株主要求と会社対応17件
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株主要求と会社対応
スティール・パートナーズは、筆頭株主として全株式の取得を公開買付けで提案し、会社が対抗策に出ると司法の場で争った。日常業務や経営を行うつもりはないと繰り返し、会社の事業計画と現取締役会への支持を表明したが、ブルドックソースはその説明を、経営方針も株式の処分の方針も示さないものと受け止めた。新株予約権の無償割当てが総会に付議されると差止めを申し立て、最高裁で退けられると、買付価格を1,700円から425円へ引き下げた。
ブルドックソースは、スティール・パートナーズが議決権の多数を取得することを企業価値の毀損につながると判断し、株主総会の特別決議を根拠に対抗した。買付者が支援の中身や経営方針、株式の処分の方針を明らかにしていないことを反対の理由に挙げ、同じ日に中期事業計画を示した。新株予約権の無償割当てではスティール側の予約権を金銭で取得して持株を薄め、約28億円の特別損失を見込んだ。決着の後、大規模買付行為への対応方針も導入した。
要求と経緯要求3件・出来事17件
株主との対話:株主から会社に対する要求と経緯
| 項目 | 日付 | 主体 | 対話区分 | やり取りの要旨 | 株主公表 | 会社公表 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 買収提案 | 2007/05/16 | 書簡提案 | 要求全株式の公開買付け | |||
| 2007/05/18 | 公開買付け | 公開買付け1株1,584円 | ||||
| 2007/05/25 | 意思決定 | 確定意見の留保 | — | |||
| 2007/06/07 | 意思決定 | 確定公開買付けへの反対 | — | |||
| 2007/06/15 | 公開買付け | 買付価格1株1,700円 | ||||
| 2007/08/08 | 公開買付け | 買付価格1株425円 | ||||
| 経営戦略 | 2007/06/07 | 意思決定 | 確定営業利益目標25億円 | — | ||
| 2007/06/12 | 書簡提案 | 要求海外市場の開拓に目を向ける | — | |||
| 買収防衛策 | 2007/06/12 | 書簡提案 | 要求新株予約権の割当てに反対 | — | ||
| 2007/06/13 | 面談 | 池田社長らとの面談 | — | |||
| 2007/06/13 | 訴訟 | 差止めの仮処分申立て | — | |||
| 2007/06/24 | 書簡提案 | 要求防衛策は企業価値を毀損 | — | |||
| 2007/06/24 | 株主総会 | 議案決議 | 可決新株予約権無償割当て | — | ||
| 2007/07/11 | 意思決定 | 確定新株予約権の割当て | — | |||
| 2007/08/07 | 意思決定 | 確定特別損失見込み28億円 | — | |||
| 2007/08/07 | 意思決定 | 確定年間配当予想1株6.25円 | — | |||
| 2007/08/09 | 意思決定 | 確定スティール分の対価21億円 | — | |||
| 2007/08/30 | 意思決定 | 確定買収防衛策の導入 | — |
| 日付 | 主体 | 対話区分 | やり取りの要旨 | 株主公表 | 会社公表 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2007/05/16 | 書簡提案 | 要求全株式の公開買付け | |||
| 2007/05/18 | 公開買付け | 公開買付け1株1,584円 | |||
| 2007/05/25 | 意思決定 | 確定意見の留保 | — | ||
| 2007/06/07 | 意思決定 | 確定公開買付けへの反対 | — | ||
| 意思決定 | 確定営業利益目標25億円 | — | |||
| 2007/06/12 | 書簡提案 | 要求海外市場の開拓に目を向ける | — | ||
| 要求新株予約権の割当てに反対 | |||||
| 2007/06/13 | 面談 | 池田社長らとの面談 | — | ||
| 訴訟 | 差止めの仮処分申立て | — | |||
| 2007/06/15 | 公開買付け | 買付価格1株1,700円 | |||
| 2007/06/24 | 書簡提案 | 要求防衛策は企業価値を毀損 | — | ||
| 株主総会 | 議案決議 | 可決新株予約権無償割当て | — | ||
| 2007/07/11 | 意思決定 | 確定新株予約権の割当て | — | ||
| 2007/08/07 | 意思決定 | 確定特別損失見込み28億円 | — | ||
| 意思決定 | 確定年間配当予想1株6.25円 | — | |||
| 2007/08/08 | 公開買付け | 買付価格1株425円 | |||
| 2007/08/09 | 意思決定 | 確定スティール分の対価21億円 | — | ||
| 2007/08/30 | 意思決定 | 確定買収防衛策の導入 | — |
株主側の主張:スティール・パートナーズ
以前にも何回もかつ明確に申し上げましたとおり、取得する議決権持分にかかわらず、現段階において弊社は貴社の日常業務あるいは経営を行うつもりはございません。すなわち、弊社は貴社取締役会が有する計画を貴社に遂行して頂くことを意図しておりました。
(中略)
さらに、弊社は、現経営陣の方々が貴社の貴重な資産だと考えており、仮に本公開買付けの結果として弊社が経営陣を交替させる権利を有したとしても、当然の権利として思慮なくそのような行動をとるつもりは全くございません。所有は直ちに経営を意味するわけではないのです。もしも、所有と経営が分離していないと主張されるのであれば、弊社は取締役とその他の経営陣が今よりもより大きな財政的な利害を貴社に対して持つべきであると求めるでしょう。あるいは、取締役および経営陣はそのような利害を一致するためにMBOを模索していたかもしれません。しかしながら、新しい事業計画、新株予約権の無償割当とそれにより真摯にコミットする株主を希釈化することで、貴社取締役会は貴社株主および従業員を犠牲にしてその保身を図ることに固執しているように見受けられます。
貴社取締役会は弊社が十分な投資リターンを確保するためには貴社への投資を回収する必要があると主張されていますが、それは誤解に基づいています。貴社の他の長期的投資家と同様に、弊社は常に、長期にわたり良い投資先企業を保有するものであり、会社の成長をサポートしその企業の潜在的な成長性を最大限に実現することを支援することにあります。したがって、投資が企業価値を増加させその機運を持続し続ける限り、別の危険を冒して異なる投資機会を見つけるべく優良投資を回収する動機はほとんどないといえます。対質問回答報告書の中で申し上げたとおり、弊社は貴社の成長性に期待しており、未実現利益を上げることを目標としております。
(中略)
2007年6月7日付けの本公開買付けに反対する貴社取締役会の意見表明において、貴社取締役会は「本公開買付けにおいて当社の議決権全てを大株主が取得すれば、当社の企業価値ひいては株主皆様の共同の利益の毀損につながるものであるという結論に達した。」とおっしゃっています。しかしながら、このような損害をもたらすのはあなた方、貴社取締役会の行為ではないでしょうか。
会社提案による新株予約権無償割当てが承認されたことは誠に遺憾です。我々は、本買収防衛策が企業価値を大きく毀損するものであると確信しています。SPJSFは、同社や現経営陣・従業員を信頼し、支援するがゆえに長期投資の観点からさらに株式保有比率を高めようとしているにもかかわらず、なぜ同社取締役会が、そのような長期保有目的の株主からその新株予約権を買い戻すために本来会社の成長のために用いられるべき同社財産を浪費しようとしているのか疑問を感じざるを得ません。我々は、仮に新株予約権割当てが実施された場合、日本の企業社会に関する法制度に多大な影響を与えるばかりでなく、日本の株式市場に対する海外投資家からの不信を招き、日本企業への投資のみならず日本経済全体に悪影響を及ぼすものであると考えます。
会社側の主張:ブルドックソース
また、公開買付者らは、本公開買付けを通じて当社の発行済株式の全部を取得することを目的としている旨表明しているものの、本公開買付け後の当社の経営に対して如何なる方針を有するかについて、現時点において当社の経営を行うつもりはない等と回答する(質問事項第2 2(2)に対する回答)のみであり、何ら具体的な方針を明らかにしておりません。会社法上、議決権の過半数を取得した場合には当該取得者が取締役の選任を通じて会社の経営を決定することができ、また過半数に至らない場合であっても3分の1超の議決権を取得した場合には当該取得者は定款変更等の重要な事項についての拒否権を有することとなるにもかかわらず、本公開買付けを通じて当社の発行済株式の全部の取得を目的とする公開買付者らが、当社の経営に関して何らの方針を明らかにしないことは、真摯に当社の経営権(すなわち議決権の過半数)の取得を目指す者といえるのか疑問であると言わざるを得ず、このような公開買付者らが当社の経営権(すなわち議決権の過半数)を取得することは、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の毀損につながる可能性を否定し得ません。
さらに、公開買付者らは、投資ファンドであるという性質上、最終的には、取得した当社株式を売却する等して投下資本を回収しなければならない性質を有するものでありますが、その具体的な方針等については、これを何ら明らかにしておらず(質問事項第6(5)に対する回答)、公開買付者らのファンドとしての性質上追求する利益と、上記に述べた当社が本事業計画の遂行を通じて実現しようとする中長期的視点に立っての当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の拡大とが、衝突する可能性も予見されるところであります。
(中略)
したがいまして、当社取締役会としては、公開買付者らが、本公開買付けを通じて当社の議決権の多数を取得することは、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の毀損につながるものであると判断いたしました。
すなわち、公開買付者は、本公開買付けを通じて当社の発行済株式の全部を取得することを目的としている旨表明しておりますが、本来100%の議決権の取得を目指す場合には、買収者が会社支配権を取得することに伴うコントロール・プレミアム、ないし買収者と対象者との間に生じるシナジーによるプレミアムが、既存株主に対して適切に分配されるべきものであると考えます。
(中略)
これに対して、もし仮に友好的に経営権の取得が実行される案件であれば、事前に買収者と対象会社の経営陣との間で十分な協議がなされ、このようなシナジーないしコントロール・プレミアムについても買付価格に考慮され、買収提案に応じる株主に対して適切に分配されることとなるのが通常であると考えられます。しかしながら、本公開買付けにおいては、上記のとおりこのようなプレミアムは株主に対して分配されないと考えられるのみならず、公開買付者は、如何なるシナジーが生じ得るのかを何ら明らかにしないままで、単に「本公開買付けにおける条件面は、すべての株主にとって十分魅力的であると考えます」と述べるところ、このような回答は株主の皆様に対して責任をもってなされるべき情報開示として不十分であり、当社の株主の皆様の誤解を招くものであって適切ではないものと言わざるを得ません。
本新株予約権無償割当ては、スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド−エス・ピー・ヴィーⅡ・エル・エル・シー(以下「公開買付者」といいます。)が当社株券等に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)を通じて当社の議決権の多数を取得することを防止すること等、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を保護ないし確保することを目的とするものです。
(中略)
上記のとおり、本日開催の本定時株主総会において、第6号議案「定款一部変更の件」及び第7号議案「新株予約権無償割当ての件」が株主の皆様のご支持を得て、本定時株主総会における特別決議により承認可決され、これを受けて本定時株主総会の直後に開催された当社取締役会において、かかる株主の皆様の意思に基づき、別紙記載の本新株予約権無償割当てに係る新株予約権の無償割当ての要項を決定いたしました。
筆者見解(歴史的文脈から見た視点)
要求区分の一覧19種類
スティール・パートナーズの要求区分:公開資料からの推定
ブルドックソースに対し、スティール・パートナーズがどの要求区分(投資ファンドが要求する項目を独自に一般化したもの)を、どの手段で伝えたかを、公開資料で確かめられる範囲で○を付けて示す。
| 種別 | 要求区分 | 定義 | 株主提案 | 招集請求 | 書簡提案 | 面談提案 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 資本政策 | 特別配当 | 通常の配当に上乗せした、一度きりの配当 | ||||
| 配当方針 | 1株配当の引き上げ、配当性向・DOEの目標の変更 | |||||
| 自社株買い | 自己株式の取得と、取得した株式の消却 | |||||
| 資本効率 | ROE・資本コストの目標、余剰資本の水準と使い道の方針。個別の還元策は特別配当・配当方針・自社株買い | |||||
| 政策保有株 | 取引先などと持ち合う政策保有株式の売却・縮減 | |||||
| 保有資産 | 現預金・不動産など事業に使っていない資産の売却・活用。政策保有株式は除く | |||||
| 事業戦略 | 上場子会社 | 上場子会社の完全子会社化・売却・持分の扱い | ||||
| 非中核事業 | 本業から外れた事業・子会社・資産の売却。上場子会社は除く | |||||
| 経営戦略 | 経営戦略・中期経営計画・事業ポートフォリオの見直し | ○ | ||||
| M&A・提携 | 会社が進める買収・統合・資本提携への反対、条件の見直し | |||||
| 非公開化 | 株式の非公開化・MBOの実施、その条件の見直し | |||||
| 買収提案 | 株主自らが買い手となる株式の買付けの提案と、取締役会への賛同の要請。会社が進める買収はM&A・提携、非公開化の実施は非公開化 | ○ | ||||
| ガバナンス | 取締役解任 | 特定の取締役の解任、再任への反対 | ||||
| 取締役選任 | 株主が推す候補を含む取締役の選任 | |||||
| 取締役会構成 | 独立社外取締役の比率、議長と社長の分離など取締役会の構成 | |||||
| 定款変更 | 株主総会で決められる事項を増やすなどの定款の変更 | |||||
| 役員報酬 | 役員報酬の水準・仕組み・業績との連動の見直し | |||||
| 買収防衛策 | 買収防衛策の廃止、導入への反対 | ○ | ||||
| 非公開 | 非公開面談 | 面談など公表されない場で伝えた要求。中身は非公開 |