告書 | 【沿革】2019年11月 住設システム事業から撤退(ノーリツ) |