シルチェスターの株主提案|岩手銀行の株主対応

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株主要求と会社対応11件
提案株主シルチェスターSilchester International Investors
提案者の最高保有比率9.92%基準日 2022/09/28大量保有報告書(S100P9C0)の保有割合。報告の中で最も高い時点
提案を受けた企業岩手銀行証券コード 8345
ステータス終結

当コンテンツは試験作成中です。上場企業におけるガバナンス深化のために、専門家の方々からご意見を賜れますと幸いです。要望や誤りがありましたら、(PCのみ)からお寄せください。

株主要求と会社対応

シルチェスターは、岩手銀行が政策保有株式から受け取る配当を株主に配り切るよう求めた。過去10年間のROEが約3.2%にとどまり、純利益の約半分が保有株式の受取配当金だったことから、受取配当の100%とコアの銀行業務の純利益の50%を配当に充てる方針を非公開で要請した。拒否されると特別配当の株主提案に進んだが、定時総会で否決されると、保有割合を5%未満へ下げた。

岩手銀行は特別配当を拒んだ一方、還元は自ら定めた方針の枠内で引き上げた。銀行業としての公共性と経営の健全性確保を理由に自己資本の充実を基本方針とし、議案の提出の意向が伝わる前に配当性向30%を目安とする還元方針を定め、それを反対の理由に挙げた。シルチェスターが保有を下げた後も、中期経営計画でROE目標を掲げ、累進的配当と配当性向40%以上へ方針を改めて普通配当の水準を引き上げた。

株主側要求(シルチェスター)会社側対応(岩手銀行)議案可決議案否決面談
株主と会社の施策
2022年2023年2024年2025年2026年7月1月7月1月7月1月7月1月7月
資本政策
配当方針
1株80円1株125円1株192円1株208円
特別配当
1株76円
資本効率
4%9%
シルチェスターの保有比率
9.9%4.5%
株主総会
定時定時定時定時定時
要求と経緯要求3件・出来事11件

株主との対話:株主から会社に対する要求と経緯

種別要求区分日付主体対話区分やり取りの要旨株主公表会社公表
資本政策配当方針2022/03/24意思決定確定年間配当1株80円—
2022/04/01書簡提案要求受取配当とコア純利益連動の配当—
2022/05/23書簡提案要求受取配当とコア純利益連動の配当—
2025/05/13意思決定確定年間配当1株125円—
2025/11/14意思決定確定年間配当1株192円—
2026/05/14意思決定確定年間配当1株208円—
特別配当2022/04/01株主提案要求特別配当1株76円
2022/05/12意思決定確定短期的視点として提案に反対—
2022/06/22株主総会議案決議否決株主提案の特別配当—
資本効率2022/05/23書簡提案要求資本配分の見直しとROE改善—
2023/03/28意思決定確定ROE目標4%—
2026/03/30意思決定確定ROE目標9%—
シルチェスターが求めた配当方針の式(2022/04/01)

年間配当=保有株式の受取配当×100%+コアの銀行業務の純利益×50%

株主側の主張:シルチェスター

2022年5月23日 書簡

2022年5月12日付で当会社は、弊社の特別配当の提案に関し、反対意見を表明しました。その中で、当会社は弊社の提案が「銀行業としての公共性と経営の健全性確保を考慮しない、短期的な視点に立脚したもの」であると述べています。更に、当会社は、弊社の提案は「地域金融機関としての責務を全うすることに悪影響を与えるものであり」、「企業価値の向上に繋がらない」と述べています。

弊社は、このような記述は、認識の甘さと財務的洞察力の欠如を示すものだと考えます。当会社が発表した意見は、弊社の考えを誤って解釈し不正確に伝えるものです。当会社と当会社の取締役会は、資産を留保しようとしています。これは、当会社、当会社の株主、規制当局、顧客、株主のいずれにも利益をもたらすことを目的としておらず、経営陣の安心材料としての資産の留保でしかありません。

弊社が提案する特別配当は、単純な考えに基づくものです。弊社は当会社が、以下を合計した普通配当と特別配当を支払うことを望みます。

• 当会社が保有株式に関わり受け取る年間配当の100%に相当する金額、及び、

• 当会社のコアの銀行業務からの純利益の50%

(中略)

弊社の提案は、当会社がコアの融資・銀行業務から発生する利益のうち相応な割合を確実に保持することを可能にします。また、弊社の提案においては、当会社が保有株式に関わり受け取るすべての年間配当の恩恵を、株主が受けられるようになります。

会社側の主張:岩手銀行

2022年5月12日 適時開示

当行は、1932年5月の創業以来、「地域社会の発展に貢献する」「健全経営に徹する」という2つの経営理念を堅持しておりますが、この経営理念は、地域と一体の銀行であり続けるとともに、健全な経営により地域に対して金融機関としての責務を全うし続けるとの当行の決意を象徴化したものです。

当行は、この2つの経営理念のもと、銀行業としての公共性と経営の健全性確保の観点から、内部留保の充実を図るとともに、株主のみなさまへ安定的な配当を継続することを基本方針としており、かかる基本方針を踏まえて、

① 安定配当70円を維持しつつ、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向30%を目安とする

② 市場動向、業績見通しなどを勘案のうえ、柔軟かつ機動的な自己株式の取得を実施する

との株主還元方針を策定し、2022年3月24日に公表いたしました。

当行は、この株主還元方針のもと、同日、2022年3月期の年間配当金を、従前の配当予想から1株当たり20円増配となる1株当たり80円(普通配当70円、記念配当10円)とすることをあわせて公表しております(これにより、2022年3月期の配当性向は33.9%となります)。また、当行では、2022年3月期において、総額478百万円となる自己株式の取得も実施いたしました。当行では、こうした株主還元の取り組みを継続しつつ、DX分野への投資やESGにかかる投資などに向け内部留保の充実も図りながら、中長期的な企業価値の向上を実現することが株主のみなさまへの最大の還元となるものと認識しております。

本株主提案では、上記の1株当たり80円の配当に加えて76円の特別配当の実施を要求しております。この剰余金配当の要求は、銀行業としての公共性と経営の健全性確保を考慮しない、短期的な視点に立脚したものであると捉えざるを得ず、地域金融機関としての責務を全うすることに悪影響を与えるものであり、結果として中長期的な企業価値の向上に繋がらないと判断いたします。

以上の理由により、当行取締役会としては、本議案に反対いたします。

岩手銀行の取締役(2021年6月可決・当時)

氏名役職区分その後の総会:選任賛成比率
24/625/6
高橋真裕会長社内——
佐藤求専務執行役員社内——
佐々木泰司常務執行役員社内——
石川健正常務執行役員社内90.7%91.1%
新里真士常務執行役員社内——
岩山徹常務執行役員社内86.3%84.5%
田口幸雄頭取社内——
千葉祐嗣取締役(監査等委員)社内——
藤澤秀一取締役(監査等委員)社内——
高橋温取締役社外——
宇部文雄取締役社外——
小原忍取締役(監査等委員)社外——
菅原悦子取締役(監査等委員)社外——
宮野谷篤取締役社外92.7%94.4%
渡辺正和取締役(監査等委員)社外——

筆者見解(歴史的文脈から見た視点)

政策保有株式の配当と地方銀行の自己資本
2026/11執筆予定
岩手銀行ROE2026/3期4.7%
ROE
岩手銀行政策保有株式2026/3期169億円
政策保有株式
岩手銀行年間配当2026/3期208円
期末配当中間配当
要求区分の一覧19種類

シルチェスターの要求区分:公開資料からの推定

岩手銀行に対し、シルチェスターがどの要求区分(投資ファンドが要求する項目を独自に一般化したもの)を、どの手段で伝えたかを、公開資料で確かめられる範囲で○を付けて示す。

種別要求区分定義株主提案招集請求書簡提案面談提案
資本政策特別配当通常の配当に上乗せした、一度きりの配当○
配当方針1株配当の引き上げ、配当性向・DOEの目標の変更○
自社株買い自己株式の取得と、取得した株式の消却
資本効率ROE・資本コストの目標、余剰資本の水準と使い道の方針。個別の還元策は特別配当・配当方針・自社株買い○
政策保有株取引先などと持ち合う政策保有株式の売却・縮減
保有資産現預金・不動産など事業に使っていない資産の売却・活用。政策保有株式は除く
事業戦略上場子会社上場子会社の完全子会社化・売却・持分の扱い
非中核事業本業から外れた事業・子会社・資産の売却。上場子会社は除く
経営戦略経営戦略・中期経営計画・事業ポートフォリオの見直し
M&A・提携会社が進める買収・統合・資本提携への反対、条件の見直し
非公開化株式の非公開化・MBOの実施、その条件の見直し
買収提案株主自らが買い手となる株式の買付けの提案と、取締役会への賛同の要請。会社が進める買収はM&A・提携、非公開化の実施は非公開化
ガバナンス取締役解任特定の取締役の解任、再任への反対
取締役選任株主が推す候補を含む取締役の選任
取締役会構成独立社外取締役の比率、議長と社長の分離など取締役会の構成
定款変更株主総会で決められる事項を増やすなどの定款の変更
役員報酬役員報酬の水準・仕組み・業績との連動の見直し
買収防衛策買収防衛策の廃止、導入への反対
非公開非公開面談面談など公表されない場で伝えた要求。中身は非公開
参考文献11件

参考文献

日付公表種類要旨
2022/03/24会社公表適時開示株主還元方針の策定と年80円への配当予想の修正
2022/05/12会社公表適時開示特別配当の株主提案への取締役会の反対意見
2022/05/23株主公表書簡特別配当の議案への賛成を求める書簡の公表
2022/06/22会社公表有価証券報告書特別配当1株76円の株主提案の否決
2023/03/28会社公表適時開示長期ビジョンと第21次中期経営計画の策定
2023/06/23会社公表有価証券報告書特別配当1株76円の株主提案の否決
2025/05/13会社公表適時開示年間配当の80円から125円への増配
2025/11/14会社公表適時開示累進的配当の導入と配当性向40%以上への引き上げ
2026/03/30会社公表適時開示第22次中期経営計画と長期財務目標の更新
2026/05/14会社公表適時開示年間配当の125円から208円への増配
2026/06/29会社公表臨時報告書年間配当の125円から208円への増配

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