株主要求と会社対応5件
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株主要求と会社対応
ピケンズが率いる米ブーン社は1989年3月31日、小糸製作所の発行済株式の20.2%(3,240万株)の名義書換えを申請し、トヨタ自動車(19.0%)を抜く筆頭株主になった。4月20日に松浦高雄社長と会談し、21日に最低3人の役員派遣を書面で求めたが、小糸製作所は26日に正式に拒否した。6月16日に会計帳簿の閲覧を求める仮処分を申請し、29日の定時株主総会では役員受け入れの修正動議が否決された。ピケンズは1991年4月に撤退を宣言した。
株主側要求(T・ブーン・ピケンズ)会社側対応(小糸製作所)議案可決議案否決面談
株主と会社の施策
1989年1990年1991年4月7月10月1月4月7月10月1月4月7月
ガバナンス
取締役選任
役員派遣の拒否撤退宣言
株主総会
定時定時定時
要求と経緯要求1件・出来事5件
株主との対話:株主から会社に対する要求と経緯
論点は、トヨタ自動車と同じ水準の持株の株主に、トヨタ自動車と同じ数の取締役の派遣を認めるかにあった。ピケンズは、トヨタ自動車から3人の役員を受け入れながら、それ以上の大株主の要求を拒むのは外国人投資家への差別だと主張した。小糸製作所は麻布建物との買い戻し特約の有無を照会して回答を得られず、株の取得の実質を問うた。株は光進から麻布自動車グループを経てブーン社へ名義が移り、ピケンズは麻布建物の融資で株式を取得していたと後に判明した。
| 項目 | 日付 | 主体 | 対話区分 | やり取りの要旨 | 株主公表 | 会社公表 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 取締役選任 | 1989/04/20 | 面談提案 | 要求役員派遣の申し入れ | — | — | |
| 1989/04/21 | 書簡提案 | 要求最低3人の役員派遣を書面で要求 | — | — | ||
| 1989/04/26 | 意思決定 | 確定役員派遣の拒否 | — | — | ||
| 1989/06/29 | 株主総会 | 議案決議 | 否決ブーン社の役員受け入れの修正動議 | — | — | |
| 1991/04 | 公開書簡 | 撤退宣言 | — | — |
| 日付 | 主体 | 対話区分 | やり取りの要旨 | 株主公表 | 会社公表 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1989/04/20 | 面談提案 | 要求役員派遣の申し入れ | — | — | |
| 1989/04/21 | 書簡提案 | 要求最低3人の役員派遣を書面で要求 | — | — | |
| 1989/04/26 | 意思決定 | 確定役員派遣の拒否 | — | — | |
| 1989/06/29 | 株主総会 | 議案決議 | 否決ブーン社の役員受け入れの修正動議 | — | — |
| 1991/04 | 公開書簡 | 撤退宣言 | — | — |
筆者見解(歴史的文脈から見た視点)
系列の取締役会と、取得の実質が見えない筆頭株主
2026/11執筆予定小糸製作所ROE不明
ROE
小糸製作所ネットキャッシュ不明
ネットキャッシュ現預金有利子負債
小糸製作所投資有価証券不明
投資有価証券
小糸製作所年間配当不明
期末配当中間配当
要求区分の一覧18種類
T・ブーン・ピケンズの要求区分:公開資料からの推定
小糸製作所に対し、T・ブーン・ピケンズがどの要求区分(投資ファンドが要求する項目を独自に一般化したもの)を、どの手段で伝えたかを、公開資料で確かめられる範囲で○を付けて示す。
| 種別 | 要求区分 | 定義 | 株主提案 | 招集請求 | 書簡提案 | 面談提案 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 資本政策 | 特別配当 | 通常の配当に上乗せした、一度きりの配当 | ||||
| 配当方針 | 1株配当の引き上げ、配当性向・DOEの目標の変更 | |||||
| 自社株買い | 自己株式の取得と、取得した株式の消却 | |||||
| 資本効率 | ROE・資本コストの目標、余剰資本の水準と使い道の方針。個別の還元策は特別配当・配当方針・自社株買い | |||||
| 政策保有株 | 取引先などと持ち合う政策保有株式の売却・縮減 | |||||
| 保有資産 | 現預金・不動産など事業に使っていない資産の売却・活用。政策保有株式は除く | |||||
| 事業戦略 | 上場子会社 | 上場子会社の完全子会社化・売却・持分の扱い | ||||
| 非中核事業 | 本業から外れた事業・子会社・資産の売却。上場子会社は除く | |||||
| 経営戦略 | 経営戦略・中期経営計画・事業ポートフォリオの見直し | |||||
| M&A・提携 | 会社が進める買収・統合・資本提携への反対、条件の見直し | |||||
| 非公開化 | 株式の非公開化・MBOの実施、その条件の見直し | |||||
| ガバナンス | 取締役解任 | 特定の取締役の解任、再任への反対 | ||||
| 取締役選任 | 株主が推す候補を含む取締役の選任 | ○ | ○ | |||
| 取締役会構成 | 独立社外取締役の比率、議長と社長の分離など取締役会の構成 | |||||
| 定款変更 | 株主総会で決められる事項を増やすなどの定款の変更 | |||||
| 役員報酬 | 役員報酬の水準・仕組み・業績との連動の見直し | |||||
| 買収防衛策 | 買収防衛策の廃止、導入への反対 | |||||
| 非公開 | 非公開面談 | 面談など公表されない場で伝えた要求。中身は非公開 |
参考文献11件
参考文献
| 日付 | 公表 | 種類 | 要旨 |
|---|---|---|---|
| 1989 | 第三者 | 雑誌 | PART1 ブーン・ピケンズと米国議会の微妙な関係(WASHINGTON)(Decide 7巻5号) |
| 1989/06 | 第三者 | 雑誌 | 小糸製作所株買い占めの虚々実々――ボーダーレス経済に咲いた「アダ花」か(政経人 36巻6号) |
| 1989/07 | 第三者 | 雑誌 | 小糸株を買い占めたブーンの思惑 =狙いは利ザヤ稼ぎか それとも乗っ取りか?=(実業往来 445号) |
| 1989/08/28 | 第三者 | 雑誌 | 小糸製作所 ピケンズ氏の思惑はなぜ狂ったか(日経ビジネス) |
| 1992 | 第三者 | 書籍 | 解体する「系列」と法人資本主義(奥村宏・社会思想社) |
| 1992/05/11 | 第三者 | 雑誌 | 三井信託銀行研究 後手後手の「麻布」支援 小糸株問題に翻弄される(日経ビジネス) |
| 1992/12/07 | 第三者 | 雑誌 | 長村義郎氏[小糸製作所]登場 “危機”退け、次は「粘り」で収益改善(日経ビジネス) |
| 1993/07/19 | 第三者 | 雑誌 | 松浦高雄[小糸製作所会長]一体感あれば危機にも動揺せず(日経ビジネス) |
| 1994/05/16 | 第三者 | 雑誌 | 渡辺喜太郎氏[麻布グループ代表]、兵を語る 小糸株購入は誤算だった(日経ビジネス) |
| 1994/11/14 | 第三者 | 雑誌 | 小糸製作所 難問の原価3割低減要求(日経ビジネス) |
| 1997/11/17 | 第三者 | 雑誌 | 加藤順介氏[小糸製作所]登場 創業一族出身、海外市場の開拓へ「勝負」(日経ビジネス) |