スティール・パートナーズの株主提案|サッポロビールの株主対応

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株主要求と会社対応27件

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株主要求と会社対応

スティール・パートナーズは、サッポロHDの価値の中心をビール事業と恵比寿などの不動産にみて、収益を高める経営を求めた。2007年2月に議決権の66.6%までの取得を提案し、提言では恵比寿ガーデンプレイスの賃料の引き上げの検討と不動産の持株会社への集約を挙げた。不動産の売却が狙いだとみたサッポロ側の特別委員会には、不動産の価値の向上が方針だと反論した。取締役会が交渉に応じないまま、上限を33.3%に下げた修正提案も2009年2月に撤回した。2010年3月の総会でスティール推す取締役の選任を株主提案して否決され、同年12月に提出者の保有を0%とし、サッポロの株式を処分した。

サッポロHDは、手続きと特別委員会の評価を踏まえて買付提案に反対し、不動産の売却による投下資本の回収のおそれを理由の一つに挙げた。特別委員会は社有地全部の時価を6,000億円に近いと推定し、2005年の書簡が不動産事業の分離に触れていたことから、資産を売却させて一時的な高配当を得る類型に当たる可能性を否定できないとした。取締役会は全員の賛成で反対を決議した。対応方針は有効期間1年として毎年の総会に諮り、2010年の総会では会社提案の取締役10名が選任された。

株主側要求(スティール・パートナーズ)会社側対応(サッポロビール)議案可決議案否決面談
株主と会社の施策
2007年2008年2009年2010年1月4月7月10月1月4月7月10月1月4月7月10月1月4月
ガバナンス
定款変更
買収防衛策
64.54%
取締役解任
68.49%
取締役選任
33.47%
事業戦略
買収提案
1株825円
経営戦略
株主総会
定時定時定時定時
要求と経緯要求6件・出来事27件

株主との対話:株主から会社に対する要求と経緯

種別要求区分日付主体対話区分やり取りの要旨株主公表会社公表
ガバナンス定款変更2007/01/30株主提案要求対応策を総会の決議事項に—
2007/02/16意思決定確定新たな対応方針の付議—
2007/03/29株主総会議案決議否決株主提案の定款変更
買収防衛策2007/01/30株主提案要求原方針の廃止—
2007/02/16意思決定確定新たな対応方針の付議—
2007/03/01意思決定確定必要情報リストの交付—
2007/03/12書簡提案要求新たな対応方針の否決—
2007/03/29株主総会議案決議可決新たな対応方針の導入
2007/12/06意思決定確定取締役会評価期間の開始—
2008/02/04意思決定確定特別委員会の意見書—
2008/02/13書簡提案要求特別委員会の勧告の再考—
2009/03/18書簡提案要求対応方針の継続に反対—
2009/03/27株主総会議案決議可決対応方針の継続—
2010/03/30株主総会議案決議可決対応方針の継続64.54%
取締役解任2009/03/18書簡提案要求取締役の再任に反対—
2010/03/24書簡提案要求村上社長ら6名の再任に反対—
2010/03/30株主総会議案決議可決村上社長の再任68.49%
取締役選任2010/01/22株主提案要求内藤氏ら6名の取締役選任—
2010/02/12意思決定確定株主提案への反対—
2010/03/08委任状勧誘株主提案の候補への賛成勧誘—
2010/03/30株主総会議案決議否決中田氏の取締役選任33.47%
事業戦略買収提案2007/02/15書簡提案要求66.6%まで買付け1株825円
2008/01/23面談提案要求買付条件の交渉
2008/02/26意思決定確定買付提案への反対—
2008/03/10書簡提案要求33.3%まで買付け1株875円
2008/03/14意思決定確定修正提案の話し合い—
2008/05/02面談提案要求友好的な取引の条件
2008/06/09意思決定確定保有比率20%未満の要請—
2009/02/17公開書簡修正提案の撤回
経営戦略2007/11/08書簡提案要求恵比寿の収益向上と不動産集約
2008/07/08書簡提案要求投資銀行・コンサルタントの起用—
2009/02/24意思決定確定経営実績の補足説明—
2010/05/25公開書簡業績見通しの信頼性への疑問—

株主側の主張:スティール・パートナーズ

2008年2月13日 プレスリリース

当ファンドが貴社の不動産資産を売却するであろうとの貴社特別委員会の理論は、全く根拠を欠くものです。これは、当該資産の価値を向上させることにより、貴社を活性化させるという趣旨の我々の経営方針とは相反するものです。かかる価値向上の例としては、貴社のモルガンスタンレー社との提携を挙げることができます。我々は貴社の不動産資産の価値向上が貴社の活性化に不可欠であると考えるだけでなく、貴社が当該資産を売却することにより税制上重大な不利益を被られるであろうことも認識いたしております。

(中略)

また、2004年にウェスティンホテル東京を500億円で売却された4年後、同ホテルが770億円で転売されたときには貴社は価格上昇による機会損失を被られましたが、誰もこの繰り返しを望むものではありません。

当ファンドの投下資本の回収方針は貴社の活性化に基づくものであり、貴社の不動産資産の処分に基づくものではありません。

2008年7月8日 書簡

貴社の ROE が 2008 年において 8%を超えることが見込まれるのは、ひとえに恵比寿ガーデンプレイスの一部売却によるものです。我々の分析は、この一時的な売却益が除外されたとすれば、2008 年の標準化された ROE は 4.3%まで低下するであることを示しています。

(中略)

これらの実績や、貴社経営陣がそろって善管注意義務・忠実義務を軽視されている現状に鑑みると、貴社経営陣にはサッポロのような国際レベルのビール会社を経営したり、恵比寿ガーデンプレイス、銀座の物件、そして他の世界トップクラスの物件などの膨大な不動産資産を運営する能力も資格もなく、その権限も機会も与えられるべきではないことが明らかとなったのです。

会社側の主張:サッポロHDの特別委員会

2008年2月4日 適時開示

ところが、サッポロ HD は、多くの不動産、ことに土地を所有しており、社有地全部の時価は、合計6000億円に近いものと推定される。そこで、SPJSF が、予定保有期間が満了することになったとき、予定の利益率による利益をあげていないとすれば、経営支配権を完全に取得しているのであるから、これらの土地を処分して投下資本を回収しようとすることになる可能性は高い。

一般的に言って、土地をはじめとする事業資産の売却が企業価値を上昇させる場合もありうるが、SPJSF の場合には将来の事業計画が明示されていないことから、売却の方法によってはサッポロ HD の企業価値を大きく毀損するおそれがあり、会社の存立すら危ぶまれることになる。

会社側の主張:サッポロHDの取締役会

2008年2月26日 適時開示

特に、当社グループと関係の深い「札幌・サッポロ」、「恵比寿・ヱビス」、そして「銀座・GINZA」は、地名であると同時に、当社の重要なブランド名でもあります。

(中略)

「恵比寿・ヱビス」は、当社の前身の一つである日本麦酒株式会社により「恵比寿ビール(現在のヱビスビール)」の生産が開始された地であり、その商品名に由来して「恵比寿」という駅名や地名が誕生したという経緯があります。現在もその歴史的な場所である恵比寿において、当社は、事業子会社である恵比寿ガーデンプレイス社を通じて中核的な不動産事業を展開しております。

(中略)

したがって、こうした当社グループのブランドの価値とその意義を深く理解せずに、短期的な利益のみを追求して、単なる一商品ブランド、あるいは一不動産物件として単純に政策決定するような経営を行なう場合、当社グループの貴重な資産であるブランドの価値を破壊し、当社グループの企業価値を著しく毀損するおそれがあります。

2008年2月26日 適時開示

SPJSF が本買付提案を行った平成 19 年 2 月 15 日の直後に、スティール・パートナーズ・ジャパン株式会社の関係者は、報道機関のインタビューに応じて、「株主の観点からは、サッポロ HD のビール事業のウエートはマイナーだ。ホールディングの 4 つの事業(酒類・飲料・外食・不動産)では、マジョリティーは明らかに不動産事業。そこの事業をマキシマイズしてくれる経営がいい。もし不十分なら補完してくれる戦略的な投資家が現れてくれればいいシナリオだ。今回は不動産のところで戦略的な買い手が関心を示してくれればいい」 などと発言しています。

(中略)

上記発言は、当社株式に関しても、SPJSF が自らの保有株式の売却機会を提供するようなホワイトナイトの出現を期待していたことを示すことは明らかです。

筆者見解(歴史的文脈から見た視点)

ビール工場の跡地が抱えた含み益と、借入れに依存する財務
2026/11執筆予定
サッポロビールROE2013/12期6.7%
ROE
サッポロビールネットキャッシュ2013/12期-2,363億円
ネットキャッシュ現預金有利子負債
サッポロビール投資有価証券2013/12期512億円
投資有価証券
サッポロビール年間配当2013/12期7円
期末配当中間配当
要求区分の一覧19種類

スティール・パートナーズの要求区分:公開資料からの推定

サッポロビールに対し、スティール・パートナーズがどの要求区分(投資ファンドが要求する項目を独自に一般化したもの)を、どの手段で伝えたかを、公開資料で確かめられる範囲で○を付けて示す。

種別要求区分定義株主提案招集請求書簡提案面談提案
資本政策特別配当通常の配当に上乗せした、一度きりの配当
配当方針1株配当の引き上げ、配当性向・DOEの目標の変更
自社株買い自己株式の取得と、取得した株式の消却
資本効率ROE・資本コストの目標、余剰資本の水準と使い道の方針。個別の還元策は特別配当・配当方針・自社株買い
政策保有株取引先などと持ち合う政策保有株式の売却・縮減
保有資産現預金・不動産など事業に使っていない資産の売却・活用。政策保有株式は除く
事業戦略上場子会社上場子会社の完全子会社化・売却・持分の扱い
非中核事業本業から外れた事業・子会社・資産の売却。上場子会社は除く
経営戦略経営戦略・中期経営計画・事業ポートフォリオの見直し○
M&A・提携会社が進める買収・統合・資本提携への反対、条件の見直し
非公開化株式の非公開化・MBOの実施、その条件の見直し
買収提案株主自らが買い手となる株式の買付けの提案と、取締役会への賛同の要請。会社が進める買収はM&A・提携、非公開化の実施は非公開化○○
ガバナンス取締役解任特定の取締役の解任、再任への反対○
取締役選任株主が推す候補を含む取締役の選任○
取締役会構成独立社外取締役の比率、議長と社長の分離など取締役会の構成
定款変更株主総会で決められる事項を増やすなどの定款の変更○
役員報酬役員報酬の水準・仕組み・業績との連動の見直し
買収防衛策買収防衛策の廃止、導入への反対○○
非公開非公開面談面談など公表されない場で伝えた要求。中身は非公開
参考文献41件

参考文献

日付公表種類要旨
1992/03/23第三者雑誌サッポロビール 工場跡地は“金のなる木” 本業支え多角化のテコに(日経ビジネス)
2007/02/01会社公表適時開示対応方針の廃止と定款変更の株主提案
2007/02/15株主公表プレスリリース議決権66.6%までの1株825円程度の買付提案
2007/02/15会社公表適時開示議決権66.6%までの1株825円程度の買付提案
2007/02/16会社公表適時開示新たな対応方針の総会付議と株主提案の扱い
2007/02/16会社公表適時開示新たな対応方針の総会付議と株主提案の扱い
2007/03/01会社公表適時開示買付提案にかかる必要情報リストの交付
2007/03/12株主公表プレスリリース新たな対応方針の承認議案への反対表明
2007/03/22株主公表書簡新たな対応方針の承認議案への反対表明
2007/03/29会社公表適時開示株主提案の定款変更の否決と対応方針の承認
2007/03/29株主公表プレスリリース株主提案の定款変更の否決と対応方針の承認
2007/11/08株主公表プレスリリース「企業価値向上へのアプローチ」の提出
2007/11/08会社公表適時開示「企業価値向上へのアプローチ」の提出
2007/12/06会社公表適時開示取締役会評価期間の開始
2008/01/28株主公表プレスリリースリヒテンシュタイン氏と取締役・特別委員会の面談
2008/01/28会社公表適時開示リヒテンシュタイン氏と取締役・特別委員会の面談
2008/02/04会社公表適時開示特別委員会からの意見書の受領
2008/02/13株主公表プレスリリース特別委員会の意見書への反論
2008/02/26会社公表適時開示買付提案に反対する取締役会の意見
2008/03/10株主公表プレスリリース議決権33.3%までの1株875円への修正提案
2008/03/10会社公表適時開示議決権33.3%までの1株875円への修正提案
2008/03/14会社公表適時開示修正提案についての話し合いの決議
2008/03/31第三者有価証券報告書第84期(2007年12月期)【経営上の重要な契約等】(サッポロホールディングス)
2008/05/02会社公表適時開示修正提案についての取締役会・経営陣との面談
2008/05/07株主公表プレスリリース修正提案についての取締役会・経営陣との面談
2008/07/08会社公表適時開示保有比率を20%未満に留める提案
2008/07/08株主公表書簡投資銀行と経営コンサルタントの起用を求める書簡
2009/02/17株主公表プレスリリース買付提案の撤回を伝える書簡
2009/02/17会社公表適時開示買付提案の撤回を伝える書簡
2009/02/24会社公表適時開示過去3年の経営実績の補足説明と書簡の送付
2009/03/18株主公表プレスリリース対応方針の継続と取締役の再任への反対表明
2009/03/30会社公表有価証券報告書対応方針の継続の承認
2010/02/12会社公表適時開示株主提案に反対する取締役会の意見
2010/03/05会社公表株主総会資料推薦する6名を含む取締役10名の選任の株主提案
2010/03/15株主公表プレスリリース株主提案の候補への賛成を求める委任状勧誘
2010/03/24株主公表プレスリリース村上社長ら6名の再任への反対の呼びかけ
2010/03/30株主公表プレスリリース株主推薦6名の取締役選任の賛成率29.03〜33.47%
2010/04/06会社公表適時開示株主推薦6名の取締役選任の賛成率29.03〜33.47%
2010/05/25株主公表書簡第1四半期の業績の低迷を指摘する書簡
2011/03/30第三者有価証券報告書第87期(2010年12月期)【主要な経営指標等の推移】(サッポロホールディングス)
2011/10/09株主公表ウェブサイト株主提案の候補への賛成を求める委任状勧誘

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